2025/08/12
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気分障害を悪化させないセルフケアと職場でできる工夫

はじめに

気分障害は、うつ病や双極性障害などを含む精神疾患の総称で、症状の波や再発リスクが高いことが特徴です。厚生労働省のデータによると、うつ病の再発率は5年以内で50〜80%とされ、症状が落ち着いても油断はできません。
そのため、医師の治療と並行して日常生活のセルフケアを行うことが、長期的な安定と再発防止に直結します。特に職場での環境調整や生活習慣の見直しは、症状を軽減し、安定した就労を続けるために欠かせません。

本記事では、再発を防ぐ生活習慣の工夫職場でできるセルフケア方法を、最新の知見や研究データを交えて解説します。


再発を防ぐ生活習慣

睡眠・食事・運動の安定化

気分障害の再発防止には、生活リズムの安定が非常に重要です。特に「睡眠」「食事」「運動」は三本柱といえる要素であり、これらが乱れると症状悪化の引き金になります。

理想的な睡眠リズムの作り方

  • 就寝・起床時間を毎日ほぼ同じにする(±30分以内)
  • 寝る前のスマホ・PC使用は避ける(ブルーライトが覚醒を促すため)
  • 朝はカーテンを開けて日光を浴びることで、体内時計をリセット

睡眠不足や過眠は、気分の安定を妨げる要因となります。特に双極性障害の場合、睡眠時間の乱れが躁転やうつ転のきっかけになることもあります。

脳の健康を保つ栄養素

  • オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油、チアシード):脳の神経細胞を保護し、炎症を抑制
  • ビタミンB群(豚肉、卵、バナナ):神経伝達物質の生成に必須
  • トリプトファン(大豆製品、乳製品):セロトニンの原料となり、安定した気分を保つ

栄養バランスの偏りは脳機能の低下につながるため、食事はなるべく多様な食品を組み合わせることが望まれます。

軽い運動がメンタルに与える効果

  • 1日20〜30分のウォーキングでストレスホルモン(コルチゾール)を減少
  • 筋トレやストレッチは自律神経を整える効果が期待できる
  • 運動後にはエンドルフィンが分泌され、幸福感や達成感を感じやすくなる

ストレスマネジメント

ストレスは気分障害の再発トリガーになりやすいため、日常的な管理が必要です。

マインドフルネス瞑想の活用

近年、ストレス軽減や集中力向上に効果があると注目されるのがマインドフルネス瞑想です。
方法はシンプルで、1日5〜10分、呼吸に意識を向けながら「今ここ」に集中します。雑念が浮かんでも否定せず受け流すことがポイントです。

ストレス要因を記録する「ストレス日記」

  • その日の気分を10段階で記録
  • どんな出来事・人間関係が気分に影響したかメモする
  • 定期的に振り返ってパターンを把握

こうした記録は、医師やカウンセラーに共有することで、より適切な対策につながります。


趣味やリフレッシュ時間の確保

気分障害の安定には、「楽しい」と感じられる時間を持つことが重要です。仕事や家事以外の活動は、脳をリセットし、自己肯定感を高める効果があります。

短時間でできる気分転換方法

  • 5分間の深呼吸やストレッチ
  • 好きな音楽を1曲だけ聴く
  • 香り(アロマ)を使ったリラックス

自然とのふれあいの効果

自然の中で過ごすことは、ストレスホルモンを減らし、心拍数や血圧を安定させるといった生理的効果が報告されています。
公園を散歩するだけでも、心が落ち着き、思考がクリアになることがあります。

仕事とのバランス

気分障害を抱えながら働き続けるためには、業務量やスケジュールの調整、そして職場との適切な情報共有が欠かせません。無理を重ねてしまうと、症状の悪化や再発につながる可能性が高くなるため、日頃から負担をコントロールする工夫が必要です。


業務量の調整方法

上司との業務量共有方法

  • 週1回程度、上司と業務進捗を共有
  • 優先順位を一緒に整理して、不要なタスクは削減
  • 体調が不安定な時期は、納期や作業時間を事前に相談

口頭だけでなく、メールやチャットで文章化すると認識のズレを防げます。

繁忙期対策の工夫

  • 事前にスケジュールを把握し、繁忙期に備えて作業を前倒し
  • 繁忙期中は残業を減らすためのサポート体制を依頼
  • 必要に応じて在宅勤務や短時間勤務を活用

無理をしないスケジュール管理

タスク管理ツールの活用例

  • TrelloやNotion:業務を「今」「次」「完了」に分けて見える化
  • Googleカレンダー:作業時間・休憩時間をブロックで設定
  • 「1日のタスクは3〜5個まで」と上限を決める

過密スケジュールは心身の負担を増やすため、余白を持たせた計画が重要です。


休職と復職のステップ

主治医と職場の連携方法

  • 症状の経過や業務復帰の可否を医師が判断
  • 医師の診断書に基づき、会社と復職条件を調整
  • 定期的な受診時に職場の状況を報告し、治療方針に反映

リワークプログラムの活用事例

  • 通所型の復職支援プログラムで、模擬業務や生活リズムを整える
  • 実際に復職後も、段階的に勤務時間を増やすスモールステップ方式
  • ケース例:週3日の短時間勤務からスタートし、半年かけてフルタイム復帰

職場への依頼

職場の理解と配慮は、安定して働くための土台です。必要なサポートを明確に伝えることで、双方にとって負担の少ない働き方が可能になります。


配慮事項の例

静かな作業環境

  • 周囲の雑音が少ない席への配置
  • 集中が必要な業務は会議室や個別ブースで対応
  • ノイズキャンセリングイヤホンの使用許可

業務の優先順位明確化

  • 緊急度・重要度を明確にした指示を受ける
  • 曖昧な依頼は具体的な納期と内容を確認
  • 同時進行タスクは2〜3件までに制限

発作的症状や落ち込み時の対応依頼

早期サインの共有方法

  • 「集中力の低下」「メール返信の遅れ」など、自分なりの初期サインを上司と共有
  • 兆候が見えた時に早めに声をかけてもらう仕組みを作る

一時的な業務軽減の事例

  • 数日間は軽めの業務にシフト
  • 納期延長や業務分担で負荷を減らす
  • 在宅勤務に切り替えて休養と業務を両立

活用できる制度

気分障害と向き合いながら安定して働き続けるためには、公的制度や支援サービスの活用が大きな助けになります。
ここでは、特に利用頻度が高く、就労や生活の安定に直結する制度を紹介します。


障害者雇用枠

応募から採用までの流れ

  1. 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得
    ※診断書や一定期間の通院記録が必要
  2. ハローワークや民間就労支援サービスに登録
    障害者雇用枠の求人情報を入手
  3. 応募・面接
    必要な配慮事項を事前に整理し、面接で伝える
  4. 採用・職場定着支援
    ジョブコーチや支援機関が職場に訪問し、環境調整をサポート

障害者雇用枠を利用することで、配慮のある業務環境定着支援を受けやすくなります。


自立支援医療制度

対象条件と申請手順

  • 対象:精神科や心療内科で治療を受けている人(継続的な通院が必要な方)
  • 内容:通院や薬代の自己負担が1割に軽減
  • 申請手順
    1. 主治医に「自立支援医療制度用診断書」を作成してもらう
    2. 市区町村の窓口(福祉課など)で申請
    3. 約1〜2か月後に受給者証が発行される

医療費の負担が減ることで、治療の継続がしやすくなるのが大きなメリットです。


障害年金

等級と支給額の目安

  • 1級:日常生活のほぼ全般に常時支援が必要(年間約97万円〜)
  • 2級:日常生活や就労に大きな制限がある(年間約78万円〜)
  • ※金額は国民年金(障害基礎年金)の場合。厚生年金加入者は上乗せあり

申請の注意点

  • 初診日の証明(診断書やカルテ)が必須
  • 症状の詳細を具体的に記載した診断書が重要
  • 社会保険労務士など専門家のサポートを受けると申請成功率が上がる

障害年金は生活の安定だけでなく、治療や就労継続のための心理的安心感にもつながります。


まとめ

気分障害と付き合いながら働き続けるためには、日常管理(セルフケア)と職場での配慮・調整、そして公的制度の活用が三本柱です。

  • 日常管理:睡眠・食事・運動の安定、ストレスマネジメント、趣味・リフレッシュ時間の確保
  • 職場調整:業務量・スケジュールの調整、静かな作業環境、優先順位の明確化
  • 制度活用:障害者雇用枠、自立支援医療制度、障害年金など

これらを組み合わせ、長期的な視点で「無理なく働ける環境」を維持することが、再発予防とキャリア継続の鍵です。

「治療+セルフケア+職場調整+制度活用」という4つの柱を意識して、安定した就労と生活を目指しましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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