2025/11/21
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【速報】障害者雇用率2.7%引き上げで何が変わる?企業と求職者が取るべき戦略的行動

この記事の内容

はじめに:雇用率2.7%時代へ。企業と求職者の新しい課題 

日本の社会全体で、障害者雇用の推進は不可逆な流れとなっています。特に、2026年7月に予定されている法定雇用率の2.7%への引き上げは、企業の人事戦略と、求職者の就職活動の双方に大きな変化を迫るターニングポイントとなります。


記事の導入:雇用率引き上げが確定した現状と、これが企業に与えるプレッシャー、および求職者にとっての機会の拡大に触れる

法定雇用率が2.7%に引き上げられることで、障害者雇用が義務付けられる企業の数はさらに増え、未達成企業への納付金負担も増加します。これにより、企業側には「何としてでも採用を成功させたい」という強いプレッシャーがかかります。

このプレッシャーは、求職者の皆さんにとっては、「採用機会の拡大」という大きなチャンスとなります。これまで採用に消極的だった企業も、積極的に優秀な人材を求めるようになります。

記事の結論:企業は「罰則逃れ」から「戦力確保」へ、求職者は「待つ」から「スキルアップ」へと、戦略的な転換が求められる

この新しい時代において、従来の意識のままでは成功はできません。

  • 企業側: 単に「罰則逃れ」のために人数を揃えるのではなく、「優秀な障害者社員をいかに自社の成長に活かすか」という「戦力確保」の視点への転換が求められます。
  • 求職者側: 求人数が増えるのを「待つ」だけでなく、企業が求める「安定性」と「スキル」を身につける戦略的な行動が不可欠となります。

この法定雇用率の引き上げを機に、企業と求職者が共に成長するための戦略を実行しましょう。


1. 法定雇用率2.7%引き上げの概要と企業への影響

法定雇用率の引き上げは、雇用義務の対象となる企業数と、未達成企業が負う経済的負担を増加させます。人事戦略を立てる上で、この具体的な影響を把握することが不可欠です。


2.7%の具体的な適用時期と対象企業

法定雇用率の引き上げは、企業の規模と種類に応じて段階的に適用されていますが、最終目標は2.7%です。

  • 具体的な適用時期と対象企業:
    • 法定雇用率: 一般の民間企業の場合、2024年4月には2.5%に引き上げられました。最終的には2.7%まで段階的に引き上げられることが確定しています(公表はされていますが、現時点の最終適用時期は未確定であるため、企業の戦略として織り込む必要があります)。
    • 雇用義務の対象: この引き上げに伴い、障害者雇用義務の対象となる企業の数(従業員40人以上から徐々に拡大)が増加し、従来の雇用率でクリアしていた企業も、新たに雇用枠を増やす必要に迫られます。
    • 特例子会社: 特例子会社を設立している大手企業も、グループ全体の雇用率を維持・向上させるため、さらなる採用のプレッシャーに直面します。

企業側の「罰則」強化

雇用率の引き上げは、未達成企業に対する経済的なペナルティを直接的に増加させます。

  • 雇用率未達成企業が支払う納付金の増加リスクと、行政指導の強化:
    • 納付金の増加: 法定雇用率が上がることで、不足する障害者社員の人数に対する「障害者雇用納付金」の総額が増加するリスクがあります。納付金(不足1人あたり月額5万円など)の負担増は、企業経営を圧迫する要因となります。
    • 行政指導の強化: 雇用率が特に低い企業に対しては、ハローワークによる行政指導や勧告が強化されます。これは、企業のコンプライアンスリスクとして対外的な信用にも影響を与えます。
    • 結論: 企業は、「納付金を払う」という選択肢ではなく、「何としてでも採用を成功させる」という採用強化戦略への転換が求められます。

2. 企業が取るべき「採用強化」戦略TOP3

雇用率2.7%時代を乗り切るためには、「罰則逃れ」のための採用ではなく、「戦力」として優秀な人材を確保するための戦略的な転換が必要です。企業が今すぐ着手すべき3つの戦略を解説します。


戦略1:採用ターゲットの拡大(「職務の多様化」)

従来の「切り出しやすい事務職」という枠組みを壊し、障害特性を活かせる多様な職種で採用を開始します。

  • 従来の事務職だけでなく、IT、データ分析、専門職など、多様な職種で積極的に採用を開始する:
    • IT・データ分析: 発達障害(ASD)の論理的思考力緻密な集中力が活きる、QA(品質保証)やデータ監査といった専門職を創出します。これらの職種は、高い生産性と柔軟な働き方(リモートワーク)が両立しやすいです。
    • 専門職: 経理・法務サポート、Webコンテンツ管理など、資格や専門知識が活かせる業務に積極的に配置します。
    • 効果: 採用ターゲットを拡大することで、応募者のスキルレベルが上がり、結果的に高い定着率と貢献度を確保できます。

戦略2:育成体制への投資(「スキル不足の解消」)

DXが進み、即戦力でないと活躍できない業務が増える中で、企業が自ら人材を育成する覚悟が不可欠です。

  • OJTの強化や社内研修を拡充し、未経験者・スキル不足の人材を自社内で育成する仕組み:
    • 研修予算の確保: Excel VBA(マクロ)、ピボットテーブル、ITパスポート基礎など、DX後の業務に必須のスキルを学ぶための研修プログラムEラーニングを整備します。
    • 現場の OJT 強化: 指導担当者を固定し、業務指示を文書化するなど、特性に合わせた指導方法を導入します。
    • 効果: スキル不足を理由に不採用にするのではなく、「採用後に育成する」という投資を行うことで、入社への意欲が高いポテンシャル人材を確実に確保できます。

戦略3:外部委託からの脱却(「自社内戦力化」)

雇用率の達成を外部に依存するのではなく、自社内での貢献を目指します。

  • 雇用率を外部に頼るのではなく、「自社内戦力化」を目指し、業務再構築を推進:
    • 業務再構築: 単純業務の消滅を逆手に取り、AIが苦手な「最終チェック」「複雑な判断基準の言語化」といった高付加価値な職務を創出します。(例:RPAが処理したデータの最終監査)。
    • メリット: 社員はコアビジネスに貢献でき、モチベーションが向上します。企業は外部委託コストや納付金を削減し、同時に業務の品質(監査による)を高めることができます。

この3つの戦略を実行することで、企業は2.7%の雇用率時代を「罰則」ではなく「成長」の機会に変えることができます。


3. 求職者にとってのメリット:「採用機会」の拡大と注意点 

法定雇用率の2.7%への引き上げは、求職者にとって間違いなく追い風です。しかし、この好機を活かすためには、メリットを享受するだけでなく、企業側の要求の変化という注意点を理解しておく必要があります。


メリット:求人数と職種の多様化

企業の採用活動が「義務」から「強化」へと移行することで、求職者にとって選択肢が大きく広がります。

  • 企業の採用意欲向上により、求人数が増加し、これまで門戸が閉ざされていた専門職への挑戦機会が広がる:
    • 求人数の増加: 多くの企業が、納付金リスクを回避するために、年度の早い段階から採用活動を活発化させます。結果として、障害者雇用の求人総数が増加し、内定獲得の可能性が高まります。
    • 職種の多様化: これまで「事務補助」一択だった求人が、ITサポート、Webコンテンツ管理、経理補助など、専門性の高い職種へと多様化します。特定のスキルや資格を持つ方は、能力を最大限に活かせるポジションに挑戦できる機会が増加します。

注意点:ポテンシャルからスキル重視へ

求人が増える一方で、企業が求める人材のハードルが下がるわけではない点に注意が必要です。

  • 採用ハードルが下がるわけではなく、企業は「安定性」と「PCスキル」をより厳しく見るようになる:
    • 安定性への要求: 採用枠が増えるほど、企業は「一度採用したら長く定着してほしい」という願いが強くなります。そのため、面接では体調管理の自律性や、休職・離職リスクの低さを証明するよう、より厳しく求められます。
    • PCスキルの重視: 単純なデータ入力業務がAIに代替されるため、企業は入社後すぐに付加価値を生み出せる実務直結のPCスキル(ExcelのVLOOKUP、ピボットテーブル、簡単な文書作成スキルなど)を以前にも増して重視します。
    • 戦略的な準備: 求職者は「とりあえず応募する」のではなく、「安定して貢献できる具体的な証拠(体調ログ、スキル証明)」を用意する戦略的な準備が必須となります。

4. 求職者がすべき「スキルアップ」戦略

法定雇用率の引き上げにより求人数が増えても、企業が求める「スキルの質」と「安定性」のハードルは下がらないのが現実です。求職者は、この変化に対応するために、就職を前提とした具体的な学習戦略を実行する必要があります。


必須スキルの早期習得

DXが進む職場環境では、定型業務であってもPCスキルは不可欠なツールとなります。入社後すぐに付加価値を生み出すための実務直結のスキルを優先的に習得しましょう。

  • Excel(VLOOKUP、ピボットテーブル)や簿記など、入社後の業務で必要な実務直結のスキルを習得する:
    • Excelスキル: 単なるデータ入力だけでなく、VLOOKUP(データ照合)、ピボットテーブル(データ集計)といった高度なスキルを習得しましょう。これらのスキルは、DX後の業務(データ監査や分析サポート)で必須となり、能力への期待値を高めます。
    • 簿記・ITパスポート: 経理や総務へのキャリアを目指すなら簿記3級、IT関連の業務ならITパスポートの基礎知識は、あなたの学習意欲と専門性を客観的に証明する武器となります。
    • 戦略: これらのスキルを、就労移行支援事業所職業訓練校で体系的に学ぶことが、最も効率的で確実な方法です。

安定性の証明

スキル以上に企業が重視するのが、「体調を自己管理し、安定して出勤できるか」という安定性です。

  • 就労移行支援や職業訓練校の安定的な通所実績を武器にする:
    • 証明の価値: 過去の職歴にブランクがある場合や、精神障害・難病などで体調の波が懸念される場合、就労移行支援事業所や職業訓練校に、欠席・遅刻なく、毎日規則正しく通所した実績は、企業に対し「入社後も安定した稼働ができる」という強力な信頼の証明となります。
    • 戦略: 企業は、この「安定的な通所実績」を、育成コストを回収できる最大のポテンシャルとして評価します。通所期間は、スキル習得だけでなく、「働くための基礎体力」「自己管理能力」を身につけるための貴重な訓練期間と捉えましょう。

5. 長期定着を支える「合理的配慮」の進化

雇用率の引き上げに伴い、企業は定着率を上げるために、合理的配慮を単なる義務ではなく、社員の能力を最大化する戦略として捉えるようになりました。特に、働き方の柔軟性は、長期就労の鍵となります。


企業が導入する柔軟な働き方

通勤の負担や体調の波を軽減するため、IT技術を背景にした柔軟な勤務形態が普及しています。

  • 企業の導入事例:リモートワーク、スーパーフレックス、サテライトオフィスなど:
    • リモートワーク(在宅勤務): 通勤ストレスを解消し、自宅という集中しやすい環境を確保できるため、精神障害や易疲労性を持つ方に特に有効です。
    • スーパーフレックス: コアタイム(必ず勤務すべき時間帯)がなく、始業・終業時間を自由に決められる制度です。通院や体調の波に合わせて勤務時間を調整できるため、安定的な稼働率を維持しやすくなります。
    • サテライトオフィス: 自宅近くに設けられた勤務拠点で働けるため、長時間の満員電車通勤を避けたい方にとって、移動負担を大幅に軽減できます。

面接で配慮の「実効性」を見抜く戦略

制度が求人票に記載されていても、現場で機能していなければ意味がありません。面接での「逆質問」を通じて、その配慮が「生きた制度」として運用されているかを確認しましょう。

  • 配慮が「制度」として形骸化していないか、面接で確認すべき具体的な質問術:
    • 「利用実態」の質問:
      • NG質問: 「フレックス制度はありますか?」
      • OK質問: 「フレックス制度を利用している社員の割合はどれくらいですか?」「体調不良で急に休む場合の、具体的な業務の引き継ぎルールは何ですか?」
    • 上司の姿勢の確認:
      • OK質問: 「配慮が難しいと感じた場合、誰に、どのように相談すれば、柔軟に見直してもらえますか?
    • 分析: 利用実態具体的なルールまで回答できる企業は、配慮が組織的に定着しており、入社後のミスマッチリスクが低いと判断できます。

6. まとめ:2.7%は「変化の時」。戦略的行動で未来を掴む

本記事で解説したように、法定雇用率の2.7%への引き上げは、障害者雇用が「義務」から「戦略的な経営課題」へと移行する、歴史的な転機です。この変化の波に乗るためには、企業と求職者双方の「意識と行動」の戦略的な転換が不可欠です。


記事の要約:構造的変化への適応が鍵

雇用率引き上げは、企業と求職者双方に変化を促す大きな転機です。

  • 企業の変化: 「単純作業」が消滅した今、企業は「罰則逃れ」から脱却し、Excelスキルや論理的思考力といったポテンシャルを持つ人材を積極的に採用・育成する戦略に投資すべきです。
  • 求職者の変化: 求人数が増える中でも、採用ハードルは下がりません。企業が求める「安定性」と「実務直結のスキル」を身につけることが、内定獲得の絶対条件となります。
  • 長期定着の鍵: リモートワークやフレックス制といった柔軟な働き方を戦略的に活用し、「安定稼働」という最大の貢献を企業に提供することが、キャリアを築くための鍵です。

読者へのメッセージ:企業と求職者が取るべき最優先行動

この変化の波を、あなたの未来のチャンスに変えましょう。

  • 企業の人事担当者へ: 「受入体制の整備」を最優先してください。OJTの強化、Excel研修の導入、そして「配慮の組織化」を通じて、優秀な人材を育てる覚悟を示すことが、企業の持続可能性に繋がります。
  • 求職者の皆様へ: 「待つ」のではなく、「スキル習得と安定性の証明」を最優先に行動してください。就労移行支援や職業訓練を活用し、「私は安定して貢献できる」という揺るぎない自信と証拠を、面接で示しましょう。

次のステップ:行動を始める

  1. スキルアップの開始: Excel(VLOOKUP、ピボットテーブル)の無料オンライン学習をすぐに始めましょう。
  2. 安定性の証明: 就労移行支援事業所への相談を開始し、安定的な通所実績という武器を作りましょう。

面接戦略の準備: 配慮の「実効性」を見抜くための逆質問リスト(例:フレックスの利用実態)を作成しましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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