2025/08/22
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精神障害とフルタイム勤務|波があっても長く働くための配慮ポイント

はじめに

精神障害があっても、「安定した収入を得たい」「社会の一員として働き続けたい」という思いから、フルタイム勤務(出社型の働き方)を希望する人は少なくありません。
しかし現実には、体調の波や心身の不調により、継続して出勤し続けることが難しいと感じるケースも多くあります。

本記事では、精神障害がある方が出社勤務を前提にフルタイムで長く働き続けるための工夫や配慮ポイントを詳しく解説します。実際に働いている人の事例も交えながら、現実的な対策を一緒に考えていきましょう。


精神障害とフルタイム勤務の現実

なぜフルタイム勤務が難しいとされるのか

精神障害と仕事の両立には、次のような課題があります。

  • 体調の波が大きい:気分の浮き沈みや倦怠感が続くことがある
  • 疲労が蓄積しやすい:長時間勤務や通勤でエネルギーを消耗しやすい
  • 対人ストレスの影響:人間関係の摩擦や緊張が体調悪化につながる

こうした要因が重なると、フルタイム勤務を「続けられないのでは」と不安に感じる人も少なくありません。

それでもフルタイムを希望する理由

一方で、出社してフルタイム勤務を続けたいと考える理由も明確です。

  • 経済的な安定:継続した収入で生活基盤を整えられる
  • 自己実現:専門性を高めたり、キャリアを積んでいきたい
  • 社会参加意欲:仲間と働くことで社会の一員としての実感を得られる

これらのモチベーションがあるからこそ、多くの人が「どうすれば継続できるか」を模索しています。

実際にフルタイムで働いている人の声

実際に精神障害がありながらフルタイム勤務をしている人の中には、

  • 通勤ラッシュを避けるため時差出勤を取り入れる
  • 業務を細かく区切り、疲労が溜まらないように調整
  • 体調が悪いときは上司や同僚に早めに相談

といった工夫で安定して勤務を続けている方もいます。
「体調の波はあるけれど、無理せず調整しながら働ける環境を整えれば継続できる」という声は非常に参考になります。


フルタイム勤務で求められる基本条件

生活リズムの安定

フルタイム勤務を続けるうえで大切なのは、規則正しい生活習慣です。

  • 睡眠のリズムを一定に保つ
  • 医師の指示に従って服薬を継続する
  • 栄養バランスの取れた食事を意識する

これらの基本的なセルフケアが、出社勤務の土台になります。

体調自己管理スキル

精神障害と付き合いながら働くためには、自分の不調のサインを早めにキャッチする力が欠かせません。
「集中力が続かない」「体のだるさが強い」といった小さなサインを放置せず、休養や相談につなげることが長期勤務の秘訣です。

職場とのコミュニケーション

最後に重要なのが、職場への適切な情報共有です。

  • 「こういう配慮があると助かる」という点を整理して伝える
  • 上司や人事と定期的に状況を共有する
  • 無理がかかりそうな業務は早めに相談する

このようにオープンなコミュニケーションを取ることで、安心してフルタイム勤務を継続できる環境が整います。

出社勤務で長く働くための配慮ポイント

勤務時間・休憩の工夫

精神障害がある方にとって、勤務時間や休憩の取り方は体調を安定させるカギとなります。

  • 午前中は体調が整いにくい場合、始業時間をやや遅らせる勤務形態を交渉する
  • オフィス内にある休憩スペースをこまめに利用し、集中力を回復する
  • 「連続勤務時間を短めに区切る」ことで、疲労を溜めにくくする

このような調整を取り入れることで、長く働き続けやすくなります。

作業環境の調整

働く場所や環境も重要なポイントです。

  • 静かな席配置で周囲の刺激を減らす
  • 電話対応や会議の頻度を調整し、負担を軽減する
  • 業務に集中できる環境を整えることで、安定したパフォーマンスを発揮できます。

業務内容のマッチング

フルタイム勤務を継続するためには、業務内容が自分に合っているかも大切です。

  • マルチタスクよりも一つの業務に集中できるタスク割り当て
  • 自分の得意分野を活かし、負担が大きすぎない仕事を担当する

こうしたマッチングができると、不調を予防しやすくなります。

上司・同僚の理解

長期的な安定就労には、職場の理解とフォロー体制が欠かせません。

  • 突発的に不調になった際、業務を一時的にフォローできる仕組みを整える
  • 上司や同僚が「配慮=特別扱い」ではなく「働き続けるための工夫」と理解することが大切

面接での伝え方と注意点

フルタイム希望をどう伝えるか

面接では、「体調管理と職場の配慮があればフルタイム勤務が可能」と前向きに伝えることが大切です。
「働く意欲がある」というメッセージをしっかりアピールしましょう。

配慮事項の説明方法

配慮をお願いする際は、あいまいな表現を避け、具体的に伝えることがポイントです。

  • 「残業が続くと不調が出やすいので、定時退社を基本にしていただけると助かります」
  • 「静かな環境の方が集中しやすいため、可能であれば電話応対よりもPC作業を中心にしたいです」

このように「困る状況」と「解決につながる配慮」をセットで説明すると、企業側も対応策をイメージしやすく、前向きに検討してもらえます。

避けるべき伝え方

面接で「特に問題ありません」「大丈夫です」とだけ答えてしまうと、必要な配慮が伝わらず、後から働きにくくなる可能性があります。

代わりに、次のように「課題+工夫」をセットで伝えるのがおすすめです。

  • 「残業が続くと不調が出やすいですが、定時退社を基本にすれば安定して働けます」
  • 「体調に波はありますが、こまめに休憩を取ればフルタイム勤務は可能です」

👉 このように言い換えることで、弱点をただ伝えるのではなく、前向きな工夫と働く意欲をアピールできます。


フルタイム勤務を継続するためのセルフケア

疲労を溜めない生活習慣

出社勤務を続けるには、生活習慣の工夫が欠かせません。

  • 睡眠の質を高める(就寝時間を一定にする・デジタル機器を寝る前に使わない)
  • 週末は「寝だめ」ではなく軽いリフレッシュに使う

日々の習慣が翌週の安定につながります。

ストレスコントロール

精神障害と向き合いながら働くには、ストレスを溜めない工夫が欠かせません。

  • 深呼吸や呼吸法でリラックスする
  • ジムやウォーキングなどの軽い運動で気分転換する
  • 趣味(音楽・読書・アートなど)で気持ちを切り替える
  • 信頼できる人に気持ちを話すことで心の負担を軽減する

人によって効果的な方法は異なりますが、こうした小さな習慣の積み重ねがストレスを大きくしないためのカギになります。

実際の職場事例|どのような工夫で続けられるか

事例1:不安障害のある人が「静かな席配置」で継続勤務

不安障害を抱えるAさんは、周囲の雑音や人の出入りで集中力を削がれやすい状況に悩んでいました。
そこで会社に相談し、静かな場所にデスクを配置してもらうことで、落ち着いて作業ができるように。結果として、3年以上フルタイム勤務を継続しています。

事例2:うつ病の経験がある人が「定時退社徹底」で安定勤務

うつ病を経験したBさんは、残業が続くと体調が不安定になる傾向がありました。
「定時退社を基本とした働き方」を会社と取り決めることで、体調を崩さず安定勤務を実現。業務効率も改善し、上司からの信頼も高まった事例です。

事例3:発達障害のある人が「タスク整理表」で波を抑えた

発達障害の特性を持つCさんは、マルチタスクが重なると混乱しやすい状況にありました。
そこでタスクを整理したチェックリストや進捗管理表を導入。作業を見える化することで不安が軽減され、波を抑えて安定勤務につながりました。


支援制度の活用でフルタイム勤務を支える

障害者雇用枠での就労メリット

障害者雇用枠で働くと、合理的配慮を受けやすく、無理のない勤務形態を相談できるメリットがあります。出社勤務を前提としながらも、体調に合わせた働き方を模索しやすい環境です。

ジョブコーチ制度の利用

ジョブコーチ(職場適応援助者)は、入社後に職場での定着をサポートする専門家です。業務手順の習得や同僚とのコミュニケーションを支援してくれるため、フルタイム勤務を続ける安心材料になります。

医療・福祉制度との併用

自立支援医療制度を利用すれば、通院や服薬の費用負担を軽減できます。また、障害年金を組み合わせることで経済的安定を得ながら勤務を続けられるため、安心感が増します。


まとめ|フルタイム勤務は「工夫と配慮」で現実的に可能

精神障害があっても、フルタイム勤務(出社勤務)は不可能ではありません
大切なのは、

  • 自己管理(生活リズム・セルフケア)
  • 職場環境の配慮(静かな席配置、残業制限、業務マッチング)
  • 制度の活用(障害者雇用枠、ジョブコーチ、自立支援医療)

の3つです。

当事者の方へ:
無理をして頑張るのではなく、工夫と支援を取り入れながら「自分に合った働き方」を選ぶことが長続きの秘訣です。サポートを活用しながら、一歩ずつキャリアを築いていきましょう。

企業の方へ:
合理的配慮や制度の導入は、社員の安定就労だけでなく、組織全体の生産性や働きやすさの向上につながります。精神障害のある社員が安心してフルタイム勤務を続けられる職場は、結果的に企業の成長を支える土台にもなります。👉 精神障害とフルタイム勤務は「難しいこと」ではなく、工夫と理解で十分に実現可能な働き方です。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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