2025/08/15
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LD(学習障害)のある人に向いている仕事・避けたい職種・働きやすくする職場環境

はじめに

LD(Learning Disabilities:学習障害)は、知的発達に遅れはないにもかかわらず、読む・書く・計算するといった特定の学習分野に著しい困難を抱える状態を指します。
学校生活だけでなく、社会に出てからもその特性は影響し、職場での業務パフォーマンスや人間関係に関わることがあります。

近年、発達障害やLDに対する認知は少しずつ広がっていますが、職場ではまだ十分な理解や配慮が行き届いていないケースもあります。
そのため、本人が自分の特性を理解し、向いている仕事を選ぶこと、そして職場が適切な環境を整えることが、長く安定して働くための鍵となります。


仕事で起こりやすい困りごと

読字・書字の困難による事務作業の遅れ

読字障害(ディスレクシア)や書字表出障害(ディスグラフィア)がある場合、書類やメールの処理に時間がかかる傾向があります。
具体的には以下のようなケースがあります。

  • 契約書や仕様書の文章を読み終えるのに通常より時間がかかる
  • 誤字脱字や漢字の間違いが多く、修正に時間がかかる
  • 板書やメモのスピードが遅く、会議内容を記録しきれない

このため、納期や締切に追われる環境ではストレスが大きくなりやすく、パフォーマンスに影響します。


数値ミスや計算エラー

算数障害(ディスカリキュリア)がある場合、数値や数量の処理に困難を感じることがあります。

  • 桁数の多い数字を読み間違える
  • 繰り上がり・繰り下がり計算で頻繁にミスをする
  • 単位換算(kg⇔g、分⇔時間など)が苦手

経理や在庫管理、データ分析など、正確な数値処理が求められる業務では、こうした特性がミスや作業遅延につながる可能性があります。


マルチタスクの混乱

複数の作業を同時進行で進める「マルチタスク」は、LDのある人にとって大きな負担になる場合があります。

  • Aの作業中にBの依頼が入り、元の作業手順を忘れてしまう
  • 作業の優先順位が分からなくなる
  • 指示が口頭のみで、記録が残らない場合に混乱が増す

このような状況では、タスク管理ツールや作業手順書などのサポートが不可欠です。

向いている職種

視覚・聴覚・体感覚を活かせる仕事

LDがあっても、視覚・聴覚・体感覚を活かす業務では特性がプラスに働くことがあります。
特に「手順が明確」「反復的」「成果が目に見える」仕事は適性に合いやすい傾向があります。

調理

レシピや調理手順が視覚的に確認でき、五感を使って進められるため、文章や数値処理よりも体感覚が中心になります。飲食業や給食調理はチームで作業することも多く、役割分担がしやすい点もメリットです。

介護

身体介助や生活支援など、直接的なコミュニケーションや動作が中心です。記録業務はありますが、マニュアル化やICTツールの導入で負担を軽減できます。

製造

製造ラインや組み立て作業は、工程が決まっていて反復性が高く、集中しやすい環境です。視覚的な確認や手の動きを活かす業務が多く、特性と合いやすいです。

アート

絵画、彫刻、工芸などの創作活動では、文字や数字ではなく感覚や発想力が評価されます。作品制作の工程は自分のペースで進められる場合も多く、得意分野を活かせます。


専門スキルを深められる職種

特定分野に集中してスキルを磨ける職種は、LDのある人に向いています。苦手分野をカバーしながら強みを伸ばすことで、専門家として活躍できる可能性が広がります。

デザイン

グラフィックデザインやWebデザインは、視覚的なセンスや構成力が求められます。文章作成よりもビジュアル表現が中心のため、読み書きの負担が軽減されます。

写真

構図、光、色彩感覚を活かせる写真撮影や編集は、感性や集中力を武器にできます。説明文や数値管理は最低限で済むため、特性に合いやすいです。

工芸

陶芸、木工、金属加工などの工芸分野では、手先の器用さや持続的な作業能力が評価されます。成果物が形として残るため、達成感も得やすい職種です。


避けたほうがよい職種

大量の書類作成が必要な事務職

読字障害や書字表出障害がある場合、長時間の文書作成や大量の資料処理は大きな負担になります。特に正確性が求められる契約書や報告書作成では、ストレスやミスのリスクが高まります。

高精度な計算が必須の経理・会計

算数障害がある場合、日々の仕訳や決算処理など、正確な数値管理を求められる業務は適性に合わないことが多いです。電卓やソフトを使っても、入力ミスや読み間違いが続くと大きなトラブルにつながる可能性があります。

読み上げ・読み取りが多い業務

コールセンターや司会業など、台本や文章を大量に読み上げる業務、または仕様書や契約書を頻繁に読み取る仕事は、読字障害がある人にとって大きな負担です。
誤読が許されない業務では、緊張やプレッシャーが強まり、パフォーマンスに影響する場合があります。

働きやすくする工夫

ITツールの活用

デジタル技術はLDのある人の仕事効率を大きく向上させます。特性に合ったツールを活用することで、読み書きや計算の負担を軽減し、業務の正確性を高められます。

音声読み上げソフト

契約書やメール、資料などの文章を音声で読み上げてくれるソフトを使えば、読字の負担を減らせます。PC・スマホ向けに多くのアプリがあり、画面上の文章を自動で読み上げてくれる機能を持つものもあります。

計算支援アプリ

見積書や請求書作成の際には、計算機能付きの表計算ソフトや計算アプリを利用すると便利です。単位換算や税計算を自動化すれば、計算ミスを防ぎやすくなります。


業務手順のマニュアル化

作業内容や業務フローを文章だけでなく、写真や図解、チェックリストとして残しておくと、手順を見返しやすくなります。
特に新しい業務を覚える際や、複数人で同じ作業を行う場合に有効です。


作業工程の分割

大きな業務を小さなステップに分け、1つずつ順番に取り組む方法は、マルチタスクの混乱を防ぐのに効果的です。
例として、レポート作成なら「資料集め」→「項目ごとの下書き」→「文章化」→「最終確認」というように区切ります。


支援制度

障害者雇用枠

障害者手帳を取得すれば、障害者雇用枠での就職・転職が可能になります。この枠では、面接時に配慮事項を共有しやすく、仕事内容や環境を事前に調整してもらえる可能性が高まります。

ジョブコーチ制度

専門の支援員(ジョブコーチ)が職場に訪問し、本人と職場双方に助言や調整を行う制度です。仕事の進め方や人間関係の築き方をサポートしてくれるため、職場定着率の向上につながります。


まとめ 〜当事者へのメッセージ〜

LD(学習障害)があるからといって、働くチャンスが限られるわけではありません。むしろ、環境を整え、自分に合った仕事を選べば、特性は強みに変わります。
あなたが苦手だと感じる部分は、工夫やツールで補うことができます。そして、その分野が苦手な人は他にも多く存在します。だからこそ、得意な分野で力を発揮すれば、職場に欠かせない存在になれるのです。

一人で抱え込む必要はありません。支援制度や職場の理解を得ながら、少しずつ前に進んでいきましょう。あなたの可能性は、環境次第で大きく広がります。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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