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「頑張り」を正当に評価するために|評価・昇進における無意識の偏見を排除する方法

この記事の内容
はじめに|評価・昇進における「見えない壁」を壊す
障害者雇用を進める多くの企業で、社員の「頑張り」が、短時間勤務や通院といった「配慮」を理由に、無意識に不当な評価を受けている現状があります。これは、社員のモチベーションと企業の成長を阻害する「見えない壁」です。
この記事では、制度やマニュアルだけでなく、管理職の意識に潜むアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)こそが、この壁を作っていると指摘します。
公平な評価は、優秀な人材の定着に不可欠です。本記事を通じて、評価・昇進における具体的なバイアス事例、公平な評価を実現するための評価基準の作り方、そして社員のモチベーションを高めるためのフィードバック術を学んでいきましょう。
モチベーションを奪う2大バイアス事例

人事や管理職が陥りやすい無意識の偏見は、社員の成長意欲と定着率を静かに奪う原因となります。
バイアス事例1:「配慮」が「能力」を覆い隠す
これは、障害特性に対する配慮を、社員の能力や意欲の限界だと決めつけてしまう偏見です。社員が「配慮を受けているから」という理由だけで、能力や意欲を正当に評価されない状況を生み出します。
- 内 容:
「短時間勤務だから責任ある仕事は無理だろう」「通院が多いから昇進はまだ早い」といった考えが、無意識のうちに判断基準となります。結果として、本人の能力や意欲に関わらず、責任ある仕事や昇進の機会を奪ってしまいます。
- 深刻な影響:
社員は「頑張っても無駄だ」と感じ、モチベーションを失い、最終的に離職につながります。本来、能力があるにもかかわらず、企業側がその可能性を閉ざしてしまう機会損失となります。
バイアス事例2:「プロセス」よりも「時間にいること」を評価する罠
多くの日本企業に残る、「長くいる人が偉い」という古い評価基準が、短時間勤務の社員の努力を無効化する罠です。
- 内 容:
評価基準が「残業時間」や「職場にいる時間(拘束時間)」に偏っていると、短時間で高い成果を出した社員の努力が正当に評価されにくいという構造的な問題が発生します。これは、特にフレックスタイムや時短勤務を利用する社員にとって、自分の頑張りが見てもらえないという不公平感を生み、モチベーションを大きく低下させる罠となります。
- 真 実:
真に評価すべきは、「どれだけ長く働いたか」ではなく、「どれだけ質の高い成果(アウトプット)を出したか」です。この「脱・時間」の意識改革こそが、公平な評価の第一歩となります
公平な評価を実現する「仕組み」と「意識」

評価基準の「脱・時間」化戦略
公平な評価を実現するためには、評価基準を勤務時間ではなく、成果(アウトプット)と貢献度に移行することが不可欠です。
- 内 容:
勤務時間ではなく、「成果(アウトプット)」と「貢献度」を評価する仕組みへ移行することの重要性を解説します。
- 「脱・時間」の意識改革は全社員共通の課題:
この「脱・時間」の評価基準は、障害を持つ社員のためだけの特別な配慮ではありません。育児や介護で時短勤務をする社員、あるいはフレックスタイムを利用する全社員にとって、「いかに効率よく、質の高い成果を出したか」を正当に評価する仕組みへと変革することが、企業の持続的な成長に不可欠です。
- 具体例:
業務の「質」や「難易度」を評価に組み込みましょう。例えば、「マクロを組んで業務時間を20%削減した」「データ入力のミス率をゼロにした」といった、時間を使わずに出した具体的な貢献を正当に評価する仕組みが必要です。
モチベーションを高める「フィードバック」術
成長を促すためには、定期的かつ具体的なフィードバックが不可欠です。これは、合理的配慮を受けて働く社員の自己肯定感を高める上で、特に重要なスキルとなります。
- 内 容:
フィードバックは、ネガティブな改善点だけでなく、「このタスクは特に素晴らしかった」と強みを具体的に伝えることが重要です。これにより、社員は自身の努力が正当に評価されていると感じ、次の挑戦への意欲につながります。
- 具体的な方法:
フィードバックは、曖昧な表現ではなく、具体的な行動と結果に焦点を当てることが鍵です。
- NG例: 「全体的によく頑張ったね」「もっと集中力を高めてほしい」
- OK例: 「データ入力のミス率が先月比で0.5%改善された。これは、君がマニュアルのチェックを徹底したおかげだ」
このように、社員は何を改善し、何を伸ばせば良いかが明確になり、成長を実感できます。特に、精神障害や発達障害を持つ社員に対しては、フィードバックを口頭だけでなく、チャットやメールで「文字」として残すことで、内容の理解度と記憶への定着を促すことができます。
評価制度の変革がもたらす企業へのメリット

評価制度の公平化は、単なる配慮ではなく、企業の競争力そのものを高めます。
優秀な人材の定着と確保
偏見のないフラットな評価制度は、企業の競争力そのものを高め、優秀な人材の定着に直結します。
- モチベーションとロイヤリティの向上:
社員が「勤務時間ではなく、成果で正当に評価されている」と感じられる職場では、モチベーションが最大化されます。特に、障害を持つ社員は、企業へのロイヤリティ(忠誠心)が高くなる傾向があり、安定した長期就労につながります。これにより、採用・育成にかかるコストの削減に直結します。
- フラットな評価の実現:
業務内容を細分化し、公平に評価する仕組みは、全社員の評価の透明性を高めます。これは、育児や介護で時短勤務をする社員を含め、全社員の納得感と生産性の向上につながる重要なメリットです。
イノベーションと企業文化の醸成
障害者雇用を通じて評価制度を公平化することは、企業文化と商品開発に大きな影響を与えます。
- イノベーションの創出:
障害者という新しい視点を取り入れることで、健常者では気づかない製品・サービスの「使いにくさ」や「弱点」を初期段階で発見できます。この視点を取り入れたユニバーサルデザインは、結果的に全顧客の利便性を高め、市場競争力を強化します。
- 企業文化の醸成: 互いを尊重し、助け合う社風が育まれ、社員の心理的安全性が高まります。評価制度の公平化は、ハラスメントの減少や、社員が安心して意見を言える環境づくりにつながり、企業の持続的な成長に不可欠な土台となります。
まとめ|「意識の壁」を壊し、企業の成長へ
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を解消することが、障害者雇用成功の鍵であることを再確認します。
意識の変革は、社員の可能性を最大限に引き出し、企業の成長につながる最も重要な「投資」です。
人事担当者・管理職の皆様へ
- 配慮は「コスト」ではなく「イノベーションの源」:
障害者の視点を取り入れることは、健常者では気づかない製品やサービスの「使いにくさ」を発見し、ユニバーサルデザインを生み出す種となります。
- 「脱・時間」の評価を徹底する:
「どれだけ長く働いたか」ではなく、「どれだけ質の高い成果を出したか」を評価するフラットな制度は、育児や介護で時短勤務をする社員を含め、全社員のモチベーションと定着率を高めます。
ご自身の無意識の偏見をチェックし、社員の能力と成長意欲に目を向けること—その意識の変革こそが、真のダイバーシティを推進し、企業の持続的な成長を支える土台となるのです。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







