- お役立ち情報
- 仕事探し・キャリア準備
- 働き方・職場での工夫
【完全対策】障害者雇用で実施される「適性検査」の種類と攻略法|企業が測る3つの能力

この記事の内容
はじめに:適性検査は「ふるい」ではない。「能力と配慮の相性」を見るツール

障害者雇用での選考プロセスは、近年、一般採用と同様に適性検査(SPI、玉手箱などのWebテスト)を導入する企業が増えています。「ただでさえ面接が不安なのに、学力やスピードを測られるテストで落とされてしまうのではないか」と、強い不安を感じている方も多いでしょう。
記事の導入:障害者雇用でも適性検査が一般化している現状と、それに対する求職者の不安に共感する
障害者雇用でも適性検査(Webテスト、SPIなど)が一般化している現状と、それに対する求職者の不安に共感します。特に、長期間のブランクがあったり、集中力や時間感覚に特性があったりする場合、制限時間内に問題を解く能力検査は、非常に大きな心理的負担となります。
記事の結論:適性検査は、「能力不足の判断」ではなく、「配属先の業務と特性との相性」を見るためのツールである
しかし、企業が適性検査を実施する目的は、「能力がない人材を不採用にする」という「ふるい」だけではありません。むしろ、「あなたの能力を最大限に引き出し、特性に合った配慮を行う」ための重要な「相性診断ツール」として活用されています。
- 相性の確認: 検査結果を基に、論理的思考力があるならデータ監査へ、集中力があるならQA(品質保証)へと、最適な配属先を決めるための判断材料とされます。
この記事で得られること
この記事は、適性検査に対するあなたの不安を解消し、戦略的に選考を勝ち抜くための具体的な知識を提供します。
- 適性検査の主な種類:企業が何を知ろうとしているのか。
- 企業が測る3つの能力:知的能力、性格特性、作業特性。
- 障害特性に合わせた受験時の合理的配慮:試験時間の延長など、申請戦略。
- 具体的な対策戦略:検査の攻略法と、結果を面接でどう活かすか。
適性検査を恐れず、あなたの能力を証明し、安定就労への道筋を明確にしましょう。
1. なぜ障害者雇用で適性検査が実施されるのか?企業の3つの目的
障害者雇用で適性検査(Webテスト、SPIなど)が実施されるのは、単に「足切り」をするためだけではありません。企業は、合理的配慮を適切に行い、長期的な定着と貢献を実現するために、社員の能力や特性を客観的に把握したいという明確な目的を持っています。
① 基礎能力(地頭)の把握
適性検査の「能力検査」は、職務遂行に必要な基礎的な思考力を測ります。
- 学歴や職歴に左右されない、論理的思考力や計算力といった基礎的な能力を客観的に測る:
- 目的: 障害者雇用では、病気や治療のために学歴や職歴にブランクがある方が多くいます。検査は、過去の経歴に左右されず、現在持っている論理的思考力、言語能力、計算力といった知的な基礎能力(地頭)が、任せたい業務のレベルに達しているかを客観的に確認します。
- 重要性: 特にデータ分析、経理、ITなど、論理性が求められる職種では、選考の重要な判断材料となります。
② 性格・意欲の確認
定着の成否を分けるのは、スキルだけでなく、組織への適合性と働く意欲です。
- 組織への適応性、ストレス耐性、定着へのコミットメントを測る:
- 性格検査: 検査の「性格検査」部分では、内向性・外向性、協調性、粘り強さ、ストレス耐性といった資質を測ります。
- 定着への予測: これらの結果から、応募者がチームで働くことに適しているか、困難な状況でも諦めずに取り組む意欲(定着へのコミットメント)があるかを予測します。企業は、配慮を通じて長く安定して活躍してくれる人材を求めています。
③ 配属部署の適性判断
適性検査の結果は、入社後の「合理的配慮」や「職務設計」のための重要な情報源となります。
- 適性検査の結果を参考に、職務内容(ジョブデザイン)を決定する材料とする:
- 目的: 例えば、能力検査で「計算・データ処理」の正確性が高いという結果が出れば、データ監査や経理事務といった緻密な業務への適性が高いと判断できます。逆に、「作業のスピード」に波があると分かれば、締め切りが厳しい業務を避け、ルーティンワークを任せるというジョブデザインの参考にします。
- 配慮への活用: 検査を通じて得られた「能力の特性」と、面接で聞いた「障害特性」を組み合わせ、最も能力を発揮できる配属先と配慮の具体的な内容を決定するために活用されます。
企業は、適性検査を通じて「あなたの能力と、自社の業務・文化との最適な相性」を探っているのです。
2. 障害者雇用で使われる主な適性検査の種類と特徴
障害者雇用で実施される適性検査は、応募者の基礎能力や性格特性を客観的に把握し、職務との最適なマッチングを図るために利用されます。ここでは、主要な検査の種類と、企業がそれぞれの検査で何を見ようとしているかを解説します。
SPI・玉手箱などの「能力・性格検査」
最も一般的に利用されるWebテストで、知的能力とパーソナリティの二側面を測ります。
- 能力検査(基礎能力):
- 非言語(数学・論理): 物事を順序立てて考える力、推論力、計算力、データ解釈能力を測ります。これは、ITや経理、データ分析といった論理性が求められる職種で特に重要となります。
- 言語(国語・語彙): 文章の意味や意図を正確に理解する力、語彙力、読解力を測ります。書類作成や報告、コミュニケーションの基礎能力となります。
- 性格検査(パーソナリティ):
- 役割: 組織への適応性、ストレス耐性、協調性、意欲、モチベーションの源泉(例:内向的か外向的か、目標志向か)を測ります。これは、職場の文化やチームとの相性を判断する重要な材料となります。
クレペリン検査
単調な作業を継続する能力や、ストレス下での行動パターンを測る、ユニークな検査です。
- 単調な計算を続けることで、作業量、正確性、集中力の持続性といった障害特性との相性を測る:
- 仕組み: 受験者は、制限時間内に隣り合う数字を足し算し、その一の位をひたすら書き出すという単純作業を続けます。
- 企業が測るもの:
- 作業量: 一定時間内でどれだけの量をこなせるか(処理能力)。
- 正確性: ミスの少なさ(几帳面さ)。
- 集中力の持続性: 時間の経過とともに作業量や正確性に「ムラ」が出るか。特に精神障害や発達障害を持つ方の場合、疲労や集中力の波がグラフの形状に表れやすいため、企業はこれを配慮の必要性や定型業務への適性を測る材料とします。
一般常識・専門知識テスト
職務に直結する知識や、社会人としての基礎的な教養を測ります。
- 募集職種(IT、経理など)に関連する基礎知識や時事問題を測る:
- 目的: 採用後の教育期間の短縮や、仕事への意欲を測るために実施されます。
- 具体例:
- 経理職: 簿記の基礎知識、税金に関する基礎用語。
- IT職: パソコンの基本的な仕組み、ネットワークの基礎、ITパスポートレベルの知識。
- 対策: 募集要項に記載されている職種に関連する基礎知識を、事前学習で補っておくことが有効です。
3. 【最重要】企業が適性検査で測る「3つの能力」

企業が適性検査を実施する最大の目的は、「あなたの特性と、任せたい職務内容との間に、最適な相性があるか」を確認することです。検査結果は、単に点数として評価されるだけでなく、あなたの「配慮の必要性」や「潜在的な強み」を読み解くために利用されます。
能力1:知的能力(論理的思考力と正確性)
学歴や職歴に左右されない、仕事の土台となる基礎的な思考力です。
- 物事を順序立てて考える力、データ処理の正確性。特にデータ監査や経理で求められる能力:
- 測定対象: SPIなどの能力検査の非言語分野(数学・論理)。
- 職務との関連: システムのエラー原因を突き止めるトラブルシューティング、複雑な規約に沿って給与や経費を計算する経理業務、RPAが処理したデータの最終監査(QA)といった、高い正確性と論理的な手順が不可欠な職種で重要です。
- 対策の焦点: 「論理的な思考力」を鍛えることが、検査攻略の鍵となります。
能力2:性格特性(安定性と協調性)
長期定着とチームワークの成否を分ける、パーソナリティに関する側面です。
- ストレス耐性、内向性/外向性、組織やチームで働く上での適性:
- 測定対象: SPIなどの性格検査。
- 職務との関連:
- 安定性: ストレス耐性のスコアは、症状の波への影響を予測する材料となります。
- 協調性: 協調性や内向性のスコアを参考に、対人負荷の高い営業事務を避けるか、単独作業が中心のデータ管理に配置するかといった、配属先の適性を判断します。
- 対策の焦点: 回答に一貫性を持たせ、「自己理解ができている」という印象を与えることが重要です。
能力3:作業特性(集中力と持続性)
特性が業務の品質や効率に直結する、作業遂行能力に関する側面です。
- 長時間の定型作業をミスなくこなせるか、注意力の持続性があるか。QAや軽作業で重視:
- 測定対象: クレペリン検査など。
- 職務との関連:
- 集中力: QA(品質保証)や検品作業など、地道な定型作業を長時間ミスなくこなせるか(発達障害(ASD)の特性が活かせる領域)を測ります。
- 持続性: 時間の経過とともに作業量や正確性に「ムラ」が出るかを確認し、休憩の必要性や業務量の調整といった、合理的配慮の具体的な内容を決定する材料とします。
企業は、これら3つの能力を総合的に分析し、あなたの「特性」が、「どの職務」で「どうすれば安定して活かせるか」という、最適なマッチングを探っているのです。
4. 障害特性に合わせた「合理的配慮」と申請戦略
適性検査の最大の壁は「時間制限」と「環境」です。これらの課題に対し、企業に合理的配慮を求める権利は障害者雇用促進法で保証されています。適切に配慮を申請することで、あなたは能力を最大限に発揮できます。
合理的配慮の具体例
あなたの障害特性に応じて、検査の形式や環境を調整してもらうことが可能です。
- 試験時間の延長、問題形式の変更(読み上げ、拡大)、別室での受験など:
- 時間の延長: 集中力の持続が難しい、疲労しやすい(精神障害、内部障害など)特性を持つ場合、試験時間を1.5倍や2倍に延長してもらう配慮が最も一般的です。
- 問題形式の変更: 視覚障害や難読症(ディスレクシア)の場合、問題文の拡大表示や、問題の読み上げ(音声ソフトの利用許可)といった配慮が受けられます。
- 環境の調整: 聴覚過敏やパニック障害がある場合、騒音や人の動きが遮断された別室での受験を求めることで、外部刺激による影響を最小限に抑えられます。
- 休憩の確保: 途中で短時間の休憩(例:5分間)を挟むことを許可してもらう配慮も可能です。
配慮の申請方法と注意点
配慮を求める際は、必ず選考が始まる前に、論理的な根拠をもって行うことが重要です。
- 企業やエージェントに必ず事前に申請すること:
- 鉄則: 配慮は、試験当日ではなく、必ず応募時または選考の初期段階で企業(または転職エージェント)に申請してください。企業は配慮の準備に時間が必要です。
- 申請方法: 転職エージェントを介している場合は、エージェントに「この検査で〇〇の配慮を希望する」と伝え、企業との交渉を依頼します。
- 「診断書」や「手帳」を根拠に具体的な配慮内容を要求する:
- 根拠の提示: 単に「時間が足りない」と訴えるのではなく、「障害者手帳」や「主治医の診断書」に記載された障害特性(例:注意欠如、易疲労性など)を根拠として提示します。
- 論理: 「この特性があるため、試験時間を延長することで、能力を最大限に発揮し、正確な結果を出すことができます」と、配慮があなたの能力を証明するために必要であることを伝えましょう。
適切な配慮を受けることで、あなたは「制限時間」という壁を乗り越え、本来持っている能力を正確に企業に示すことができるようになります。
5. 検査攻略のための具体的な対策と学習戦略

適性検査は、準備と戦略が結果を大きく左右します。特に、時間制限が課題となる障害者雇用では、効率的な対策と特性に合った学習方法を選ぶことが、選考を突破するための鍵となります。
スキルアップ戦略:効率的な学習アプローチ
能力検査は、知識だけでなく解くためのスピードとパターンを習得することで、スコアを伸ばせます。
- 能力検査対策:非言語分野はパターン化して学習する。言語分野は語彙力を鍛える:
- 非言語(論理・数学):
- 戦略: 出題される問題(例:推論、集合、料金計算)は、パターンが限られています。多くの問題を解き、解法を暗記し、解くための時間を短縮するトレーニングが必要です。複雑な計算ではなく、論理的な手順を素早く思い出す練習に焦点を当てましょう。
- 言語(語彙・読解):
- 戦略: 短期間で読解力を上げるのは難しいですが、語彙力は集中的に鍛えられます。四字熟語、二語の関係、語句の用法など、頻出する語彙を徹底的に暗記しましょう。長文読解は、設問を先に読み、どこに答えがあるかを探す練習をします。
- 非言語(論理・数学):
- メリット: スコアアップは、あなたの「知的な基礎能力」を客観的に証明し、企業への説得力を高めます。
性格検査の回答戦略
性格検査に「正解」はありませんが、企業が求める人物像を理解し、「安定した人材」であることを伝える一貫性が重要です。
- 企業が求める人物像(安定性、協調性)を理解し、一貫性を持って回答する:
- 企業が求めるもの: 企業は、「極端にストレス耐性が低い」「協調性がない」「回答に矛盾が多い」といった人物を避けたいと考えています。
- 戦略: 企業の募集要項や社風(例:チームワーク重視か、個人主義か)を理解し、その文化で安定して働けるパーソナリティを意識して回答します。特に、「物事の捉え方が一貫しているか」が最も重要です。正直さを保ちつつも、極端な回答は避けましょう。
- 自己理解の反映: 自分の障害特性(例:内向的だが、集中力がある)を否定せず、「単独作業で集中力を発揮し、チームのルールは忠実に守る」といった、安定した協調性を示す回答を心がけます。
訓練校・Eラーニングの活用
独学が難しい場合や、体系的な対策が必要な場合は、外部の専門機関を頼りましょう。
- 就労移行支援や職業訓練で、専門の対策講座を受講するメリット:
- 就労移行支援事業所: 専門の対策講座や模擬試験を通じて、SPIなどの検査対策を集中的に行えます。また、「検査結果を面接でどう説明するか」という、障害者雇用特有の戦略についても指導を受けられます。
- Eラーニング: 費用を抑えつつ、自分のペースで、苦手な分野を繰り返し学習できます。体調の波がある方でも、自宅で無理なく対策を継続できます。
- 最大のメリット: 規則的な訓練校への通所実績は、企業に対し「安定した出勤能力」を証明する、強力な武器となります。
6. まとめ:適性検査は「能力の証明」であり、「配慮の準備」である
記事の要約:能力の証明と配慮の準備
適性検査は、あなたの能力と特性を客観視し、企業が適切な配慮を行うためのツールであることを再確認します。
- 検査の目的: 知的能力、性格特性、作業特性という3つの能力を測ることで、職務内容(ジョブデザイン)の決定と合理的配慮の必要性を判断します。
- 対策: 試験時間の延長といった合理的配慮を必ず事前に申請し、能力検査はパターン学習で攻略します。
読者へのメッセージ:恐れず対策を講じ、交渉材料として活用する
恐れることなく対策を講じ、検査結果を「安定就労」への交渉材料として活用するよう促します。検査結果は、あなたの「能力」と「安定性」を証明するための、最も客観的で説得力のある武器となります。
次のステップ:行動を始める
- 配慮の申請: 応募する企業またはエージェントに、試験時間の延長など、必要な合理的配慮を文書で申請しましょう。
- パターン学習の開始: SPIなどの非言語分野の対策問題集を購入し、解法のパターンを集中して習得する学習をスタートさせましょう。
訓練校の検討: 体系的な対策が必要な場合は、就労移行支援事業所で専門の対策講座受講を検討しましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







