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精神障害と仕事の両立|うつ病で休職した人がリワークを経て復職するまでの流れ

この記事の内容
はじめに
近年、うつ病による休職者は増加傾向にあります。厚生労働省の調査でも、精神障害を理由とした休職・離職は年々上昇しており、特にうつ病は誰にでも起こり得る身近な病気として社会的に大きな課題となっています。
一度職場を離れると、「本当にまた働けるのだろうか」「復職しても再発しないだろうか」といった不安を抱える方は少なくありません。特に責任感が強い人ほど、自分を責めてしまい、復帰の一歩を踏み出せずに悩むケースが多いのです。
こうした状況の中で注目されているのが「リワークプログラム」です。医療機関や支援機関で提供されるこのプログラムは、休職から復職に向けての「リハビリ期間」として機能し、再発を防ぎながら職場復帰を実現するための重要なステップとなります。
本記事では、うつ病で休職した人がどのようにリワークを経て復職するのか、その流れをわかりやすく解説します。
うつ病で休職する人が増えている背景
精神障害による休職・離職者数の推移
厚生労働省の「労働安全衛生調査」や企業の人事データによると、精神障害による休職・離職者数は右肩上がりに増えています。特にうつ病は、全精神障害の中でも突出して多く、企業にとっても「メンタルヘルス対策」は避けて通れない課題になっています。
職場でのストレス要因
なぜこれほどまでに休職者が増えているのでしょうか。その背景には以下のような職場のストレス要因があります。
- 長時間労働や休日出勤が常態化している
近年は「働き方改革」や「ワークライフバランス」の推進が声高に叫ばれています。しかし、実際には長時間労働や休日出勤が常態化している職場も少なくありません。厚生労働省の調査によると、週60時間以上働く人は依然として5%前後存在しており、特に医療・介護、建設、IT業界では残業の多さが目立ちます。制度と現実のギャップが、働く人の心身に大きな負担を与えているのです。
- 人間関係のトラブルや上司とのコミュニケーション不足
職場における人間関係のトラブルは、労働相談の中でも最も多いテーマです。特に「上司とのコミュニケーション不足」や「評価基準の不透明さ」は強いストレス要因となり、相談窓口が設けられていても利用をためらう人も少なくありません。この孤立感がうつ病の発症や悪化につながりやすいのです。
- 高い業務責任や成果主義によるプレッシャー
また、成果主義が進む中で「短時間でより多くの成果を出すこと」を求められるようになり、業務責任の重さにプレッシャーを感じる人も増えています。特に営業や管理職では数値目標が常に重くのしかかり、「達成できなければ評価が下がる」という不安が心の健康を脅かす大きな要因となっています。
これらの要因が重なると、心身に大きな負担がかかり、うつ病発症や悪化のきっかけとなってしまいます。
うつ病から復職が難しいと言われる理由
うつ病からの復職が難しいとされる大きな理由は、再発率の高さにあります。無理に職場復帰しても、環境の変化やストレスに対応できず、再び体調を崩してしまうケースは少なくありません。また、日本ではまだまだ復職支援の体制が十分ではない企業も多く、本人の努力だけでは乗り越えにくい現実があります。
そのため、単なる「治療」だけでなく、復職に向けた準備を体系的に行うことが重要になります。ここでカギとなるのが、次章で紹介するリワークプログラムです。
リワークプログラムとは?

リワークの定義(復職支援プログラム)
リワークプログラムとは、うつ病などの精神障害で休職した人が、職場復帰をスムーズに進めるための支援プログラムです。単なる治療だけではなく、復職に必要な生活習慣や働く力を回復させる「リハビリ」のような役割を担っています。医療機関や支援機関で実施され、近年は再発防止の観点からも注目を集めています。
対象となる人
リワークプログラムの対象者は次のような人です。
- うつ病などで休職中の人
- これから復職を目指している人
- 一度復職したものの、再発を繰り返して安定した勤務が難しい人
つまり、「これから復帰したい人」だけでなく、「復帰後の再発を防ぎたい人」にも有効です。
プログラムの内容
生活リズムの改善
復職の基盤となるのが生活リズムの安定です。起床・就寝の時間を一定に整え、食生活を改善することで、心身の調子を回復させます。
就労に近い形でのトレーニング
模擬業務やグループワークなど、実際の職場に近い環境でのトレーニングを行います。これにより「朝決まった時間に通所する習慣」や「人と協力して作業する力」を取り戻し、復職後のギャップを小さくします。
認知行動療法やストレス対処スキルの習得
心理士や医師のもとで、認知行動療法(CBT)やストレスマネジメントを学びます。再発リスクを下げるために、自分の思考のクセやストレスの対処法を知ることはとても重要です。
利用できる場所
リワークプログラムは全国で広がりつつあり、次のような機関で利用できます。
- 医療機関(精神科・心療内科):治療と並行して復職訓練を受けられる
- 地域障害者職業センター:職業リハビリの一環としてリワークを提供
- 就労移行支援事業所:長期的な就労準備と併せてリワーク支援を実施
実例|うつ病で休職した人がリワークを経て復職するまでの流れ
ケース1:30代男性・事務職
事務職で働いていた30代男性は、業務過多によるうつ病で6か月休職。その後、リワークを3か月利用して生活リズムと集中力を回復し、同じ職場に無理なく復帰しました。
ケース2:40代女性・ITエンジニア
プロジェクトの多忙で長期休職に至った40代の女性エンジニア。リワークプログラムで段階的に勤務時間を延ばし、短時間勤務制度を併用することで、再発を防ぎながら安定した復職を実現しました。
ケース3:20代女性・営業職
20代の女性営業職は、休職後に元の部署への復帰が難しい状況でした。リワークで自己理解を深めた結果、部署異動+リワーク継続という形で新しい職場環境に適応し、安定した勤務を続けています。
事例から学べるポイント
これらの事例からわかることは以下の通りです。
- 職場の理解と柔軟な対応(部署異動・短時間勤務など)が成功につながる
- リワークで生活習慣・働く力を整えることが復職の基盤になる
- 本人自身の工夫や努力(セルフケア・ストレス対処法の習得)が再発予防に不可欠
復職を成功させるためのポイント
生活リズムを安定させる(睡眠・食事・運動)
復職の土台となるのは、規則正しい生活です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は心身の安定を支える基本です。まずは生活リズムを整えることから、復職への準備が始まります。
配慮事項を整理して伝える(残業制限・面談の設定など)
「残業は控えたい」「定期的に面談をしてほしい」といった配慮事項を整理し、職場に具体的に伝えることが大切です。明確にすることで、復帰後の誤解やストレスを減らせます。
段階的復職(短時間勤務 → フルタイム)
いきなりフルタイムで復職すると再発のリスクが高まります。まずは短時間勤務や週数日の勤務から始め、少しずつ勤務時間や業務量を増やす「段階的復職」が望ましい方法です。
再発を防ぐセルフケア(ストレスマネジメント・相談先の確保)
ストレスを感じたときの対処法や、相談できる相手をあらかじめ持っておくことは再発防止につながります。セルフケアを習慣化し、調子が崩れたときに早めに対応できるようにしておきましょう。
職場との連携・企業に求められる配慮

復職プランの策定(産業医・人事・上司の連携)
産業医・人事・上司が連携し、本人に合った復職プランを策定することが重要です。無理のない計画があれば、復帰後の安定性が大きく高まります。
業務量の調整・役割分担の工夫
復職直後からフル業務を任せるのではなく、業務量を調整し、チーム全体で役割を分担することが求められます。小さな配慮が、長期的な定着につながります。
復職者が相談しやすい環境整備
「困ったことを気軽に相談できる雰囲気」があるかどうかは、復職の安定に直結します。定期的な面談やメンタルヘルス窓口の活用など、安心できる仕組みづくりが必要です。
企業にとってのメリット(人材活用・離職率低下)
復職支援は「コスト」ではなく「投資」です。経験やスキルのある人材を活かせることは企業にとっても大きなメリットとなり、結果的に離職率の低下や人材不足の解消につながります。
利用できる制度・支援を知ろう

傷病手当金(収入の補填)
休職中は収入の減少が大きな不安となります。健康保険から支給される傷病手当金を活用することで、一定期間は生活を安定させながら療養に専念できます。
障害者手帳の活用(精神障害者保健福祉手帳での雇用枠利用や税制優遇)
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者雇用枠での応募や税制上の優遇措置が利用できます。復職だけでなく、将来のキャリア形成にも役立つ制度です。
就労移行支援・ジョブコーチ制度
就労移行支援事業所では、復職に必要なスキルや生活習慣の安定を支援してくれます。また、ジョブコーチ制度を利用すれば、職場での働き方に合わせて個別にサポートを受けられます。
リワークを実施する医療機関や地域障害者職業センターの活用方法
医療機関や地域障害者職業センターではリワークプログラムを提供しています。専門家の支援を受けながら段階的に職場復帰を目指せるので、不安を一人で抱え込まず活用することをおすすめします。
まとめ|うつ病と仕事の両立は可能
うつ病で休職しても、リワークを経て復職する流れは確立されつつあります。成功のカギは 「生活リズムの安定」「支援制度の活用」「職場の理解と配慮」 の3つです。
🌱 当事者へのメッセージ
無理をせず、自分のペースで歩んでください。復職の道のりは人それぞれですが、小さな一歩の積み重ねが確実に未来につながります。
🌱 家族や企業へのメッセージ
理解と支え合いが復職を成功させる最大の力です。寄り添いながら共に歩むことで、うつ病を経験した方も安心して働き続けることができます。
――うつ病と仕事の両立は不可能ではありません。支援と理解があれば、再スタートは必ず切れます。社会全体で一人ひとりの挑戦を支えていきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







