2025/02/18
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    変形性股関節症とは?仕事の悩みと働きやすさを高める工夫・配慮ポイントを解説

    朝、目覚めて足を床につけた瞬間から痛みが走る。通勤途中の駅の階段で周りの人より遅れてしまう。仕事中も腰や股関節の痛みが絶えず、休憩時間が待ち遠しい…。変形性股関節症を抱えながら働く毎日は、こうした小さな苦痛の連続です。

    「このまま今の仕事を続けていけるだろうか」
    「もっと自分に合った職場はないだろうか」 

    そんな不安を抱えながらも、自分らしく働きたいと願う方は少なくありません。この記事では、変形性股関節症と仕事の関係、適した働き方、治療と仕事の両立方法、そして就職支援サービスについて詳しく解説します。

    変形性股関節症と仕事の関係

    変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや動きの制限が起こる病気です。日本では40歳以上の人口の約10%がこの症状を抱えていると言われています。特に女性に多く見られ、日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。

    立ち仕事が与える影響

    立ち仕事は股関節に大きな負担をかけます。販売員、看護師、調理師、工場作業員など、一日中立ち続ける仕事は特に注意が必要です。

    立ち仕事をしている方は、定期的な休憩や座る時間の確保が重要です。また、職場での配置転換や業務内容の見直しも検討する価値があります。

    仕事以外の発症リスク要因

    変形性股関節症の発症には、仕事以外にもいくつかのリスク要因が関わっています。

    臼蓋形成不全

    日本人に多いとされる臼蓋形成不全は、股関節の骨盤側(臼蓋)の発達が不十分な状態です。この状態では関節の安定性が低下し、軟骨に負担がかかりやすくなります。

    遺伝的要因

    変形性股関節症には遺伝的な要素も関係しています。親や祖父母に股関節の問題があった方は、自身も注意が必要です。

    肥満

    過度の体重増加は股関節への負担を増やします。BMI(体格指数)が25以上の場合、変形性股関節症のリスクが高まるとされています。

    変形性股関節症に適した働き方

    変形性股関節症があっても、働き方を工夫することで仕事を続けることができます。自分の身体の状態に合わせた働き方を見つけることが大切です。

    デスクワークへの転換

    立ち仕事が辛い場合は、座って行える仕事への転換を検討しましょう。事務職、コールセンター、Webデザイナー、プログラマーなど、デスクワークは股関節への負担が比較的少ないとされています。

    ただし、長時間同じ姿勢で座り続けることも股関節に負担をかけます。1時間に一度は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。

    勤務時間の調整

    フルタイムでの勤務が難しい場合は、時短勤務やフレックスタイム制の活用を検討しましょう。特に朝は股関節が硬くなりやすいため、朝の通勤ラッシュを避けられる時間帯での勤務開始が有効な場合があります。

    また、在宅勤務も有効な選択肢です。通勤の負担がなくなり、自分のペースで休憩を取りながら仕事ができます。最近では多くの企業がリモートワークを導入しており、変形性股関節症の方にとって働きやすい環境が広がっています。

    休憩の確保と体操の実施

    どのような仕事でも、定期的な休憩と適切なストレッチが重要です。特に股関節を固定した姿勢が続くと、痛みや硬さが増すことがあります。

    職場でできる簡単な体操としては、立った状態で股関節を前後・左右にゆっくり動かす「股関節回し」や、椅子に座った状態で足を前に伸ばす「座位伸展運動」などがあります。これらの運動は血液循環を促進し、関節の柔軟性を維持する効果があります。

    変形性股関節症の治療と仕事を両立するポイント

    変形性股関節症の治療を続けながら仕事をするためには、いくつかのポイントがあります。

    適切な治療の継続

    症状の管理には、定期的な通院と医師の指示に従った治療が欠かせません。薬物療法、物理療法、必要に応じた注射療法など、症状に合わせた治療を継続することが大切です。

    職場には治療のための通院について理解を得ておくことが望ましいでしょう。多くの企業では通院休暇制度を設けていますので、人事部や上司に相談してみることをおすすめします。

    リハビリテーション

    専門家の指導のもとでのリハビリテーションは、症状の緩和と機能の維持・改善に役立ちます。特に股関節周囲の筋力強化は重要です。

    物理療法士や作業療法士と相談しながら、仕事の動作に合わせたリハビリプログラムを作成することも効果的です。例えば、デスクワークが多い方は座位でのエクササイズ、立ち仕事が多い方は立位バランス訓練などが有効です。

    職場との連携と配慮

    職場の理解と配慮を得ることは、働き続けるための重要な要素です。必要に応じて職場環境の調整を依頼しましょう。

    また、産業医や産業保健師との連携も有効です。彼らは医学的知識を持ちながら職場環境を理解しているため、適切なアドバイスが得られることがあります。

    変形性股関節症の方のための就職支援サービス

    変形性股関節症により働き方の変更や転職を考えている方には、さまざまな支援サービスがあります。

    公的機関の支援

    ハローワーク(職業安定所)

    ハローワークには障害者専門の窓口があり、以下のようなサポートを受けることができます。

    • 専門の職業相談員によるカウンセリング
    • 障害者向けの求人情報の提供
    • 職場適応訓練の紹介
    • 就職後のフォローアップ

    地域のハローワークに設置されている「専門援助部門」に相談することで、より具体的な支援を受けることができます。

    地域障害者職業センター

    障害者職業センターでは、より専門的な就労支援を受けることができます。

    • 職業評価・職業準備支援: 自分の適性や能力に合った仕事を見つけるためのサポート
    • ジョブコーチ支援: 職場に適応するための専門家によるサポート
    • 事業主支援: 企業に対する障害者雇用のアドバイスや環境整備の支援

    特に、自分の症状や体調の波を理解した上で、適切な職業選択をするためのアドバイスが受けられます。

    福祉サービスの活用

    就労移行支援事業所

    就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害者を支援する施設です。

    • 就労スキルの訓練: ビジネスマナーやパソコン操作など、就労に必要なスキルを学べる
    • 職場体験・実習の機会: 実際の職場を体験し、自分に合った仕事を見つける機会が得られる
    • 就職活動のサポート: 履歴書の書き方や面接対策などのサポート
    • 就職後の定着支援: 就職後も継続して働けるようサポートを受けられる

    通常2年間の利用期間があり、その間に段階的に就労準備を進めることができます。

    障害者就業・生活支援センター

    障害者就業・生活支援センターは、就労面と生活面の両方から総合的な支援を行います。

    • 就労相談・支援: 就職活動のサポートや職場定着支援
    • 生活相談・支援: 日常生活や健康管理に関するアドバイス
    • 関係機関との連携: 医療機関や福祉サービスとの連携調整

    長期的な視点で、安定した就労と生活を実現するためのサポートを受けることができます。

    障害者雇用に特化した求人サイト

    近年では、障害者雇用に特化したオンラインの求人サイトも充実しています:

    • 障害者雇用に理解のある企業の求人情報が豊富
    • 在宅勤務可能な仕事など、柔軟な働き方の求人も多い
    • 障害特性に配慮した職場環境の情報も掲載されている
    • 就職活動のアドバイスや体験談なども参考になる

    障害者ナビでは、小腸機能障害の特性に合わせた働き方ができる企業を探しやすいという利点があります。ぜひご活用ください。

    まとめ

    変形性股関節症があっても、適切な働き方の選択と環境調整により、充実した職業生活を送ることは十分可能です。自分の身体の状態をしっかりと把握し、無理のない範囲で働くことが長く仕事を続けるコツです。

    症状と付き合いながら働くことは簡単ではありませんが、専門家のサポートや支援制度を積極的に活用することで、道は開けていきます。変形性股関節症に理解のある職場環境を見つけることも、症状管理と仕事の両立には重要です。

    何より大切なのは、自分の体調を優先する勇気を持つことです。痛みをこらえて無理を続けると、症状が悪化するだけでなく、精神的な負担も増えてしまいます。体調の変化に応じて柔軟に働き方を見直していくことが大切です。