2025/08/28
  • お役立ち情報
  • 仕事探し・キャリア準備
  • 仕事と通院 両立
  • 職場選び 通院

仕事と通院を両立する方法|制度と職場選びのコツも解説

はじめに

持病や慢性的な疾患がある方にとって、定期的な通院は欠かせない生活の一部です。
しかし「仕事を続けながら通院する」という両立は、多くの人にとって大きな課題となります。

  • 通院のために休みやすい職場かどうか
  • 体調に配慮して働ける環境が整っているか

これらは就労の定着に直結する重要なポイントです。
本記事では、通院と仕事を両立させるための 制度の活用法・職場選びの視点・具体的な工夫 をわかりやすく解説します。

通院と仕事の両立が難しい理由

通院と仕事を両立するのが難しいと感じる背景には、いくつかの要因があります。

診療時間と勤務時間のズレ

病院の診療時間は平日昼間が中心であることが多く、勤務時間と重なってしまいます。
そのため「仕事を休まないと通院できない」という状況が生まれやすいのです。

突発的な体調不良や緊急受診

慢性疾患を抱えている場合、急な体調不良で緊急受診が必要になることもあります。
「前もって予定を組みにくい」という不確実さが、職場での働き方を難しくする原因です。

職場の理解不足

残念ながら、一部の職場では「休む=怠けている」と誤解されるケースもあります。
本人は治療のために必要な通院をしているのに、理解が得られないと精神的な負担も大きくなります。

有給休暇ではなく「通院休暇制度」が必要な背景

有給休暇を使って通院する人は多いですが、これでは「本来の休暇」を確保できません。
そのため、通院専用に設定された 「通院休暇制度」 があると安心して働き続けられます。
しかし、制度が整っているのは大企業が中心で、中小企業ではまだ導入が少ないのが現状です。

通院をサポートする制度の活用法

通院と仕事を両立するためには、企業の制度や公的な支援を上手に活用することが大切です。

通院休暇制度とは?

通院休暇制度とは、定期通院のために取得できる特別休暇のことです。

  • 有給/無給の違い …企業によって扱いが異なります。
  • 導入状況 …大企業では比較的整備されていますが、中小企業ではまだ普及していません。

制度があるかどうかは、入社前に確認しておくと安心です。

時差出勤・時短勤務の制度

通院の前後に勤務時間をずらしたり、短時間勤務に切り替えたりすることで、治療と仕事を両立しやすくなります。
例:

  • 午前中に通院して午後から勤務
  • 1日6時間勤務に変更して継続就労

こうした柔軟な働き方ができるかどうかは、長期的に働き続けられるかを左右します。

障害者雇用枠ならではの配慮

障害者雇用枠で働く場合、通院に合わせた勤務スケジュールを企業が考慮してくれるケースがあります。
たとえば「通院日には残業をしない」「勤務日を固定しない」などの柔軟な配慮です。

公的支援制度

通院と仕事の両立には、国の公的制度も大きな助けとなります。

  • 自立支援医療制度 …精神科通院・人工透析などにかかる医療費を軽減。
  • 傷病手当金 …病気やけがで長期休養が必要な場合に、給与の一部を補填。

これらを活用することで、経済的な負担を減らしながら安心して通院できます。

職場でできる工夫

通院と仕事を両立するためには、職場での小さな工夫が大きな支えになります。周囲に理解を得るための準備や、働き方の調整を事前にしておくことで、安定した勤務が続けやすくなります。

上司・人事への事前共有

通院が定期的に必要な場合は、事前に上司や人事担当者へ予定を共有しておくことが大切です。
例:

  • 「毎月第2水曜は通院で午後から出勤します」
  • 「週3回、17時までに退勤が必要です」

このように前もって伝えておくと、スケジュールの調整や周囲の理解が得やすくなります。

業務分担とチームでのカバー

自分が抜けても業務が止まらないように、タスクをチームで共有する仕組みを作っておくことも有効です。

  • マニュアル化して誰でも対応できるようにする
  • 進行状況を共有ツールで見える化する

このように「抜けても仕事が回る体制」を整えておくと、周囲の負担感も減り、安心して通院できます。

テレワーク・在宅勤務を組み合わせる

在宅勤務制度がある場合は、通院日の前後に活用するのも一つの方法です。
「午前中に通院 → 午後は在宅勤務」という形なら、移動の負担も減らせます。
最近は、障害者雇用枠だけでなく一般雇用でもテレワークが広がっており、柔軟な選択肢が増えています。

同僚への配慮依頼の仕方

同僚に理解を求める際は、シンプルかつ前向きな伝え方が効果的です。
例:

  • 「急に抜けることがあるので、その際はフォローをお願いできますか?」
  • 「通院の関係で残業は難しいですが、日中は集中して対応します」

このように伝えると、余計な誤解を生まず、協力を得やすくなります。


通院に配慮のある職場を選ぶコツ

長く働き続けるためには、「通院と両立できる環境があるか」を重視して職場を選ぶことが重要です。

求人票でチェックすべき項目

求人票には、通院や勤務調整に関するヒントが記載されている場合があります。
チェックしたい項目は次の通りです。

  • 「通院配慮あり」「障害者雇用枠」などの記載
  • 「時短勤務可」「フレックスタイム制度あり」などの柔軟な働き方に関する条件
  • 在宅勤務・リモートワークの可否

これらが明記されていれば、通院と仕事を両立しやすい可能性が高い職場といえます。

面接で伝えるべきこと

面接時には、通院の頻度や必要な配慮を具体的に伝えることが大切です。
例:

  • 「毎月1回、午前中に通院があります」
  • 「週3回、17時退勤が必要ですが、勤務時間中は集中して対応可能です」

また、伝え方の工夫としては「制約」ではなく「働き方の工夫」として話すのがポイントです。
ネガティブに聞こえない表現で伝えることで、企業側も前向きに受け止めやすくなります。

エージェントを活用するメリット

就職・転職活動で エージェントを活用すると、通院条件を代わりに交渉してくれる ため安心です。

  • 直接言いにくい「通院日の勤務調整」や「残業の制限」を代理で伝えてくれる
  • 条件を満たす求人を効率的に紹介してくれる
  • 自分では気づかない「通院に理解ある企業」を探してもらえる

特に障害者雇用枠での就職・転職を考える場合、エージェントの利用は強い味方になります。

事例紹介|通院と仕事を両立した人たち

実際に「通院と仕事を両立している人」の事例を知ることで、自分の働き方の参考になります。

人工透析を受けながら事務職で働く人のケース

週3回の人工透析を続けながら、事務職として勤務している方もいます。
透析日は残業を避け、勤務時間を短縮して調整することで、治療と就労のバランスを取っています。
勤務先も「通院は不可欠」という前提を理解し、チームで業務をカバーする体制を整えた結果、安定した就労を継続できています。

メンタル疾患で月2回通院しながらITエンジニアとして働く例

メンタル疾患の治療で定期通院が必要なケースでは、「月2回の通院日だけ時間をずらして勤務」 する働き方が実現しています。
リモート勤務を併用し、業務内容をオンラインで共有する仕組みを導入したことで、チームの生産性を落とすことなく継続就労が可能になりました。

がん治療と並行して週3勤務から始めたケース

抗がん剤治療を受けながら働く方の中には、最初は週3日の短時間勤務からスタートし、体調の回復に合わせて勤務時間を増やしていく 方法を選ぶケースもあります。
がん治療そのものは障害者雇用枠に直結するわけではありませんが、通院と仕事の両立という点では同じ課題を抱えています。
無理のないスケジュール調整を行うことで、治療を続けながら安定して働くことが可能になる という一例です。


企業に求めたいこと

通院と仕事の両立を実現するには、企業の理解と制度面での配慮が欠かせません。単なる「個人の努力」ではなく、組織としての受け止め方や制度設計が大きなカギを握ります。

通院を「当たり前のこと」として捉える視点

病気や障害を抱える社員にとって、通院は生活の一部であり「特別なこと」ではありません。
しかし、職場によっては「頻繁に休むのでは?」といった誤解や不安が生まれることがあります。

企業が「通院は治療の一環であり、働く力を維持するために必要な行動」と捉えることで、社員は安心して力を発揮でき、組織全体の生産性も下がりにくくなります。
つまり、通院はマイナス要素ではなく、むしろ社員を長く活躍させるための前提条件 として受け止める視点が重要です。

長期的な就労には柔軟な勤務制度が不可欠

短時間勤務・フレックス制度・在宅勤務などの柔軟な制度があれば、通院を前提にしながらも安定した働き方が可能です。
「勤務時間を1時間ずらすだけで通院できる」「週1日は在宅勤務を認めるだけで治療と両立できる」といった小さな工夫が、社員の就労継続に直結します。

柔軟な仕組みは、社員の健康維持にとどまらず、突発的な休職や離職を防ぐ保険のような役割も果たします。制度を整えることは、社員だけでなく企業にとっても長期的な利益につながります。

通院配慮は結果的に離職率を下げる

「通院しながら働ける職場」は社員の安心感を高め、結果として離職率の低下につながります。
採用や人材育成には大きなコストがかかるため、離職を防ぐことは企業経営にとっても極めて重要です。

実際に、通院配慮を行っている企業では「社員の勤続年数が延びた」「採用時に企業イメージが向上した」といった効果も報告されています。
つまり、通院への理解や制度づくりは、企業にとって“コスト”ではなく“投資” であり、結果的に人材定着や生産性向上という形でリターンをもたらします。


まとめ

通院と仕事の両立は決して簡単ではありません。しかし、視点を変えてみると、その実現には大きく3つのカギがあります。

  1. 制度の活用
     通院休暇制度や時短勤務、フレックスタイム制度など、会社に整備されている制度や公的支援を知り、積極的に活用すること。
  2. 働き方の工夫
     上司や人事への事前共有、業務分担やテレワークの活用といった工夫を取り入れることで、突発的な体調不良や通院による中断にも対応しやすくなります。
  3. 職場選びの視点
     求人票や面接で通院への配慮を確認し、必要であればエージェントを通じて交渉すること。最初から「通院を理解してくれる職場」を選ぶことが、長期的な安定就労につながります。

企業側にとっても、通院を前提とした柔軟な制度を整えることは単なる「配慮」ではなく、人材の定着率向上・離職率の低下・組織全体の生産性向上というメリットがあります。通院配慮は「人を活かすための投資」といえるのです。

そして何よりも大切なのは、働く本人が「通院があるから働けない」と思い込まないことです。
👉 通院しながら働く方法は必ずあります。
制度や支援を上手に取り入れ、自分に合った働き方を探していけば、治療とキャリアの両立は十分に可能です。「通院を続けながら働くこと」は、もう特別なことではありません。
安心できる環境を整え、自分のペースで前に進んでいきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
  • バナー