2025/10/02
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「朝起きられない」は病気のSOS|ゲーム障害の真の理解と脱却するための3つのステップ

はじめに|「ゲーム障害」は病気です

「ゲームを止められないのは意志が弱いから?」「集中力がないだけ?」—もしあなたが、あるいはあなたの大切な家族が、ゲームが原因で日常生活や学業、仕事に支障をきたしているなら、それはゲーム障害(Gaming Disorder)という病気のサインかもしれません。

ゲーム障害は、WHO(世界保健機関)によって正式に「依存症」の一つとして認定された病気です。 これは、個人の「怠け」ではなく、脳の報酬系に異常をきたした医学的な問題であることを意味します。

この記事では、ゲーム障害の定義と症状、家庭でできる対策、そして仕事や学校への復帰に向けた具体的なステップまでを徹底解説します。適切な治療と支援があれば、ゲーム障害は必ず克服でき、自分らしい社会生活に復帰できることをお伝えします。


ゲーム障害の正体|なぜ学校・仕事に行けなくなるのか

ゲーム障害(Gaming Disorder)の定義と症状

ゲーム障害は、単なる趣味の範疇を超え、生活の中心がゲームになってしまう状態を指します。WHOの国際疾病分類(ICD-11)において定義された、核となる3つの症状は以下の通りです。

  • コントロールの喪失

ゲームをする時間や頻度、持続時間を自分でコントロールできなくなる状態です。「止めよう」と思っても止められず、予定よりも長くプレイしてしまいます。

  • ゲームの最優先

食事や睡眠、入浴といった日常生活の基本的な活動や、仕事、学業、友人との交流よりも、ゲームを最も優先するようになります。

  • 問題継続

ゲームによって深刻な問題(学業不振、仕事の欠勤、人間関係の破綻など)が起きているにもかかわらず、プレイを止めずに継続します。

これらの状態が12ヶ月以上継続する場合に、ゲーム障害と診断されます(ただし、症状が重い場合は期間に関わらず診断されることがあります)。

社会生活に与える深刻な影響

ゲーム障害は、ご本人やご家族の生活に深刻な影響を及ぼし、未来の可能性を閉ざしてしまうリスクがあります。

  • 不登校・引きこもり

ゲーム優先の生活が続くと、昼夜逆転睡眠障害を引き起こし、朝起きられなくなり、学校や仕事に確実に行けなくなります。さらに、現実社会での活動からの回避が続くと、引きこもりや社会的孤立を深めることにつながります。

  • 二次障害のリスク

ゲームに没頭することによる自己嫌悪、社会的役割の喪失からくる孤独感、そして社会からの脱落感が、うつ病や適応障害などの精神疾患を併発するリスクを高めます。この二次的な精神疾患の治療も、社会復帰には不可欠です。


克服への道筋|家庭と専門機関で取り組むべきこと

家庭でできる最初のステップ(保護者向け)

保護者やご家族が最初に取り組むべきは、本人を責めないことです。「意志が弱いからだ」と叱責するのではなく、「病気」であるという認識を持ち、治療の道を探すことが何よりも重要です。

  • 共感と受容

本人の苦しみに寄り添い、頭ごなしにゲームを取り上げるような行為は避けましょう。まずは、本人の話を傾聴し、ゲーム以外の世界にも目を向けられるような信頼関係を築くことが、治療の土台となります。

  • 生活リズムの再構築

ゲーム障害による昼夜逆転は、体調回復の最大の壁です。家族全員が協力し、睡眠導入の工夫や、ゲーム以外の時間に意味を見いだせるような新しい家族の活動(例:軽い散歩、ボードゲームなど)を取り入れることが大切です。

専門的な治療と相談窓口の活用

ゲーム障害の克服は、家庭内での努力だけでなく、専門家のサポートが不可欠です。

  • 治療: ゲーム障害の治療は、精神科や依存症専門外来で行われることが一般的です。認知行動療法など、ゲームへの衝動をコントロールし、健康的な生活習慣を取り戻すための心理療法が中心となります。治療を通じて、本人はゲーム以外の現実世界で起こる困難への対処法を学びます。
  • 相談機関: まずは、精神保健福祉センター依存症専門の相談窓口に相談しましょう。これらの機関は、各都道府県に設置されている依存症治療拠点病院など、適切な医療機関へつなぐ役割を担っています。専門家の手を借りることが、早期回復と社会復帰への最も確実な近道です。

学校・仕事復帰を成功させるための具体的ステップ

復帰に向けた段階的アプローチ

ゲーム障害の克服は、焦らずスモールステップで進めることが重要です。一気に元の生活に戻ろうとすると、挫折や再発のリスクが高まります。

  • 復帰準備

いきなりフルタイムを目指さず、まずは規則正しい生活リズムの維持に焦点を当てましょう。具体的には、「毎日決まった時間に起床・就寝する」「午前中のみの活動(散歩や趣味など)」といった小さな成功体験を積み重ねます。これにより、心身ともに社会生活に適応するための土台を再構築します。

  • 就労移行支援:

職業訓練やリハビリを通じて、集団生活や業務に慣れるための準備をすることが、安定した復帰につながります。ここでは、ゲーム以外の新しい興味やスキルを見つけ、自信を回復させるためのサポートも受けられます。

企業・学校に求めるべき合理的配慮

復帰後の安定した社会生活のためには、周囲の理解と合理的配慮が不可欠です。

  • 勤務時間の調整

ゲーム障害による昼夜逆転の影響が残る方にとって、勤務時間の調整は生命線です。体調に合わせたフレックスタイム制や、症状が落ち着いている午後からの出勤を容認することで、無理なく仕事をスタートできます。

  • 環境整備

集中力を維持するための静かな環境や、業務の進捗を可視化するツールの活用(例:タスク管理アプリ、ToDoリストの共有など)を企業側に求めましょう。これは、ゲームの世界から現実の仕事にスムーズに移行するための、大切な橋渡しとなります。


まとめ|ゲーム障害は、必ず乗り越えられる

ゲーム障害は、WHOに認定された病気であり、決して「意志の弱さ」や「怠け」ではありません。それは、治療が必要な医学的な問題です。しかし、適切な支援と行動があれば、必ず乗り越えられます。

ご本人とご家族の皆様へ

苦しんでいるのは、あなただけではありません。専門家の手を借り、「病気である」という正しい認識を持つことが、克服への第一歩です。焦って一気に生活を元に戻そうとするのではなく、スモールステップで着実に進めてください。

働くこと、学校に行くこと—その未来は、決して閉ざされていません。勤務時間の調整や、進捗の可視化といった合理的配慮は、ゲームの世界から現実の仕事へスムーズに移行するための大切な土台となります。

あなたの勇気ある一歩が、自分らしい人生を取り戻す鍵です。私たちは、あなたの回復と社会復帰を心から応援しています。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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