2025/08/20
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数より質!障害者雇用の求人で見極めたいポイントとは?

この記事の内容

はじめに

ここ数年、障害者雇用の求人数は年々増加し、求人サイトやハローワークでも多くの募集が見られるようになりました。一見すると「選択肢が広がって就職活動がしやすくなった」と思われがちですが、その裏では「求人が多すぎて、どの会社を選べば良いか分からない」という声も少なくありません。

特に障害者雇用においては、数よりも質を重視する姿勢が欠かせません。なぜなら、求人票に記載されている情報が曖昧だったり、実際には配慮が不十分な職場であったりすると、就職後にミスマッチが生じ、短期離職につながるリスクが高まるからです。

本記事では、障害者雇用の求人を選ぶ際に注意すべき落とし穴や、求人票で確認すべき基本的なチェックポイントを整理して解説します。これから就職活動を始める方や、転職を考えている方が「後悔しない就活」を実現するための参考になれば幸いです。


障害者雇用の求人にありがちな落とし穴

求人数が多い=良い求人とは限らない

求人件数が多いと「選びやすい」「安心できる」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。実際には、求人数が多くても仕事内容が不明確だったり、配慮がない求人も多く含まれています。

例えば、「事務補助」とだけ記載されている求人でも、実際には電話対応や来客対応が必要になるケースがあります。求人の“数”に惑わされず、一つひとつの中身を丁寧に確認する姿勢が大切です。

法定雇用率達成のためだけの求人

日本の企業には、一定の割合で障害者を雇用することが義務付けられています(法定雇用率)。そのため、中には「雇用率を達成するためだけ」に求人を出しているケースもあります。

この場合、採用されても実際には仕事が与えられなかったり、単純作業だけにとどまってスキルアップの機会が得られないなど、働く側にとって不満やモチベーション低下につながりやすいのが現実です。

仕事内容が曖昧で「配慮なし」のケース

求人票に仕事内容が詳しく書かれていない場合は注意が必要です。特に「軽作業」「事務補助」といった表現だけでは、どこまでの業務を求められるのか判断できません。

また、「障害に応じた配慮」について記載がない求人も要注意。働き始めてから「想像以上に負担が大きい」と気づくことも少なくありません。

短期離職につながる求人の特徴

短期間で退職するケースが多い求人には共通点があります。

  • 配慮やサポート体制が整っていない
  • 上司や同僚の理解が不足している
  • 業務量が多く、特性に合っていない
  • 相談窓口や定期面談の仕組みがない

こうした特徴を持つ求人は、入社後に「働き続けるのは難しい」と感じやすく、結果として早期離職につながってしまいます。

ただし、これらの情報は求人票だけでは見極めにくいのが現実です。そのため、

  • 面接で「配慮やサポート体制はどのように整えていますか?」と質問する
  • 実際に職場見学を依頼して雰囲気を確認する
  • 企業側に「求人票に配慮内容を記載してほしい」と伝える

といった工夫が有効です。最近では、積極的に障害者雇用に取り組む企業ほど、求人票に「相談体制」「通院配慮」「在宅勤務の有無」といった具体的な情報を載せるようになってきています。

求職者が安心して応募できるように、企業にも情報開示を促していくことが、質の高いマッチングにつながります。


求人票で確認すべき基本情報

求人票は、求人の質を見極めるための第一歩です。ただし、表面的な条件だけで判断してしまうと後悔する可能性があります。以下のポイントを必ずチェックしましょう。

雇用形態・給与・勤務時間

「正社員・契約社員・パート」などの雇用形態や給与体系(時給制・月給制)はもちろん、勤務時間の柔軟性も大切です。通院や体調管理が必要な方は、時短勤務やシフト調整が可能かどうかを確認しておきましょう。

配慮事項の記載有無

求人票に「障害者への配慮内容」が記載されているかは重要なチェックポイントです。

  • 通院配慮(勤務調整可)
  • バリアフリー環境
  • 在宅勤務制度
  • 相談窓口の設置

こうした記載がある求人は、実際に配慮が行われている可能性が高いと言えます。

業務内容の具体性

「事務補助」と書かれていても、データ入力のみなのか、電話対応・郵便仕分けまで含まれるのかで負担は大きく変わります。具体性がない場合は、必ず面接や問い合わせで詳細を確認しましょう。

勤務地・通勤負担

勤務地が通勤可能な範囲かどうかは、長く働き続けるうえで非常に重要です。特に、体調に波がある方にとっては「通勤時間が長すぎる」「バリアフリー化されていない駅を利用する必要がある」といった条件は大きな負担になります。

実際にGoogleマップなどで通勤時間をシミュレーションしたり、可能なら職場見学をしてアクセス環境を確認しておくと安心です。

見極めのポイント①|職場環境と配慮体制

障害者雇用で安心して働き続けるためには、職場環境と配慮体制がどの程度整っているかを確認することが欠かせません。求人票だけでは十分に分からない部分が多いため、面接や企業説明会でしっかり確認しましょう。

合理的配慮が制度として整っているか

企業は法律上、障害者の特性に応じた「合理的配慮」を行う義務があります。例えば、勤務時間の調整、作業環境の整備、業務量の調整などです。

ただし、求人票に具体的な配慮内容が記載されていない場合も多いのが現実です。そのため、面接の際に「制度としてどのような配慮がありますか?」と確認することが大切です。

在宅勤務や時短勤務の可否

体調管理や通院をしながら働く方にとって、在宅勤務や短時間勤務は大きな安心材料となります。コロナ禍以降、多くの企業が在宅勤務制度を導入していますが、障害者雇用枠でも利用できるかどうかは別問題です。

「障害者雇用枠でも在宅勤務は可能ですか?」「時短勤務は制度として認められていますか?」と具体的に確認しましょう。

バリアフリー・通院配慮の有無

身体障害のある方にとっては、オフィスや通勤経路がバリアフリー化されているかどうかが重要です。また、通院が必要な場合には休暇や勤務調整の配慮があるかを事前に知っておく必要があります。

求人票に「バリアフリー対応」「通院配慮あり」といった記載があれば安心材料になりますが、曖昧な場合は必ず確認を。

面接で確認すべき質問例

求人票だけでは分からない配慮内容は、面接で直接質問することが有効です。例えば次のような質問が参考になります。

  • 「体調に波がある場合の対応は?」
    → 突発的に体調を崩した場合、柔軟に勤務調整が可能か確認。
  • 「通院のための休暇は取りやすいか?」
    → 通院配慮が制度として認められているかどうかを具体的に聞く。

こうした質問をすることで、企業側の理解度やサポート体制の実態が見えやすくなります。


見極めのポイント②|業務内容と特性のマッチング

「どんな環境で働くか」と同じくらい大事なのが、「どんな仕事をするか」です。障害の特性に合った業務内容を選ぶことが、長期的な定着につながります。

精神障害の場合 → 短時間勤務・定型業務が合いやすい

うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神障害を持つ方は、急な体調の波が出やすいため、短時間勤務やルーチンワークとの相性が良いとされています。負担が軽減され、安定して働きやすくなります。

身体障害の場合 → 通勤負担・設備環境に注意

身体障害の場合は、通勤のしやすさと職場環境の設備が重要です。エレベーターやスロープの有無、車椅子対応のトイレ、通勤距離などを考慮しましょう。長時間の移動や段差の多い環境は負担になりやすいため、求人票の記載だけでなく現地確認も推奨されます。

発達障害の場合 → 視覚的なマニュアルやルーチン作業が向いている

発達障害のある方は、マニュアルが整った仕事や繰り返しのある作業に強みを発揮しやすい傾向があります。逆に、突発的な対応や臨機応変さが求められる業務はストレスになりやすいため注意が必要です。

求人票だけで判断できないときの確認方法

求人票の記載内容だけで判断できないときは、以下のような方法で情報を補いましょう。

  • 面接で業務の詳細を確認する
  • 職場見学を依頼して実際の作業環境を見る
  • 就労支援機関やエージェントを通じて内部情報を得る

見極めのポイント③|企業の本気度

最後に確認したいのは、企業が「障害者雇用にどれだけ本気か」という点です。単に採用すればよいという姿勢なのか、長期的に戦力化を目指しているのかで、働きやすさは大きく変わります。

法定雇用率対策だけでなく「戦力化」を目指しているか

企業によっては「雇用率を満たすためだけ」の採用に留まることもあります。一方で、長期的にキャリア形成を支援し、社員として戦力化を目指す企業もあります。この違いを見極めることが重要です。

社内研修や理解促進の取り組み

障害者雇用に積極的な企業ほど、管理職や同僚向けに障害理解の研修を実施しています。研修の有無を確認することで、働き始めた後の周囲の理解度をある程度把握できます。

定着率・離職率をチェックする方法

求人票には記載されていないことが多いですが、企業説明会や面接で「過去の定着率」や「離職率」について尋ねてみるのも一つの方法です。答えを濁す企業よりも、数字を示してくれる企業の方が透明性が高いと言えます。

企業の事例紹介やインタビューを参考にする

企業の公式サイトや採用ページには、障害者雇用の取り組み事例や社員インタビューが掲載されている場合があります。実際の声を知ることで、求人票だけでは分からないリアルな情報を得られます。

求人探しに役立つツールとサービス

障害者雇用の求人を探す際には、自分に合ったツールやサービスを活用することで、情報の偏りを防ぎ、効率よく「質の高い求人」にたどり着けます。

ハローワークと民間エージェントの違い

  • ハローワーク
    公共機関として、全国の幅広い求人を扱っています。無料で利用できることが最大のメリットですが、求人票の情報がシンプルで、配慮内容まで十分に分からないこともあります。
  • 民間エージェント
    障害者雇用に特化したエージェントでは、求人票だけでなく企業内部の雰囲気や配慮体制の実態まで教えてもらえるのが特徴です。担当者が面接同行してくれるサービスもあり、初めての就職・転職には大きな安心感があります。

就労移行支援事業所を活用するメリット

就労移行支援事業所は、一般企業で働くことを目指す障害者のために、就労訓練や職場体験をサポートしてくれる福祉サービスです。

  • 働く前に「模擬職場」で練習できる
  • 自分に合う働き方や業務の適性を知れる
  • 企業見学や実習を通じてミスマッチを防げる

特に「就職しても続かないのでは…」と不安を感じている方には、事前準備の場として大きなメリットがあります。

障害者専用の求人サイトの活用

障害者雇用に特化した求人サイトも増えています。これらのサイトでは、求人票に配慮内容や実際の働き方の事例が掲載されているケースが多く、一般の求人サイトよりも情報が詳細です。

口コミサイト・体験談の見極め方

最近は口コミサイトやSNSでも企業の評判を調べられます。ただし、ネガティブな意見だけに偏ると本質を見誤る可能性があります。

  • 複数の口コミを見て共通点を探す
  • 良い面・悪い面の両方をバランスよく把握する
  • 就労支援機関からの情報と照らし合わせて判断する

こうした工夫で、より信頼性の高い情報収集ができます。


実際の事例から学ぶ「良い求人・悪い求人」

良い求人の事例

  • 求人票に「通院配慮あり」「電話対応なし」「相談員配置」といった配慮が明示されている
  • 入社後も定期的に面談があり、体調や業務量を調整できる
  • 研修制度やキャリア支援が整っており、スキルアップを目指せる

こうした求人は「働き続けやすさ」が高く、結果として定着率も高い傾向があります。

悪い求人の事例

  • 仕事内容が「事務全般」「軽作業」など曖昧で具体性がない
  • 配慮に関する記載がゼロで、面接でも曖昧な回答しか得られない
  • 実際に入社してみると、上司や同僚の理解不足から孤立し、数ヶ月で退職に至ったケースもある

こうした求人は、法定雇用率を満たすためだけの「数合わせ採用」である可能性もあり、要注意です。

求職者の体験談から見える判断基準

実際の体験談を読むと、「求人票では分からなかったけれど、面接での質問や職場見学で雰囲気を確認したことが決め手になった」という声が多いです。
「求人票+面接質問+見学体験」の3点セットで判断することが、良い求人を見極める近道だと言えるでしょう。


まとめ|数より質を重視して自分に合う職場を選ぼう

障害者雇用の求人数は年々増加しており、選択肢は広がっています。しかし、求人が多いからといって安心するのではなく、「質」を見極めることが何より重要です。

  • 求人数が多い時期でも、内容をしっかり確認して「質」を重視する
  • 配慮体制や仕事内容をチェックポイントとして整理する
  • 良い求人とは「長く安心して働ける職場」である

焦って決めてしまうのではなく、時間をかけて見極めることこそがキャリア成功への第一歩です。「長く働ける職場=良い求人」。
この視点を持って就職活動を進めれば、きっと自分に合う職場に出会えるはずです。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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