2025/08/25
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転職回数が多いASDの人が事務職を目指すときの選択肢|エージェントと職業訓練校の活用法

はじめに

ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中には、40代になっても転職を繰り返している人が少なくありません。
「体調や職場環境が合わず、長く働けなかった」「自分に合う仕事が見つからない」といった悩みを抱え、気づけば転職回数が多くなってしまうケースもあります。

その一方で、「体力的に無理のない事務職に就きたいが、スキル不足が不安」という声も数多く聞かれます。特に40代からのキャリアチェンジでは、経験やスキルの差が壁になることも少なくありません。

本記事では、ASDで転職回数が多い40代の方が事務職を目指す際の現実的な課題と、就労に向けて活用できる具体的な選択肢(転職エージェントや職業訓練校など)について解説していきます。


ASD・40代・転職回数が多い人が事務職を希望する背景

なぜ事務職を希望する人が多いのか

ASDのある方が事務職を志望する理由として、以下のような背景が挙げられます。

  • 体力的な負担が少ない
     立ち仕事や重労働に比べ、デスクワークは身体的な疲労が少なく、長期的に働きやすいと考える人が多いです。
  • デスクワークへの憧れ
     「静かな環境で落ち着いて仕事をしたい」「規則正しく作業を進めたい」という特性とマッチする部分もあり、事務職を理想の働き方と考える人もいます。
  • 安定した雇用を求めている
     転職回数が多い場合、「次こそは長く働きたい」という思いが強く、事務職=安定というイメージを持ちやすい傾向があります。

事務職の現実

しかし、事務職は誰でも簡単に就ける仕事ではありません。特に40代で事務経験が浅い場合、以下のような課題があります。

  • PCスキルが必須
     Word・Excel・タイピングといった基本操作はもちろん、データ入力や資料作成のスピード・正確さが求められます。経験が浅い人は一から学ばなければならない部分が多くあります。
  • 競争率が高い
     事務職は人気のある職種で応募者が多いため、採用枠に対して倍率が高くなりがちです。特にスキルや資格が不足している場合、選考通過が難しくなる傾向があります。
  • 単純作業ばかりではない
     事務職には電話対応や社内調整、報告書作成なども含まれます。正確性と同時に柔軟性や対人コミュニケーションも必要になるため、想像していたより負担が大きいと感じる人もいます。

就職が難しい理由を理解しよう

転職回数の多さが企業に与える印象

ASDのある方に限らず、転職回数が多いと企業は「定着が難しいのでは?」と不安を抱く傾向があります。
「せっかく採用してもすぐ辞めてしまうのではないか」という先入観があるため、履歴書の段階で不利になるケースも少なくありません。

ただし、転職理由を整理して説明できることや、「今回こそは安定して働きたい」という意思をしっかり伝えることが、印象を改善する第一歩になります。

事務経験の浅さとPCスキル不足

事務職に応募する際、Excel・WordなどのPCスキルは最低限必須です。データ入力や資料作成、簡単な関数を使った集計などは多くの企業で求められます。
経験が浅いまま応募しても、スキル不足を理由に書類選考で落とされやすいため、応募前にスキル習得の努力を見せることが重要です。

年齢要因(40代以上は採用がさらに厳しい)

40代以降では、「新しい業務を覚える柔軟性があるか」「長期的に働けるか」という点を企業はシビアに見ます。事務経験が浅い分野への挑戦は不利になりやすく、経験者や若年層と比べて選考を突破しにくい現実があります。


転職エージェントを活用するメリット・限界

メリット

  • 非公開求人に出会える
  • 障害者雇用枠ならではの求人
  • 面接フォローがある(事前に配慮事項を伝えてもらえる)

限界

一方で、エージェントにも限界があります。

  • スキル不足の場合、紹介できる求人が限られる
  • 即戦力を求める企業が多く、経験が浅いとマッチングが難しい

特に事務職は応募者が多いため、若手は「育成枠」として採用されやすい一方、40代以上では即戦力に近いスキルが求められる傾向があります。
そのため、ASDで転職回数が多い方が事務職を目指す場合は、PCスキルや資格を習得して「即戦力に近づく努力」を見せることが重要です。

事例紹介

あるASDの40代男性は、転職エージェントを通じて「補助業務」から事務職にスタートしました。最初はデータ入力や書類整理といった基礎的な作業から始め、少しずつ任される業務が増えていきました。
ただし、こうした補助業務から始められる求人は現在では少なくなっており、即戦力やPCスキルを求められるケースが主流です。そのため、事務職を希望する場合は、エージェントを活用しつつも、自分でスキルを補強する努力が欠かせません


職業訓練校という選択肢

学べるスキル

  • PCスキル(Word・Excel・PowerPoint)
  • 簿記や会計の基礎
  • ビジネスマナー・コミュニケーションスキル

40代でも利用できる?

職業訓練校はハローワーク経由で申込みが可能で、年齢制限はなく40代でも受講できます。失業給付を受けながら通えるケースもあり、生活面の安心感を得ながらスキル習得に専念できるのが特徴です。

メリットとデメリット

  • メリット:無料または低負担で学べる/就職支援や企業実習がある
  • デメリット:毎日の通学が必要/学習意欲を継続しなければ成果につながらない

成功事例

ある女性は、職業訓練校でExcelやWordを集中して学習しました。その後、事務補助職として就職し、徐々に業務範囲を広げています。
「40代で事務経験が浅くても、学んだスキルを証明できれば就職のチャンスが広がる」ことを示す事例です。


事務職以外の選択肢も考える

軽作業や検品など

細かい作業や集中力を要する仕事に強みを発揮できる人もいます。製造業の軽作業や検品業務などは、正確性や根気強さを評価されやすく、安定した雇用につながるケースもあります。

IT・データ入力など

事務職にこだわらず、データ入力やシステム管理などのシンプルなPC業務も選択肢の一つです。

在宅ワーク・クラウドソーシング

「通勤や人間関係の負担を減らしたい」という人には、在宅ワークやクラウドソーシングの活用もおすすめです。


ASDの特性を活かして就労するためのポイント

  • 自己理解(得意・不得意を整理)
  • 配慮事項を面接で具体的に伝える
  • 長期的に働ける環境を優先する
  • 就労移行支援やジョブコーチの活用

まとめ|現実を知り、選択肢を広げて就職を目指そう

ASDで40代、さらに転職回数が多い場合、事務職の就職は確かに難易度が高いです。企業は即戦力を重視する傾向が強く、経験やスキルが不足していると選考を突破しづらいのが現実です。

しかし、だからといって道が閉ざされているわけではありません。職業訓練で基礎スキルを学ぶことや、転職エージェントを介して補助業務からスタートすることは、経験が浅くても実現可能なアプローチです。加えて、軽作業やデータ入力、在宅ワークといった「事務職に近い仕事」を通じて経験を積み重ねる方法もあります。

また、就労移行支援やジョブコーチを活用すれば、職場で長く働くための環境づくりや配慮の交渉をサポートしてもらえるため、一人で抱え込む必要はありません。

大切なのは、「事務職だけ」にこだわらず、自分の特性や強みに合った働き方を柔軟に考えることです。選択肢を広げることで、むしろ安定して働ける職場に出会える可能性が高まります。最後に――
焦らず、一歩ずつ進めば大丈夫です。転職回数の多さや年齢にとらわれすぎず、「自分に合った仕事・環境」を探すことこそ、安定就労への最短ルートです。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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