2025/05/02
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    障がい者の履歴書に使える自己PRの書き方|採用につながるポイントと例文付きで解説

    就職活動において履歴書の自己PR欄は、単なる自己紹介の場ではありません。
    特に障がい者雇用枠で応募する場合、自分の強みや働く意欲を明確に伝えると同時に障がいについての理解を促し安心感を与える役割も担っています。
    本記事では障がい者が履歴書の自己PRを成功させるためのステップとポイントを、わかりやすく解説します。

    自己PRを考えるステップ

    自己PRはただ思いついたことを書くだけでは効果的なアピールにはなりません。
    順序立てて整理し採用担当者に伝わる内容に仕上げることが大切です。
    4つのステップに沿って自己PRを練り上げていきましょう。

    ①これまでの経歴と経験を洗い出す

    まずは自分がこれまでに積み重ねてきた経験や実績を整理するところから始めます。

    【具体的な洗い出し方】

    • 職務経験
      どのような仕事をしてきたか、担当した業務内容、成果
    • 学業・資格取得
      学んできた分野、取得した資格や検定試験
    • ボランティア活動や趣味
      社会貢献活動や趣味を通じて身につけたスキルや姿勢

    【ポイント】

    • 自分にとっては当たり前でも、採用側から見れば大きな魅力になる。
    • 全て書き出してから情報の取捨選択をする。

    この段階では「すべてを書き出す」ことが重要です。
    自己PRをたくさん用意しておくことで後のステップがスムーズに進みます。

    ②自己の障がいについて客観的に理解する

    次に自分の障がい特性を客観的に整理しましょう。
    自己理解を深めることで「何に注意が必要なのか」「どのような配慮があればパフォーマンスを発揮できるのか」を適切に伝えられるようになります。

    【整理する内容】

    • 障がいの種類と主な症状
      例:聴覚障害により、電話対応は難しいが対面コミュニケーションは問題ない
    • 業務上、配慮が必要な点
      例:長時間の立ち仕事は難しいため、座り仕事中心の業務が望ましい
    • 障がいによる制限をカバーするために努力していること
      例:疲労を管理するため、日々の体調記録を徹底している

    【ポイント】

    • 「できないこと」よりも「できること」にフォーカスする。
    • 障がいについて触れるかどうか、どこまで書くかは応募企業の雰囲気や求人内容に応じて調整する。

    自己PRにおいて障がいを説明する場合でも、「できない」ではなく「こうすれば力を発揮できる」という前向きな表現を心がけましょう。

    ③志望企業を調べ求めている人材像を把握する

    自己PRは自分の強みをアピールするだけではなく、応募先企業が「一緒に働きたい」と思える内容にする必要があります。
    そのためには、企業研究が欠かせません。

    【調べるポイント】

    • 企業の理念やビジョン
      共感できるポイントを見つけて自己PRに絡める。
    • 事業内容・主なサービス
      自分のスキルや経験がどう活かせるか具体的にイメージする。
    • 求める人物像
      採用情報をチェックし企業が求めている人材の特徴を把握する。

    【ポイント】

    • 「なぜこの企業を志望するのか」という理由を自己PRの中に盛り込むと好印象に。
    • 汎用的な自己PRではなく応募先企業に合わせてカスタマイズすることが重要。

    企業理解を深めることで、自己PR文の説得力と具体性が大きく向上します。

    ④アピールしたい自分の強みを考える

    これまで整理してきた材料の中から、応募先企業にとって特に価値のある強みを選び出します。

    【自己PR作成のコツ】

    1. 結論から書く
      「○○が得意です」と冒頭で伝える。
    2. エピソードで裏付ける
      実際の経験に基づいた具体例を交えることで説得力を出す。
    3. 志望企業でどう活かすかを示す
      「この強みを活かして御社では○○に貢献したい」とまとめて好印象に。

    自己PRは「強み」「裏付け」「志望動機」をセットで組み立てると、ぐっと完成度が高まります。

    障がい者の自己PRで押さえるべきポイント

    履歴書や職務経歴書、面接において自己PRはあなた自身を企業に伝える最重要パートです。
    特に障がい者雇用枠で応募する場合、単なる自己紹介ではなく自分の強みや働く意欲を伝えることが求められます。
    そのためには意気込みだけでなく、具体性と企業目線を意識した自己PRを作成することが重要です。
    障がい者の方が自己PRを作成する際に押さえるべき5つのポイントを、具体例とともに解説していきます。

    自分の強みを具体的なエピソードで伝える

    自己PRでまず大切なのは自分の強みを明確に伝えることです。
    しかし「コミュニケーション能力があります」「努力家です」と言うだけでは、説得力に欠けます。

    【例】

    「私は粘り強く目標に取り組む力を持っています。前職では突発的なめまいに悩まされる中でも日々の体調管理を徹底し、半年間一日も休むことなく業務を続けました。特に顧客対応業務においては急な体調不良を避けるために、事前にチームとスケジュールを調整し計画的に業務を遂行しました」

    【ポイント】

    • 実際に取り組んだ具体的な行動・エピソードを紹介する
    • あなたにしかない経験を交えることで、独自性をアピールする

    課題にぶつかった時の解決行動を説明する

    【例】

    「体調の波によって業務に支障が出ることがありましたが、上司や同僚と定期的に状況を共有することで無理のない業務配分を実現しました。また自己管理ノートを活用し、体調と業務状況を可視化することで、チームにも安心して任せてもらえる環境を整えました」

    【ポイント】

    • 「こう対処した」と行動まで具体的に示す
    • 解決プロセスを通じて、前向きな姿勢や柔軟性をアピールする
    • 「助けを求める」行動も立派な問題解決力の一つ

    数字を使って客観的な成果を示す

    【例】

    「前職では月間100件以上の顧客対応を行い、クレーム件数を前年対比で30%削減しました。さらに顧客満足度アンケートでも『対応が丁寧だった』との評価を多くいただきました」

    【ポイント】

    • 数量(件数、%、年数など)を具体的に示す
    • 数字がない場合でも業務量や期間、改善率など伝えられる範囲で数値化する
    • 数字によって仕事ぶりを客観的に証明する

    その強みを仕事でどう活かせるか企業視点で説明する

    【例】

    「これまで培ったスケジュール管理能力とチームワーク力を活かし、御社のカスタマーサポート業務においてスムーズな対応と業務効率化に貢献したいと考えています」

    【ポイント】

    • 強みを企業の事業内容・職務内容に直結させる
    • 「御社では○○に活かせます」とはっきり書く
    • 応募先ごとに自己PRをカスタマイズするのが理想的

    企業視点を意識するだけで、自己PRの完成度は大きく向上します。

    必要な配慮があれば前向きに伝える

    【例】

    「めまい症状が出る場合があるため、急な体調不良時には短時間休憩をいただければ通常通り業務に復帰できます。これまでの職場でも体調管理を徹底することで安定した勤務を続けてまいりました」

    【ポイント】

    • 「こうすれば問題なく働ける」という視点でまとめる
    • 過去の職場での工夫例や成功事例もあわせて伝える
    • 配慮事項は簡潔にまとめて自己PRの流れを邪魔しないようにする

    前向きに伝えることで障がいへの不安を払拭し、信頼感を高めることができます。

    障がい別の自己PR例文

    自己PRは、あなたの“即戦力性”と“協働姿勢”を採用担当者に届ける最大の武器です
    ここでは障がいの特性に応じた自己PR例文を紹介します。自分に近いケースを参考にしつつあなた自身の経験や強みを織り交ぜてアレンジしてみてください。

    上肢障害の場合

    「私は左腕に障害がありますが、パソコン操作を中心とした事務業務に支障はありません。これまでWordやExcelを活用した資料作成やデータ管理を担当しており、スピーディかつ正確な作業を心がけてきました。障がいによる作業制限がある分、常に効率化を意識しタイピングのスピードアップや業務フローの改善にも取り組んできました。この経験を活かし貴社でも事務業務の円滑な推進に貢献したいと考えています」

    下肢障害の場合

    「私は下肢に障害があり車椅子を使用していますが、デスクワークを中心とした業務には支障ありません。前職では一般事務として電話対応や書類作成、備品管理などを担当してきました。移動が制限される分、スケジュール管理やチーム内の情報共有を徹底し、業務効率化に努めました。バリアフリー環境を活かし貴社でも事務局業務の円滑な運営に貢献できると考えています」

    視覚障害の場合

    「私は弱視のため、書類の細かい文字を読む際には拡大機器を使用しています。しかし拡大読書器や音声ソフトを活用することで、一般的な事務作業は問題なくこなせます。前職では社内データ管理やメール対応を担当し、視覚支援ツールを活用して正確な情報処理に努めてきました。新しいITツールの習得にも積極的であり、貴社でも業務効率化に貢献できると自負しています」

    発達障害の場合

    「私は発達障害の特性として、マルチタスクが苦手な傾向があります。しかし業務を一つひとつ丁寧に進める力には自信があります。前職ではデータ入力業務を担当し、正確性を重視した作業スタイルが評価されました。自身の特性を理解しタスクの優先順位付けやスケジュール管理を工夫することで、安定した成果を上げてきました。貴社でも集中力と粘り強さを活かし、業務に貢献したいと考えています」

    職種別の自己PR例文

    応募職種によって求められる能力やアピールすべきポイントは異なります。
    代表的な職種別に自己PR例文を紹介します。

    一般事務の場合

    「私は正確な事務処理能力とチームワークを活かして業務に取り組んできました。前職ではデータ入力、書類作成、スケジュール管理を担当しミスのない作業を心がけ上司や同僚から信頼を得てきました。また体調管理にも努め3年間無遅刻無欠勤を継続しました。貴社の一般事務業務においても正確性と責任感を持って貢献したいと考えています。」

    経理の場合

    「私は経理業務に必要な正確性と数字に対する細やかな感覚を強みとしています。前職では仕訳入力、伝票処理、月次決算補助業務を担当し迅速かつ正確な処理に努めました。体調面では定期的な自己管理と医師の指導を受けながら、安定した勤務を継続しています。貴社においても経理部門の一員として、正確な業務遂行とチームへの貢献を目指して努力したいと考えています」

    IT系の場合

    「私はIT分野に強い関心を持ち、独学でプログラミングを学びました。前職では社内システム管理やWebサイト運用補助を担当し業務効率化提案にも積極的に取り組みました。体調に配慮しながらも新しい技術のキャッチアップを続け、課題解決に役立てています。貴社のIT部門においても技術力と向上心を活かし、業務改善に貢献したいと考えています」

    企画職の場合

    「私は課題発見力と提案力を強みとしています。前職では販促企画チームの一員として、企画立案から実施・効果検証までを担当し前年比120%の売上拡大に貢献しました。障がいによる体調波はありますがスケジュール管理を徹底し、業務に支障が出ないよう工夫して取り組んでいます。貴社においてもアイデア力と粘り強い実行力を活かし新たな価値創出に貢献したいと考えています」

    面接での自己PRの注意点

    履歴書や職務経歴書と並び採用選考において重要な役割を果たすのが面接です。
    面接では書類では伝わりきらない「人柄」や「コミュニケーション力」そして「実際に働けるかどうか」を見られています。
    特に障がい者雇用枠の場合、自己PRの仕方一つで採用担当者に安心感と好印象を与えることができます。
    ここでは面接で自己PRを行う際に押さえるべき注意点について、具体的に解説します。

    複数の時間制限バージョンを用意する

    面接では「自己紹介を1分でお願いします」や「3分程度で自己PRしてください」といったリクエストがよくあります。
    あらかじめ時間別の自己PRバージョンを用意しておくと安心です。

    【目安となるパターン】

    • 30秒版:結論+強み
      (例:「私は○○が得意です。前職では○○の業務に携わり○○の成果を上げました」)
    • 1分版:結論+強み+エピソード
      (例:「私は○○が強みで○○という工夫をして業務を改善しました」)
    • 3分版:結論+強み+エピソード+志望動機・今後の抱負
      (例:「私は○○を強みに○○業務で具体的に○○を達成しました。この経験を、御社の○○業務で即座に還元できると考えています」)

    【ポイント】

    • 長さが指定されたら、即座に対応できるように練習しておく
    • どのバージョンでも先に結論をいうように心がける
    • 練習は声に出して行い、本番を想定したリズムで話せるようにしておく

    柔軟に対応できる準備をしておくことで、余裕を持って自己PRを行うことができます。

    自身の障がいについてはっきりと伝える

    面接では障がいの内容と配慮事項について自分の言葉で説明することが求められます。
    隠す必要はありませんが、ネガティブな印象を与えないよう冷静かつ前向きに伝えることが重要です。

    【伝えるべきポイント】

    • 障がいの種類と主な症状(例:視覚障害で細かい文字を見る際には拡大鏡を使用)
    • 業務における制限事項と工夫している点(例:長時間の立ち仕事は困難のためデスクワーク中心の業務を希望)
    • 過去の職場でどのように働いてきたか(例:スケジュール管理を徹底し欠勤を防止)

    【ポイント】

    • できること・できないことを明確に伝える
    • 「配慮してほしいこと」「自分で工夫していること」の両方を伝える
    • 伝えたうえで「その上でこのように働けます」と前向きにまとめる

    採用担当者に「具体的にイメージできる説明」をすることが信頼感につながります。

    障がいとは関係ない人としての強みもアピールする

    障がいについて説明することも大切ですが、そればかりを話すのは逆効果です。
    「自分は○○という強みを持つ一人のビジネスパーソンである」という視点でアピールしましょう。

    【例】

    「私はチームで協力しながら仕事を進めることを得意としています。前職では定期的なミーティングを通じて情報共有を行い、チームの目標達成に貢献しました。障がいに配慮が必要な場面では、早めに相談し無理なく業務遂行できる体制を整えてきました」

    【ポイント】

    • 「働きやすさ」だけでなく、「社会人としての実績・魅力」も伝える
    • 障がいに関係なく活かせるスキルや人柄をアピールする
    • 自分自身を「障がいを持つ人材」ではなく「強みを持つ人材」として印象づける

    企業はあなたの障がいだけを見ているのではなく、「職場にどんな良い影響をもたらすか」を見ています。


    障がい者の仕事探しをサポートする機関

    一人で就職活動を進めるのが不安なときは、障がい者向けの支援機関を積極的に活用しましょう。
    専門のサポートを受けながら、あなたに合った仕事探しができる環境が整っています。

    ハローワーク

    【主なサポート内容】

    • 障がい者専用求人の紹介
    • 就職相談・キャリアカウンセリング
    • 職業訓練の案内
    • トライアル雇用制度の活用

    地域障害者職業センター

    【主なサポート内容】

    • 職業適性検査
    • 就職後のジョブコーチ支援(職場定着支援)
    • 障がい理解を促す企業支援

    障害者就業・生活支援センター

    【主なサポート内容】

    • 仕事探し支援
    • 日常生活支援(生活リズム、金銭管理など)
    • 医療・福祉機関との連携支援

    就労移行支援事業所

    【主な支援内容】

    • ビジネスマナー研修
    • パソコンスキル習得
    • 就職活動支援(履歴書添削、面接練習)
    • 職場体験・実習

    障がい者雇用専門の求人サイト

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    まとめ

    面接では単に障がいについて説明するだけでなく、自分の強みと働く意欲をしっかり伝えることが成功のカギです。
    自己PRは時間別バージョンを用意すること、障がいと前向きに向き合っていることを伝えること、そして人としての魅力をアピールすることが大切です。
    サポート機関を上手に活用し、自分らしい働き方を目指していきましょう。

    あなたの努力は必ず未来へとつながります。焦らず着実に、そして前向きに一歩ずつ進んでいきましょう!