2025/08/11
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双極性障害(躁うつ病)とは?症状・治療・向いている仕事と働き方の工夫

はじめに

双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する「躁状態」と、落ち込みが続く「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。仕事や日常生活に大きな影響を与えることが多く、特に働き方や職場環境の選び方が、症状の安定や再発防止に直結します。
適切な治療と生活習慣の工夫、そして自分に合った職種・働き方を選ぶことで、安定した就労を続けることは可能です。本記事では、双極性障害の基礎知識から症状の特徴までを解説し、後半では向いている仕事や働き方のポイントも紹介します。


双極性障害とは

定義と特徴

双極性障害は、精神疾患のひとつで、感情の波が極端に変動することが特徴です。気分が異常に高まる「躁状態」と、深く落ち込む「うつ状態」が交互に訪れ、生活や仕事のリズムを乱します。
これらの症状は、単なる気分の浮き沈みではなく、医学的に診断されるべき病状であり、適切な治療が必要です。症状の出方や持続期間には個人差があり、同じ双極性障害でも生活への影響度はさまざまです。

Ⅰ型とⅡ型の違い

双極性障害は大きくⅠ型とⅡ型に分類されます。

  • Ⅰ型双極性障害
    躁状態がはっきり現れ、日常生活や社会活動に支障をきたすほどの高揚感が続きます。躁状態の後、うつ状態に移行するケースも多く、入院治療が必要になることもあります。
  • Ⅱ型双極性障害
    躁状態が軽い「軽躁状態」にとどまり、極端な行動や判断ミスは少ないものの、うつ状態が長引く傾向があります。うつ症状が主体となるため、うつ病と誤診されることもあります。

Ⅱ型は気づかれにくく、長期間にわたり「原因不明のうつ」として過ごしてしまう人も多いため、正しい診断が重要です。

うつ病との違い

双極性障害とうつ病は、症状が似ているため混同されがちです。
大きな違いは、躁または軽躁状態があるかどうかです。うつ病は気分の落ち込みが長期間続く病気ですが、双極性障害では一時的に活動的になり、自信過剰や衝動的な行動が増える期間があります。
この違いを見極めないと、抗うつ薬だけを処方されて躁状態を悪化させるなど、治療方針を誤るリスクがあります。


症状の特徴

躁状態の症状と影響

躁状態では、次のような症状が見られます。

  • 睡眠時間が極端に短くても元気
  • 自信過剰で計画を詰め込みすぎる
  • 衝動買いや投資など金銭トラブル
  • 周囲の助言を聞かず、突発的な行動をとる

仕事面では、短期間で成果を上げる一方、無理なスケジュールや判断ミスが続き、人間関係や信用を損なう恐れがあります。

うつ状態の症状と影響

うつ状態では、以下のような症状が続きます。

  • 強い疲労感や倦怠感
  • 集中力の低下、判断力の鈍化
  • 興味・意欲の喪失
  • 自責感や無価値感

仕事では業務の停滞や欠勤が増えやすく、復職のタイミングや負担のかけ方に注意が必要です。

気分の波のパターン(急速交代型など)

双極性障害の気分の波は人によって異なり、次のようなパターンがあります。

  • 周期型:数か月〜数年単位で躁とうつが入れ替わる
  • 急速交代型:1年に4回以上、躁とうつを繰り返す
  • 混合状態:躁の高揚感と抑うつ感が同時に現れる

特に急速交代型や混合状態は症状管理が難しく、治療と生活調整をより慎重に行う必要があります。

原因と発症要因

脳内神経伝達物質の異常

双極性障害の大きな原因の一つは、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなど)のバランス異常です。
これらの物質は感情や意欲、集中力をコントロールする働きを持ちますが、過剰または不足状態になると、気分の高揚や落ち込みが極端になり、躁とうつの波を引き起こします。
研究によれば、脳の構造や機能の変化も関係しているとされ、単なる「気分の問題」ではなく医学的な要因が存在します。

遺伝的要因

双極性障害は、家族や近親者に同じ疾患を持つ人がいる場合、発症リスクが高まることがわかっています。
ただし遺伝だけで発症するわけではなく、遺伝的な素因に加えて環境的要因やストレスが重なることで、症状が現れるケースが多いです。

環境・ストレス要因

生活環境や社会的ストレスも発症・再発のきっかけになります。具体的には以下のような要因です。

  • 長時間労働や不規則な生活
  • 人間関係のトラブル
  • 大きな環境変化(転職・転居・結婚・離婚)
  • 睡眠不足や過労

特に双極性障害は、睡眠リズムの乱れが症状の悪化に直結しやすいため、職場環境や働き方の影響を受けやすい特徴があります。


治療と自己管理

薬物療法(気分安定薬など)

治療の基本は薬物療法で、代表的なのは気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなど)です。
躁状態の過剰な高揚を抑えたり、うつ状態への移行を防いだりする働きがあります。症状によっては抗精神病薬や抗うつ薬を併用することもあります。
服薬は長期的に続けることが多く、自己判断で中断すると再発リスクが高まります。

心理社会的療法(CBT、家族療法)

薬物療法に加えて、認知行動療法(CBT)や家族療法などの心理社会的アプローチが有効です。
CBTでは、気分の変化に気づく方法や、ストレスへの対処スキルを学びます。家族療法では、周囲が症状や対応法を理解することで、安心して生活できる環境を整えます。

生活リズムの安定化

生活習慣の安定は、症状管理の基盤です。

  • 毎日同じ時間に起床・就寝
  • 栄養バランスの取れた食事
  • 適度な運動習慣
  • 仕事量や予定を詰め込みすぎない

これらを守ることで、躁状態の突発的な高まりや、うつ状態への急な移行を防ぎやすくなります。


双極性障害に向いている仕事の特徴

安定した勤務時間と休暇

規則正しい勤務時間が確保され、休日もしっかり取れる仕事は、生活リズムを保ちやすく再発防止に効果的です。

作業ペースを自己調整できる業務

その日の体調や集中力に合わせてペース配分ができる仕事は、気分の波がある人に適しています。

静かで落ち着いた職場環境

騒音や人の出入りが多い職場はストレス要因になりやすいため、静かなオフィスや在宅ワークなどが望ましいです。

専門性を活かせる職種

得意分野や資格を活かした専門職は、自己肯定感を高めながら働けます。興味やスキルに合う業務なら、モチベーション維持にもつながります。


具体的な業務例

ルーチンワーク系(データ入力、製造)

反復作業や決まった手順で進める業務は、精神的な負担が少なく、安定就労に向いています。

クリエイティブ系(デザイン、執筆)

創造性を活かす仕事は、自分のペースで進められる場合が多く、得意分野を活用できます。ただし納期管理には注意が必要です。

在宅勤務(翻訳、プログラミング)

通勤による負担を減らし、自宅で集中できる環境を作ることで、体調管理と仕事を両立しやすくなります。

避けたほうが良い仕事

夜勤・長時間労働

双極性障害は生活リズムの乱れが症状の悪化につながりやすいため、夜勤や長時間労働は避けたほうが無難です。特に睡眠不足は躁状態やうつ状態を誘発しやすく、再発リスクを高めます。

突発的対応の多い職種

クレーム対応や緊急対応が頻繁に発生する職場は、ストレスや緊張が積み重なりやすく、気分の安定を保つことが難しくなります。体調の波に合わせた仕事量の調整ができない職種は注意が必要です。

高ストレスの顧客対応業務

常に人と接する接客業や営業職など、感情労働の負担が大きい業務は、症状の再発を招く可能性があります。特に繁忙期の負担が極端に増える職場は避けたほうが安心です。


働き続けるための工夫

症状共有の可否

職場に症状や必要な配慮を伝えるかどうかは、信頼できる上司や人事との関係性、職場文化によって判断します。
オープンにすることで業務量調整や柔軟な勤務が可能になる一方、クローズにして働く場合は自己管理の徹底が求められます。

業務量調整と納期管理

体調の波を踏まえてスケジュールを立てることが重要です。繁忙期や大型案件では、事前に余裕を持たせた計画を組み、納期直前の負担を減らす工夫をしましょう。

定期通院・服薬管理

定期的な診察や服薬は、症状の安定に欠かせません。仕事のスケジュールと通院日をあらかじめ調整し、薬の飲み忘れ防止のためにアラームやアプリを活用する方法も有効です。


利用できる支援制度

障害者雇用枠

障害者雇用枠で働くことで、勤務時間の調整や配慮事項の事前共有がしやすくなります。双極性障害の場合も、精神障害者保健福祉手帳を取得すれば活用可能です。

就労移行支援事業所

就労移行支援では、職業訓練や職場実習を通じて、安定して働くためのスキルや生活習慣を整える支援を受けられます。就職後も定着支援を行ってくれる事業所もあります。

医療費助成・障害年金

医療費助成制度を利用すれば、通院や薬代の自己負担が軽減されます。また、症状が長期間にわたり就労に支障をきたす場合は、障害年金の申請も検討できます。


おわりに

双極性障害があっても、自分に合った働き方や職場環境を見つけることで、安定した就労は十分可能です。
大切なのは、症状を理解し、無理をせず、自分のペースを守ること。支援制度や職場の配慮を活用しながら、長く働ける環境を整えていきましょう。
「働くこと」は生活の安定だけでなく、自己肯定感や社会とのつながりを育む大切な要素です。焦らず、一歩ずつ、自分らしいキャリアを築いていきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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