2025/09/04
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呼吸器機能障害とは?原因・症状・診断基準・手帳取得の流れを徹底解説【2025年最新版】

はじめに

呼吸器機能障害とは、肺や気管支などの呼吸器が十分に働かず、酸素を取り込み二酸化炭素を排出する機能が低下した状態を指します。呼吸器は生命活動を支える重要な器官であり、障害があると息切れや疲労感が強くなり、日常生活や就労に大きな制限が生じます。階段を上る、通勤する、会話をするなど、当たり前にできていた行動が難しくなることも少なくありません。

本記事では、呼吸器機能障害の定義や主な症状、原因となる病気、診断基準について、厚生労働省や日本呼吸器学会の情報をもとにわかりやすく解説します。さらに後半では、障害者手帳取得の流れや利用できる制度についても詳しく紹介していきます。

呼吸器機能障害とは?

定義(厚生労働省・身体障害者福祉法での位置づけ)

呼吸器機能障害は、身体障害者福祉法に基づき「呼吸器の機能に著しい障害があるもの」として規定されています。これは慢性的に呼吸機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。医師による診断や検査結果に基づき、障害等級が決定されます。

主な症状

呼吸器機能障害に見られる代表的な症状は以下の通りです。

  • 呼吸困難(安静時や軽い運動でも息苦しさを感じる)
  • 息切れや疲労感(少しの活動で強い疲労を感じる)
  • 慢性的な咳や痰
  • 酸素吸入や人工呼吸器を必要とする状態

これらの症状は個人差がありますが、進行すると日常生活のあらゆる場面に影響を及ぼします。

障害の程度による日常生活への影響

  • 軽度の場合:坂道や階段の昇降で息切れしやすく、通勤や外出に制限が出る
  • 中等度の場合:短距離の歩行でも息苦しさを感じ、日常的に休息を必要とする
  • 重度の場合:在宅酸素療法や人工呼吸器を使用し、就労や外出が大幅に制限される

このように、障害の程度により生活の質(QOL)に大きな差が生じます。

呼吸器機能障害の原因となる主な病気

呼吸器機能障害の背景には、さまざまな病気が関与しています。代表的なものを以下に整理します。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長期の喫煙や大気汚染の影響で肺や気管支が炎症を起こし、空気の通り道が狭くなる病気です。労作時の息切れや咳が特徴で、日本でも患者数が増加傾向にあります。

肺線維症

肺が硬くなり、酸素をうまく取り込めなくなる病気です。進行すると在宅酸素療法が必要になることも多く、日常生活に大きな影響を与えます。

重度の気管支ぜん息

発作を繰り返すうちに気道が慢性的に狭くなり、呼吸機能が低下することがあります。薬物治療を続けても症状が強い場合、呼吸器機能障害と認定されることがあります。

結核後遺症

過去にかかった結核の影響で肺が損傷し、呼吸機能が低下するケースです。近年は減少傾向にあるものの、高齢者を中心に見られることがあります。

肺気腫

肺胞が破壊され、十分なガス交換ができなくなる病気です。喫煙が最大のリスク因子であり、重度になると酸素吸入が欠かせなくなります。

人工呼吸器・在宅酸素療法を必要とするケース

筋疾患や急性呼吸不全の後遺症で、自力での呼吸が困難となり、人工呼吸器や在宅酸素療法が必要になる場合も呼吸器機能障害に含まれます。


障害者手帳との関係

ここで注意したいのは、これらの病気にかかっているからといって必ず障害者手帳が取得できるわけではないという点です。
障害者手帳(身体障害者手帳)の交付は病名そのものではなく、以下のような呼吸機能の低下度合いや日常生活への影響によって判断されます。

  • スパイロメトリーでの%肺活量や1秒率が基準値を大きく下回る
  • 血液ガス検査でPaO₂が一定以下である
  • 在宅酸素療法や人工呼吸器の使用が必要
  • 階段昇降や歩行など、生活動作に著しい制限がある

このように、同じ病気であっても軽度なら非該当、重度なら1〜3級の認定といった形で結果が分かれます。最終的には医師の診断書をもとに自治体が等級を決定する仕組みになっています。

呼吸器機能障害の診断基準

呼吸器機能障害の診断は、医師による問診や身体所見に加え、専門的な検査で行われます。

スパイロメトリー(肺活量測定)

呼吸機能検査の基本となるもので、肺活量や1秒率などを測定します。

  • %肺活量:予測される正常値に対してどれだけ肺活量があるか
  • 1秒率(FEV1%):一気に吐き出せる空気の割合

これらの数値が基準を下回ると障害の判定に用いられます。

血液ガス検査

動脈血を採取し、酸素(PaO2)や二酸化炭素(PaCO2)の分圧を測定します。特にPaO2の値は、在宅酸素療法の必要性や障害等級の認定基準に大きく関わります。

日常生活能力の評価

検査数値だけでなく、階段の昇降が可能か、一定距離の歩行ができるかなど、生活動作にどの程度の制限があるかも診断基準として重視されます。

診断でよく使われる基準

厚生労働省の身体障害者福祉法や、日本呼吸器学会の診断指針をもとに、医学的評価と生活への影響を総合的に判断して等級が決定されます。

呼吸器機能障害と障害者手帳(身体障害者手帳)

等級の目安(1級~3級)

呼吸器機能障害がある方は、呼吸機能の数値や日常生活での制限度合いに応じて障害等級が認定されます。大まかな目安は以下のとおりです。

  • 1級:在宅酸素療法が必須で、日常生活のほとんどに介助が必要な状態
  • 2級:安静時でも酸素不足(低酸素血症)が見られ、生活に著しい制限がある状態
  • 3級:軽度〜中等度の呼吸困難があり、通勤や階段昇降などで大きな制約を受ける状態

※同じ病気でも進行度によって等級が異なるため、必ずしも病名だけで判定されるわけではありません。

申請に必要な書類

障害者手帳の申請には、主に以下の書類が必要です。

  • 指定医師が作成した診断書
  • 呼吸機能検査や血液ガス検査の結果
  • 自治体指定の申請書類一式
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

申請の流れ

  1. 医師による診断・必要な検査の実施
  2. 医師が診断書を作成
  3. 自治体の障害福祉窓口に申請
  4. 判定機関で審査・等級認定
  5. 障害者手帳が交付

申請から交付までは数週間〜数か月かかることがあるため、早めの準備が望まれます。

取得によるメリット

障害者手帳を取得することで、以下のような支援や優遇措置を受けられます。

  • 医療費助成(自己負担の軽減)
  • 障害者雇用枠での就職活動が可能
  • 公共交通機関の割引(バス・電車・タクシーなど)
  • 所得税・住民税の控除など、各種税制優遇

呼吸器機能障害のある人が利用できる支援制度

自立支援医療制度

高額になりやすい在宅酸素療法や薬剤費の自己負担を軽減できる制度です。通院・治療を続けやすくするために、多くの人が利用しています。

障害年金

呼吸器機能障害によって就労や日常生活に大きな制限がある場合、障害年金の対象になる可能性があります。ただし、すべての人が自動的に対象となるわけではありません。

  • 医師の診断書や呼吸機能検査の結果をもとに、障害等級(1級・2級・3級)が判定されます。
  • 等級や働ける程度によって、支給の有無や金額が異なります。
  • たとえば、在宅酸素療法が必要なほど重度であれば1級・2級に認定されやすく、軽度の場合は対象外となることもあります。

つまり、「病名があるから必ず年金が受けられる」のではなく、実際の呼吸機能の低下度合いと生活への影響がポイントになります。

就労支援

  • ハローワークの障害者窓口
  • 就労移行支援事業所
    といった機関を活用することで、自分に合った働き方を見つけるサポートを受けられます。

日常生活・仕事における工夫

生活での工夫

  • 感染症予防(マスク着用、うがい、手洗い)
  • 規則正しい生活習慣で体調を安定させる
  • 呼吸リハビリなど適度な運動で体力を維持する

仕事での工夫

  • 在宅勤務や時短勤務を取り入れる
  • 空調や換気環境が整った職場を選ぶ
  • 休憩時間をこまめに取り、体力の消耗を防ぐ

職場にお願いできる配慮

  • 通勤時間の短縮や時差出勤制度の利用
  • 空気環境への配慮(禁煙、定期的な換気)
  • 業務内容の調整(重労働や長時間勤務を避ける)

まとめ

呼吸器機能障害は、COPDや肺線維症、ぜん息、結核後遺症など原因となる病気が多様であり、症状や生活への影響も人によって異なります。大切なのは、病名そのものではなく、呼吸機能の数値や日常生活の制限度合いによって障害等級や支援制度の対象が決まるという点です。

障害者手帳や障害年金は、誰もが一律に取得できるものではなく、検査結果や生活上の困難さに応じて判定されます。だからこそ、診断基準や等級の目安を正しく知り、必要に応じて制度を活用することが、生活の安心につながります。

また、日常生活や仕事を続けるためには、無理をしない工夫と職場・家族・地域の理解が欠かせません。通院や酸素療法を続けながらでも、在宅勤務や勤務時間の調整、環境改善の工夫を取り入れることで、自分らしい生活を維持することは十分可能です。👉 読者へのメッセージ:
呼吸器機能障害があっても、制度を正しく理解し、周囲の理解を得ながら取り組めば、生活や仕事を前向きに続けていくことができます。大切なのは「一人で抱え込まず、制度と人の支えを味方につける」ことです。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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