2025/04/26
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    障害者向けインターンシップ完全ガイド|参加のメリット・探し方・注意点を解説

    働きたいという意欲はあるけれど、「自分に合った仕事って何だろう」「職場に馴染めるかな」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
    特に障害を持つ方にとって、就職活動は不安と期待が入り混じるチャレンジです。
    そんな中、実際に職場を体験できるインターンシップ制度は、自分に合った働き方を見つける絶好のチャンスとなります。

    本記事では、インターンシップ制度の基本から、障害者向けインターンシップの特徴まで、わかりやすく解説します。


    インターンシップ制度とは

    インターンシップとは、学生や求職者が一定期間、企業などの職場で実際に働く体験をする制度です。
    本格的な就職活動を始める前に、実際の仕事や職場環境を体感できるため、ミスマッチを防ぎ、将来のキャリア設計に役立てることができます。

    一般的なインターンシップの概要

    一般的なインターンシップには、次のような特徴があります。

    • 期間は1日〜数か月までさまざま(短期・中期・長期がある)
    • 参加対象者は主に学生だが、近年は既卒者や社会人向けも増加
    • 体験内容は職場見学、グループワーク、実際の業務補助など
    • 目的は企業理解・自己理解・就職活動への準備

    インターンシップは単なる「職場見学」ではなく、実際に業務の一部に参加することで、リアルな仕事の現場を知る貴重な機会です。

    また、参加者側だけでなく、企業側も自社にマッチする人材かどうかを見極める場として活用しています。


    障害者向けインターンシップの特徴

    障害を持つ方に特化したインターンシップでは、一般的なインターンシップとは異なる工夫や配慮が行われています。
    以下に、障害者向けインターンシップならではの特徴をまとめます。

    1. 障害に配慮したプログラム設計

    障害の内容や特性に応じて、以下のような個別配慮が設定されます。

    • 勤務時間や作業負担の調整(無理のないスケジュール設計)
    • バリアフリー環境の整備(移動やトイレ利用への配慮)
    • 業務内容の適正化(体力的・認知的負担を考慮した業務)

    これにより、障害による不安を感じることなく、安心して仕事体験に取り組むことができます。

    2. サポート体制の充実

    障害者向けインターンシップでは、以下のようなサポート体制が整備されています。

    • 企業側に障害理解のある担当者がいる
    • ジョブコーチ(就労支援員)が伴走支援を行う
    • 事前に配慮事項を企業と共有し、円滑な受け入れを図る

    「もし体調が悪くなったらどうしよう」「配慮が必要な場面で伝えづらい」
    そんな不安に寄り添いながら、安心して参加できる環境作りが徹底されています。

    3. 就職・転職活動に直結しやすい

    障害者向けインターンシップは、単なる体験にとどまらず、そのまま就職や転職に直結するケースも多くあります。

    • インターン参加者限定の採用選考ルートが用意されている
    • インターン中のパフォーマンスをもとに内定オファーが出される

    「実際に働いてみてお互いに納得してから就職する」という形は、障害者にとっても企業にとっても大きなメリットとなります。

    インターンシップの内容

    インターンシップは、働くことに対する理解を深め、自分に合った職場を見つけるための貴重な機会です。
    特に障害のある方にとっては、就職前に自らの適性や働き方を試すチャンスでもあります。
    ここでは、インターンシップの具体的なプログラム内容と期間について、わかりやすく解説します。


    プログラム内容

    インターンシップは「仕事体験」と「企業理解」が柱。

    それぞれの目的を明確に理解して参加することが重要です。

    仕事体験

    仕事体験は、インターンシップにおける最も中心的な活動です。
    参加者は、実際の職場で業務を経験しながら、自分の適性や課題を確認していきます。

    • 簡単な事務作業(データ入力、書類整理など)
    • 広報・マーケティングのサポート業務
    • IT関連の作業(プログラミング補助やテスト業務など)
    • コールセンターやカスタマーサポートでの実務体験

    業務内容は、障害特性や本人の希望、能力に応じて調整されることが多く、無理なく取り組めるよう配慮されています。

    また、職場の雰囲気や、上司・同僚とのコミュニケーションの取り方も、実際に体験できるため、「働く自分」をリアルにイメージできるでしょう。

    企業理解

    インターンシップのもう一つの大きな目的は、「企業理解」を深めることです。

    • 企業理念や事業内容の説明
    • 各部署や業務プロセスの紹介
    • 障害者雇用に対する考え方や配慮体制の説明
    • 実際に働く障害者社員との座談会

    こうしたプログラムを通して、単なる「業務の体験」だけではなく、企業文化や職場の考え方を肌で感じることができます。
    これにより、「自分に合った企業かどうか」を判断するための重要な材料を得られるでしょう。


    インターンシップの期間

    インターンシップの期間は、企業やプログラムによって大きく異なりますが、主に次の3つに分類されます。

    短期インターンシップ(1日〜数日)

    • 内容:職場見学、業務体験、座談会
    • 特徴:気軽に参加できるが、業務体験は限られる
    • 対象者:初めてインターンに参加する方、まず雰囲気を知りたい方

    短期プログラムは、**「まずは一歩踏み出したい」**という方に最適です。

    中期インターンシップ(1週間〜1か月)

    • 内容:実際の業務補助、プロジェクト参加
    • 特徴:一定期間、業務に携わることでよりリアルな就労感覚を得られる
    • 対象者:将来を見据えてじっくり企業選びをしたい方

    中期型は、就職後の働き方をリアルに体験できるメリットがあります。

    長期インターンシップ(2か月〜半年)

    • 内容:実務レベルでのプロジェクト参画、成果物提出
    • 特徴:ほぼ社員と同様の業務に関わることができる
    • 対象者:本格的にその企業に就職・転職を検討している方

    長期型インターンシップは、「この企業で働きたい!」という強い意志を持つ方におすすめです。
    企業側も、長期インターンを経て正社員登用するケースが増えており、双方の理解を深めたうえで就職できる大きなメリットがあります。

    障害者がインターンシップに参加するメリット

    インターンシップは、就職活動において大きな武器となります。
    特に障害のある方にとっては、自分に合った職場を見つけるための大きなチャンスとなり、将来の可能性を広げる重要なステップになります。

    ここでは、障害者がインターンシップに参加することで得られる具体的なメリットについて、詳しく解説します。


    企業理解が深まる

    実際にインターンシップに参加することで、企業の社風や働き方、障害への配慮体制など、表面的な情報ではわからない部分まで深く知ることができます。

    求人票やホームページの情報だけでは、企業の本当の雰囲気や障害に対する理解度を見極めるのは困難です。
    しかし、インターンシップを通じて職場に身を置くことで、以下のようなポイントを体感できます。

    • 職場内のバリアフリー環境(段差の有無、トイレの設備など)
    • 同僚や上司とのコミュニケーションの取りやすさ
    • 業務中に必要なサポート体制(配慮の実態)

    こうしたリアルな情報は、就職後のミスマッチを防ぎ、長く安心して働き続けるための判断材料になります。


    自身の適性がわかる

    インターンシップでは、実際の業務を体験することができます。
    この経験を通じて、自分に合った仕事、向いている職種を具体的に知ることができます。

    • 「パソコン作業は得意だけど、長時間の電話応対は負担が大きい」
    • 「チームで取り組む仕事にやりがいを感じる」
    • 「リモートワークが自分には合っている」

    このように、体験を通じて気付く自分の強みや課題は、実際の就職活動においてとても貴重な材料となります。

    また、企業側もインターンシップを通じて、参加者の特性や適性を理解するため、マッチング精度の高い採用が期待できる点も大きなメリットです。


    就職活動に活かせる

    インターンシップの経験は、就職活動においても大きなアドバンテージになります。

    ビジネスに必要なスキルが身につく

    インターンシップでは、単に仕事を体験するだけではなく、社会人基礎力ビジネスマナーを身につけることができます。

    • 社内での報告・連絡・相談(ホウレンソウ)
    • メールや電話対応のルール
    • チームワークやコミュニケーションの取り方

    こうしたスキルは、どんな職場でも必要とされるものです。
    インターンシップで実践的に学ぶことで、就職後もスムーズに職場に適応できる力が身につきます。

    応募書類や面接で経験を強調できる

    インターンシップで得た経験は、履歴書や職務経歴書、面接で強いアピールポイントになります。

    たとえば、

    • 「実際に企業でデータ入力業務を体験し、正確かつスピーディに作業する力を身につけました」
    • 「インターンシップ中、周囲と協力して課題を解決する経験を積みました」

    といった具体的なエピソードを盛り込むことで、自分がどのように仕事に向き合い、成長してきたかを説得力を持って伝えることができます。

    企業側にとっても、「現場経験のある応募者」は即戦力として高く評価されるため、採用においてプラスに働くでしょう。

    障害者向けインターンシップに参加する際の注意点

    インターンシップは、就職活動に向けた貴重なステップですが、参加する際にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。
    特に障害者向けインターンシップの場合、期待と現実にギャップを感じないためにも、事前に正しい理解と準備が重要です。

    ここでは、障害者向けインターンシップに参加する際に押さえておきたい注意点を詳しく解説します。


    希望する仕事体験ができるとは限らない

    インターンシップに申し込む際、多くの方が「希望する職種での実務体験」をイメージして参加を決めることでしょう。

    しかし、実際には、

    • 配属先が事前に指定できない
    • 企業側の受け入れ体制や業務内容によって、想定と異なる仕事を任される
    • サポート業務や簡単な作業が中心になることも多い

    といったケースが少なくありません。

    特に障害への配慮が必要な場合、業務内容がさらに限定されることもあるため、「希望通りの仕事ができるかどうか」については、過度な期待をしないことが大切です。

    対策

    • 事前に企業担当者にインターン内容をしっかり確認する
    • 「新たな発見があるかもしれない」という柔軟な姿勢で臨む

    希望する仕事以外にもチャレンジすることで、自分でも気づかなかった適性や可能性を発見できるチャンスになるかもしれません。


    企業によってはインターンシップを実施していないことがある

    すべての企業が障害者向けインターンシップを実施しているわけではありません。

    とくに中小企業では、

    • インターン制度自体がない
    • 障害者向けインターンシップへの対応実績がない
    • バリアフリー環境が整備されていない

    といった理由から、受け入れが難しい場合も多いのが現状です。

    また、大手企業であっても、実施時期が限られている人数が少ないため応募倍率が高いなど、参加できるチャンスが限られる場合もあります。

    対策

    • インターンシップを積極的に受け入れている企業をリストアップする
    • ハローワーク、就労移行支援事業所、障害者向け就職支援サイトなどを活用する
    • 複数の企業に並行してアプローチをする

    できるだけ早めに情報収集を始め、複数の選択肢を持つことが重要です。


    インターンシップの内容だけでは入社後のイメージを判断できない

    インターンシップは、企業を知るための貴重な機会ですが、参加しただけでその企業のすべてを理解できるわけではありません。

    なぜなら、

    • 短期間のプログラムでは、社内の本当の人間関係や職場文化までは見えにくい
    • インターン期間中は企業側も「良い面」を強調する傾向がある
    • 実務体験できる業務が、実際の入社後の業務内容と異なる場合もある

    からです。

    インターンでは表面的な部分しか見えないことも多く、入社後に「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じるリスクもあるため、注意が必要です。

    対策

    • インターン終了後に、実際に働いている先輩社員の話を聞く機会を設けてもらう
    • 本採用後の業務内容やキャリアパスについても確認する
    • 「インターンシップはあくまで一部を体験できる場」と認識しておく

    また、短期インターンだけでなく、可能であれば長期インターンや複数回の訪問を通じて、企業理解を深めることが理想的です。

    障害者の就職・転職に特化したサービスも活用しよう

    障害を抱えながら働くことには、特有の課題や不安が伴うものです。

    そのため、一般的な就職・転職活動だけでなく、障害者支援に特化したサービスを積極的に活用することが、就労成功への近道となります。

    ここでは、障害者の方が安心して仕事探しを進めるために利用できる支援サービスを紹介します。

    ハローワークの専門援助窓口

    ハローワーク(公共職業安定所)には、障害者のための専門援助窓口が設けられています。

    特徴

    専門の職業相談員(障害者担当者)が常駐

    個別面談によるキャリアカウンセリング

    求人紹介だけでなく、応募書類の作成アドバイスや面接練習も実施

    企業側への配慮事項の伝達や、職場定着支援も対応

    特に、一般の求人に応募するか、障害者雇用枠で探すか迷っている方にとって、専門家のアドバイスは非常に役立ちます。

    利用のポイント

    障害の内容や配慮事項を正確に伝える

    不安なこと、希望する条件を遠慮せず相談する

    ハローワークのサポートは、基本的にすべて無料です。まずは最寄りのハローワークに問い合わせ、障害者専門窓口での面談を予約してみましょう。

    地域障害者職業センター

    より専門的な支援を希望する場合は、地域障害者職業センターの利用がおすすめです。

    特徴

    障害の種類や特性に応じた「職業評価」を実施

    本人に合った職業訓練や職場開拓の支援

    企業への助言・支援も実施し、働きやすい環境づくりを促進

    長期的なキャリア形成に向けたアドバイスが可能

    たとえば、「どんな仕事が自分に向いているのか分からない」「体調や障害特性を踏まえて無理なく働きたい」といった悩みがある場合、

    専門スタッフと一緒にじっくり相談しながら、自分に合った就労プランを立てることができます。

    利用のポイント

    早めの段階から相談を開始する

    評価結果をもとに、就職活動の方向性を具体化する

    センターのサポートも基本的に無料です。自分に合った働き方を見つけたい方は、積極的に活用しましょう。

    障害者雇用に特化した求人・転職サイト

    近年では、障害者雇用に特化した求人・転職サイトも充実してきました。

    特徴

    障害者雇用枠の求人に絞って検索できる

    勤務形態(在宅勤務、短時間勤務など)で絞り込める

    専門エージェントによる履歴書添削、面接対策支援あり

    障害への配慮内容を事前に確認できる求人も多い

    インターネットを活用すれば、住んでいる地域を問わず、全国の求人情報にアクセス可能です。

    また、登録するとキャリアカウンセラーとの面談が受けられるサイトもあり、自分ひとりでは気づけなかった可能性を広げるきっかけにもなります。

    代表的なサイト例

    障害者ナビ:https://s-jobnavi.jp/

    まとめ

    障害があるからといって、就職・転職活動をあきらめる必要はありません。

    大切なのは、自分ひとりで抱え込まず、専門支援機関やサービスを上手に活用することです。

    ・ハローワークの専門援助窓口では、就労支援のプロがサポート

    ・地域障害者職業センターでは、自分に合った働き方を一緒に考えられる

    ・障害者雇用特化型求人サイト:障害者ナビでは、条件に合った仕事を効率よく探せる

    どんな小さな一歩でもかまいません。

    まずは相談してみることから、あなたの新しい未来はきっと動き始めます。

    無理をせず、自分らしいペースで、納得できる就職・転職を目指しましょう!