2025/08/11
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双極性障害と仕事|向いている業務・避けるべき職種・働き方のポイント

はじめに

双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する「躁状態」と、落ち込む「うつ状態」を周期的に繰り返す精神疾患です。この気分の波は、日常生活だけでなく、仕事のパフォーマンスにも大きな影響を与えることがあります。
例えば、躁状態のときはアイデアや行動力が活発になり、短期間で成果を上げられる反面、衝動的な判断や過度な働きすぎにより疲弊してしまうこともあります。一方、うつ状態になると集中力や意欲が低下し、これまで普通にこなせていた業務が難しく感じられることがあります。

こうした特性から、双極性障害のある方にとっては「仕事を長く続けること」が大きな課題になる場合があります。そこで本記事では、双極性障害と仕事の関係を整理しながら、向いている仕事や避けたほうがよい職種、そして働き方の工夫について具体的に解説します。適職選びの参考にしていただき、無理なく働き続けられる環境づくりのヒントになれば幸いです。


双極性障害が仕事に与える影響

躁状態時の影響(判断の早さ・衝動性)

躁状態では、脳の活動が活発になり、判断や行動のスピードが速くなります。新しいアイデアが次々と浮かび、複雑な課題にも意欲的に取り組めることがあります。しかし同時に、衝動的な決断をしてしまったり、リスクを十分に考えずに行動してしまったりすることもあります。
また、過集中や過労により、体調を崩すリスクも高まります。特に営業や経営判断など「瞬時の判断」が求められる仕事では、躁状態のときは成果が出ても、その後の反動が大きくなる場合があります。

うつ状態時の影響(集中力・モチベ低下)

うつ状態になると、思考が遅くなったり集中力が続かなかったりして、ミスが増えやすくなります。人との会話や電話対応が負担に感じられることもあり、職場でのコミュニケーションが難しくなる場合もあります。特に納期や時間的制約の厳しい仕事では、この状態が大きなストレスとなり、症状の悪化を招くことがあります。

波による業務パフォーマンスの変動

双極性障害では、症状の波によって業務パフォーマンスが変動します。安定している期間は十分に仕事がこなせても、躁・うつのどちらかに傾くと作業効率が落ちることがあります。この変動が続くと、職場での評価や信頼に影響が出る可能性があります。
そのため、仕事選びの際には「波があっても対応しやすい仕事内容」や「勤務時間・業務量を調整しやすい職場環境」を重視することが重要です。


向いている仕事の特徴

業務量・時間が安定している

双極性障害のある方にとって、毎日の業務量や勤務時間が極端に変動しない仕事は、体調の波を穏やかに保つ助けになります。残業が少なく、繁忙期と閑散期の差が大きくない職種や職場が望ましいでしょう。

刺激やストレスが少ない

過度な競争やプレッシャーが強い職場環境は、症状の悪化要因になりやすいです。静かで落ち着いた環境や、業務中の中断や突発対応が少ない職場は、安定したパフォーマンスを維持しやすくなります。

在宅や柔軟な働き方が可能

リモートワークや時短勤務、フレックスタイム制度など、柔軟な働き方ができる職場は、症状に合わせて働き方を調整しやすくなります。在宅勤務であれば、通勤負担や人間関係のストレスも軽減できます。

得意分野を活かせる

自分の得意分野や興味を活かせる仕事は、モチベーションの維持につながります。得意な分野に集中できる業務は、症状の波があっても成果を出しやすく、自己肯定感の向上にも役立ちます。


具体的な業務例

事務(データ入力、経理補助)

データ入力や経理補助などの事務作業は、業務フローが安定しており、決まったルールに沿って作業することが多いため、症状の波があっても比較的対応しやすい仕事です。在宅でも可能な業務が増えており、柔軟な働き方が選びやすいのもメリットです。

研究・分析系(理系研究職など)

研究や分析業務は、集中力を活かせる環境が整っている場合が多く、突発的な対応が少ない傾向にあります。専門性を活かしながら、自分のペースで進められる点が魅力です。ただし、成果や納期が厳しい場合は負担になることもあるため、事前の条件確認が必要です。

クリエイティブ系(ライティング、Web制作)

ライティングやWeb制作、デザインなどのクリエイティブ業務は、在宅やフリーランスで働ける選択肢が多く、環境調整がしやすい職種です。自分の得意なジャンルやスキルを活かせるため、モチベーションを保ちやすく、症状の波に合わせて作業時間をコントロールできる点もメリットです。

避けるべき仕事の特徴

急な対応や長時間労働

双極性障害のある方にとって、突発的な業務や長時間労働は大きな負担になります。特に、緊急対応が頻発する現場や、終業時間が不規則な職種では、生活リズムが崩れやすく、躁・うつ状態の波を悪化させるリスクがあります。勤務時間や業務量が安定しない職場は、症状のコントロールが難しくなる傾向があります。

成果・売上重視の営業職

成果主義や数字至上主義の営業職は、プレッシャーが強く、精神的な負担が大きくなりがちです。目標未達への焦りや過度な競争環境は、躁状態では無理な行動を誘発し、うつ状態では自己評価を下げてしまう原因になります。人間関係や顧客対応のストレスも蓄積しやすいため、注意が必要です。

夜勤・不規則勤務

夜勤やシフト制など、不規則な勤務形態は睡眠リズムを乱しやすく、双極性障害の症状を悪化させる大きな要因になります。特に、体内時計の乱れは躁・うつのサイクルを不安定にするため、できるだけ避けたほうがよい勤務形態です。


働き方の工夫

気分モニタリングとセルフケア

毎日の気分や体調を記録することで、症状の変化に早く気づき、適切な対応がしやすくなります。スマホアプリや日記を使い、睡眠時間・活動量・気分の浮き沈みを可視化すると効果的です。状態が悪化しそうな兆しが見えたら、早めに休養を取る、通院の間隔を短くするなどの対策をとりましょう。

納期・スケジュール管理の工夫

体調の波を前提に、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。締切直前にまとめて作業するのではなく、早めに着手して少しずつ進めることで、波があっても納期に間に合わせやすくなります。タスク管理ツールを活用すると、進捗の把握や優先順位づけがしやすくなります。

配慮事項の職場共有

必要な配慮事項は、信頼できる上司や人事担当者、産業医などに事前に共有しておくと安心です。「残業はできるだけ避けたい」「業務の優先順位を明確にしてほしい」など、具体的に伝えることで、無理のない業務配分や環境調整がしやすくなります。


支援制度活用

障害者雇用枠のメリット

障害者雇用枠を活用すると、勤務時間や業務内容に配慮を受けやすく、長く働き続けられる環境が整いやすくなります。法定雇用率の対象となるため、企業側も積極的に配慮を行う傾向があります。また、病状に応じて在宅勤務や柔軟な勤務時間の提案が通りやすくなる場合もあります。

外部就労支援サービス

ハローワークの専門援助部門や就労移行支援事業所、地域障害者職業センターなどを利用すると、職場定着のためのサポートが受けられます。履歴書作成や面接練習、職場実習なども活用でき、実際の就職後も定着支援を受けられることがあります。民間の障害者専門求人サイトやエージェントも、配慮のある求人を見つける際に有効です。


おわりに

双極性障害と向き合いながら働くためには、無理のない職業選択環境調整が欠かせません。向いている仕事の特徴を押さえ、自分の症状や体調の波に合わせた働き方を選ぶことで、長く安定して仕事を続けることができます。
重要なのは、「できないこと」ではなく「できること」に目を向け、必要な配慮を受けながら、自分らしい働き方を見つけることです。支援制度や外部サービスも上手に活用し、安心して働ける環境を整えていきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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