2025/08/25
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就労継続支援A型とは?一般就労に向けたステップと利用のメリットを徹底解説

はじめに

「障害者雇用」と聞くと、多くの人は一般企業で働く姿をイメージするかもしれません。
しかし、障害の特性や体調の波、スキルや経験の不足などから、すぐに一般就労に移行することが難しい人も少なくありません。

そこで注目されているのが 「就労継続支援A型事業所」 です。
A型事業所は「働きながら訓練」ができる場として、利用者が安定して働き続ける力を養い、最終的には一般企業への就職を目指すための重要なステップとなります。

本記事では、就労継続支援A型の制度の概要、B型との違い、対象となる人についてわかりやすく解説していきます。


就労継続支援A型とは?

制度の概要(障害者総合支援法にもとづく福祉サービス)

就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつです。
一般企業での就労が難しい方に対し、事業所と 雇用契約を結んだ上で働きながら支援を受けられる仕組み になっています。

利用者は実際に事業所の仕事に従事しながら、職業訓練や生活面でのサポートを受けることができ、「働くこと」と「訓練すること」を両立できる点 が大きな特徴です。


B型との違い(雇用契約の有無、最低賃金の保障)

同じ「就労継続支援」には A型とB型 の2種類があります。
混同されがちですが、両者には大きな違いがあります。

  • A型事業所
    ・事業所と雇用契約を結ぶ
    ・最低賃金以上の給与が保証される
    ・労働基準法の対象となる
  • B型事業所
    ・雇用契約を結ばない
    ・工賃(作業に応じた報酬)が支払われる
    ・収入は最低賃金に満たない場合が多い

つまり、A型は「労働者として働く」仕組みであり、B型は「作業を通して訓練を受ける」仕組みです。
将来的に一般企業での就職を目指す場合には、A型の方がステップアップにつながりやすいといえます。


対象者(一般企業への就職がすぐには難しい人)

就労継続支援A型の対象となるのは、次のような人です。

  • 一般企業での就労経験があるが、体調や障害特性のため長く続けられなかった人
  • 今すぐ一般就労は難しいが、訓練を積めば就職の可能性がある人
  • 生活リズムや職場でのルールを身につけながら、段階的に働く力を伸ばしたい人

特に「働く意欲はあるが、すぐに一般就労は不安」という方にとって、A型事業所は安心して挑戦できる環境です。

A型事業所での仕事内容

データ入力や軽作業(内職、検品、梱包)

A型事業所で多く取り組まれているのは、データ入力や書類整理、商品の検品・梱包といった軽作業です。
こうした仕事は、特別な資格や専門知識がなくても始めやすいため、障害のある方が安定して取り組みやすいのが特徴です。
また、正確さやコツコツ取り組む力を活かせるため、企業就労に移行する際にも強みとしてアピールできます。

農作業や清掃など地域に根ざした仕事

一部の事業所では、農作業や地域の公共施設の清掃業務など、地域と密接に関わる仕事が用意されています。
屋外での作業や身体を動かす仕事を希望する人に適しており、地域貢献につながる点も魅力です。
「地元に根ざして働きたい」「自然の中で体を動かしたい」という方にとって、やりがいを感じやすい業務です。

PCスキルやコミュニケーションを学べる業務

近年は、パソコンを使った事務作業やECサイトの商品登録、SNS更新補助といった仕事を取り入れる事業所も増えています。
これらの業務を通じて、WordやExcelの基礎操作、ビジネスメールのやり取り、チームでのコミュニケーションなど、一般企業でも求められるスキルを学べます。


A型事業所で働くメリット

最低賃金が保証される

A型事業所では、雇用契約を結ぶため最低賃金が必ず保証されるのが大きなメリットです。
B型事業所の工賃(月1〜2万円程度が平均)と比べると収入が安定しやすく、生活費や社会参加に必要な資金を得やすくなります。

職場の雰囲気に慣れられる(ブランク解消)

長期間働いていない方にとって、いきなり一般企業に就職するのは大きな不安があります。
A型事業所では、出勤・退勤の習慣、上司や仲間との関わり、報告・連絡・相談といった基本的な働き方を学べるため、職場復帰へのステップとして最適です。

企業就労につながるスキル習得ができる

A型事業所での経験は、就労移行支援や一般就労につながる基礎力になります。
パソコンスキルや協調性、生活リズムの安定など、就職活動で評価されるスキルを磨けるのは大きな強みです。


A型事業所の課題や注意点

給料水準は低め(週20時間で月数万円が平均)

最低賃金は保証されるものの、勤務時間が短いケースが多いため、月収は数万円程度にとどまることが一般的です。
そのため、生活の柱として働くというよりも、就労訓練や社会参加の場として位置づける人が多いのが実情です。

地域によって仕事内容や事業所の質に差がある

A型事業所の仕事内容は、事業所ごとに大きく異なります。
「PC作業が中心のところ」「清掃や農作業が中心のところ」など幅広いため、自分の希望や特性に合った事業所を選ぶことが重要です。
また、職員のサポート体制や企業連携の有無によっても、就職へのつながりやすさが変わってきます。

長期的に「A型で働き続ける選択」をする人もいる

本来は一般就労へのステップとして位置づけられるA型事業所ですが、安定した環境を理由に長期的にA型を選ぶ人も少なくありません。
「無理に一般就労を目指さず、自分に合ったペースで働き続けたい」という考え方も尊重されつつあります。

A型から一般就労につなげる方法

ジョブコーチや就労移行支援と併用する

A型事業所だけで企業就労につなげるのは、現実的には難しい面もあります。
そのため、ジョブコーチ(職場適応援助者)や就労移行支援事業所と併用することが有効です。
ジョブコーチは職場に同行して、人間関係の調整や業務の理解をサポートしてくれる存在です。
また、就労移行支援では模擬面接や企業実習、履歴書作成の指導などを受けられるため、A型で培った経験を企業就労へつなげやすくなります。

ステップアップの事例(A型→企業内事務補助へ就職など)

実際に、A型からステップアップした事例もあります。

  • A型でデータ入力を経験 → 企業の事務補助として採用
  • A型で清掃業務に従事 → ビルメンテナンス会社に正社員として入社
  • A型で生活リズムを安定させた → ハローワークの紹介で就労移行支援を経て一般就労へ

このように、小さな経験の積み重ねが次のチャンスにつながることがあります。

企業が評価するポイント(出勤安定性、基本的PCスキル)

企業がA型からの就職者に求めるのは、特別なスキルよりも 「安定して働ける力」 です。

  • 毎日決まった時間に出勤できる
  • 報告・連絡・相談ができる
  • WordやExcelなど、基本的なPCスキルを持っている

これらの力は、A型事業所で継続して働く中で自然と身についていきます。
「即戦力」ではなく、基礎がしっかりしている人材として評価されるのです。


まとめ|自分に合った働き方を選ぼう

就労継続支援A型は、一般就労へのステップアップを目指す場として位置づけられていますが、現実には 企業就労につなげるのは簡単ではありません
理由の一つは、A型の業務が検品や梱包といった軽作業に偏りがちで、本格的な職業訓練や専門スキルの習得につながりにくい点にあります。

近年はパソコン作業やSNS運用、動画編集を取り入れる事業所も増えていますが、企業側から見れば「即戦力」として採用しにくいのが実情です。業務の切り出しが難しいため、単純作業だけでは一般企業における職務の幅を広げづらいのです。

しかしながら、ここで可能性を感じるのは 生成AIのような新しいスキル分野 です。
もしA型事業所がAI活用やデジタル分野のトレーニングを取り入れることができれば、企業にとっても「採用したい」と思える人材育成につながるかもしれません。

つまりA型事業所は、単なる就労の場にとどまらず、「次の時代に通用するスキル」を提供できるかどうかが課題 です。
利用者にとっても、一般就労を目指すのか、あるいはA型で安定して働き続けるのか、自分に合った働き方を見極めることが大切になります。最後に読者の方へ。
「焦らなくても大丈夫。自分に合ったペースで働く選択をしつつ、新しい学びに挑戦することが未来の可能性を広げる」 ― その一歩があなたの働き方を変えるかもしれません。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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