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「求人が増える時期」こそ要注意!大量募集の裏側にある「定着の罠」と、自分に合う職場を見抜く3つのデータ

この記事の内容
はじめに:「求人が多い=良い会社が多い」とは限らない

2026年、障害者雇用の求人市場はかつてない活況を呈しています。しかし、ここで求職者の皆さんに冷静に受け止めていただきたい現実があります。それは、「求人の数」と「職場の質」は必ずしも比例しないということです。
特に、法定雇用率2.7%への引き上げを目前に控えた今、企業側は「未達成による罰則や社名公表を避けたい」という一心で、なりふり構わず募集をかけているケースが散見されます。こうした「数合わせ」の採用に飛び込んでしまうと、入社後に適切な配慮が得られず、数ヶ月で心身を削って離職するという悲劇を招きかねません。
2026年春のジレンマ:企業の「数合わせ」に巻き込まれないために
企業が焦っている今こそ、求職者の皆さんは「選ばれる側」ではなく「選ぶ側」としての視点を持つべきです。大量に募集されている求人票の裏側に、どのような背景があるのか。それを読み解く力こそが、あなたのキャリアを守る最大の防具となります。
早期離職の悲劇:ミスマッチはキャリアに「傷」をつけるだけでなく心を削る
「とりあえず入ってみて、合わなかったら辞めればいい」という考え方は、障害者雇用においては非常にリスクが高いものです。短期間での離職は、次の転職活動で「定着性に不安がある」と見なされる原因になるだけでなく、あなた自身の自己肯定感を大きく低下させてしまいます。
本記事の結論:データと「質問の技術」を武器に、企業の“化けの皮”を剥がせ
本記事では、溢れる求人情報の中から、あなたを「数」ではなく「人」として大切にしてくれるホワイト企業を見抜くための、具体的なデータ分析術とエージェント活用術を伝授します。
1.求人票の「障害者雇用数」と「離職者数」のバランスの読み方
求人票に記載されている「障害者雇用数」という数字。一見、多ければ多いほど、障害者雇用に理解があるホワイト企業に見えるかもしれません。しかし、その数字には「罠」が隠されていることがあります。
注目すべきは「純増数」:たくさん雇っているから「安心」ではない
例えば、社員1,000名の企業で「障害者雇用数30名」とあったとします。同時に「今回の募集人数5名」となっている場合、以下の2つのパターンが考えられます。
- パターンA(ホワイト): 事業拡大や、2026年7月の法改正を見据えて、純粋に枠を増やしている。
- パターンB(ブラック): 毎年10人雇っているが、同じ数だけ辞めているため、常に欠員補充として募集を出し続けている。
離職率の推測法:雇用数に対して「募集人数」が多すぎる企業の裏側
「常に求人広告が出ている大手企業」には注意が必要です。特定の職種で大量募集が続いている場合、それは「定着率が極めて低い」ことの裏返しである可能性が高いからです。
求人票を見る際は、以下のポイントをチェックしてください。
- 募集の頻度: 過去1年間に、同じ職種で何度募集が出ていたか。
- 募集人数と現職数の比率: 30人雇っている組織で、一度に10人も募集している場合、組織の3分の1が入れ替わるほどの異常事態が起きている可能性があります。
厚生労働省「障害者雇用状況報告」を活用した、客観的な企業研究
2026年現在、一定規模以上の企業は、毎年「障害者雇用状況報告」を国に提出しています。これ自体は非公開の情報も多いですが、上場企業であれば「サステナビリティレポート」や「ESGデータブック」の中で、障害者雇用の人数だけでなく「離職率」や「平均勤続年数」を公開しているケースが増えています。
「イメージ」や「ネームバリュー」に騙されず、こうした「公開されている客観的な数字」を自ら取りに行く姿勢が、ミスマッチを防ぐ第一歩です。
2.「急募」の背景を探る:拡大による増員か、欠員による補充か
求人票でよく目にする「急募」の二文字。2026年7月の法改正(2.7%)を控えた今、この言葉には企業の「切実な事情」が隠されています。しかし、その「急ぎ」の理由がポジティブなものか、ネガティブなものかによって、あなたの入社後の運命は180度変わります。
良い急募:新プロジェクトの発足や、2.7%達成に向けた「戦略的な組織拡大」
ポジティブな急募とは、企業が成長しており、受け入れ体制を整えた上で人を求めているケースです。
- 特徴:
- 「新部署設立に伴う増員」「DX推進のための専門チーム構築」など、目的が明確。
- 法改正を見据え、数ヶ月かけて教育する前提で、今のうちに優秀な人材を確保しようとしている。
- 入社後の期待: 組織が立ち上げ時期であるため、あなたの特性に合わせた「役割のカスタマイズ」が提案しやすい土壌があります。
危ない急募:既存の社員が短期間で次々と辞めたための「穴埋め」
一方で、避けるべきなのは「人が辞めすぎて現場が回らないから、誰でもいいから補充したい」というネガティブな急募です。
- 特徴:
- 常に同じ内容で募集が出ている。
- 「未経験歓迎」「誰でもできる簡単作業」という言葉を強調し、とにかくハードルを下げている。
- 入社後のリスク: 現場が疲弊しており、十分な研修や合理的配慮を検討する「心の余裕」が上司にありません。結果として放置されたり、特性に合わない過剰な負荷を強いられたりするリスクが高いです。
面接で聞くべき魔法の質問:「このポジションが募集されるに至った背景を教えてください」
この背景を見極めるためには、面接で直接問いかけるのが一番です。 「急募と拝見しましたが、増員でしょうか、それとも欠員補充でしょうか?」とストレートに聞いてみましょう。
- ホワイトな回答: 「事業拡大に伴い、これまで外注していた業務を内製化することになり、そのコアメンバーを募集しています」
- ブラックな回答: 「前任者が急に退職してしまいまして……」「常に募集はしているのですが、なかなか合う方がいなくて……(=離職率が高い示唆)」
3.エージェントを使い倒す:「過去の入社者の定着率」をどう聞き出すか

2026年の転職活動において、就職エージェントは単なる案件紹介者ではありません。彼らは企業と求職者の間に立ち、「求人票に書けない真実」を握っている存在です。
エージェントは「真実」を知っている:彼らは早期離職されると困る立場
エージェントには「紹介した人が半年以内に辞めると、企業に報酬を返金しなければならない」という契約ルール(返金規定)があります。そのため、彼らも本音では「すぐに辞めそうなブラック企業」にあなたを送り込みたくはありません。この利害関係を賢く利用しましょう。
具体的な聞き方:「半年以内に退職された方はいますか? その理由は?」と直球で聞く
エージェントに相談する際は、遠慮せず以下の質問を投げかけてください。
- 「過去1年で、この会社に紹介された方は何人いますか?」
- 「そのうち、今も継続して働いている方は何%ですか?」
- 「早期に退職された方がいる場合、その直接の理由は何だったか教えてもらえますか?」
もしエージェントが「そのあたりは分かりかねます」と言葉を濁すなら、その企業(またはエージェント自身)に不透明な部分があると判断してよいでしょう。
「企業の成長ステージ」を確認:特例の子会社設立か、本社でのインクルーシブ雇用か
エージェントには企業の「障害者雇用の歴史」も確認しましょう。
- 特例子会社: 障害者雇用に特化した環境が整っているが、業務範囲が限定的な場合がある。
- 本社での直接雇用(インクルーシブ雇用): 一般社員と共に働くため、配慮の個別性が高いが、現場の理解度にバラつきがある可能性がある。
どちらが「今の自分」の自己管理能力に合っているか、エージェントの客観的な意見を求めることが、マッチングの精度を飛躍的に高めます。
4.定着の罠を見抜く!「現場の空気」をチェックする3つの非言語情報

求人票やエージェントの言葉は、あくまで「企業の公式見解」です。しかし、2026年においても、職場の実態は「現場」にしかありません。面接や会社訪問の際、五感を研ぎ澄ましてチェックすべき、嘘をつけない3つのポイントをお伝えします。
その1:面接会場(またはオフィス)の騒音と動線:感覚過敏への理解はあるか?
特に発達障害や精神障害のある方にとって、物理的な環境は生産性に直結します。
- チェックポイント: オフィスのBGMが大きすぎないか、電話の呼び出し音が鳴り響いていないか、人の往来が激しすぎる場所にデスクがないか。
- 見極め方: 面接室に向かうまでの廊下で、社員がどのようなデスク配置で働いているかを観察してください。もしあなたが「ここで1日8時間過ごすのはキツそうだ」と直感的に感じたなら、それは立派な不採用理由になります。
その2:現場社員の「表情」と「言葉数」:余裕のない職場は配慮も薄い
面接官や、すれ違う社員の様子を観察しましょう。
- チェックポイント: 社員同士が挨拶を交わしているか、面接官が時計を何度も気にしていないか。
- 見極め方: 余裕のない職場では、合理的配慮は「面倒な特別扱い」として扱われがちです。逆に、社員同士が穏やかに会話している職場は、心理的安全性が高く、あなたの困りごとに対しても「一緒に解決しよう」という土壌があります。
その3:ITツールの活用度:チャットやタスク管理ツールがない職場は、コミュニケーションの壁が高い
2026年のホワイト企業の必須条件は、柔軟なコミュニケーションを支えるITインフラです。
- チェックポイント: 「指示はすべて口頭ですか、それともチャットツールを使いますか?」と質問してください。
- 見極め方: 「基本は口頭です」という職場は、聴覚情報処理が苦手な方にとって非常に厳しい環境です。SlackやTeamsなどのツールが導入され、かつ**「タスクが可視化されているか」**を確認してください。デジタル化が遅れている職場は、配慮の運用も「アナログ(属人的)」になり、担当者が変わると配慮が途切れるリスクがあります。
5.事例紹介:大量募集の大手A社を断り、小規模でも定着率100%のB社を選んだ理由
誘惑:ネームバリューと高年収で誘う、離職率の高い大手IT企業
精神障害のあるFさんは、2月に2社から内定を得ました。
- A社: 有名な大手IT企業。求人数が多く、年収も提示額が高い。
- B社: 従業員100名程度の中堅メーカー。障害者雇用は数名だが、全員が3年以上継続。
決断:面接での「配慮に対する具体的回答」の差で、中堅メーカーを選択
Fさんはあえて、A社を断りB社を選びました。決め手は面接官の言葉でした。 A社は「配慮は相談に乗ります」と繰り返すだけでしたが、B社の面接官はFさんのナビゲーションブックを読み込み、「Fさんの疲れやすさを考慮して、水曜日は中休みとして15時に退勤する運用はどうでしょう?」と、具体的な「働き方の提案」をその場で行ったのです。
結果:入社1年、一度も体調を崩さずキャリアアップを実感するFさん
Fさんは現在、B社で安定して働いています。無理のない勤務体系のおかげで、一度も欠勤することなく、現在は後輩の指導にもあたっています。「あの時、数字(年収)や名前に惑わされず、自分を『仕組み』で支えてくれる会社を選んで本当に良かった」と振り返っています。
6.まとめ|自分だけの「ホワイト基準」を持つことが、一生モノのキャリアを作る
2026年の春、求人票の山を前にして、最後に信じるべきは「あなたの感覚」と「客観的なデータ」の掛け合わせです。
総括:市場が盛り上がっている今こそ、冷静な「鑑定士」になれ
「どこでもいいから内定を」と焦る必要はありません。今は、あなたが会社を「鑑定」する立場です。
- 求人票の裏を読み、
- エージェントから本実を引き出し、
- 現場の空気を肌で感じる。
この3つのステップを踏むことで、あなたは「数合わせの採用」という罠を回避し、自分を最大限に活かせる「真のホワイト企業」に辿り着くことができます。
最後に:妥協して入る1社より、納得して入る1社が、あなたの未来を救う
求人が増えるこの時期は、選択肢が多い分、迷いも生じます。しかし、2030年に向けてあなたのキャリアを積み上げていくのは、他ならぬあなた自身です。納得感を持って選んだ職場での経験は、将来どんな市場環境になっても揺るがない、あなたの「資産」になります。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







