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内部障害とは?仕事を続けるための就労支援サービスと職場での配慮ポイント

内部障害は、外から見えにくい障害のため「見えない障害」とも呼ばれています。心臓や腎臓、肺などの内臓機能に障害があり、日常生活や就労に様々な制限や困難が生じることがあります。この記事では、内部障害の種類や特徴、就労時の注意点、利用できる支援制度などについて詳しく解説します。
内部障害の概要と原因
内部障害とは、内臓の機能に障害がある状態を指します。身体障害者福祉法では、以下の7つの機能障害が内部障害として定められています。
心臓機能障害
心臓機能障害は、心臓の働きが弱くなり、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。
- 心筋梗塞:心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が詰まり、心筋が壊死する病気
- 狭心症:冠動脈が狭くなり、心筋に十分な血液が送れなくなる病気
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、体に必要な血液を送れなくなる状態
- 弁膜症:心臓の弁の働きが悪くなる病気
- 先天性心疾患:生まれつき心臓に異常がある状態
心臓機能障害がある方は、息切れやだるさ、むくみなどの症状が現れることがあります。重い荷物を持ったり、階段の上り下りをしたりすると、症状が強くなることもあります。
呼吸器機能障害
呼吸器機能障害は、肺や気管支などの呼吸に関わる器官の働きが低下し、十分な酸素を取り込めなくなる状態です。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD):たばこの煙などの有害物質を長期間吸い続けることで、気道が狭くなったり肺の組織が壊れたりする病気
- 気管支喘息:気管支が炎症を起こし、発作的に気道が狭くなる病気
- 肺結核後遺症:肺結核が治った後も、肺の機能が低下した状態
- 塵肺:粉じんを長期間吸入することで肺に炎症や線維化が起こる病気
- 間質性肺炎:肺の間質(肺胞の周りの組織)に炎症が起きる病気
呼吸器機能障害がある方は、息切れや咳、痰などの症状が現れることが多いです。症状は徐々に進行することが多く、重症になると少し動くだけでも息切れを感じるようになります。
腎臓機能障害
腎臓機能障害は、腎臓の働きが低下し、体内の老廃物を十分に排出できなくなったり、水分やミネラルのバランスを保てなくなったりする状態です。
- 慢性糸球体腎炎:腎臓の糸球体という部分に炎症が起こる病気
- 糖尿病性腎症:糖尿病の合併症として腎臓の機能が低下する状態
- 多発性嚢胞腎:腎臓に多数の嚢胞(袋状のもの)ができる遺伝性の病気
- 腎硬化症:高血圧などにより腎臓の血管が硬くなる病気
- 薬剤性腎障害:薬の副作用によって腎臓の機能が低下する状態
腎臓機能障害が進行すると、むくみやだるさ、吐き気などの症状が現れます。重症になると人工透析が必要になることもあります。
膀胱・直腸機能障害
膀胱・直腸機能障害は、膀胱や直腸の機能が低下し、排尿や排便をコントロールすることが難しくなる状態です。
- 脊髄損傷:事故などで脊髄が損傷し、神経の伝達に障害が生じる状態
- 二分脊椎:生まれつき脊椎や脊髄に異常がある状態
- 脳卒中:脳の血管が詰まったり破れたりして、脳の機能に障害が生じる状態
- 多発性硬化症:中枢神経系に炎症が起こる病気
膀胱・直腸機能障害がある方は、排尿や排便のコントロールが難しくなったり、頻繁にトイレに行く必要があったりします。ストーマ(人工肛門や人工膀胱)を使用している方もいます。
小腸機能障害
小腸機能障害は、小腸の働きが低下し、食べ物の消化や栄養の吸収が十分にできなくなる状態です。
- クローン病:消化管に炎症が起こる原因不明の病気
- 小腸切除後の短腸症候群:何らかの理由で小腸の一部を切除した後、小腸の長さが不足する状態
- 腸閉塞:腸が詰まったり、ねじれたりして通過障害が起こる状態
- 腸管癒着症:手術などの後、腸と腸、または腸と他の臓器がくっついてしまう状態
- 放射線腸炎:がん治療などで放射線治療を受けた後、腸に炎症が起こる状態
小腸機能障害がある方は、下痢や腹痛、栄養不足などの症状が現れることがあります。重症の場合、中心静脈栄養法(体に必要な栄養を静脈から直接取り入れる方法)が必要になることもあります。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害
HIV感染症は、HIVというウイルスに感染することで、免疫系の重要な細胞であるCD4陽性Tリンパ球が減少し、免疫機能が低下する状態です。原因はHIVウイルス感染であり、感染経路は以下のようなものがあります。
- 性的接触
- 血液感染(輸血や注射針の共用など)
- 母子感染(妊娠中、出産時、授乳中)
HIV感染症が進行すると、免疫力が低下し、通常なら問題にならない微生物による日和見感染症にかかりやすくなります。現在は、抗HIV薬による治療(抗レトロウイルス療法:ART)が進歩し、適切な治療を受ければ感染していない人と同等の生活を送れるようになっています。
肝臓機能障害
肝臓機能障害は、肝臓の働きが低下し、解毒作用や栄養素の代謝などの機能が十分に果たせなくなる状態です。
- ウイルス性肝炎(B型、C型など):肝炎ウイルスによって肝臓に炎症が起こる病気
- アルコール性肝障害:過度の飲酒によって肝臓が障害を受ける状態
- 非アルコール性脂肪性肝疾患:飲酒とは関係なく、肝臓に脂肪がたまる病気
- 自己免疫性肝炎:自己免疫の異常により肝臓に炎症が起こる病気
- 薬物性肝障害:薬の副作用によって肝臓が障害を受ける状態
肝臓機能障害がある方は、疲れやすさ、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、かゆみなどの症状が現れることがあります。重症になると腹水(おなかに水がたまる)や肝性脳症(意識障害など)が起こることもあります。
内部障害の方が働くうえで気をつけるべきこと

内部障害を持ちながら働く場合、それぞれの障害に応じた注意点があります。ここでは、各内部障害別に仕事をする上で気をつけるべきポイントを解説します。
心臓機能障害
心臓機能障害をお持ちの方は、心臓に負担をかけないよう以下のような点に注意することが大切です。
無理のない勤務時間の設定
心臓機能障害がある場合、長時間労働は心臓に大きな負担をかけることになります。以下のような工夫が考えられます。
- 残業をできるだけ避け、規則正しい勤務時間を守る
- 通勤ラッシュを避ける
- 体調が悪い日は無理をせず、早退や休みを取る
- テレワークなど、通勤の負担を減らせる働き方を検討する
勤務時間について事前に職場と話し合い、自分の体調に合った働き方を見つけることが重要です。
ストレス管理
心臓機能障害がある方にとって、ストレスは心臓に負担をかける大きな要因となります。ストレスを減らすための工夫としては以下のようなものがあります。
- 急な締切や過度なノルマがない仕事を選ぶ
- 休憩時間をしっかり取りる
- 職場の人間関係のストレスを減らすため、コミュニケーションを大切にする
自分のペースで仕事ができるよう、周囲の理解を得ることも大切です。無理な仕事を引き受けずに、できることとできないことをはっきり伝えましょう。
腎臓機能障害
腎臓機能障害をお持ちの方は、腎臓の機能をこれ以上低下させないために以下のような点に注意が必要です。
定期的な通院の必要性を伝える
腎臓機能障害がある場合、定期的な通院が欠かせません。通院のために以下のような配慮を職場に求めることが大切です。
- 通院日には休みを取れるよう、事前に上司や同僚に伝えておく
- 人工透析が必要な場合は、透析のスケジュールに合わせた勤務体制を相談する
- 体調管理のための検査や治療の重要性を理解してもらう
通院についての理解を得るためには、できるだけ早い段階で職場に状況を説明することが重要です。
体調変化への注意
腎臓機能障害がある方は、体調の変化に敏感になる必要があります。以下のような点に注意しましょう。
- むくみや倦怠感、食欲不振などの症状が現れた場合は早めに対処する
- 必要に応じて職場での食事に配慮してもらう
- 長時間同じ姿勢を続けないよう、適度に休憩を取る
体調の変化を感じたら無理をせず、早めに休息を取ることが大切です。
呼吸器機能障害
呼吸器機能障害をお持ちの方は、呼吸器に負担をかけないよう以下のような点に注意が必要です。
喫煙や粉塵の多い環境を避ける
呼吸器機能障害がある場合、空気の質は健康に直接影響します。以下のような環境を避けることが大切です。
- 喫煙環境や副流煙がある場所での勤務は避ける
- 粉じんや化学物質、強い香りのある環境での仕事は控える
- 空気清浄機の設置や換気の良い環境を整えてもらう
職場環境について不安がある場合は、事前に確認し、必要な配慮を求めましょう。
体調に合わせた勤務時間の調整
呼吸器機能障害がある方は、体調の変化に応じて柔軟に勤務時間を調整することが重要です。
- 気温や湿度、大気汚染などの影響を受けやすいため、体調が悪い日は無理をしない
- 通勤ラッシュを避ける
- 在宅勤務やテレワークなど、体調管理がしやすい働き方を検討する
自分の体調と相談しながら、無理のない範囲で仕事をすることが大切です。
小腸機能障害
小腸機能障害をお持ちの方は、消化吸収の問題に対応するため以下のような点に注意が必要です。
急な体調変化に備える
小腸機能障害がある場合、急に腹痛や下痢などの症状が現れることがあります。以下のような対策を講じましょう。
- トイレに行きやすい席や部署を希望する
- 緊急時にすぐ休憩できるようにしておく
- 薬やトイレ用品などを常に携帯しておく
予測が難しい症状に対応できるよう、職場の理解を得ることが大切です。
無理な肉体労働は控える
小腸機能障害がある方は、栄養状態が不安定になりやすく、体力が低下していることがあります。以下のような点に気をつけましょう。
- 重い荷物の持ち運びなど、腹部に負担がかかる作業は避ける
- 長時間立ち仕事や歩き回る仕事は体力を消耗するため注意が必要
- 食事の時間や内容に配慮してもらう
自分の体力と相談しながら、無理のない範囲で仕事をすることが大切です。
肝臓機能障害
肝臓機能障害をお持ちの方は、肝臓の負担を減らすために以下のような点に注意が必要です。
服薬管理の徹底
肝臓機能障害がある場合、定期的な服薬が欠かせないことが多いです。服薬管理については以下のような点に気をつけましょう。
- 決められた時間に薬を飲めるよう、職場でのスケジュールを調整する
- 薬の保管場所や服薬のタイミングについて、必要に応じて職場に理解を求める
- 服薬のために短時間の休憩が必要な場合は、事前に相談しておく
服薬管理は健康維持のために重要なので、必要な配慮を求めることをためらわないようにしましょう。
定期的な通院の必要性を伝える
肝臓機能障害がある方は、定期的な検査や通院が必要です。通院のために以下のような配慮を求めることが大切です。
- 通院日のスケジュールを事前に上司に伝え、休暇を取りやすくする
- 検査結果によっては急な休みが必要になる可能性があることを説明しておく
- 通院の重要性を理解してもらい、必要な時間を確保できるようにする
治療を継続するためには、職場の理解と協力が不可欠です。
膀胱・直腸機能障害
膀胱・直腸機能障害をお持ちの方は、排泄に関する問題に対応するため以下のような点に注意が必要です。
トイレ休憩の申告
膀胱・直腸機能障害がある場合、頻繁にトイレに行く必要があることが多いです。以下のような配慮を求めましょう。
- トイレに近い席や部署を希望する
- 必要に応じていつでもトイレに行けるよう、職場の理解を得る
- 多目的トイレや専用トイレの使用許可を得る
排泄管理は健康維持のために重要なので、必要な配慮を求めることをためらわないようにしましょう。
腹部への負担を避ける
膀胱・直腸機能障害がある方は、腹部に負担がかかる作業に注意が必要です。以下のような点に気をつけましょう。
- 重い荷物の持ち上げなど、腹圧がかかる作業は避ける
- 長時間同じ姿勢を続けないよう、適度に姿勢を変える
- 腹部に衝撃を受けるリスクがある作業は避ける
無理な姿勢や動作で体調を崩さないよう、自分のペースで仕事をすることが大切です。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害
HIV感染症による免疫機能障害をお持ちの方は、感染症予防や体調管理のために以下のような点に注意が必要です。
感染症予防の徹底
免疫機能障害がある場合、感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高まります。以下のような予防策を講じましょう。
- 職場の衛生環境に気を配り、必要に応じてマスクの着用や手指消毒を行う
- 感染症が流行している時期は特に注意し、必要であれば在宅勤務を検討する
- 人混みや密閉空間での長時間の仕事は避ける工夫をする
職場での感染症予防について理解を得るためには、必要に応じて産業医や保健師に相談することも検討しましょう。
体調管理の重要性
HIV感染症による免疫機能障害がある方は、体調管理が特に重要です。以下のような点に気をつけましょう。
- 必要に応じて職場での服薬時間を確保する
- 過労や睡眠不足を避け、規則正しい生活リズムを保つ
- ストレスが免疫機能に影響するため、ストレス管理を心がける
体調管理のためには、自分の体調変化に敏感になり、無理をしないことが大切です。
内部障害の方が安心して働ける雇用環境

内部障害をお持ちの方が安心して働くためには、適切な職場環境や理解ある職場の雰囲気が重要です。ここでは、内部障害の方が働きやすい雇用環境について考えてみましょう。
理解ある職場風土の重要性
内部障害は外見からは分かりにくいため、「見た目には健康そうに見える」という誤解を受けることがあります。理解ある職場風土を作るためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 障害に対する正しい知識と理解を深めるための研修や勉強会の実施
- 障害のある方が相談しやすい窓口や担当者の設置
- 定期的な面談を通じて、必要な配慮や支援を確認する機会の確保
理解ある職場風土は、内部障害をお持ちの方だけでなく、すべての従業員にとって働きやすい環境につながります。
柔軟な勤務体制
内部障害をお持ちの方は、体調の波や通院などに対応するため、柔軟な勤務体制が重要です。以下のような制度が役立ちます。
- フレックスタイム制度:通院や体調に合わせて出勤・退勤時間を調整できる
- 時短勤務:フルタイム勤務が難しい場合に、短時間での勤務を可能にする
- 在宅勤務:通勤の負担を減らし、自宅で休憩しながら働ける
- 休憩時間の柔軟な設定:体調や服薬のタイミングに合わせて休憩を取れる
それぞれの障害の特性に合わせた勤務体制を検討することが大切です。
物理的環境の整備
内部障害をお持ちの方が働きやすい物理的環境も重要です。以下のような配慮が考えられます。
- バリアフリー設計:階段の少ない動線や、エレベーターの設置
- トイレ環境の整備:多目的トイレの設置や、トイレが近い席の配置
- 休憩スペースの確保:体調不良時に横になれるスペースの確保
- 空調管理:温度や湿度の調整がしやすい環境
これらの環境整備は、法定雇用率の達成だけでなく、すべての従業員が働きやすい職場づくりにつながります。
コミュニケーション方法の工夫
内部障害の方との効果的なコミュニケーションのためには、いくつかの工夫が必要です。
- 定期的な面談:体調や必要な配慮について話し合う機会を設ける
- 情報共有のルール化:上司や同僚との情報共有の方法を明確にする
- 緊急時の連絡体制:体調が急変した場合の連絡方法を決めておく
- オープンな相談環境:困ったことがあれば気軽に相談できる雰囲気づくり
コミュニケーションの工夫により、必要な配慮が適切に行われ、働きやすさにつながります。
内部障害の方に配慮された各種支援制度

内部障害をお持ちの方が働くうえでは、様々な公的支援制度を活用することができます。ここでは、主な支援制度について紹介します。
障害者手帳制度
内部障害の方は、障害の程度に応じて身体障害者手帳を取得することができます。手帳の等級は1級から6級まであり、等級によって受けられるサービスが異なります。身体障害者手帳を持っていると、以下のような支援を受けることができます。
- 税金の控除や減免(所得税、住民税、自動車税など)
- 公共交通機関の運賃割引
- 公共施設の利用料減免
- 補装具や日常生活用具の給付
- 医療費の助成
手帳の申請は、医師の診断書を添えて、お住まいの市区町村の障害福祉課などで行います。
障害年金制度
一定の障害がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。障害年金には以下の種類があります。
- 障害基礎年金:国民年金に加入中に初診日がある場合
- 障害厚生年金:厚生年金に加入中に初診日がある場合
障害年金の受給には、障害の程度が一定以上であることや、保険料の納付要件などの条件があります。障害年金の申請は、お住まいの市区町村の国民年金課や年金事務所で相談することができます。
特定医療費(指定難病)助成制度
内部障害の原因となる疾患の中には、「指定難病」に認定されているものがあります。指定難病に認定されると、医療費の自己負担が軽減される特定医療費助成制度を利用できます。
- 対象となる難病は、厚生労働省が指定する疾患
- 疾患ごとに認定基準が定められている
- 医療費の自己負担額が所得に応じて設定される
申請には医師の診断書が必要です。詳細はお住まいの都道府県の難病担当窓口で確認できます。
自立支援医療(更生医療・精神通院医療)
内部障害の方は、自立支援医療制度を利用できる場合があります。
- 更生医療:18歳以上の身体障害者手帳を持つ方が対象
- 精神通院医療:精神疾患で通院している方が対象(HIV感染症による免疫機能障害なども含まれる)
これらの制度を利用すると、医療費の自己負担が原則1割になります。所得に応じて月額の負担上限額も設定されます。申請は市区町村の窓口で行います。
障害者雇用促進法に基づく制度
障害者雇用促進法では、事業主に対して障害者雇用率(民間企業の場合は2.3%)を達成するよう義務づけています。
- 障害者トライアル雇用:障害者を一定期間試行雇用する制度
- 特定求職者雇用開発助成金:障害者を雇用した事業主に支給される助成金
- 障害者雇用納付金制度:障害者雇用率を達成していない事業主から納付金を徴収し、障害者雇用に積極的な事業主に調整金や報奨金を支給する制度
これらの制度は、障害者の雇用機会の拡大や職場環境の整備の促進に役立っています。
職場適応援助者(ジョブコーチ)制度
障害者が職場に適応するためのサポートを行う「職場適応援助者(ジョブコーチ)」の支援を受けることができます。
- 職場での仕事の進め方や対人関係の調整をサポート
- 事業主や同僚に対しても必要な助言を行う
- 障害者本人と事業主の橋渡し役となる
ジョブコーチは、地域障害者職業センターや就労支援機関に所属しています。利用する場合は、ハローワークや地域障害者職業センターに相談してください。
障害者差別解消法に基づく合理的配慮
2016年に施行された障害者差別解消法により、事業主は障害者に対して「合理的配慮」を提供することが求められています(民間企業は2024年4月から義務化)。
合理的配慮とは、障害者が他の人と平等に権利を享受するための必要かつ適当な変更や調整のことで、以下のようなものがあります。
- 勤務時間や休憩時間の調整
- 業務内容や業務量の調整
- 通院のための休暇取得への配慮
- 作業環境の整備
- 必要な情報提供やコミュニケーション支援
合理的配慮は、障害者本人の意向を踏まえ、事業主に過重な負担とならない範囲で提供されます。
内部障害の方が利用できる就労支援サービス
内部障害をお持ちの方が就職活動を行う際には、様々な就労支援サービスを利用することができます。ここでは、主な支援機関やサービスについて紹介します。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)には、障害のある方の就職を専門にサポートする「専門援助部門」があります。
- 障害者向け求人情報の提供
- 職業相談員による個別相談
- 職業紹介のサービス
- トライアル雇用(試行雇用)の斡旋
- 各種助成金に関する情報提供
ハローワークは全国にあり、無料で利用できます。まずは最寄りのハローワークに行って、専門援助部門の窓口で相談することをおすすめします。
地域障害者職業センター
全国の主要都市にある「地域障害者職業センター」では、より専門的なサポートを受けられます。
- 職業評価:自分の適性や能力を客観的に評価
- 職業準備支援:仕事に必要な基礎的な知識・スキルの習得支援
- ジョブコーチ支援:職場に専門家が出向いて直接サポート
- 事業主への助言:雇用管理や職場環境整備についての助言
職業センターでは、体幹機能障害の特性を踏まえた専門的なアドバイスを受けることができます。自分に合った仕事や働き方を見つける上で、大きな助けになるでしょう。
障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」は、仕事だけでなく生活面も含めた総合的な支援を行っています。
- 就職に向けた相談や支援
- 職場定着のためのサポート
- 生活面での相談(住居、年金、医療など)
- 企業と障害者のマッチング
- 継続的な支援(就職後も長期的にサポート)
就職と生活の両面から支援を受けられるのが特徴で、長期的な伴走者として頼りになります。全国に約340カ所あり、お住まいの地域のセンターを利用できます。
就労移行支援事業所
「就労移行支援事業所」は、一般企業への就職を目指す障害のある方をサポートする福祉サービスです。
- 就労に必要なスキルの訓練
- ビジネスマナーや対人スキルの習得
- 職場体験や実習の機会提供
- 就職活動のサポート
- 就職後の定着支援(約6か月間)
通常2年間の利用期間があり、その間に就職に必要な準備を整えていきます。体幹機能障害に配慮した訓練プログラムを提供している事業所もあります。障害福祉サービスの利用申請が必要で、市区町村の窓口で手続きします。
障害者雇用に強い転職エージェント・求人サイト
民間の就職支援サービスも充実しています。
- 専門の転職エージェント:障害者雇用に特化した転職エージェントがあります
- 障害者向け求人サイト:障害のある方向けの求人を集めたサイトが多数あります
- 合同企業説明会:障害者雇用を行う企業が集まる説明会が定期的に開催されています
これらのサービスは、企業側の障害者雇用ニーズを熟知しているため、マッチングの精度が高い傾向があります。無料で利用できるサービスも多いので、積極的に活用するとよいでしょう。
障害者ナビには体幹機能障害の方におすすめの求人が多数ございます
「障害者ナビ」は、障害のある方の就職をサポートする専門の求人サイトです。体幹機能障害のある方に配慮した職場環境を提供する企業の求人も多数掲載されています。
同サイトでは、以下のような求人を検索できます。
- 在宅勤務可能な求人
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- バリアフリー環境が整った職場の求人
- フレックスタイム制を導入している企業の求人
また、専門のアドバイザーに相談しながら求人を探すこともできるため、自分に合った仕事を見つけやすいでしょう。
登録は無料で、プロフィール登録をすると企業からのスカウトを受けることも可能です。体幹機能障害のある方の就職実績も豊富なので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
内部障害は外見からは分かりにくいため、周囲の理解を得ることが難しいことがあります。しかし、適切な配慮や支援があれば、能力を発揮しながら働くことが可能です。
一人で悩まず、支援機関や周囲の人に相談しながら、前向きに就労に取り組んでいきましょう。
内部障害をお持ちの方が社会の中で自分らしく働き、活躍できる社会を実現するためには、障害のある方自身の努力だけでなく、企業や社会全体の理解と配慮が必要です。一人ひとりが自分の可能性を発揮できる環境づくりに、皆で取り組んでいきましょう。