2025/10/09
  • お役立ち情報
  • 健康と生活の両立
  • 働き方・職場での工夫
  • 障害者雇用 仕事と家庭の両立

キャリア中断後の不安を乗り越えて|40代女性が語る、うつ病からの再出発と仕事・家庭の両立術

はじめに|キャリアの壁と新しい働き方への挑戦

40代でのキャリア中断、病気の再発への不安、そして「この先どうなるのか」という切実な悩み。これは、うつ病を経験した多くの女性が直面する現実です。

今回お話を伺ったA子さん(40代前半)は、仕事と家庭のプレッシャーからうつ病を発症。休職・退職というキャリアの壁を経験しましたが、適切な戦略とサポートを得て、安定したキャリアを再構築しました。

病気は決して終わりではなく、適切な戦略とサポートがあれば、安定したキャリアを再構築できることを、A子さんのリアルな声を通じてお伝えします。


発症と休職|「完璧主義」の罠と心のSOS

病気の原因と心の葛藤

インタビュアー: 発症のきっかけと、その時の心境を教えてください。

A子さん: 「仕事では責任ある立場になり、家庭では子育てと家事に追われていました。誰にも弱音を吐けず、すべてを完璧にこなそうとする『完璧主義の罠』にはまってしまったんです。そのプレッシャーが重なり、うつ病を発症し、休職に至りました。当時は『頑張りが足りないからだ』と自分を責め、心のSOSに気づけませんでした」

苦悩の期間と活動の現実

インタビュアー: その後の再就職活動は順調でしたか?

A子さん: 「休職期間中、『この先どうなるのか』という不安は常にありました。退職後の再就職活動では、『40代』と『ブランク期間』を理由に見送りが続きました。厳しい現実でしたが、この期間を焦らず、体調回復とスキルアップのための『準備期間』に変えようと決意しました」


再出発の戦略|ブランクを「準備期間」に変える

時間の使い方:体調回復とスキルの独学

インタビュアー: ブランク期間をどうプラスに変えたのですか?

A子さん: 「体調回復と並行して、在宅でも活かせるPCスキルの独学に時間を費やしました。具体的には、ExcelのマクロやAIツール(生成AIのプロンプト術)の勉強です。事務経験はありましたが、『時代の変化に追いつこう』と自己投資をしました。この『プラスの準備期間』が、企業へのアピール材料にもなりました」

エージェントの活用:「代弁者」を通じた交渉術

インタビュアー: 再発の不安や配慮事項は、どう企業に伝えましたか?

A子さん: 「再発の不安や、通院・時短などの配慮事項を企業に直接伝えるのは難しかったです。そこで、転職エージェントを『代弁者』として活用しました。エージェントが、私の病状の安定状況と、希望する配慮内容について、企業と事前に細かくすり合わせてくれたので、安心して面接に臨むことができました」


成功の鍵|再発予防の「自己管理術」と家族の役割

再発防止の具体的対策(自己管理術)

インタビュアー: 再発を防ぐために、どのような対策をしていますか?

A子さん: 「生活リズムを厳格に守るようにしています。特に睡眠時間を7時間確保し、朝のルーティン(軽いストレッチと決まった時間での食事)を崩さないようにしています。また、『疲労をためないための休息法』として、1時間作業したら5分休憩を必ず取るルールを自分に課しています」

家族の役割と両立の実現

インタビュアー: ご家族(夫、子ども)の理解は得られましたか?

A子さん: 「夫と子どもたちには病気のことを正直に伝え、『無理をしない新しい家庭のルール』を築きました。家事や育児の役割分担を見直したことで、『一人で頑張らなくてもいい』という安心感を得られました。仕事も家庭も、すべてを完璧にしようとしない『8割主義』が、両立の鍵です」


まとめ|病気の経験がもたらした「人生の再定義」

病気の経験は、決してあなたのキャリアの終わりではありません。それは、人生の価値観を根本から見直し、新しい働き方を見つけるための「人生の再定義」の機会です。

読者の皆様へ

  • 「時間の価値」の再発見: A子さんのように、病気を経験したからこそ得られる「時間の価値」と「仕事への感謝」を大切にしてください。すべてを完璧にこなそうとする「完璧主義の罠」から抜け出し、「8割主義」で自分の体調を守りながら働くことが、長期的な安定につながります。
  • 経験を力に変える: 厳しい休職期間や、再就職活動での挫折は、「自己管理能力」と「学習意欲」という何物にも代えがたい力に変わります。ブランク期間に行ったPCスキルやAIツールの独学は、必ずあなたの市場価値を高めます。

あなたの経験は必ず誰かの力になり、新しい働き方を見つけるための道しるべとなります。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
  • バナー