- お役立ち情報
- 障害者雇用
喘息があっても働ける!発作の予防・対処法と向いている仕事を解説

この記事の内容
「喘息を持っていると、就職は難しいのでは…」「職場で発作が起きたらどうしよう」
――そんな不安を抱えている方は多いかもしれません。しかし現代では医療の進歩や働き方の多様化により、喘息と向き合いながら活躍することは十分に可能です。大切なのは正しい知識を持ち、症状のコントロールと働き方の工夫を行うこと。本記事では喘息の基本的な特徴や種類、症状について詳しく解説し今後の働き方を前向きに考えるきっかけをご提供します。
喘息とは
喘息とは主に気道に慢性的な炎症が生じている状態のことを指します。気道とは鼻や口から肺まで空気が通る道のことで、この部分が炎症によって過敏な状態になっているとわずかな刺激にも反応して気道が収縮し、呼吸が苦しくなったり咳が止まらなくなったりする症状が現れます。喘息の特徴は症状が突発的に現れる「発作性」であることと、夜間や早朝など特定の時間帯に悪化しやすい傾向があることです。
また喘息の発症は子どもに多いと考えられがちですが、大人になってから突然発症する「成人喘息」も珍しくありません。成人の場合、風邪やインフルエンザをきっかけに発症するケースも多く、長引く咳が続いている場合には早期に医療機関を受診することが勧められます。
発作の重症度や頻度には個人差がありますが、気道の炎症が慢性的に続くと肺機能が低下するリスクもあるため、自己判断による放置は禁物です。継続的な治療と生活管理によって症状をコントロールすることが可能です。
喘息の種類
喘息には複数のタイプが存在し症状の出方や原因にも違いがあります。ここでは代表的な2つのタイプについて解説します。
気管支喘息
最も一般的な喘息のタイプで、気道が慢性的に炎症を起こし非常に敏感な状態になっているのが特徴です。気道が狭くなり呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴(ぜんめい)音が聞こえることがあります。主な誘因には、ダニやホコリ、花粉、動物の毛などのアレルゲン、さらには気温差やストレス、風邪などのウイルス感染も含まれます。
咳喘息
咳喘息は喘鳴や息切れなどの典型的な喘息症状が見られない代わりに、「咳だけが長期間続く」という特徴があります。風邪をきっかけに発症することが多く特に夜間や明け方に咳が強くなる傾向があります。一般的な風邪薬や咳止めでは改善されず、数週間から数か月にわたって咳が続くことがあります。
喘息の主な症状

喘息の症状は多岐にわたり軽度な違和感から日常生活に支障をきたす重篤な状態までさまざまです。以下に、代表的な症状をまとめます。
- 咳:乾いた咳が長引き、特に夜間や明け方に悪化する傾向がある。風邪が治っても咳だけが続く場合は要注意。
- 呼吸困難:息を吸う、吐くことが難しくなり「息苦しさ」を感じる。階段の上り下りや運動時に顕著になることがある。
- 喘鳴(ぜんめい):呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえる状態で特に気道が強く狭まっているときに発生する・
- 胸の圧迫感:胸が締め付けられるような感覚、重苦しい感じがある場合それは発作の前触れの可能性がある。
喘息の原因と悪化要因
アレルゲンとなるもの
喘息の原因として多くの人が反応を示すのが「アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)」です。個人差はありますが以下のような物質が主な要因とされています。
花粉
春先や秋など花粉の飛散時期に症状が悪化する人は少なくありません。特にスギやヒノキなどの花粉は気道を刺激して喘息の発作を引き起こすことがあります。花粉は目や鼻だけでなく呼吸器に直接作用するため、花粉症のある人は喘息の発症リスクも高いと言われています。屋外での作業が多い仕事や通勤時のマスク未着用などによって、影響を受けやすくなるため注意が必要です。
ハウスダスト
室内に存在するほこりやダニの死骸、フケなどが含まれるハウスダストは、喘息の代表的なアレルゲンです。特にカーペットや布団、エアコンの内部に潜んでいることが多く、掃除の頻度が低いとアレルゲン濃度が高まりやすくなります。日常生活はもちろんオフィスの環境整備が不十分な場合にも影響が出るため、清掃状態は喘息管理の重要なポイントとなります。
カビ・細菌
湿度の高い環境ではカビが繁殖しやすくなります。浴室やキッチン、観葉植物の土などから発生することが多く、空気中に浮遊した胞子を吸い込むことで気道に炎症を引き起こすケースがあります。また空調設備のフィルターにカビが付着していると、職場でもカビアレルゲンにさらされるリスクがあります。換気や湿度管理、定期的な清掃が必要不可欠です。
食物
一部の人にとっては食べ物も喘息発作の引き金となる場合があります。特に卵、牛乳、甲殻類、小麦、大豆などが代表的なアレルゲンでこれらの食品を摂取するとアナフィラキシーや気道の収縮を引き起こすことがあります。重度の場合には命に関わるケースもあるため職場の食事環境や他者との共有スペースでの管理も重要となります。
アレルゲン以外の要因
ストレスや過労
精神的ストレスや過労は自律神経のバランスを崩し、気道の過敏性を高める要因となります。過剰な緊張状態が続くことで体内で炎症物質が増加し、結果として発作が誘発されることも。残業が多い、休憩が取れない、職場の人間関係が悪いといった環境は喘息持ちの方にとって大きなリスク要因です。心と体の健康を保つためには適度な休息とストレスケアが不可欠です。
大気汚染物質
排気ガスや工場からの煙、PM2.5などの微小粒子状物質は直接的に気道を刺激し、喘息の悪化を招きます。都市部での通勤、屋外作業を伴う職種、交通量の多い道路沿いのオフィスなどでは、これらの物質に常にさらされている状態となり、慢性的な炎症を引き起こす原因となります。マスクの着用や空気清浄機の導入など、できる範囲での対策が必要です。
気象の変化
季節の変わり目、気圧の急激な変動、寒暖差なども喘息には大きな影響を与えます。特に低気圧や寒冷前線の接近時には、気道の収縮が強まり、発作が起きやすくなります。また乾燥した空気も気道を刺激するため、冬場は加湿対策が重要となります。こうした自然現象はコントロールできませんが予測し、対策を立てることは可能です。
職場で喘息が悪化する理由
喘息を抱える方にとって職場の環境や勤務形態が大きく影響を及ぼします。実際、症状が軽度だったにもかかわらず働き始めてから悪化するというケースも珍しくありません。理由として、以下のような環境が挙げられます。
- 空気の質が悪い職場:換気の悪い室内、埃の多い倉庫、薬品や塗料の揮発性物質が漂う空間などでは、気道への刺激が蓄積される。
- ストレスの多い業務内容:納期や売上に追われるプレッシャー、人間関係の不安定さ、過重労働などが呼吸を浅くし、発作を誘発する要因になる。
- 休憩が取りにくい職場風土:症状が出始めてもすぐに吸入薬を使えない、休むタイミングがないなど、対応の遅れが症状を悪化させる。
- 通勤・移動環境の負荷:満員電車での圧迫、排気ガスの多い通勤ルートなど、外部環境による負荷。
このように喘息がある方にとっては「働き方そのもの」が健康と密接に結びついています。症状の悪化を防ぐためには職場環境を見直し、柔軟な勤務体制や在宅勤務、空調・空気質の改善などを求めていくことが重要です。
喘息を抱える方に適した仕事と職場環境

喘息でも働ける仕事
喘息があるからといって、働くことを諦める必要はまったくありません。大切なのは、発作を誘発しない環境を選ぶこと。そして体調に配慮しながら働ける職種を選ぶことです。以下では、喘息を持つ方でも比較的安心して働きやすい仕事について解説します。
デスクワークなどの内勤
パソコンを使った事務作業や経理、データ入力、カスタマーサポートなど、基本的に屋内で座って行う仕事は喘息を持つ方に適しています。これらの職種は空調設備の整ったオフィス内で勤務することが多く、気温や湿度、アレルゲンの影響を受けにくい環境です。また定時勤務が中心であることから生活リズムも整えやすく、ストレスの軽減にもつながります。オフィス環境が清潔に保たれているかどうかは事前に確認しておくと安心です。
在宅ワーク・テレワーク
近年急速に普及した在宅勤務は、喘息を持つ方にとって理想的な働き方と言えるでしょう。自宅であれば空気環境や湿度を自分でコントロールでき、体調に合わせてこまめに休憩を取ることも可能です。ITスキルがあれば、ライティング、プログラミング、WEBデザイン、カスタマー対応など、業務内容も多岐にわたります。通勤の負担がなくなることで、身体的・精神的なストレスも大幅に軽減されます。
アレルギー物質を避けられる環境
職種そのものよりも、「アレルゲンへの接触がない職場」であるかが大切です。例えば食品加工の現場でも、清潔で湿度管理が徹底されている環境であれば安全に働ける可能性があります。事前に職場見学をしたり、面接で環境について質問したりすることもおすすめです。空調設備の有無、清掃頻度、空気清浄機の設置状況など、職場の衛生管理体制は確認しておきたいポイントです。
喘息と上手に向き合いながら働くには、「無理なく続けられる環境」を自ら選ぶことが何より大切です。自身の発作の傾向や誘因を把握し、それを職場選びの軸に据えることで働くことそのものが心身の健康につながっていきます。時には転職や働き方の見直しも必要になるかもしれませんが、それはより良い未来のための前向きな一歩。安心して自分らしく働くための環境は、必ず見つかります。
喘息の発作を予防するための対策

風邪予防の徹底
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染は、喘息を持つ方にとって非常に大きなリスクとなります。気道がウイルスに感染すると炎症が悪化し、喘息の発作が誘発される可能性が高まります。特に冬場は、気温の低下や乾燥も重なり、気道への刺激が強まるため注意が必要です。
具体的な予防策としてはうがい・手洗いの徹底、マスクの着用、外出後の衣類のケアなどが基本です。また適度な湿度を保つことでウイルスの活動を抑えることができるため、自宅や職場では加湿器の活用も効果的です。人混みを避ける、無理な外出を控えるといった判断も、自分の身体を守るうえでは大切な対策の一つです。
アレルゲンとなる物質の回避
アレルゲンの回避にはまず日常の環境整備が欠かせません。こまめな掃除、布団やカーテンの洗濯、エアコンのフィルター清掃などを習慣づけることで、アレルゲンの蓄積を防ぐことができます。花粉が多く飛散する時期には、外出時のマスクやメガネの着用、帰宅後の衣類の着替えや洗顔が有効です。また、空気清浄機を活用することで、室内のアレルゲン濃度を下げる効果も期待できます。
ストレス管理
精神的な緊張や不安が続くと自律神経が乱れ、気道の過敏性が高まります。その結果、わずかな刺激にも反応しやすくなり、咳や息苦しさが悪化してしまうのです。
ストレス管理の方法は人それぞれですが、まずは自分に合ったリフレッシュ法を見つけることが大切です。散歩や読書、音楽、趣味の時間などを意識的に取り入れることで、心身のバランスを整えることができます。またストレスの原因を明確にし、それを回避・軽減する行動を取ることも重要です。睡眠を十分にとる、生活リズムを整えるといった基本的な習慣が、ストレスをためにくい体質を作る第一歩になります。
服薬の徹底
喘息の治療において、最も基本かつ重要なのが「継続的な服薬」です。症状が出ていないときでも、処方された薬を自己判断で中止してしまうと、炎症が進行して発作を招くリスクが高まります。
特に吸入ステロイド薬などの「コントローラー薬」は、気道の炎症を抑えるために毎日使用する必要があります。一方、発作が起きたときに使用する「リリーバー薬(気管支拡張薬)」は、症状に応じて適切なタイミングで使うことが求められます。医師の指示を守ることはもちろん、服薬の時間や使用方法を記録しておくことで、より効果的な自己管理が可能になります。薬を常に携帯し、必要なときにすぐ使えるよう準備しておくことも、日常生活での安心につながります。
過度な運動や過換気の回避
適度な運動は健康維持に役立ちますが、喘息を持つ方にとっては「運動誘発性喘息」という症状が存在します。激しい運動を行うと呼吸が速くなり、冷たく乾燥した空気を吸い込むことで気道が刺激され、咳や息切れを引き起こすことがあります。また、深く速い呼吸を意識的に続ける「過換気(ハイパーベンチレーション)」状態も、発作を誘発する可能性があるため注意が必要です。
運動を行う際は、十分なウォーミングアップとクールダウンを心がけましょう。また気温が低い場所での運動は避け、室内や温暖な気候のもとで行うのが理想です。自分の体調と相談しながら、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。運動中に異変を感じたらすぐに中止し、薬を使う、休むといった判断をためらわないようにしましょう。
喘息との付き合い方は人それぞれ異なります。しかし共通して言えるのは「日々の小さな習慣の積み重ねが、大きな安心につながる」ということです。発作を防ぐための対策は、どれも特別なことではなく、日常の中で意識的に行えるものばかり。自分の身体のサインを見逃さず、適切に対応することが、健康的な生活と仕事を両立する鍵となります。
喘息発作時の対処法と仕事を休む目安

喘息を抱えながら働く方にとって、発作が起きた際にどのように対応すればよいかを事前に知っておくことは非常に重要です。無理をして働き続けることで症状が悪化し、長期的な健康被害につながることもあるため、「仕事を休むべきタイミング」を見極める力も求められます。本記事では発作への正しい対処法と、仕事を休む目安について具体的に解説します。周囲の理解を得るためのポイントも合わせてご紹介しますので、喘息と向き合いながら安心して働ける環境づくりにお役立てください。
発作の前触れを知っておく
喘息発作は突然激しい症状が現れる場合もありますが、多くは「前触れ」となる軽いサインを伴います。これらの兆候を見逃さず早めに対応することで、本格的な発作を防ぐことができます。
前触れとして多いのは、「喉や胸の違和感」「乾いた咳」「息が浅くなる」「軽いゼーゼー音が聞こえる」などの症状です。また、人によっては疲労感や軽い頭痛、睡眠中の咳などを感じることもあります。こうした症状が出た時点で、早めに吸入薬を使う、無理せず休憩を取るなどの対応を心がけましょう。
自分の「発作のサイクル」や「起こりやすい時間帯」「環境要因」などを把握しておくことも大切です。たとえば「早朝に症状が出やすい」「湿度が高い日に悪化する」「人混みやタバコの煙に弱い」など、自身の体の傾向を把握しておけば、発作のリスクを大幅に減らすことができます。
周囲の理解を得る
喘息を持つ方にとって職場での理解と協力体制は不可欠です。どれほど自己管理を徹底していても、発作が起こるリスクをゼロにすることはできません。そのため日頃から周囲に状況を共有し、理解を得ておくことが発作時の対応をスムーズにします。
まずは直属の上司や人事担当者に自身が喘息を抱えていること、発作時に必要な処置(吸入薬の使用、安静、休憩の確保など)について説明しておきましょう。可能であれば業務に支障が出ないような業務調整や、在宅勤務の導入、フレックスタイム制度の利用なども相談しておくと安心です。
また同僚にも簡単に事情を伝えておくことで、緊急時のサポートが受けやすくなります。「突然席を外すことがある」「咳が止まらなくなったときは吸入薬を使う」といった基本的な情報を共有するだけでも、職場での理解と協力体制が大きく変わります。無理に隠すことなく自分らしく働ける環境づくりが、長期的な就業継続に繋がります。
仕事を休む目安
「今日は無理せず休むべきか、それとも出勤できるか」――喘息を抱えていると、日々の判断がとても難しく感じられることもあります。ここでは仕事を休むかどうかを判断するための具体的な目安をご紹介します。
過換気(過呼吸)で呼吸が苦しくなったとき
激しい発作の前兆として、呼吸が浅く速くなり、過換気状態に陥ることがあります。この状態では酸素がうまく体に取り込まれずめまいや動悸、手足のしびれといった症状を伴います。こうしたときは安静にして深呼吸を促す必要があり、無理に出勤すると症状が悪化するリスクがあります。たとえ症状が一時的に収まったように見えても、体力が著しく消耗していることが多いため、休息を優先することが望まれます。
喘息の症状が数週間続いているとき
咳や息切れ、胸の違和感が2週間以上継続している場合は、喘息のコントロールがうまくいっていない可能性があります。こうした状態で働き続けることは、さらなる発作や肺機能の低下を招く原因になります。無理をせずかかりつけの医師に相談し、必要であれば休養を取って治療に専念しましょう。職場に事情を説明すれば、業務の一時的な調整や在宅での対応が可能な場合もあります。
職場環境が喘息にとってよくない環境になったとき
たとえば、オフィスの空調が不調で換気が悪い、周囲で香水やタバコの匂いが強い、ホコリやカビが発生しているといった状況は、喘息にとって非常に危険です。このような環境に長時間さらされると、軽度の症状でも悪化していく可能性があります。
自分自身で改善が難しい場合は、上司や衛生管理担当者に相談し、環境の改善を依頼することも検討しましょう。それでも状況が変わらない場合は、一時的に出勤を控え、医師の指導に基づいて判断することが大切です。体調を守ることは、結果的に職場でのパフォーマンス向上にもつながります。
喘息を抱える方にとって、「働くこと」と「体調管理」は切り離せない関係にあります。無理を重ねて症状が悪化する前に、正しい知識と判断力を持ち、職場との良好な関係を築いていくことが、自分らしい働き方への第一歩です。発作への備えと、適切な休養のタイミングを見極める力を身につけて、安心して働ける毎日を手に入れましょう。
どうしても仕事が続けられない場合の選択肢

どれだけ工夫しても症状が改善せず、生活と健康のバランスを崩してしまう場合、無理をして働き続けることが必ずしも最善とは限りません。そんなときに備えて、「仕事を続ける以外の選択肢」を知っておくことは、
ここでは、喘息の症状が重くなり、就労継続が難しいと感じたときに取ることのできる具体的な手段を紹介します。「働けない=社会との断絶」ではありません。あなたの人生を支える制度や仕組みは、きちんと用意されています。
障害者手帳の取得
喘息が日常生活や就労に深刻な支障を与えている場合、「身体障害者手帳」の取得が選択肢の一つになります。特に重度の気管支喘息や呼吸機能障害があると診断された場合、医師の意見書を基にして等級が認定され、手帳を取得できる可能性があります。
手帳の取得によって、医療費の助成や交通機関の割引、税制上の優遇措置など、さまざまな公的支援を受けることができます。また、企業における「障害者雇用枠」での応募が可能になり、自分に合った勤務形態や配慮のある環境で働くことが現実的になります。
申請の際には主治医との相談が不可欠です。まずは自身の症状や生活への影響について正しく伝え、どの程度の支援が必要かを明確にしておきましょう。役所や地域の相談窓口でも手続きや要件についての情報提供が受けられます。
障害年金の活用
症状が慢性的かつ重度で働くことが困難な状態が続いている場合には、「障害年金」の活用も検討すべき制度の一つです。これは年金保険制度の中で、病気や障害によって収入を得られなくなった方に対して支給される公的な給付です。
喘息の場合でも呼吸機能の低下や頻繁な発作によって、労働が著しく制限される状態であれば、障害等級の認定を受けることが可能です。特に吸入薬を用いても安定しないケース、入退院を繰り返している状態、あるいは睡眠や食事などの基本的生活動作に困難を感じている場合などは、申請の対象となり得ます。
年金の等級には1級〜3級があり、労働能力や生活への影響度に応じて受給額が決まります。初診日から一定期間の保険料納付要件を満たしていることが条件となるため、過去の加入履歴や記録の確認も重要です。社会保険労務士や年金事務所での相談を通じて、専門的な支援を受けながら申請を進めることが推奨されます。
障害者雇用枠での転職
多くの企業では、法定雇用率を満たすために障害者の採用を積極的に行っており、その多くが配慮ある業務内容や勤務体制を整えています。
たとえば短時間勤務、在宅勤務の導入、空調や換気の管理が行き届いたオフィス、定期的な通院や休息を取りやすい制度など、喘息を持つ方にとって働きやすい環境が整っている職場も数多くあります。
障害者雇用に特化した求人サイトでは、求人情報だけでなく職場の環境や配慮内容、働いている障害者社員の声なども確認できます。自分に合った職場を見つけるためには、単に「仕事内容」だけでなく、「どんな配慮が受けられるか」に注目することがポイントです。
▶︎【障害者雇用に特化した求人はこちら】
→障害者ナビ:喘息を持つ方の転職支援はこちらから
まとめ
喘息を抱えているからといって、すべてを我慢して働き続けなければならないわけではありません。体調が悪化しどうしても続けられないと感じたときは、自分を責めるのではなく、「他の選択肢」に目を向ける勇気を持ちましょう。今の自分に無理のない道を選ぶことが、結果的に心と体を大切にする最善の選択になります。
一人で抱え込まず、支援制度や専門機関の力を借りながら、安心して人生を再構築する道を選んでください。