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車椅子ユーザーにとって雨・雪の日は大変!人事担当者が知っておくべき配慮ポイント

この記事の内容
はじめに

車椅子を利用する方にとって、日常の移動には健常者以上に多くの工夫や体力が必要です。特に天候が悪い「雨の日」や「雪の日」には、移動そのものが大きな壁となり、通勤や職場での活動に深刻な影響を及ぼします。
企業の人事担当者にとって、障害者雇用は法令遵守だけでなく、多様性を取り入れる経営戦略の一環でもあります。しかし「天候による通勤負担」という視点を十分に考慮している企業はまだ少ないのが現状です。
本記事では、車椅子ユーザーが雨・雪の日に直面する具体的な困難と、企業・人事部門ができる現実的な配慮策を解説します。小さな工夫が、就労継続や定着率の向上に直結することを理解していただければ幸いです。
車椅子ユーザーが雨・雪の日に直面する困難
移動時の危険と不便
雨の日は路面が滑りやすく、特にタイルや金属製のスロープでは車輪が横滑りする危険性があります。傘をさすことも難しく、カッパやポンチョを着用するしかありませんが、車椅子の操作性が落ち、視界も狭まります。
雪の日には、除雪されていない歩道や駐車場が通行の大きな障壁となります。積雪や凍結でタイヤが埋まる、スロープが滑り台のようになるなど、危険を伴う移動を強いられるケースも少なくありません。
通勤の負担増
雨や雪の日は、普段より通勤時間がかかります。服や荷物が濡れてしまい、勤務開始前から体力を消耗することも多いです。公共交通機関を利用する場合も、雨で混雑が激しくなったり、雪による遅延・欠便のリスクが高まります。
結果として「出勤するだけで精一杯」という状況が生まれ、仕事のパフォーマンスに影響が出やすいのです。
駐車場の位置と職場アクセスの重要性

入口から遠い駐車場は大きな負担
企業の駐車場が入口から離れている場合、雨や雪の日の移動距離が長くなるほど、リスクと負担は増します。舗装が不十分で水たまりや凍結があればさらに危険です。
「建物まであと少しなのに、そこが一番つらい」という声は少なくありません。
理想的な駐車場環境
望ましいのは、会社の入口に近い障害者専用駐車スペースです。可能であれば屋根付きの駐車場や、スロープ直結の導線が理想的です。また、通常の出入口以外に「雨天・降雪時に利用できる代替出入口」を確保することも、柔軟な対応につながります。
企業ができる具体的な配慮
駐車場・通路の整備
- 障害者専用スペースを入口近くに配置
- 屋根付き駐車場や簡易テントの設置
- 雨の日は滑り止めマットを設置
- 雪の日は優先的に除雪・融雪対応を実施
こうした小さな工夫で、安全性と安心感は大きく変わります。
勤務制度の柔軟化
- 雨・雪の日は時差出勤を許可し、混雑を避ける
- 一時的な在宅勤務を可能にし、無理な通勤を避ける
- シフト勤務なら出勤日の入れ替えを柔軟に調整する
働き方を柔軟にするだけで、出勤困難による欠勤を防ぎ、本人・企業双方にメリットが生まれます。
緊急時のサポート体制
- 出勤が困難な場合は、リモート対応や代替業務を用意する
- 上司や同僚に「困ったときに声をかけるルール」を周知し、孤立を防ぐ
- 人事部門が「天候による勤務困難は想定内」と明言することで、本人の心理的負担を軽減できる
当事者の声(事例紹介)
実際の声を聞くと、課題の深刻さと配慮の重要性がよく分かります。
- 「雨の日に出勤すると、服も書類も濡れてしまい、午前中から疲れ果ててしまいます」
- 「駐車場から建物までの移動が一番大変。冬は雪かきがされておらず、遅刻してしまったこともあります」
- 「入口近くの駐車場を使えるだけで、安心して働けます。ほんの少しの配慮で全然違います」
これらの声は、人事担当者が制度や環境整備を検討するうえでの重要な参考材料になります。
まとめ
車椅子ユーザーにとって、雨や雪の日の通勤は健常者が想像する以上に大きな負担です。濡れた路面の危険や衣服・荷物の濡れ、雪道の除雪不足など、ちょっとした環境要因が「出勤できない」「午前中で体力を消耗してしまう」といった深刻な影響につながります。
しかし、企業側の小さな配慮がこの負担を大きく軽減します。駐車場を入口近くに用意する、屋根やスロープを整える、悪天候時には在宅勤務や時差出勤を認めるなどの施策は、実際に就労継続を支える重要な仕組みです。
また、厚生労働省が示す「合理的配慮ガイドライン」では、物理的環境の改善や勤務制度の柔軟化が明確に例示されています。つまり、こうした取り組みは「特別な優遇」ではなく、国が求める合理的な対応であり、企業の社会的責任を果たす行為でもあるのです。
実際に「大雨・大雪の日は原則在宅勤務を認める」といった制度を導入した企業では、障害のある社員だけでなく健常者にとっても安心感が高まり、結果的に欠勤や離職が減ったという事例も報告されています。これはまさに、合理的配慮が組織全体の生産性と定着率を底上げする施策であることを示しています。
人事担当者に求められるのは、「当たり前の出勤が難しい日」を前提に制度と環境を設計することです。安心して働ける環境を整えることは、障害のある社員のためだけでなく、企業全体にとってもプラスに働きます。配慮はコストではなく投資。その意識を持つことで、企業はダイバーシティ経営を実践し、より持続可能で強い組織へと成長していくことができるのです。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







