2025/09/21
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【定型業務から脱却】障害者雇用で営業事務の専門性を高める戦略|Excel活用とキャリアパス

この記事の内容

はじめに:事務職でキャリアを築くという選択。不安を強みに変える戦略

障害者雇用で最も多い職種の一つが事務職です。安定した環境で働ける反面、多くの人が「このままでいいのか」というキャリアの不安を抱えています。

記事の導入:「事務職は定型業務ばかり」「専門スキルが身につかない」という不安に共感する

「任されるのは決まったデータ入力やファイリングばかりで、専門スキルが身につかないのではないか」「キャリアアップは営業職や技術職でないと無理なのではないか」—こうした不安は、事務職が持つ「定型業務が中心」というイメージから生まれます。しかし、事務職ほど「安定性」という土台が強固な職種はありません。この土台の上に、いかにして「専門性」を上乗せするかが、キャリア成功の鍵となります。

インタビュー対象者(Cさん)の紹介

本記事では、事務職というフィールドで、自ら専門性を高め、キャリアを築いた当事者の事例をご紹介します。

  • 氏名(仮名): Cさん(30代前半)
  • 障害: 身体障害(下肢機能障害)
  • 経歴: 事務機器メーカーで営業事務一筋で7年目。

Cさんは、身体的な制約がありながらも、事務職の定型業務からどのように脱却し、データ分析という専門性を手に入れたのでしょうか。

記事の結論:事務職は単なるサポート役ではない。自ら専門性を高める行動を起こせば、キャリアアップは十分に可能である

事務職の価値は、単なる「サポート役」に留まりません。定型業務で培う「正確性」と「安定性」は、企業の根幹を支える最高のスキルです。これにExcelスキルなどの専門性を組み合わせ、自ら「業務改善」を提案する行動を起こせば、給与アップや責任のあるポジションへの異動といったキャリアアップは十分に可能です。

この記事で得られること

Cさんの経験を通じ、事務職でキャリアを築きたいと考えるあなたに、具体的な戦略を提供します。

  1. 定型業務から専門業務へ:Excel活用による具体的な脱却方法。
  2. 事務職の隠れた価値:データ分析など、営業事務が営業戦略に貢献する核となるスキル。
  3. キャリアパスのロードマップ:専門性を高め、次の目標を定める方法。

不安を力に変え、あなたの事務職キャリアを「専門職」へと進化させましょう。

1. 営業事務の仕事内容のリアルと「定型業務」が持つ隠れた価値

事務職のキャリアアップ戦略の第一歩は、現在の仕事の「本当の価値」を認識することです。営業事務は、単なる裏方ではなく、営業活動の「正確性」「効率」を担保する、極めて重要なポジションです。

入社当初の仕事と現在の業務内容の変化

インタビュー対象者のCさんは、定型業務を土台に、いかに専門業務へとシフトしたのでしょうか。

Cさんの声: 「入社当初の仕事は、主に受注処理、データ入力、電話応対といった、誰でもできると言われる定型業務が中心でした。正直、このままでは成長できないという焦りがありました。

しかし、7年目となる現在は大きく変わりました。今は、営業担当者のサポートとして、複雑な契約書作成補助見積書作成を担当しています。そして最も重要なのが、顧客の売上データや発注履歴をExcelで分析し、営業戦略のヒントを提供する仕事です。仕事の軸が『処理』から『分析・提案』へとシフトしました。」

  • 入社当初の定型業務: 受注処理、データ入力、電話応対など。
  • 現在の専門業務: データ分析、見積書作成、契約書作成補助など。

「定型業務」が持つ隠れた価値

定型業務で培われる能力こそが、次のステップである「分析・提案業務」への信頼の土台となります。

  • 受注処理やデータ入力で培われる正確性・緻密さが、次のデータ分析業務への信頼の土台となること:
    • 価値の正体: 「誰でもできる」仕事で身につく正確性、緻密さ、集中力は、企業の信用に直結する最高のスキルです。Cさんは、受注データにミスがないという安定した実績を積み重ねたことで、上司から「複雑なデータ分析も任せられる」という信頼を勝ち取りました。
    • 貢献: データ入力のミスは、営業実績の分析全体を狂わせます。Cさんの「正確性」は、営業戦略の信頼性を担保する不可欠な土台となっているのです。
    • 障害特性との相性: 障害特性を持つ方(特にASDなど)のマニュアルへの忠実さ高い集中力は、この定型業務の正確性において、大きな強みとなります。

この「定型業務で築いた信頼」こそが、Cさんが専門業務へとキャリアを広げるための最強の武器となりました。

2. Cさんの経験から学ぶ「定型業務」からの脱却戦略

事務職の定型業務から脱却し、専門的な役割へとステップアップするためには、Cさんのように「意識的な自己学習」「積極的な提案」という二つの行動が不可欠です。

スキルアップのきっかけと上司への提案

Cさんが現状維持を打破し、キャリアを前進させたのは、自らの意思を上司に伝えた瞬間でした。

  • スキルアップのきっかけと上司への提案:
    • 動機: Cさんは、定型業務を繰り返す中で、「このままでは専門スキルが身につかない」という焦りを感じ、事務職として専門性を高めたいという意思を上司に伝えました。
    • 提案の戦略: 漠然とした希望ではなく、「現在のデータ入力を活かし、Excelで売上動向を分析する業務に挑戦したい」と、具体的な目標と、現在の業務との繋がりを示しました。
    • 自己学習への動機: 上司に相談したことで、「口だけではない」ことを証明するために、業務外での自己学習が不可欠だと感じ、行動を開始しました。

自己学習とExcel活用の具体的なエピソード

Cさんが選んだのは、自身の業務に最も直結するExcelのスキルでした。これが、定型業務から脱却するための「最強の武器」となります。

Cさんの声: 「上司に相談した後、まず独学でExcelのVLOOKUP関数やピボットテーブルの学習を始めました。すぐに、業務で使っている顧客の発注履歴データを使って練習しました。

具体的な活用事例: それまでは単純に入力するだけだったデータを、ピボットテーブルで『どの顧客の売上が伸びているか』『どの商品が人気か』といった分析レポートにまとめ、上司に提出しました。

そのレポートを見た上司から、『これは営業戦略に使える』と評価され、正式にデータ分析業務を任されることになりました。定型業務をこなすだけでなく、『業務に付加価値を加える』ことが、脱却の鍵だと実感しました。」

  • 業務に必要なスキル(Excel関数、マクロなど)を自主的に学んだエピソード:
    • VLOOKUP、ピボットテーブル: 事務職が扱う大量のデータを効率的に集計・分析するための必須スキルです。Cさんは、このスキルを身につけたことで、「データ入力者」から「データ分析者」へと役割を転換させました。
    • 自己学習の価値: 会社が求めているスキルを自発的に身につけることで、あなたの「貢献意欲」「プロ意識」を明確に証明できます。

Cさんの戦略は、「定型業務で信頼を築き、自己学習で専門性を獲得し、提案でチャンスを掴む」という、事務職キャリアアップの理想的なモデルを示しています。

3. 「データ分析」が拓く専門性:事務職のキャリアアップの核 

Cさんの事例が示すように、事務職がキャリアアップを実現する上で、最も効果的な専門性は「データ分析」です。単なるデータ処理の域を超え、営業戦略や経営判断に直結する情報を生み出すことで、あなたの役割は「サポート」から「戦略パートナー」へと進化します。

データ分析業務の具体的な成果

データ分析スキルは、「どれだけ会社に貢献したか」を目に見える形で証明してくれます。

Cさんの声: 「私が分析したデータが、直接営業戦略に活かされたときが、一番のやりがいです。以前は、『どの顧客が次に発注するか』は営業担当者の勘に頼っていましたが、私が過去の発注履歴をピボットテーブルで集計し、『発注パターンが変わった顧客リスト』を抽出して提供したことで、営業担当者は『次にアプローチすべき顧客』を論理的に判断できるようになりました。

自分の分析が、営業部門の行動を変え、売上向上に貢献したとき、『事務職として、営業チームの一員だと感じられた』と強く実感しました。」

  • 具体的な貢献:
    • 営業戦略のヒント提供: 顧客の売上データや発注履歴をExcelで分析し、「次に売るべき商品」「アプローチすべき顧客」を特定する情報を提供する。
    • 意思決定のサポート: 感情や経験ではなく、データに基づいた論理的な判断をサポートする。

やりがいを感じる瞬間

専門性の向上は、給与だけでなく、仕事への満足度自己肯定感を飛躍的に高めます。

  • 「営業担当者から頼りにされたとき」:
    • 心理的効果: これまで「言われたことをやる」だけだったサポート役から、「この情報がなければ困る」という専門的なパートナーへと役割が変わります。
  • 「自分の分析したデータが、会社の売上向上に貢献したとき」:
    • 自己肯定感: 事務職という立場でありながら、企業の収益に直接貢献できたという事実は、大きな達成感と「自分は会社に必要な存在だ」という揺るぎない自信につながります。
  • 「事務職として、営業チームの一員だと感じられたとき」:
    • チームへの貢献: 単なる裏方ではなく、戦略を担う重要な一員として認められることで、仕事へのモチベーションが維持されます。

データ分析は、あなたの「正確性」「集中力」という強みを、企業の利益に繋げるための最も強力な核となるスキルです。

4. 身体障害と仕事の両立術:企業が提供した配慮と工夫

Cさん(身体障害:下肢機能障害)が、事務職として7年間も安定してキャリアを継続できたのは、企業の合理的配慮と、それに応えるCさんの工夫があったからです。身体的な制約を仕事の支障にしないための、具体的な両立術を解説します。

身体的な負担を軽減する合理的配慮

下肢機能障害を抱えるCさんにとって、移動と姿勢の負担軽減が、企業に求める最も重要な配慮でした。

Cさんの声: 「私の場合、下肢機能障害があるため、長時間の立位や重いものを持つのが困難です。入社前にこれらの点を正直に伝えたところ、会社はすぐに具体的な環境調整を行ってくれました。

  1. 外出や力仕事の免除: 営業事務ですが、顧客先への訪問や、重い商品の運搬といった業務は一切担当していません。すべての業務をデスクワークに限定してもらっています。
  2. 専用デスクの配置: 車いすでの移動や、座位が楽になるよう、通路に近く、広めのスペースを確保したデスクを用意してもらいました。
  3. 昇降式デスクの活用: 身体の負担を軽減するため、昇降式デスクを導入してもらい、定期的に座る姿勢と立つ姿勢を切り替えるようにしています。」
  • 戦略的な配慮: Cさんの事例は、苦手な業務(移動・力仕事)を完全に外し得意な業務(データ分析・PC作業)に集中させるという、合理的配慮の理想的な形を示しています。
  • スキルアップへの貢献: 企業がこれらの配慮を行う代わりに、Cさんはデータ分析という高い専門性で企業に貢献し、配慮を「能力の最大化」に繋げています

スキルアップを支える企業の支援

Cさんが「ただの事務員」で終わらなかった背景には、自己学習企業の支援制度の組み合わせがありました。

Cさんの声: 「データ分析のスキルは独学で身につけましたが、会社は私の意欲を評価してくれました。

業務に必要な資格取得(簿記など)や研修の費用を会社が一部負担してくれた事例:

  1. 資格取得支援: データ分析の基礎固めとして簿記3級に挑戦した際、会社が受験費用と参考書の購入費用を負担してくれました。
  2. 外部研修: 専門性の高いExcelマクロ(VBA)の研修に参加したいと伝えたところ、業務時間内の参加を認め、費用も一部負担してもらえました。

事務職で専門性を高めるには自己学習が必須ですが、会社が費用や時間を支援してくれると、『会社も自分の成長に期待している』と感じられ、モチベーションが維持されます。」

  • 相乗効果: Cさんの「自ら学ぶ意欲」と、企業の「費用負担」が相乗効果を生み、Cさんの専門性向上とキャリアアップを加速させました。

5. 事務職のキャリアパス:次の目標と展望

Cさんの事例は、事務職が「定型業務」に留まらず、専門性を軸にした多様なキャリアパスを築けることを示しています。身体障害という特性を考慮しつつ、Cさんが見据える次の目標と展望を解説します。

キャリアパスの例

事務職でスキルを磨いた後、Cさんのように次の3つのキャリアパスを描くことが可能です。

  • 専門職への異動:
    • : 経理や人事、IT部門のデータ管理など、より専門性の高い部署への異動。Cさんのデータ分析スキルは、財務部門での予算分析サポートや、人事部門での人材データ管理といった専門職へのキャリアチェンジに直結します。
  • スペシャリストとしての昇給:
    • : 部署内の「データ分析のプロ」として、業務の改善と効率化に特化します。管理職にはならずとも、その専門性に対して専門職手当昇給を受け、高い待遇を維持します。
  • マネジメントへの挑戦:
    • : チームリーダーとして、後輩の育成や業務改善を担う道。自身の経験を活かし、他の障害を持つメンバーの業務指導や定着支援を担うことで、マネジメント層へとステップアップします。

今後の目標

Cさんは、単なる事務処理能力を超え、会社の成長に貢献できる存在となることを目標としています。

Cさんの声: 「今後の目標は、データ分析をさらに深め、営業戦略に不可欠な存在になることです。そして、身体的な制約があっても、『私はこの会社にとってなくてはならない専門家だ』と周りに思ってもらえるよう、スキルを磨き続けたい。将来的には、リモートワークを活用し、障害者雇用の働き方モデルを社内外に発信できるような役割も担いたいです。」

  • 前向きな展望: Cさんは、「専門家としての役割拡大」と、自身の経験を活かした「社会貢献」という二つの軸でキャリアの未来を描いています。これは、事務職の定型業務から脱却した後の、理想的なキャリアモデルと言えるでしょう。

6. 事務職の市場価値を高めるためのロードマップ

事務職という土台から専門職へ移行し、市場価値を高めるための具体的なスキル習得ロードマップと、アピール戦略を解説します。

習得すべき専門スキル

定型業務の経験を活かし、市場価値の高いスキルを効率的に習得しましょう。

  • Excel VBA/マクロ: 事務職のルーティンワークを自動化するスキル。これだけで、あなたの業務は「処理」から「改善」へと進化します。
  • 簿記(日商簿記3級以上): 経理・財務分野への移行に必須です。数字への正確性という事務職の強みを、ビジネスの基礎知識で裏付けます。
  • ITパスポート: IT全般の基礎知識を証明し、データ管理やシステムサポートなど、IT分野へのキャリアを拓きます。

企業に響くアピール術

転職や異動の際、企業にあなたの価値を最大限に伝えるための戦略です。

  • 定型業務で培った「正確性」と、専門スキルをセットでアピールすることの重要性:
    • 戦略: 「私は単なる事務員ではなく、安定した正確性という土台の上に、データ分析という専門スキルを持つ人材です」と伝えましょう。
    • アピール例: 「現職で受注データの正確性99.9%を維持した上で、Excelマクロを独学で習得し、月次集計時間を30分削減しました。」
  • 貢献度の明確化: 抽象的なスキル名ではなく、「会社の課題を解決した具体的な実績」を語ることが、給与交渉や昇進の決め手となります。

7. まとめ|「事務職は成長できない」という不安を乗り越えるために

Cさんの経験は、「事務職は定型業務ばかりで成長できない」という固定観念を力強く否定します。事務職は、あなたの「安定性」と「正確性」を証明する、最高の土台なのです。

Cさんからのメッセージ

Cさんの声: 「事務職は、単なるサポート役ではない。自分の強みや学習意欲があれば、必ず専門性を高められる。大切なのは、『何ができるか』ではなく、『何をしたいか』を明確にし、そのために一歩踏み出すことです。定型業務の経験は、あなたの最大の信頼になります。」

記事の締め:読者の背中を押すメッセージ

「事務職でキャリアを築きたい」と考えるあなたの背中を、Cさんの言葉は力強く押します。不安を乗り越え、自己学習と積極的な提案という行動を起こすことで、あなたのキャリアは必ず「専門職」へと進化します。


次のステップ:行動を始める

  1. Excelスキルの習得: Excel VBA/マクロの無料オンライン学習を今日からスタートしましょう。
  2. 上司への提案メモの作成: 業務の中で「Excelで自動化できる非効率な部分」を一つ特定し、上司への提案メモを作成しましょう。

資格取得の計画: MOS簿記3級など、次のステップに繋がる資格取得の計画を立てましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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