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【2025年最新版】車椅子ユーザー向け就職・転職ガイド|おすすめ職種・職場環境・支援制度を徹底解説

この記事の内容
社会のバリアフリー化が進んできたとはいえ車椅子を使用している方にとって、就職・転職活動には特有の課題が存在します。
しかし正しい準備と情報収集を行えば自分に合った職場を見つけ、長く活躍することも十分に可能です。
本記事では車椅子使用者が就職・転職において直面しやすい課題と、それらを乗り越えるためのポイントをわかりやすく解説します。
車椅子を使用している方が就職・転職する際の課題
通勤時の負担が大きい
通勤は車椅子を使用している方にとって大きなハードルとなる場合があります。
バリアフリー対応の駅やバス停が限られていることや、公共交通機関の乗り継ぎに時間がかかることも日常的な負担になります。
特に雨天や悪天候の日は移動自体が困難になり、出勤を断念せざるを得ないケースもあります。
こうした現実を考慮すると通勤しやすい勤務地や、在宅勤務・テレワークが選べる職場を選ぶことが重要になります。
社内のバリアフリー環境が必須
たとえ通勤がクリアできたとしても、オフィス内の環境が整っていなければ働き続けることは困難です。
具体的には、次のようなポイントを事前に確認しておく必要があります。
- 車椅子で移動できるエレベーターやスロープの有無
- 出入口や通路の幅が十分に確保されているか
- 障害者対応トイレの設置
- デスクや作業スペースの高さ調整が可能か
求人票だけでは分からないことも多いため、応募前の職場見学や担当者との面談でしっかり確認しておきましょう。
担当できる業務が限定される
物理的な制約からどうしても担当できる業務が限られる場合があります。
たとえば重い荷物の運搬や現場を頻繁に移動する業務は難しいケースが多いでしょう。
ただし近年はリモートで完結する仕事や、デスクワーク中心の業務が拡大しており、
- 一般事務
- カスタマーサポート
- データ入力
- ITエンジニア・プログラマー
など身体的な負担が少ない職種で活躍するチャンスが増えています。
また個々の能力や経験に応じて職務内容を柔軟に調整してもらえる企業も増加しています。
最初から「できない」と決めつけず、自身のスキルや適性を活かせる道を探ることが重要です。
身体的・精神的な負担がある
日々の通勤や業務の中で身体への負担はどうしても避けられません。
また「周囲に迷惑をかけたくない」「特別扱いされたくない」というプレッシャーから、精神的に疲弊してしまうこともあります。
こうした負担を軽減するためには、無理のないスケジュール設定、休憩の確保、職場での適切なサポート体制が不可欠です。
また、自分自身も「無理をしすぎない」「困ったときは相談する」というセルフケア意識を持つことが、長く働き続けるためには大切です。
車椅子を使用している方に向いている職場の特徴

車椅子を使用している方が安心して働き続けるためには、単に仕事内容だけでなく職場環境や社内文化にも注目することが重要です。
どんなにやりがいのある仕事でもバリアフリーが不十分だったり、柔軟な働き方が認められていなかったりすると、日々の勤務が大きな負担になってしまいます。
では実際にどんな職場が働きやすいのでしょうか?チェックすべきポイントを紹介します。
働き方の選択肢や自由度が高い
身体への負担を減らすためには柔軟な働き方を選べるかどうかも大きなカギです。
時短勤務やリモートワークが可能
通勤時間や体調に配慮できるよう、
- 1日6時間勤務などの時短勤務制度
- 自宅から仕事ができる在宅ワーク・テレワーク制度
を導入している企業は、車椅子ユーザーにとって非常に働きやすい環境です。
特に体調の波がある場合、出社しなければならないストレスがないだけで、心身への負担が大幅に軽減されます。
時差出勤ができる
満員電車を避けたり、朝の通勤ラッシュを回避するために、
時差出勤制度(例:10時出勤、11時出勤など)を活用できる企業もおすすめです。
リズムに合わせた出勤ができるため、無理なく仕事を続けやすくなります。
車椅子を使用している方の雇用実績がある
その会社に「過去に車椅子使用者が勤務していた実績があるかどうか」も、職場選びの大きな指標となります。
雇用実績がある会社は、
- 物理的なバリアフリー環境
- 社内マニュアルやサポート体制
- 同僚・上司の理解
が比較的整っていることが多いため、スムーズに働き始めることができます。
また会社のホームページに「障害者雇用実績」や「ダイバーシティ推進」の取り組みが紹介されているかも確認すると良いでしょう。
障害に対する従業員の理解がある
どれほど設備が整っていても、周囲の理解が欠けているとストレスを感じることが少なくありません。
たとえば、適切なサポートを申し出てくれる、必要以上に干渉せず、自然体で接してくれる、配慮を求めたときに快く受け入れてくれる。
こうした環境が整っている職場は、車椅子を使用していても非常に働きやすいものです。
見極め方としては、面接時に「障害者雇用への取り組み」を質問してみる、口コミサイトや企業の社員インタビューをチェックするなどが効果的です。
車椅子を使用している方が就労しやすい職種

車椅子を使用している方にとって、職種の選び方は就業継続のカギを握ります。身体的な負担を抑えながら、自身のスキルを活かせる仕事を選ぶことが、長く安心して働くポイントです。
ここでは車椅子を使用している方が比較的就労しやすい職種を紹介していきます。
事務職
事務職は主にパソコン作業や書類作成、データ入力、電話応対などが中心で、身体的な負担が比較的少ない仕事です。
さらに最近では、
- ペーパーレス化
- クラウド管理
が進んでおり大量の書類を運んだり、頻繁にオフィス内を移動したりする必要が減っています。
座ったまま作業ができること、移動を最小限にできることから、車椅子ユーザーに非常に適した職種と言えるでしょう。
また正社員からパートタイムまで、多様な働き方が選べる点も魅力です。
コールセンター
次に挙げられるのがコールセンター業務です。
コールセンターでは電話やチャット、メールでのお客様対応を行いますが業務中の移動はほとんど必要ありません。
車椅子での業務も問題なく、
- マニュアルに沿った対応
- 一定時間ごとに休憩を取れるシステム
など、体力面にも配慮された職場が増えています。
最近では在宅コールセンター(完全在宅勤務)の求人も増加しており、通勤が難しい方でも安心して働くことができます。
ITエンジニア
ITエンジニアも非常におすすめの職種です。
システム開発、アプリ制作、インフラ設計・運用など、パソコンとネット環境さえあればリモートでも業務ができるため、物理的なハードルが低いのが特徴です。
また、
- 成果主義・スキル主義の業界であるため、
- 身体的条件よりも技術力や知識が重視される傾向が強い
のも、車椅子を使用している方にとって大きなメリットです。
プログラミングやネットワーク関連の資格(例:基本情報技術者試験、CCNAなど)を取得しておくと、より選択肢が広がるでしょう。
クリエイティブ職(デザイナーなど)
デザイナー、イラストレーター、ライターなどのクリエイティブ系職種も、車椅子ユーザーに適しています。
これらの仕事は基本的にパソコン一台あれば作業可能で、
- 在宅勤務
- フリーランス
といった自由な働き方も選べます。
体調や通院のスケジュールに合わせて作業時間を調整できるため、自己管理が得意な方に特に向いている職種と言えるでしょう。
さらにクリエイティブ職は成果物が重視されるため、障害の有無が評価に直結しにくい点も大きな魅力です。
経理や総務など
経理・総務・人事などの管理部門職も、車椅子を使用している方が活躍しやすいフィールドです。
これらの仕事は、
- 社内データ管理
- 資料作成
- 請求処理
- 従業員サポート
など、基本的にデスクワーク中心であり、オフィス内を頻繁に歩き回る必要がありません。
経理や総務はどの企業にも必要な職種であるため、求人数も安定しているのが特徴です。
簿記資格や社労士資格などを取得していると、より好条件の求人に応募できるでしょう。
車椅子を使用している方の働き方の選択肢

車椅子を使用している方にとって、働き方の選択肢は多様化しています。
以前は選べる道が限られていましたが、現在では企業のバリアフリー化やテクノロジーの進化により、自分に合ったスタイルで活躍できる時代になりつつあります。
ここでは、車椅子ユーザーの方が選べる主な働き方について、詳しくご紹介します。
一般枠
一般枠とは、障害の有無を特に問わず、通常の選考フローを通じて就職・転職する形態です。
車椅子を使用している方でも、自身のスキルや経験を活かして一般採用枠に応募し、障害に関する申告を特にせずに働くというスタイルを選ぶことができます。
特徴
- 求人数が圧倒的に多い
- 職種や業界の選択肢が幅広い
- 給与水準も一般社員と同等
注意点
一方で一般枠の場合、必ずしもバリアフリー環境が整っているとは限らず、業務内容に配慮がない場合もあります。
そのため面接の際に「建物にエレベーターがあるか」「バリアフリートイレがあるか」
など、事前に確認しておくことが重要です。
また通院配慮や勤務時間の柔軟性など、必要なサポートが受けられるかどうかも事前にしっかり確認しておきましょう。
障害者雇用枠
障害者雇用枠とは障害者手帳を取得している方を対象に、企業が設けている特別な採用枠です。
車椅子を使用している方の多くがこの枠を利用して就労しており、企業側も障害への理解を前提に採用活動を行っているため、安心して働きやすいというメリットがあります。
特徴
- 職場環境のバリアフリー対応が進んでいる
- 業務内容や勤務時間に配慮がある
- 合理的配慮(例:フレックス勤務・在宅勤務の導入)が受けられる
- 支援機関との連携サポートが受けられる
注意点
ただし、障害者雇用枠は、
- 一般枠に比べると職種の幅がやや狭い
- 給与水準が一般枠より低め
という傾向も一部あります。
とはいえ、最近では
「障害者雇用=補助的業務」だけでなく、
専門職・技術職・マネジメント職など、キャリアアップが可能な求人も増えてきています。
自身の希望する働き方やキャリアプランに応じて、積極的に活用したい選択肢の一つです。
それ以外の働き方(在宅ワークなど)
さらに、近年急速に広がっているのが、在宅ワークやフリーランスなど、オフィスに通勤しない働き方です。
車椅子を使用している方にとって、
- 通勤による身体的負担がなく
- 自宅を自分に最適な作業環境に整えられる
ため、非常に大きなメリットがあります。
主な働き方
- 在宅勤務型の正社員・契約社員
- 業務委託型のフリーランス
- リモートワーク中心の副業
向いている仕事例
- データ入力
- Webデザイン
- プログラミング
- ライティング・編集
- カスタマーサポート(在宅コールセンター)
在宅ワークでは成果主義の傾向が強いため、
「場所」や「移動能力」ではなく、スキルや実績で評価される世界が広がっています。
注意点
一方で、自己管理能力が必要になるほか、
- ネット環境の整備
- 自己研鑽やスキルアップの継続
も欠かせません
ただ、支援機関やオンラインスクールを活用すれば、スキル習得やキャリア支援を受けながらステップアップすることも可能です。
車椅子を使用している方が利用できる就職・転職サポート
車椅子を使用している方が安心して働ける職場を見つけるためには、適切なサポート機関やサービスの活用が非常に重要です。
一般的な求人情報だけではバリアフリーの状況や配慮の内容がわかりにくいこともあり、専門的な支援を受けることで、よりスムーズな就職・転職活動が可能になります。
ここでは、車椅子を使用している方が利用できる主なサポート機関について、詳しく解説します。
ハローワーク
- 専門の担当者(障害者担当)が常駐している
- 障害者専用の求人情報を多数取り扱っている
- 応募書類の添削や面接対策などの支援も受けられる
また、「障害者雇用納付金制度」により、一定規模以上の企業は障害者雇用を進める義務があるため、ハローワークには障害者雇用に積極的な企業の情報が集まっています。
地域障害者職業センター
- 職業評価(アセスメント)を通じて、適性や可能性を客観的に分析してくれる
- 職場実習やトライアル雇用を通じて、自分に合った働き方を体験できる
- 障害に応じた合理的配慮のアドバイスを受けられる
- ハローワークや企業と連携して、スムーズな就職活動を支援
特に、「自分に向いている仕事がわからない」「どのくらい働けるか不安」という方には、職業リハビリテーション計画を立ててもらえる点が非常に有益です。
障害者雇用に特化した求人・転職サイト
障害者雇用専門の求人サイト:障害者ナビはこちら
主な特徴
- 障害者雇用に積極的な企業のみを掲載
- 車椅子利用者向けにバリアフリー環境完備など、具体的な職場情報を掲載している
- 専門のキャリアアドバイザーが、企業との条件交渉や配慮事項の調整もサポート
ハローワークだけでは出会えない求人情報にアクセスできるため、選択肢を広げる上でも非常に有効なツールです。
また、障害特性や希望条件に合わせたオーダーメイド型の求人紹介をしてもらえる点も魅力です。
求人に応募する前に事前に職場環境を確認できるので、安心して転職活動を進めることができます。
まとめ
車椅子を使用している方が就職・転職活動を進める際には、以下のサポートを積極的に活用することが大切です。
- ハローワークで求人紹介と面接対策支援を受ける
- 地域障害者職業センターで職業リハビリ支援を受ける
- 障害者雇用専門の求人サイト:障害者ナビで幅広く情報収集する
それぞれのサービスは単独で使うのではなく、複数を併用することでより確実なマッチングが実現します。
サポートをうまく活用して、自分に合った職場環境・働き方を一緒に見つけていきましょう。
安心して働ける環境は、きっとあなたのすぐそばにあります!