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摂食障害があっても働ける?向いている仕事・避けたい職種・職場での工夫

この記事の内容
はじめに
摂食障害(拒食症・過食症など)は、食事や体重に強いこだわりを持つことで心身に影響が現れる疾患です。症状は体調や心理状態によって変化しやすく、就労や社会生活にも大きく関わります。
「体力が続くか不安」「食事の場面を避けたい」「周囲に理解してもらえるか心配」といった悩みを抱え、働くことに一歩踏み出せない方も少なくありません。しかし、摂食障害があっても、自分に合った職種や働き方を選び、環境を工夫することで安定して働ける可能性は十分にあります。
本記事では、摂食障害を抱える方が直面しやすい就労の課題や、向いている仕事・避けたい職種、そして職場での工夫について詳しく解説します。
仕事で起こりやすい困りごと

体力低下による欠勤
摂食障害は、栄養不足や過食後の疲労により体力が低下しやすく、朝起きられない・勤務を継続できないといった課題を抱える方が多いです。
- 例1:拒食傾向 → 貧血や低血糖で立ちくらみが多発し、長時間の立ち仕事が困難
- 例2:過食傾向 → 食後の倦怠感や胃腸トラブルで午後の集中力が低下
こうした体調不良によって欠勤や早退が増えると、職場での評価や人間関係にも影響が及ぶことがあります。
食事時間や外食への不安
摂食障害の人にとって「食事の場」は大きなストレス要因です。その背景には、病気特有の心理的な要素があります。
- 「他人に見られる」不安
→ 食べる量や食べ方を人に見られると「少なすぎると思われないか」「食べすぎだと見られないか」と過剰に気になり、緊張して食べられなくなる。 - 「自分で選べない」不安
→ 出張や会食の場ではメニューを自由に調整できないため、「高カロリーの料理しかない」「食べられる物が出てこない」などの状況に強い不安を抱きやすい。 - 「断れない」不安
→ 職場の飲み会やランチ会では、食事を断ると「付き合いが悪い」と思われるのではないかと気にしてしまい、結果的に無理に参加してストレスを感じたり、逆に参加を避けて孤立につながることもある。
このように、摂食障害の方にとって「食べる」という行為は単なる栄養摂取ではなく、人間関係や自己評価に直結する大きなテーマです。そのため、職場での昼休憩や外食イベントは、他の人にとっては当たり前でも、当事者にとっては大きなハードルになりやすいのです。
集中力・感情の波
摂食障害は、体調だけでなく感情の安定性にも影響します。
- 栄養不足 → 集中力低下・イライラしやすい
- 過食後 → 自責感から気分が落ち込み作業効率が下がる
また、「うまく働けない自分」に対する否定的な思考が強まることで、さらに症状が悪化する悪循環に陥るケースもあります。
向いている職種・働き方

体力負担が少ない仕事
体調の波に左右されにくい、座ってできる仕事が適しています。
- 事務職(データ入力・経理補助など)
→ パソコンを使った業務が中心で、体力消耗が少なく、短時間勤務や在宅ワークへの移行もしやすい。 - 検品や品質管理などの軽作業
→ 決まった手順を繰り返すため集中しやすく、作業量を調整しやすい。 - コールセンターや問い合わせ対応(在宅も可)
→ 基本的に座って行う仕事で、研修やマニュアルが整っている場合が多い。電話応対やチャット対応を自宅から行える求人も増えている。 - データチェック・書類スキャンなどのバックオフィス業務
→ 細かい作業に集中でき、食事や体調管理のリズムを大きく乱さずに取り組める。
特に「決まった作業を繰り返す」仕事は、心身の負担が比較的少なく、安定して続けやすい傾向があります。
在宅勤務・柔軟な働き方
リモートワークやフレックスタイムを導入している企業は、摂食障害を抱える人にとって安心できる環境です。
- 自宅で働けるため、食事や休憩を自分のリズムで取れる
- 通勤の体力消耗や食事イベントのストレスを避けられる
- 突発的な体調不良にも柔軟に対応できる
在宅勤務の普及により、以前より働き方の選択肢が広がっています。
専門スキルを活かせる仕事
摂食障害があっても、自分の得意分野やスキルを活かせる仕事なら、モチベーションを保ちながら働けます。
例:ライティング・デザイン・検品作業
- ライティング:文章作成は在宅で可能。体力負担が少なく、集中できる時間帯に仕事を進めやすい
- デザイン:クリエイティブな作業は、自分のペースで取り組める
- 検品作業:決まった流れで集中でき、短時間でも達成感を得られる
スキルや経験を積むことで、フリーランスや在宅ワークとして収入を得る道も開けます。
避けたほうがよい職種
体力消耗が激しい仕事
建設業・介護・運送など、長時間の立ち仕事や肉体労働は体力的に厳しく、体調を崩しやすい傾向があります。
不規則勤務・夜勤
夜勤やシフト制の仕事は、生活リズムを乱しやすく、症状の悪化につながることがあります。特に栄養管理や服薬管理が必要な人にとっては大きなリスクです。
食事が関係する接客業
飲食店や接待を伴う営業職は、食事イベントが避けられず強いストレスを感じやすい職種です。
- 「食べないと不自然」と思われるプレッシャー
- 食事シーンでの不安や恐怖心
これらが仕事継続の大きな障害になることがあります。
職場での工夫

勤務時間や業務量の調整
摂食障害を抱える方が働きやすい環境をつくるためには、無理のない働き方を意識することが大切です。
- 時短勤務の活用
→ 午前中の体調不良が多い場合は午後から勤務する、フルタイムではなく週数日から始めるなどの調整が効果的です。 - 業務量の段階的調整
→ 入社直後からフル業務を抱えるのではなく、できる範囲から少しずつ仕事を広げていくことで継続しやすくなります。 - 在宅勤務との組み合わせ
→ 通勤や食事イベントを避けられる在宅勤務を一部取り入れると、体調や気分に左右されにくくなります。
職場での食事対応
食事時間や外食が不安要因になることは前半で触れましたが、職場での工夫によって大きく負担を軽減できます。
- 昼休憩の取り方を調整
→ 食事が難しいときは「休憩時間は休養に充てる」とし、必要に応じて個別に食事をとる。 - 外食イベントの柔軟対応
→ 会食やランチ会に必ず参加する必要はありません。参加が難しい場合は「別の日に交流する」などの代替案を活用。 - 食事を伴わないコミュニケーションの場を増やす
→ 仕事後の雑談やオンライン交流など、食事以外で人間関係を築く機会を持てると安心です。
症状の共有と合理的配慮
企業や同僚に対して「どのような配慮が必要か」を共有することは、安定して働き続けるために不可欠です。
- 配慮を伝える際のポイント
- 「食事イベントには参加が難しいが、業務には支障がない」
- 「長時間立ち仕事は体調を崩しやすいので、休憩を挟みたい」
- 「突発的な欠勤の可能性があるため、業務分担を調整してほしい」
- 「食事イベントには参加が難しいが、業務には支障がない」
- 合理的配慮の具体例
- 休憩時間を柔軟に設定
- 出張や会食の参加を強制しない
- 突発的な休みが出ても対応できるチーム体制を整える
- 休憩時間を柔軟に設定
こうした小さな配慮が積み重なることで、安心して働ける環境が実現します。
働き続けるためのセルフケア
休養と栄養管理
摂食障害の改善や安定就労には、休養と栄養バランスが欠かせません。
- 睡眠リズムを整える → 寝不足は過食・拒食を悪化させる要因に
- 無理のない食事習慣 → 少量でも定期的に摂ることで体力が安定
- 主治医や管理栄養士のサポート → 食事に関する不安を一人で抱え込まない
ストレス対処法
職場でのストレスは症状悪化の大きな原因となるため、自分に合ったリフレッシュ法を持つことが大切です。
- 呼吸法や軽い運動 → 緊張を和らげ、集中力を回復
- 趣味や創作活動 → 食事以外の「楽しみ」を持つことで心が安定
- 信頼できる人に話す → 不安を言葉にするだけでも気持ちが軽くなる
治療と両立する働き方
治療を継続しながら働くことは十分可能です。
- 通院日を事前に職場に共有し、勤務調整を依頼する
- 投薬がある場合は服薬時間を確保しやすい勤務形態を選ぶ
- 無理をして治療を中断しないことが、長期就労の鍵になります
支援制度
障害者雇用枠
摂食障害は症状の程度によっては「精神障害者保健福祉手帳」の対象になり、障害者雇用枠での応募が可能です。
- 配慮を受けながら働ける
- 勤務時間や業務内容を柔軟に調整しやすい
- 就職支援サービスや定着支援が受けられる
ジョブコーチ制度
厚生労働省が推進する制度で、専門のジョブコーチが企業と本人の間に入り、働きやすい環境づくりをサポートします。
- 職場内での配慮事項を調整
- 上司や同僚への理解促進
- 本人の不安軽減と就労定着支援
この制度を利用することで、企業側も安心して雇用でき、本人も長期的に働きやすくなります。
まとめ
摂食障害があるからといって「働けない」と決めつける必要はありません。
- 自分に合った適職選び(体力負担が少ない、柔軟な働き方)
- 職場での工夫と合理的配慮(食事対応・勤務時間の調整)
- セルフケアと治療の継続(休養・栄養・ストレス対処)
- 支援制度の活用(障害者雇用枠・ジョブコーチ制度)
これらを組み合わせることで、安定した就労と生活の両立が可能になります。最後に、摂食障害を抱えている方へ。
「人と同じように働けるのか」と不安に感じる瞬間もあるかもしれません。しかし、働き方や環境は一つではなく、あなたに合う形を見つけることで社会で力を発揮できます。焦らず、自分のペースで歩んでいきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









