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障害者雇用と一般雇用の違いとは?雇用制度・働き方・配慮の有無を徹底比較

この記事の内容
はじめに
就職活動を始めるとき、「障害者雇用枠で応募すべきか、それとも一般雇用枠を狙うべきか」と迷う方は少なくありません。
障害者雇用は法律で定められた制度に基づいて運用されており、企業側にも雇用義務があります。一方、一般雇用は応募条件や採用基準が異なり、配慮を受けられるかは本人の申告次第です。
本記事では、障害者雇用と一般雇用の制度や実務上の違いをわかりやすく整理し、自分に合った働き方を見つけるヒントを提供します。
初めて就職活動をする方はもちろん、転職や働き方の見直しを検討している方も参考にしてください。
そもそも「障害者雇用枠」とは?基本の制度解説

障害者雇用枠は、障害者雇用促進法に基づき設けられた雇用制度です。
企業には、従業員数に応じて一定割合以上の障害者を雇用する「法定雇用率」が義務付けられています。2024年度時点での法定雇用率は以下のとおりです。
- 民間企業:2.5%(2026年2.7%へ引き上げ予定)
- 国・地方公共団体:2.6%
- 教育委員会:2.5%
つまり、従業員40人以上の企業は1人以上の障害者を雇用する義務があるということです。
この雇用率を達成するため、企業は「障害者雇用枠」の求人を設置します。
障害者雇用枠に応募できる条件
障害者雇用枠の求人に応募するためには、原則として以下のいずれかの障害者手帳を所持している必要があります。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳(知的障害者)
手帳を持っていない場合は、基本的に障害者雇用枠で応募できません。
なお、手帳を取得していなくても「申請中」であれば応募できるケースもありますが、最終的には採用手続き時に証明が必要です。
障害者雇用と一般雇用の主な違い一覧
障害者雇用枠と一般雇用枠は、応募条件や選考方法、働き方において多くの違いがあります。
下記の比較表に整理しました。
| 比較項目 | 障害者雇用枠 | 一般雇用枠 |
| 応募条件 | 原則、障害者手帳が必要 | 手帳不要(開示義務なし) |
| 面接内容 | 障害や配慮に関する質問あり | 一般的なスキル・経験重視、配慮確認は原則なし |
| 求人の特徴 | 配慮前提の業務設計が多い | 即戦力・高スキルが求められやすい |
| 配慮内容 | 通院や勤務時間の調整など制度あり | 本人申告次第で任意、制度は限定的 |
| 給与水準 | やや低め傾向(業種・職種により差あり) | 一般的な賃金水準に基づく |
| キャリア形成 | 長期雇用・定着支援重視 | 昇進・成果重視のキャリア設計 |
ポイント解説
- 障害者雇用は配慮前提
通院日程の調整や業務内容の一部軽減など、働きやすさを重視した配慮が受けやすいのが特徴です。 - 一般雇用は競争型・成果重視
配慮は本人から申告しないと得られないケースが多く、スキル・成果で評価される傾向があります。
この違いを理解することで、自分の働き方に合った雇用枠を選びやすくなります。
障害者雇用枠で働くメリット・デメリット

障害者雇用枠で働く場合、法律に基づいた制度や職場の配慮を受けられることが大きな特徴です。
ここでは、メリットとデメリットを整理し、どのような働き方が自分に合うかを判断する材料にしましょう。
メリット
- 配慮を受けながら安心して働ける
障害者雇用枠では、通院や体調に応じた勤務時間の調整、業務負荷の軽減など、個々の事情に応じた配慮が前提となります。
精神的な安心感が得られることで、無理なく長期的に働きやすくなります。 - 就労支援制度が充実
ハローワークの専門援助や障害者職業センター・就労移行支援事業所などの支援機関を通じて、面接から職場定着まで幅広いサポートを受けられます。
特に「職場定着支援」や「ジョブコーチ支援」があると、入社後の不安やトラブルも相談しやすくなります。 - 法制度により雇用が安定しやすい
障害者雇用は法定雇用率の対象となるため、企業は安定的に雇用を継続するインセンティブを持っています。
解雇や雇止めのリスクが比較的低く、長期的な雇用継続を目指しやすい点も大きな魅力です。
デメリット
- 業務内容が限定的な場合もある
障害者雇用枠では、体調や特性への配慮を優先するため、事務補助や軽作業など限定的な業務になることがあります。
スキルアップや幅広い経験を得る機会が少ない場合もあるため、将来のキャリア形成を意識する必要があります。 - 昇進やキャリアアップ機会が限られることも
定着重視の雇用が多いため、管理職登用や大幅な昇給が難しい場合があります。
長期的なキャリアを築くなら、社内制度の確認やスキル習得計画が重要です。 - 賃金水準が低くなる傾向がある業界もある
障害者雇用は配慮を前提とするため、非正規雇用や軽作業中心の求人が多い傾向があります。
業界によっては給与水準が低めになることがあるため、生活設計と合わせた検討が必要です。
一般雇用枠で働くメリット・デメリット
一方で、一般雇用枠での就職は、スキルや成果を重視した働き方が可能です。
ただし、障害への理解や配慮が得られるとは限らないため、自己管理力も求められます。
メリット
- スキルや成果に応じたキャリア形成が可能
一般雇用は、実力や実績に応じて評価されやすい環境です。
昇進・昇給のチャンスが広がり、専門性を高めたい方や将来のキャリアアップを目指す方に向いています。 - 幅広い職種・業界から選べる
障害者雇用枠に比べて、応募できる求人の幅が広いのが大きなメリットです。
希望の業界や専門職に挑戦したい場合、一般雇用のほうが選択肢が豊富です。 - 同僚との「区別がない」ことで心理的負担が少ない場合も
手帳の有無を開示せずに働く場合、周囲との扱いに差が出にくく、「特別扱いされない」気楽さを感じる人もいます。
デメリット
- 障害への理解や配慮が得られにくいことがある
一般雇用では、体調不良や通院のための勤務調整が難しい場合があります。
配慮を受けるには自己申告や調整が必要で、会社の理解度によって働きやすさが大きく変わります。 - 隠して働く場合は自己管理・対応力が求められる
手帳を開示せずに働く場合、体調や障害特性の自己管理が必須です。
突発的な体調不良や業務負荷に備え、自己防衛策を整えておく必要があります。 - 就労の継続が難しいケースもある
配慮が得られない職場では、ストレスや体調悪化により離職に至るリスクも高まります。
長期的に働くには、仕事内容や職場環境との相性を慎重に見極めることが大切です。
オープン就労・クローズ就労という考え方
就職活動や転職を検討する際、「障害を開示して働くかどうか」は大きな判断ポイントです。
この考え方は一般的に「オープン就労」と「クローズ就労」と呼ばれます。
オープン就労とは?
オープン就労とは、障害の内容や必要な配慮を企業に開示して働く方法です。
障害者雇用枠での就職がこれにあたります。
- メリット
- 通院や勤務時間の調整など、必要な配慮を受けやすい
- 障害を隠さず働くため、心理的な安心感がある
- 就労支援機関のサポートが受けやすく、職場定着につながる
- 通院や勤務時間の調整など、必要な配慮を受けやすい
- リスク・デメリット
- 求人数が限られ、選択肢が狭くなる場合がある
- 昇進・昇給のチャンスが少ない傾向がある
- 一部の職場で「特別扱い」される心理的負担を感じることもある
- 求人数が限られ、選択肢が狭くなる場合がある
クローズ就労とは?
クローズ就労は、障害のことを企業に伝えずに一般雇用枠で働く方法です。
障害に配慮されない分、スキルや成果で評価される働き方となります。
- メリット
- 応募できる求人が多く、希望の業界・職種に挑戦しやすい
- 同僚との区別がなく、自然体で働ける場合がある
- 成果重視の環境でキャリアアップを狙いやすい
- 応募できる求人が多く、希望の業界・職種に挑戦しやすい
- リスク・デメリット
- 体調不良や通院などで職場の理解が得られにくい
- 無理を重ねると、長期就労が難しくなる場合がある
- 隠して働く心理的負担が続くこともある
- 体調不良や通院などで職場の理解が得られにくい
どちらを選ぶべき?自己理解と希望条件がカギ

オープン就労とクローズ就労、どちらが自分に合うかは自己理解と希望条件によって変わります。
判断のポイント
- 自分の障害特性を正しく理解する
- 体調の波があるのか
- 業務上で苦手な場面は何か
- 長時間勤務や残業に耐えられるか
- 体調の波があるのか
- 働き方の希望条件を整理する
- 勤務時間の柔軟性(通院や休憩の必要性)
- 希望する業務内容や責任範囲
- キャリアアップ重視か、安定就労重視か
- 勤務時間の柔軟性(通院や休憩の必要性)
- 配慮が必要かどうかを明確にする
- 体調や障害特性により、配慮なしでは長期就労が難しい場合はオープン就労(障害者雇用枠)が安心です。
- 一方、成果重視の環境でキャリアアップしたい場合は、クローズ就労(一般雇用枠)も有力な選択肢になります。
- 体調や障害特性により、配慮なしでは長期就労が難しい場合はオープン就労(障害者雇用枠)が安心です。
就労支援機関を活用して「自分に合う働き方」を見つけよう
障害者雇用・一般雇用のどちらを選ぶ場合でも、就労支援機関を活用することは、自分に合った働き方を見つける大きな助けになります。
支援機関では、就職前の準備から職場定着まで幅広いサポートを受けられます。
主な支援機関とサポート内容
- ハローワーク(障害者職業相談窓口)
- 障害者雇用専門の窓口があり、求人紹介・模擬面接・履歴書の書き方指導などを行っています。
- 法定雇用率を満たす企業の求人が集まるため、安心して応募先を探せます。
- 障害者雇用専門の窓口があり、求人紹介・模擬面接・履歴書の書き方指導などを行っています。
- 就労移行支援事業所
- 職業訓練やパソコンスキル習得、コミュニケーション訓練を行い、就職に必要な準備ができます。
- 職場実習や企業見学の機会があり、実際の働く環境を体験することで不安を減らせます。
- 職業訓練やパソコンスキル習得、コミュニケーション訓練を行い、就職に必要な準備ができます。
- ジョブコーチ(職場適応援助者)
- 入社後に職場に同行し、業務習得や人間関係のサポートを行う専門スタッフです。
- 特に初めての就職や新しい職場への適応に不安がある方に有効です。
- 入社後に職場に同行し、業務習得や人間関係のサポートを行う専門スタッフです。
実習制度やトライアル雇用の活用も有効
就職先を決める前に、職場実習やトライアル雇用制度を活用するのもおすすめです。
- 職場実習:数日~数週間、実際の職場で働きながら仕事内容や環境を体験できる
- トライアル雇用:一定期間試験的に働き、企業・本人ともに適性を確認したうえで本採用につなげる制度
これらを利用することで、「思っていた仕事と違った」というミスマッチを防ぎ、長期的に安心して働ける職場選びにつながります。
おわりに
障害者雇用と一般雇用には、応募条件・働き方・配慮の有無など明確な違いがあります。
しかし、どちらが正解というわけではなく、大切なのは自分の特性や希望に合った働き方を選ぶことです。
- 体調や特性に応じた配慮が必要なら、障害者雇用枠(オープン就労)が安心
- キャリアアップや成果重視の働き方を希望するなら、一般雇用枠(クローズ就労)も選択肢に
不安や迷いがあるときは、まずはハローワークの障害者職業相談窓口や就労移行支援事業所に相談し、実習やトライアル雇用を体験してみることをおすすめします。
サポートを受けながら準備を進めることで、長く安心して働ける環境が整いやすくなります。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









