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障害者の仕事探し完全ガイド|雇用枠の違い・支援サービス・おすすめ職種をわかりやすく解説

この記事の内容
障害を持つ方々が仕事を探す際、『どこから始めればいいのかわからない』『自分に合った仕事が見つかるのか不安』と感じることは少なくありません。
障害があるというだけで、仕事探しに一歩踏み出せない方が少なくありません。ですが、近年では障害者雇用に対する企業の理解が深まり、就職を支援するサービスも充実しています。自分の強みを活かしながら、働きやすい職場を見つけるためには、情報と準備が何よりの武器になります。
この記事では、
- 障害者雇用の仕組みと違い
- 仕事探しの具体的なステップ
- 役立つ支援サービスとおすすめ職種 をわかりやすく解説します!
障害者雇用の現状と雇用枠の種類を詳しく解説
障害者雇用枠のメリットと対象となる障害
「障害者雇用枠」とは、企業が法令に基づき障害者を一定割合以上雇用するために設けられた特別な雇用枠です。身体障害、知的障害、精神障害のある方が対象となり、障害者手帳の取得が基本的な条件となります。
この枠を活用することで、障害特性に応じた業務内容の調整や職場環境の配慮が受けられるほか、就職活動時点から障害への理解がある企業と出会える可能性が高まります。一般雇用とは異なり、「継続して働ける環境」が重視されるため、安心して働きたい方には特におすすめです。
障害者雇用枠で働くメリットとデメリット
■メリット:理解ある職場、就職のしやすさ、高い定着率
- 職場の理解がある:配慮事項や通院の必要性を事前に伝えやすく無理のない働き方が実現しやすい。
- 就職しやすい:障害者雇用促進法により障害者枠の求人が多数存在。
- 定着率が高い:業務内容が明確で職場の支援体制が整っているため安定して働く方が多い。
■デメリット:職種の幅、収入面の可能性、プライバシーの課題
- 職種の選択肢が限られることも:事務補助や軽作業など一部の職種に偏りがち。
- 給与水準に差が出る場合がある:非正規雇用や短時間勤務が前提となることもあり一般雇用よりも収入が低くなるケースも。
- 障害の開示が前提:障害者雇用枠での応募には障害者手帳の提示が必要となる。
障害者が仕事を探す際の重要ポイント

自己分析:得意・不得意の把握と説明力の向上
まず行いたいのは自分自身の障害特性と適性の整理です。「どんな仕事が得意か」「何をするときに困るか」「どんな配慮があると助かるか」など、自己分析を通じて明確にしておくことが重要です。
これらは履歴書の志望動機や面接での自己紹介にも活かすことができます。さらに職場で配慮してほしいことを具体的に伝える力(説明力)も、働きやすさを左右する要素の一つとなります。
職場環境:障害者に理解のある企業選び
障害者雇用に積極的な企業は障害者の採用に加え、職場内のバリアフリー化や社内研修による理解促進にも力を入れています。
- バリアフリー設備(段差のない出入口、広めの通路、車椅子対応トイレなど)
- 勤務時間や通院への柔軟な対応
- 配属先の上司・同僚の理解やサポート体制の有無
- 障害者雇用の定着率や過去の実績
企業のホームページや採用ページ、口コミサイトなどで障害者の活躍事例が紹介されているかどうかも参考になります。
障害者向け仕事探しの方法と支援サービス

「自分に合った仕事を見つけたい」「どこに相談すればよいかわからない」
そんな不安を抱える障害のある方にとって、仕事探しは大きなチャレンジに感じるかもしれません。しかし現在では障害のある方を対象とした支援制度やサービスが各方面で充実しており、一人ひとりに合った働き方や職場環境が選べる時代になっています。
ハローワークの活用法
全国に展開されているハローワーク(公共職業安定所)は障害者雇用を専門に扱う窓口を設置しており、無料で職業相談や求人紹介を受けることができます。
- 障害者専用の求人の紹介
- 就職活動のサポート(履歴書の書き方、面接練習など)
- 職場実習やトライアル雇用制度の案内
- 企業との橋渡し(条件調整・配慮事項の伝達)
専門の相談員が個別対応してくれるため、就労経験が少ない方やブランクがある方も安心して相談できます。
障害者専門の転職エージェント
民間の転職サービスでも障害者専門の転職エージェントが存在します。キャリアカウンセラーがマンツーマンで対応してくれ、求人紹介から書類添削、面接対策、企業との条件交渉まで一貫してサポートしてくれるのが特徴です。
多くのエージェントは障害者雇用に積極的な企業とのパイプを持っており、非公開求人や在宅勤務対応の求人など、希望に合った案件に出会える可能性が高まります。利用は無料です。
地域障害者職業センターの利用
厚生労働省が設置している「地域障害者職業センター」では、障害のある方の就職準備から職場定着までをトータルにサポートしています。
- 職業評価(自分の適性や能力を測定)
- 職場体験・実習のマッチング
- ジョブコーチ(職場適応援助者)による定着支援
- 医療・福祉との連携サポート
働くことに不安がある方やどんな仕事が向いているか知りたい方には、特に心強い機関です。
障害者就業・生活支援センターのサポート
就職だけでなく生活全体のサポートも必要という方には、「障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)」の利用がおすすめです。
- 就職活動の同行・面接支援
- 通院や福祉サービスとの調整
- 就職後の定着支援(人間関係や体調の相談)
- 生活面での課題(家計管理、住まいなど)のサポート
就職と生活を一体で支援してくれるこの機関は全国400カ所以上に設置されており、地域密着型の手厚いフォローが魅力です。
インターネットを活用した求人探し
■障害者雇用に特化した求人サイトの利用
近年では障害者向けに特化した求人サイトも多数存在しています。バリアフリー、在宅勤務、通院配慮など、自分の希望条件で絞り込み検索ができ、利用者登録をすれば企業からスカウトが届くこともあります。
おすすめサイトの例
- 障害者ナビ(障害者雇用専門の求人メディア)
- atGP(障害者専門の転職支援サービス)
- ミラトレ就職支援 など
■一般の求人サイトでの探し方のコツ
障害者専用でなくても以下のような工夫で自分に合う求人を探すことができます。
- 「障害者雇用」や「合理的配慮」でキーワード検索
- フルリモート、時短勤務、フレックス制度の有無を確認
- 採用ページで「ダイバーシティ」や「多様性推進」の取り組みをチェック
企業の姿勢が見える情報をしっかり読み取りましょう。
障害者に向いている仕事と働き方

おすすめの職種
以下は、障害者雇用で人気のある、比較的配慮が受けやすい職種の一例です。
■事務職
定型的な作業が多くパソコン操作に慣れている方におすすめ。
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■システムエンジニア
スキル次第で在宅勤務も可能。成果主義が浸透しており通勤の制約が少ない。
■デザイナー
クリエイティブな発想を活かした職種。Web制作・DTP・UI/UXデザインなど幅広い分野があります。
■コールセンター
体力負担が少なく研修制度も整備されていることが多いため、未経験者でも始めやすい。
■清掃・工場内作業
静かな環境で集中して作業ができる仕事。短時間勤務やシフト制が取り入れられていることも多い。
障害者が働きやすい勤務形態
■在宅勤務の可能性
テレワークの拡大により自宅で働ける仕事が増加しています。自分のペースで仕事ができる点が大きなメリットです。
■特例子会社での雇用
障害者の雇用促進を目的として設立された「特例子会社」は、配慮ある業務体制・支援スタッフの常駐など働きやすい環境が整っています。
■就労継続支援サービスの活用
一般企業での就職がすぐに難しい方には福祉サービスとしての「就労継続支援A型・B型」の利用も選択肢の一つです。
障害があっても仕事を通して自己実現を目指すことは十分可能です。大切なのは自分に合った職場・支援・働き方を見つけること。さまざまなサービスを活用しながら、自信を持って新たな一歩を踏み出しましょう。
求人応募時のチェックポイント

仕事を探す際、多くの方が「給与」「休日」など表面的な条件に注目しがちですが、本当に大切なのは自分のライフスタイルや体調、将来のキャリアプランと合致しているかどうかです。特に障害のある方にとっては職場での理解や配慮、働きやすさの観点からも、事前にしっかりと求人内容をチェックすることが何より重要です。
ここでは、求人応募前に確認しておきたいポイントを7つの視点でご紹介します。
給与条件(基本給、昇給、賞与、手当)
まず確認したいのは、生活の基盤となる給与に関する情報です。基本給に加え、各種手当や賞与、昇給制度の有無など、以下の項目に注目しましょう。
- 基本給と月給の内訳(残業代込みかどうか)
- 昇給の頻度と過去実績(年1回、定期昇給ありなど)
- 賞与(ボーナス)の支給状況(年2回/業績連動型など)
- 通勤手当、住宅手当、資格手当などの支給有無
障害者雇用枠の場合、給与水準が一般雇用と異なるケースもありますので同じ業務を行う社員との待遇差がないかを確認しておくことも大切です。
勤務時間と残業の状況
働きやすさを左右する大きな要素が勤務時間と残業です。自分の体調に合ったリズムで働けるかどうかを見極めましょう。
- 所定の勤務時間(例:9:00~17:00)
- フレックスタイム制度や時短勤務の可否
- 残業の平均時間、発生頻度
- 残業代の支給の有無(みなし残業の内訳も含む)
勤務時間中に適度な休憩が取れるか、通院がある場合に勤務調整できるかなども面接時に確認しておきたいポイントです。
休日・休暇制度
体調管理や私生活とのバランスを考えると、休日・休暇の取りやすさは非常に重要です。企業ごとの取り扱いに差があるため、以下の制度に注目してみてください。
- 年間休日数(120日以上が一つの目安)
- 有給休暇の付与日数と取得率
- 病気休暇、特別休暇、夏季・年末年始休暇の有無
- 通院や障害特性に伴う休暇への柔軟さ
「有給はあるけれど実際には取りにくい」というケースもあるため、社員の口コミや面接時の雰囲気で“取りやすさ”も感じ取ることが重要です。
福利厚生と社会保険
福利厚生や社会保険制度の充実度も安心して長く働くためのカギとなります。特に障害のある方にとっては、医療費やライフイベントに対応できる体制が整っているかは見逃せません。
- 各種社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)への加入状況
- 通院補助、定期健康診断、メンタルヘルスケア制度の有無
- 社員食堂、社宅、カフェテリアプランなど福利厚生サービス
- 企業年金・退職金制度の有無
自分が利用できそうな制度があるかどうかを具体的に見てみましょう。
応募資格と必要なスキル
求人に応募する前に自分の経験・スキルが求められる条件と合っているかを確認することはもちろん、未経験可の場合でもどの程度の基礎知識が求められるかを見ておくと安心です。
- 必要な資格・経験年数の記載
- 使用ソフト(Excel・Word・特定の業務ツールなど)
- 入社後の研修やOJTの有無
- 障害特性に応じたスキルへの配慮(片手入力など)
「未経験歓迎」「研修あり」の記載がある場合も、実際の業務レベルとのギャップがないか注意しましょう。
具体的な仕事内容と期待される役割
求人票では「事務業務」などの大まかな記載だけでなく、実際の業務内容や担当範囲が明記されているかどうかもチェックポイントです。
- どの部署で、何人のチームで働くのか
- 電話対応・来客対応の有無
- 成果や目標の設定基準
- 障害者雇用枠でもキャリアアップの道があるか
面接では配属予定部署の具体的な業務を質問し、イメージとずれていないかを確認しましょう。
勤務地とテレワークの可能性
体調や通勤環境に不安がある方にとって勤務地と働き方の柔軟性は大きな選択基準です。
- 勤務地の最寄駅・通勤時間・バリアフリー環境
- 転勤や異動の有無
- 在宅勤務(フルリモート、ハイブリッドなど)の可否
- 通勤手段に対する配慮(車通勤可など)
障害に配慮した出勤方法や在宅勤務導入の実績がある企業は、柔軟な働き方がしやすい傾向にあります。
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まとめ:自分に合った仕事選びのポイント
障害があるからといって働くことをあきらめる必要はありません。むしろ自分の状態を正しく理解し、それに合った支援や制度を活用することでより自分らしく安心して働く環境を手に入れることができます。
- 障害者雇用枠の仕組みを理解し自分に合ったメリットを活かす
- 自己分析と情報収集を丁寧に行い無理のない職場を選ぶ
- 必要な支援を受けながら自分のペースでステップアップを目指す
この3つの軸を意識することで、仕事を通じて自信や社会とのつながりを築くことができます。
「自分にとっての働きやすさ」を大切に、納得のいく選択をしていきましょう。