2025/08/21
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障害者雇用の面接対策|自己紹介・障害説明・配慮事項の伝え方

はじめに

障害者雇用の面接は、一般採用と同じくスキルや経験を確認される場ですが、それだけではありません。
大きな特徴は 「どのような配慮があれば安心して働けるか」 を伝える機会でもあることです。

自己紹介や障害の説明、配慮事項の伝え方によって、面接官の印象や採用の判断は大きく変わります。適切に伝えることで、採用側も安心して受け入れ準備を整えることができ、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。

本記事では、障害者雇用の面接において求められる特徴を整理し、安心して面接に臨むための具体的な伝え方のコツ を解説していきます。


障害者雇用の面接の特徴

一般採用との違い

一般採用の面接では「即戦力」や「スキルの高さ」が重視されるケースが多いですが、障害者雇用の面接では 「継続して安定的に働けるか」 が特に重視されやすい傾向があります。

もちろん、PCスキルや業務に必要な基礎スキルは重要です。特に事務職やデータ入力などでは、Word・Excelなどの操作ができるかどうかは企業にとって大きな判断材料になります。

しかし、企業がより強く確認したいのは、 「そのスキルを安定して発揮し、長期的に勤務できるか」 という点です。採用後すぐに退職してしまうと、本人にとっても企業にとっても大きな負担になるため、スキルの高さ以上に「安心して働き続けられるか」が判断基準になっているのです。


企業が面接で知りたいこと

障害者雇用の面接では、企業は次のような点を確認しようとしています。

  • どんな業務が可能か
    例:事務作業、電話対応、軽作業など、自分がどの範囲で対応できるのかを具体的に伝えることが大切です。
  • どんな配慮が必要か
    例:体調に合わせた勤務時間の調整、通院日の考慮、業務環境(椅子・デスク・PCソフトなど)への配慮など。
    面接の時点でしっかり伝えておくことで、入社後にトラブルを防げます。
  • 長期的に勤務できるか
    体調管理の工夫や、過去に継続勤務した実績をアピールすることは大きな信頼につながります。

企業は「障害を持っているから採用する」わけではなく、「業務を任せられるか」「環境を整えれば活躍できるか」 を見極めたいと考えています。そのため、誠実に、かつ前向きに伝えることがポイントです。

自己紹介の伝え方

基本の構成

障害者雇用の面接における自己紹介は、シンプルかつわかりやすくまとめることが大切です。基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 名前(フルネームをはっきり伝える)
  2. 簡単な経歴(学歴や職歴を数行で)
  3. 志望動機(応募企業で働きたい理由を端的に)

長くなりすぎると、相手に伝わりにくくなるため、1~2分程度で話せるボリュームを意識しましょう。


強調すべきポイント

自己紹介では、自分の強みを職種に合わせて的確に伝えることが重要です。

  • 事務職の場合
    WordやExcelなどの PCスキル、入力の正確さやスピードをアピールしましょう。実務に直結するため、企業に安心感を与えられます。
  • 人と関わる仕事の場合
    コミュニケーション能力や調整力を強調するのが効果的です。特にチームでの経験があれば、簡単なエピソードを添えると説得力が増します。

面接官は「この人がどの場面で力を発揮できるか」を知りたいので、強みは具体的に伝えることがカギです。


避けたいNG例

以下のような自己紹介は、印象を下げてしまう可能性があります。

  • 長すぎる経歴説明
    全てを細かく話す必要はありません。重要な部分に絞りましょう。
  • 曖昧な表現
    「頑張ります」「前向きに取り組みます」だけでは具体性がなく、強みが伝わりません。

👉 面接官に「一緒に働くイメージ」が湧くよう、シンプルかつ具体的な自己紹介を心がけましょう。

自己紹介の具体例

例1:精神障害(うつ病)・事務職希望の場合

「〇〇〇〇と申します。これまで事務職として3年間、データ入力や資料作成を担当してきました。前職はうつ病の症状が強くなり退職しましたが、現在は通院・服薬を継続しながら、安定して働ける状態を維持しています。今後は体調を見ながら、上司に相談しつつ無理なく業務を続けていきたいと考えています。PC操作やExcelの関数を使った集計が得意で、正確さを大切に仕事を進めることができます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」

👉 ポイント:退職理由を正直に伝えつつ、現在は安定して働けることを強調。PCスキルと「相談しながら継続勤務できる姿勢」を具体的に示しています。


例2:身体障害(下肢障害)・事務補助希望の場合

「〇〇〇〇と申します。前職では一般企業で営業事務を担当し、電話応対や資料作成を行っていました。交通事故による下肢障害のため、長時間の立ち仕事や外回りは難しいですが、デスクワークは問題なく対応できます。特にWordやExcelを使った書類作成が得意で、正確さとスピードには自信があります。職場の皆さんと協力しながら、安定して働き続けたいと考えております。よろしくお願いいたします。」

👉 ポイント:できない作業(立ち仕事)を簡潔に伝えつつ、できる仕事(デスクワーク・PCスキル)を強調。前向きな表現になっています。


例3:発達障害(ASD)・バックオフィス業務希望の場合

「〇〇〇〇と申します。これまで経理補助として仕訳入力や請求書処理を行ってきました。発達障害(ASD)の特性があり、突発的な対応は少し苦手ですが、マニュアルに沿ったルーティン業務や数字のチェックは得意です。正確性を求められる事務処理で力を発揮できると考えております。必要な場合は業務手順を事前に確認できれば、安定して仕事を進められます。本日はよろしくお願いいたします。」

👉 ポイント:苦手な場面は率直に伝えながら、得意分野を具体的にアピール。企業が「安心して任せられる」と判断しやすくなります。


障害説明の伝え方

どこまで話すべきか?

障害についての説明では、医学的な詳細を語る必要はありません。重要なのは「業務にどのように影響するか」という点です。面接官は医師ではなく採用担当者ですので、専門用語を並べるよりも、働くうえで必要な情報を端的に伝えましょう。


伝えるポイントの例

障害説明で触れておきたい内容は以下の通りです。

  • 疾患名(必要に応じて簡単に伝える)
  • 特性や特徴(病気・障害の種類に応じて、働き方に影響する特性を説明)
    • 例:発達障害(ASD)の場合 →「マニュアルに沿った作業は得意ですが、突発的な変更があると対応に時間がかかることがあります」
    • 例:統合失調症の場合 →「体調が安定していれば問題なく働けますが、強いストレス下では集中力が落ちやすい傾向があります」
    • 例:下肢障害の場合 →「長時間の立ち作業は難しいですが、座位での業務は問題なく対応できます」
  • 苦手・困難な場面
    • 例:集中力が長時間続かない、立ち仕事が難しい
  • 工夫している点
    • 例:タスク管理アプリを活用している、休憩をこまめに取り集中を維持している

こうした説明をすることで、企業は「どうすれば働きやすいか」を具体的に理解できます。


前向きに伝えるコツ

障害の説明では、「できないこと」を強調するのではなく、「こうすればできる」 という解決策とセットで伝えることが大切です。

例:
❌「長時間の作業はできません」
⭕「1時間ごとに休憩を取れば、安定して作業を続けられます」

また、特性を伝えるときも前向きに言い換えられます。

  • 例:発達障害 → 「突発的な変更は苦手ですが、マニュアルに沿った作業は正確に取り組めます」
  • 例:精神障害 → 「体調に波はありますが、相談できる環境があれば安定して働き続けられます」

前向きな表現にすることで、面接官に「この人は工夫しながら働ける」という安心感を与えられます。


配慮事項の伝え方

よくある配慮事項の例

障害者雇用の面接でよく伝えられる配慮事項には、以下のようなものがあります。

  • 時短勤務
  • 在宅勤務(一部またはフルリモート)
  • 通院のための休暇
  • 静かな作業環境(集中のため)

伝え方の工夫

配慮事項は「必要最低限」に絞って、わかりやすく伝えるのがポイントです。
また、単に「必要です」と伝えるのではなく、「この配慮があれば業務を安定して続けられる」 という前向きな説明を添えると、企業に納得してもらいやすくなります。


書面で渡す方法(配慮事項シートの活用)

口頭だけで伝えると、面接官が細かい内容を忘れてしまう可能性があります。そこで有効なのが、配慮事項シート を事前に用意して渡す方法です。

シートには以下をまとめておくと良いでしょう。

  • 自分の得意・不得意
  • 必要な配慮
  • 配慮があればどのように業務が安定するか
  • (必要に応じて)発作や症状が出た時の周囲の対応方法

たとえば、てんかんやパニック障害などの場合は、

  • 「発作が起きたら安全な場所で休ませてほしい」
  • 「数分で落ち着くので、過度に声をかけず静かに見守ってほしい」
  • 「救急搬送が必要になるケースは稀なので、慌てず対応してほしい」

といった内容を事前に共有しておくと、企業も受け入れ体制を整えやすくなります。

書面を渡すことで、採用担当者だけでなく現場の同僚にも情報が共有しやすくなり、結果的に安心して採用につながるケースも多いです。

面接での答え方の工夫

ポジティブに答える(「苦手」→「工夫している」)

面接では「できないこと」をそのまま伝えるのではなく、「工夫すれば対応できる」 という形で前向きに表現しましょう。

  • ❌「集中力が続かないので仕事が難しいです」
  • ⭕「集中力が続きにくいですが、タスクを細かく分けて取り組むことで安定して作業できます」

このように伝えることで、面接官は「課題はあるが、工夫すれば問題なく働ける」と理解できます。


曖昧にせず、具体的に答える

「頑張ります」「努力します」といった抽象的な言葉だけでは、採用担当者に安心感を与えられません。

例:

  • ❌「Excelはある程度できます」
  • ⭕「ExcelではSUMやVLOOKUPなどの関数を使い、データ集計が可能です」

具体的に答えることで、自分のスキルや働き方が明確に伝わります。


誇張や隠すのは逆効果になる

無理に能力を大きく見せたり、配慮事項を隠してしまうと、入社後にミスマッチが起きやすくなります。
面接はあくまで 「相互理解の場」。正直に、そして前向きに伝えることが信頼につながります。


準備しておくと安心なこと

自己紹介・障害説明のテンプレート化

面接で緊張してもうまく話せるように、自己紹介と障害説明の型 を作っておきましょう。短時間で要点をまとめられると安心です。


配慮事項を整理して事前に紙でまとめる

口頭で伝えるだけでなく、配慮事項シート にまとめて渡すと効果的です。特に「通院時の対応」や「発作時の周囲の対処法」などは、シートに記載しておくと企業も社内共有がしやすくなります。


模擬面接の練習(就労移行支援・ハローワーク・エージェント・家族)

一人で準備するより、第三者と模擬面接をする方が効果的 です。実際の面接を想定して練習することで、答え方や話す内容を整理できます。

  • 就労移行支援事業所
    支援員が面接官役となり、障害説明や配慮事項の伝え方を具体的にアドバイスしてくれます。
  • ハローワークの障害者窓口
    企業とのマッチングを日常的に行っているため、面接で聞かれやすい質問や回答の工夫を教えてもらえます。
  • 人材紹介エージェント(障害者雇用専門)
    企業ごとの面接傾向や質問内容を把握しているため、より実践的な練習が可能です。志望企業に合わせたフィードバックが得られるのも大きなメリットです。
  • 家族や友人
    話し慣れる練習として有効。自分では気づかなかった癖や話し方の改善点を教えてもらえます。

👉 さまざまな機関を活用して練習しておけば、本番でも落ち着いて対応でき、自分らしさをしっかり伝えられるでしょう。


実例|良い伝え方と悪い伝え方の比較

自己紹介の例

  • 良い例:「〇〇と申します。事務職として3年勤務し、データ入力や資料作成を担当してきました。正確なPC入力を得意としており、御社でも力を発揮したいと考えています。」
  • 悪い例:「経歴を全部話すと長いのですが…」→要点がまとまらず伝わりにくい。

障害説明の例

  • 良い例:「集中力が長時間続かないことがありますが、タスク管理アプリを使い、休憩を挟むことで安定して作業しています。」
  • 悪い例:「集中力がなくてミスをしやすいです。」→改善策がなく不安を与えてしまう。

配慮事項の例

  • 良い例:「通院のため月2回午前休が必要ですが、それ以外はフルタイム勤務可能です。」
  • 悪い例:「体調が悪いときは休みたいです。」→条件が不明確で企業側が不安に感じる。

まとめ|面接は「相互理解の場」

障害者雇用の面接は、合否を決めるだけでなく、「安心して働ける環境を整えるための話し合いの場」 です。

  • 自己紹介・障害説明・配慮事項は「安心して働くための土台」
  • 隠すよりも「正しく伝えること」で信頼につながる
  • 準備をしっかり行えば、不安を減らし自分らしさを伝えられる

面接は「一方的に評価される場」ではなく、企業と自分が互いに理解し合い、長く働けるかを確認するプロセス です。
事前準備を整えて臨めば、自信を持って自分の強みや希望を伝えられるはずです。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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