2025/10/23
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【後天性障害者の再就職】元営業職が事務職へのキャリアチェンジで「心の安定」を得た全記録

この記事の内容

はじめに:「動」から「静」へ──キャリアの壁に直面する時

突然の事故や病気によって障害を負い、それまでのキャリアを断念せざるを得なくなったとき、私たちは人生最大の「キャリアの壁」に直面します。

特に、外回りや人との交流が中心だった「動」の仕事(営業、サービス業、製造現場など)から、デスクワークが中心の「静」の仕事(事務職、データ入力など)へと転換を余儀なくされた方は、大きな葛藤を抱えることになります。

「もう以前のように外で活躍できないのではないか」「自分は会社にとって戦力になれないのではないか」――こうした不安は、キャリアの喪失感と相まって、再就職への大きな心理的なブレーキとなります。


問題提起:後天性障害者が抱える「過去の自分」とのギャップと不安

後天性の障害を持つ方が再就職活動で直面する最大の課題は、身体的な制約そのものではなく、「過去の自分と現在の自分」との間に存在する、価値観の大きなギャップです。

過去のキャリア(動)現在求められるキャリア(静)ギャップの根源
成果: 体力、交渉力、外での活動量成果: 正確性、集中力、PCスキル自己肯定感の低下
評価: 人との交流、アクティブさ評価: 安定した勤怠、ミスの少なさ能力の再定義の困難さ

このギャップから生じる「自分はもう戦力になれない」という不安こそが、再就職を阻む最大の「心の壁」なのです。企業側も、過去の華々しいキャリアを持つ方が、単調な事務職に定着できるのかという懸念を抱きがちです。

キャリアチェンジは「能力の放棄」ではなく「戦略的選択」である

この記事の結論は、キャリアチェンジは、決してあなたが能力を諦めることではありません。むしろ、それは「新しい自分」の強みを最大限に活かし、精神的な安定と長期的な貢献を可能にするための「戦略的な選択」であるということです。

過去の営業で培った「計画性」「目標達成への執着」「コミュニケーション能力」といったスキルは、事務職の「業務改善」や「マニュアル作成」「報連相の明確化」といった形で、必ず活かすことができます。

大切なのは、「新しい環境で、私の何が最も活きるのか」を論理的に再定義することです。

本記事の構成とインタビュー対象者(Aさん:元営業職、現事務職)

本稿では、実際にこの壁を乗り越え、事務職へのキャリアチェンジによって「心の安定」を手に入れた方の経験を追います。

【インタビュー対象者】

  • 仮名: Aさん
  • 障害: 後天性の身体障害(長時間の移動や立ち仕事に制限あり)
  • 前職: 自動車ディーラーの営業職(体力を要する外回り、対人折衝中心)
  • 現職: 特例子会社の事務職(データチェック、マニュアル作成、Excel業務中心)

Aさんの具体的な体験談を通して、以下のステップを深く掘り下げます。

  1. 葛藤の記録: 喪失感をどう受け止め、事務職への抵抗感をどう乗り越えたか。
  2. 戦略の構築: 制限された体力の中で、PCスキルをどのように「再起の武器」としたか。
  3. 安定の獲得: 「静」のキャリアが、いかに心の安定と新しいやりがいをもたらしたか。

この事例が、現在キャリアの壁に直面している皆さんの、前向きな一歩を後押しする指針となることを願っています。

1.診断直後の「喪失感」とキャリアへの葛藤を乗り越えるまで

後天的に障害を負った方が直面する最初の試練は、肉体的なリハビリテーションだけではありません。むしろ、それまでの「自己のアイデンティティ」が崩壊し、新しい自分を受け入れるまでの「心の葛藤」こそが、再就職への最大の壁となります。元営業職のAさんも、この深い喪失感と闘いました。


過去のキャリアの喪失:「動」の業務スタイルへの強い執着

Aさんの前職は、自動車ディーラーの営業職でした。毎日、顧客訪問や展示場での立ち仕事、車庫入れのサポートなど、体力と対人折衝能力を最大限に活かす「動」のキャリアの象徴でした。

元営業職Aさんが直面した「外で活躍できない」という自己肯定感の低下

事故により下肢に障害を負い、長時間の歩行や立ち仕事、運転が困難になったとき、Aさんはまず「役割の喪失」に苦しみました。

Aさんの声: 「診断を受けて最初に思ったのは、『もう顧客と会えない。契約を取れない』ということでした。営業成績が自分の価値の全てだと信じていたので、それができなくなったとき、『自分はもう誰にも必要とされていないのではないか』という深い孤独感と、自己肯定感の急激な低下に襲われました。」

過去の成功体験が、そのまま現在の「できないこと」を突きつける鏡となり、Aさんの心を大きく蝕みました。営業職として築いた自信、人から頼られる経験、そして汗を流して得た報酬の全てが、手の届かない過去になってしまったと感じたのです。

家族や周囲の反応がもたらした心理的影響

自己の葛藤に加え、周囲の反応もAさんに複雑な心理的影響を与えました。

  • 過剰な心配: 家族からの「無理しないで」「ゆっくり休んで」という言葉は、優しさから来るものでしたが、Aさんには「もうあなたは働けない人だ」というメッセージに聞こえてしまい、強い焦燥感を生みました。
  • 同情的な視線: 元の職場や友人からの同情や憐れみの視線は、Aさんの「戦力でありたい」という強い思いと衝突し、自立への意欲を一時的に低下させました。

この時期、Aさんにとって「障害者」というレッテルは、これまでの「キャリアマン」というアイデンティティを上書きする、受け入れがたいものでした。

「事務職」への抵抗感と、ゼロからの再スタートへの決意

再就職を考え始めたとき、Aさんに提示された選択肢の多くは、体力的な負担が少ない事務職でした。しかし、これがAさんにとって第二の心理的な壁となりました。

「座って細かな作業をすること」への葛藤と戦力外への不安

「動」の仕事に価値を見出してきたAさんにとって、「静」の仕事、特に事務職は**「誰でもできる単純作業」「外の荒波を知らない仕事」**というネガティブなイメージが強くありました。

  • 作業への抵抗: 外で顧客の心をつかむ仕事をしてきた自分が、PCに向かって黙々とデータを入力したり、書類を整理したりすることに、強い「抵抗感」を覚えました。
  • 戦力外の不安: 「事務職として、私は本当に会社に貢献できるのか?」「単に障害者雇用率を埋めるための存在になるのではないか?」という、自らの存在意義への不安が拭えませんでした。

(Aさんの声)障害者雇用という選択を受け入れた決定的な瞬間

Aさんがこの葛藤を乗り越え、事務職、そして障害者雇用という選択を「戦略的な再スタート」として受け入れたのは、就労移行支援事業所の担当者の一言でした。

Aさんの声: 「私は『細かくて単純な事務作業は、私の能力を殺す』と相談員に言いました。その時、彼女は『あなたの体力制限という現実は、誰も変えられません。しかし、あなたの営業で培った計画性や、集中力、そして目標達成への執着心は、事務職の “業務改善” という分野でこそ、最も活かせる武器になる』と教えてくれたんです。」

「その瞬間、事務職は『単なる作業』ではなく、『新しいステージでの戦略的な仕事』に変わりました。そして、自分の能力を最大限に発揮するために、合理的配慮を前提とした障害者雇用を選ぶことが、最も賢明で前向きな選択だと腹落ちしました。」

この決意が、Aさんの再就職活動のエンジンとなり、過去の成功を否定するのではなく、新しい形で活かすためのスキルチェンジ戦略へと繋がっていくのです。

2.「ブランク」と「体力制限」を克服したスキルチェンジ戦略

「動」のキャリアから「静」の事務職へ移行する際、最大の課題は、「失われた体力」「事務職経験のブランク」です。元営業職のAさんは、この壁を乗り越えるため、体力や環境に依存しない「PCスキル」を戦略的な「武器」として習得する道を選びました。


体力と環境に依存しない「PCスキル」習得が再起の鍵

事務職にキャリアチェンジする場合、あなたの能力を最も客観的かつ効率的に証明できるのは、ExcelやWordといったPCスキルです。これは、障害の有無に関わらず、場所や体調に左右されにくい、普遍的なビジネス能力だからです。

Excel、Wordが能力を証明するための唯一の「武器」になった理由

Aさんは、かつての営業経験で培った「顧客との関係構築力」を失ったと感じたとき、「自分の論理的な能力を、目に見える形で示せるもの」が必要だと気づきました。

Aさんの声: 「営業は、私という人間性で契約を取っていました。でも、車椅子になった自分には、もうその体力も自信もない。そこで考えたのが、『論理と数字』でした。体力や声の大きさではなく、Excelの関数やピボットテーブルでデータを分析し、業務を効率化できれば、それは場所や体調に関係なく、会社に提供できる確かな価値になる、と。PCスキルこそが、私の新しい戦力証明書だと確信しました。」

PCスキルは、身体的な制約があっても、高い集中力や論理的思考力をそのまま業務成果に変換できる、最強のツールだったのです。

必要なPCスキルを効率的に見極める方法

「PCスキル」といっても、その範囲は広大です。Aさんは、事務職に特化し、かつ即戦力となるスキルに焦点を絞って学習しました。

  1. 基礎(デジタルリテラシー): Wordの基本文書作成、メールソフトの運用。
  2. 必須(データ処理): ExcelのSUM、AVERAGE、そしてVLOOKUP。特にVLOOKUPは、複数のデータ照合が必要な事務・経理業務の即戦力のボーダーラインです。
  3. 応用(分析・効率化): Excelのピボットテーブル(データ集計と分析)、PowerPoint(報告書作成)。

Aさんは、「全ての関数を覚える必要はない。VLOOKUPとピボットテーブルを使いこなし、業務を自動化できることこそが、企業が求める『改善能力』の証明になる」と考え、学習を進めました。

学習の葛藤と克服:独学と支援機関の戦略的活用

長年、体を動かして成果を出してきたAさんにとって、PCに向かって座学と実践を繰り返す学習は、新たな葛藤を生みました。

慣れないPC作業や集中力の維持に苦労した点

  • 身体的負担: 長時間座位による身体の痛みや疲労。
  • 認知的な負担: 慣れない関数や論理構造(特にVLOOKUPやピボットテーブル)の理解に時間がかかり、「動」の仕事にはなかった認知的な疲労に直面しました。

Aさんの声: 「営業時代はすぐに成果が見えましたが、PC学習は地味で、成果が出るまで時間がかかりました。特に、エラーの原因が分からず集中力が途切れるときは、『自分は本当にこの仕事に向いているのか』と自問自答しました。」

就労移行支援事業所や職業訓練をどう活用し、専門知識を得たか

Aさんは、この学習の葛藤を外部の専門的な支援を活用することで乗り越えました。

  1. 支援機関の選定: 地域の就労移行支援事業所で、PCスキル研修が充実しているところを選びました。
  2. 合理的配慮の活用: 事業所内で、体調に合わせた休憩時間の調整や、座り心地の良い椅子の提供、口頭ではなくテキストで指示を出すなどの配慮を受けました。
  3. モチベーションの維持: 障害特性を理解した専門のスタッフから、「PCスキルはあなたの論理性を発揮するための手段だ」と励まされ、学習を継続できました。

就労移行支援事業所は、単なるPCスキルの学習場所ではなく、「新しい環境で、新しい自分の強みを再構築する」ための、安全な訓練の場として機能したのです。

3.面接を突破する!「過去の強み」を事務職へ転換するアピール術

後天性障害を持つ元営業職のAさんが、事務職への再就職を成功させる鍵は、「過去のキャリアを否定しない」面接戦略にありました。体力が制限されても、営業時代に培ったスキルや思考法は、事務職の「論理的思考力」や「業務改善能力」として再定義できるからです。


過去の営業経験を事務職の「論理的思考力」として再定義する

面接官は、あなたが「動」の仕事から「静」の仕事へ、なぜ定着できるのかを知りたがっています。ここで、「過去の経験は役に立たない」と切り捨てるのではなく、「思考の軸」が事務職でこそ活きることを論理的に説明します。

コミュニケーション能力を「報連相の明確化」に活かす

営業職のコミュニケーション能力は、単なる「話し上手」ではありません。相手のニーズを正確に把握し、必要な情報を分かりやすく伝える「報連相の明確化能力」です。

Aさんのアピール例: 「営業時代、契約ミスを防ぐために顧客の意図を正確に記録・確認する習慣がありました。この『情報の正確性と明確化』への意識は、事務職の『報連相』や『データ入力の正確性』において、最も重要な要素だと考えます。曖昧な口頭指示を避け、必ず記録に残すという形で、チーム内のミスコミュニケーション防止に貢献できます。」

目標達成への執着を「業務改善の徹底」に転換する

営業職は、目標達成に向けて逆算し、計画を立てる思考が身についています。この「目標達成への執着心」を、事務職における「業務改善」という新しい目標に転換してアピールします。

Aさんのアピール例: 「営業として、目標達成のためには『無駄な行動を徹底的に排除する』思考が習慣化しています。事務職でも、単に作業をこなすのではなく、ExcelのVLOOKUPやピボットテーブルを用いて、非効率なルーティン作業を自動化・簡素化するという形で、部門の効率化目標に貢献できます。」

合理的配慮の提案を「貢献」に結びつける面接戦略

障害者雇用の面接で配慮を求める際、最も重要なのは、配慮を「自分を助けるための要求」ではなく、「会社に安定して貢献するための前提条件」として提示することです。

障害特性を正直に伝えつつ、企業へのリスクを軽減する方法

障害特性を包み隠さず伝えることは、信頼構築の第一歩です。しかし、それに伴う「企業側のリスク」を理解し、そのリスクを自身でコントロールできることを示さなければなりません。

  • NGな伝え方: 「身体が不自由なので、急な残業はできません。」
  • OKな伝え方: 「(障害を伝えた上で)疲労が蓄積すると正確性が落ちる特性があるため、業務時間内の集中力維持を最優先します。具体的には、業務時間内にマクロ活用などで効率を上げ残業ゼロで安定した成果を出すことで、貴社の労務管理リスクを軽減します。」

安定就労を可能にする「通院・休憩配慮」の論理的な伝え方

特に後天性の障害の場合、定期的な通院やリハビリが安定就労に不可欠です。この配慮要求を、企業の「生産性」に結びつけて提案します。

Aさんのアピール例: 「月に一度、リハビリ通院が必要ですが、これは長期的な安定就労を可能にするための投資だと考えています。通院日には時間単位での有休取得、またはコアタイム後の出社を希望しますが、その代わり、日々の業務でVLOOKUPを活用して業務時間を先取りで短縮することで、年間を通して平均以上の生産性を担保します。」

このように、一つ一つの配慮要求に対して、「その配慮によって企業は何を得られるか」という対価を示すことが、内定に直結するプロフェッショナルなアピール戦略となります。

4.新しい働き方:「静」のキャリアがもたらした心の安定と成長

「動」のキャリアから「静」のキャリアへの転換は、単に業務内容が変わるだけでなく、生活全体のリズムと精神的な安定に大きな変化をもたらします。元営業職のAさんは、この新しい働き方によって、過去のキャリアでは得られなかった心の安定と、新しい形の成長を手に入れました。


事務職で得られた「心の安定」とストレスからの解放

長時間の移動や顧客折衝に伴うプレッシャーから解放されたことは、Aさんの心身の健康にとって最大の利益となりました。

通勤負担の軽減や人間関係のプレッシャーからの解放効果

営業職は、朝早くから夜遅くまでの活動や、目標達成に向けた厳しいノルマ、そして複雑な人間関係の調整が常について回ります。Aさんにとって、これらの負荷が軽減されたことは、安定就労の土台となりました。

  • 身体的負担の解消: 長時間の運転や立ち仕事、そして満員電車での通勤がなくなったことで、下肢の負担が大幅に減少し、体力の回復に専念できるようになりました。
  • 精神的負荷の減少: 事務職は、業務内容が明確で、目標達成ノルマや突発的なクレーム対応が少ないため、精神的なプレッシャーが軽減されます。これにより、疲労の蓄積を防ぎ、精神的な安定を保ちやすくなりました。

(Aさんの声)規則正しい生活リズムの確立と体調の安定

Aさんは、通勤やノルマのプレッシャーがなくなったことで、規則正しい生活リズムを確立できたことが、何よりも大きな変化だと語ります。

Aさんの声: 「営業時代は、朝早く出て、夜遅くまで顧客都合で動く不規則な生活でした。今は、体調に合わせてフレックスで出勤し、定時にPCを閉じる。この規則正しいリズムが、私の身体的な痛みだけでなく、精神的な安定にも直結しました。業務設計がしっかりしている事務職だからこそ、仕事のために無理をするのではなく、体調を最優先にできるようになりました。これが、長期就労に繋がる一番の財産だと感じています。」

事務職での具体的な「業務改善」と「キャリア成長」の実現

Aさんは、単にルーティンワークをこなすのではなく、営業時代に培った論理的思考力や計画性を活かし、事務職としての新しいキャリア成長の道を切り開きました。

営業時代の計画性を活かした「マニュアル作成」と「業務フロー構築」

営業職の「いつまでに、何を、どう売るか」という計画性は、事務職の「いつまでに、どの手順で、ミスなく業務を完遂するか」という業務フローの設計に転用できます。

Aさんは、ExcelやVBA(マクロ)スキルを活かし、部署内の非効率な業務プロセスを洗い出し、マニュアル化や自動化を推進しました。

  • 具体的な貢献: 「VLOOKUPを使ったデータ照合マニュアルの作成」や、「月次報告書作成プロセスのフローチャート化」など、業務の属人化を防ぎ、部門全体の効率化に貢献しました。

過去の専門知識を活かし、管理職をサポートする「準専門職」への進化

Aさんの持つ「元営業」という経験は、事務職として新しい価値を生み出しました。

Aさんの声: 「営業時代、数字の裏側にある『顧客の動き』や『現場の感覚』を知っていたため、経理や企画の管理職から『このデータが現場でどう使われるか』という相談を受けるようになりました。単にデータを集計するだけでなく、営業経験に基づいた分析を付加することで、私は『営業サポートの準専門職』として評価されるようになったんです。」

このように、過去の経験と現在のPCスキルを組み合わせることで、Aさんは単なる「データ入力係」ではなく、専門的な視点を持つ「業務改善者」へと進化し、会社にとって不可欠な存在となったのです。

5.まとめ:過去の自分に感謝し、未来の自分を創る

元営業職のAさんの事例を通じて、私たちは後天的な障害がキャリアにもたらす深い影響と、それを乗り越えるための戦略を学びました。「動」のキャリアから「静」のキャリアへの転換は、単なる仕事の変化ではなく、人生の価値観の再構築に他なりません。


記事の要約:後天性障害を乗り越え、新しい価値観を見つけるプロセス

後天性の障害を持つ方が、安定したキャリアと心の安定を手に入れるまでのプロセスは、以下の重要なステップで構成されています。

  1. 葛藤の直視: 過去の成功(体力や活動性)への執着を認め、「喪失感」から目を背けない。事務職への抵抗感を「能力の放棄」ではなく「戦略的選択」と再定義する。
  2. スキルチェンジ: 体力に依存しないPCスキル(VLOOKUP, ピボットテーブル)を習得し、論理的思考力を証明するための「新しい武器」とする。
  3. 強みの転換: 過去の営業経験(コミュニケーション、計画性、目標達成)を、事務職の「業務改善」「報連相の明確化」といった新しい形で活用する。
  4. 安定の獲得: 業務設計と合理的配慮(通勤負担の軽減、規則正しい生活リズム)によって心の安定を得ることで、長期的な貢献を可能にする。

このプロセスを通じて、Aさんは、身体の制約があっても、過去の経験が無駄になることはないという新しい価値観を見出しました。

読者へのメッセージ:過去のキャリアを否定せず、「新しい強み」と「安定」に投資しよう

現在、事故や病気でキャリアの転換期に立たされている読者の皆さんに、強くお伝えしたいメッセージがあります。

過去の輝かしいキャリアを失ったと感じるかもしれませんが、それは決して否定されるべきものではありません。かつて培った情熱、対人スキル、計画性は、必ず「静」のキャリア、特に事務職での業務改善やチームサポートという形で活きてきます。

大切なのは、「過去の自分に感謝し、未来の自分を創る」という視点です。

  • 過去の経験を、新しい仕事での論理的な思考貢献の根拠として活かしましょう。
  • 「安定」を最優先事項とし、PCスキルという普遍的な武器に投資しましょう。
  • 合理的配慮は、あなたの生産性を最大限に引き出すための条件であり、決して遠慮すべきものではありません。

一歩踏み出し、「新しい強み」と「心の安定」に戦略的に投資することで、あなたは必ず、自分らしい、充実した未来のキャリアを築き上げることができるでしょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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