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【体験談】障害者雇用の成功事例5選|就職のきっかけ・職場の配慮・やりがいを紹介

この記事の内容
はじめに

「障害者雇用に興味はあるけれど、本当に自分にできるのだろうか…」
そんな不安を抱えている方は、少なくありません。
障害のある方が働くうえで大切なのは、「自分だけではない」と知ることです。実際に障害者雇用で活躍している方の体験談は、同じ立場の方にとって大きな励みになります。
本記事では、障害種別ごとに5名の実例を紹介し、就職のきっかけ、仕事内容、職場での配慮、働くうえでのやりがいなどを詳しく解説します。
「自分にできる仕事はあるのか?」「どんな職場環境があるのか?」と悩んでいる方にとって、今後のキャリア選択のヒントになるはずです。
まずは、障害者雇用の現状と社会的なニーズの広がりについて見ていきましょう。
障害者雇用の現状とニーズの広がり
近年、障害者雇用に対する社会の関心と企業の取り組みが大きく進化しています。背景には、法制度の強化と、多様性を尊重する企業文化の浸透があります。
法定雇用率の引き上げと企業の意識改革
厚生労働省が定める「障害者の法定雇用率」は、2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年にはさらに2.7%へ引き上げが予定されています。これに伴い、現在、従業員数40人以上の企業は、障害者を1名以上雇用しなければならない状況となっています。
これまでは「義務だから雇用する」という企業もありましたが、今では「戦力として期待したい」「多様性ある組織づくりをしたい」と前向きに取り組む企業が増加傾向にあります。
業種・職種の多様化が進んでいる
一昔前は、障害者の仕事といえば事務補助や清掃などが中心でしたが、現在はその範囲が広がっています。
- 一般事務、経理、総務
- デザイン、ライティング、ITエンジニア
- 製造ラインでの軽作業や検品
- 接客、販売、コールセンター
など、スキルや特性を活かした職種へのマッチングが進み、働き方の選択肢が格段に増えています。
働き続けるためには「職場環境」と「配慮」が重要
企業側が配慮すべきポイントとしては、以下のような取り組みが挙げられます。
- 通院・体調に応じた勤務時間や休暇制度の整備
- 作業環境(段差、照明、騒音など)への配慮
- コミュニケーション支援(ツールの導入や面談機会の確保)
- 定期的なフォロー面談・ジョブコーチの導入
これらの配慮があれば、障害のある方でも長く安定して働き続けることが可能です。
実例1|発達障害 × 事務職(20代・女性)
支援機関の紹介で就職。安心できる環境が成長のカギに
20代のAさんは、軽度の発達障害(ASD)を持つ女性。支援機関(就労移行支援事業所)を通じて企業へ紹介されたことをきっかけに、現在の事務職で働いています。
Aさんが配属されたのは、社員数30名ほどの中小企業の総務部。業務内容は、書類整理やデータ入力、備品管理などです。
明確な指示と「見える化」で安心して働ける
発達障害の特性として、「曖昧な指示に対する不安」や「マルチタスクが苦手」といった傾向があるAさん。そこで、企業側では以下のような配慮と工夫が行われています。
- 指示内容を紙やチャットで明文化
- 作業手順をチェックリスト化
- 静かな環境で集中できるデスク配置
- 一日の流れが予測しやすいルーティン設計
Aさん自身も「自分の理解のペースで進められる」「チェックリストのおかげで抜け漏れが減った」と実感しており、入社半年で業務の幅が広がっているとのこと。
本人の声:「できる仕事が増えたことで、自信がついた」
「以前は、人と比べてしまって落ち込むことが多かったけれど、今は“昨日の自分よりできるようになった”ことを素直に喜べるようになりました。ミスが減ったことで、上司から『助かってるよ』と言われ、自信にもつながっています。」
このように、適切な支援と環境の整備があれば、発達障害のある方でも事務職で安定的に活躍できることがわかります。
実例2|身体障害(下肢)× コールセンター職(30代・男性)
車いすでも通勤可能な環境で、スムーズに就職
30代のBさんは、事故によって下肢に障害を負い、車いすで生活しています。リハビリを経て仕事復帰を目指す中、ハローワークの障害者専用窓口を通じてコールセンター業務に応募・採用されました。
勤務先は大手通信会社のグループ企業で、バリアフリー設計が整った自社ビル内のコールセンターに所属。勤務は週5日・9時〜17時のフルタイムで、受電・FAQ対応・顧客記録の入力などを担当しています。
オフィス設計と設備の配慮で、安心して働ける
Bさんが働く環境には、以下のような身体的な配慮がされています。
- オフィス内は完全バリアフリー(スロープ、段差なし)
- 昇降式デスクと車いす対応のデスク幅
- 座席近くに多目的トイレを設置
また、身体への負担が少ないデジタル業務であることも、継続就労の重要な要素になっています。
本人の声:「対面でなくても人の役に立てることが嬉しい」
「障害があると、接客や外回りの仕事は難しい。でも、電話対応を通じて困っている人の力になれるのがやりがいです。対面じゃなくても“ありがとう”と言われると、すごく嬉しいですね。」
Bさんは入社から3年が経ち、新人の教育やマニュアル作成にも関わる中心メンバーとして活躍しています。
実例3|精神障害 × 製造補助業務(40代・男性)
うつ病からの社会復帰。リワーク支援が再出発のきっかけに
40代のCさんは、うつ病による休職・退職を経験した後、心身の回復を経てリワーク支援(職場復帰支援プログラム)を受講。体調と相談しながら、段階的に社会復帰を目指しました。
リワーク支援先の紹介で、地元の工場に製造補助スタッフとして採用。軽作業・製品の検品・パッキング業務などを担当しています。
最初は「週3日・短時間勤務」からのスタート
精神障害のある方にとって、働き方の柔軟性は非常に重要です。
Cさんの職場では、以下のような配慮が行われています。
- 週3日・1日4時間からスタート → 徐々に勤務日数と時間を延長
- 作業マニュアルを整備し、業務手順を“見える化”
- 職場内に「相談窓口役」となる担当者を設置
- 作業負担のバランスに配慮し、集中と休憩のサイクルを明確化
このような配慮によって、Cさんは入社半年でフルタイム勤務へと移行し、安定して業務を継続できるようになりました。
本人の声:「最初は週3日から。今はフルタイムで働けるように」
「無理せず、自分のペースに合わせて働ける環境がありがたかったです。少しずつ仕事に慣れることで、“また働ける”という自信が戻ってきました。周囲の理解にも本当に感謝しています。」
精神障害があっても、適切なステップとサポートがあれば社会復帰は十分可能であることを示す好例です。
実例4|聴覚障害 × デザイナー職(30代・女性)
デザインの才能を活かし、成果で評価される環境へ
30代のDさんは先天性の聴覚障害があり、美術系の大学を卒業後、障害者雇用枠でデザイン会社に入社。Webバナーやパンフレット、パッケージデザインなど多彩な制作物のレイアウト設計を担当しています。
在宅勤務と出社勤務を組み合わせながら、チームの一員として日々活躍中です。
コミュニケーションはチャット・手書きで円滑に
聴覚障害のある方にとって最大の課題は、職場でのコミュニケーション手段です。
Dさんの職場では、以下のような工夫がされています。
- 社内連絡は基本チャット(Slackやメール)を活用
- 対面時には筆談やホワイトボードを使用
- 会議内容は事前に資料共有+議事録を後から確認できる体制
- 困ったときに相談できる先輩スタッフの存在
こうした取り組みにより、Dさんは「伝わらない不安」から解放され、業務に集中できる環境を手にしています。
本人の声:「評価が“障害の有無”ではなく“成果”でされるのが嬉しい」
「私は耳が聞こえないけれど、アイデアやデザインの質で評価してもらえる職場に出会えました。チャットでのやり取りが当たり前の会社なので、特別視されることもなく、“チームの一員”として見てもらえるのが本当に嬉しいです。」
障害者雇用=補助的業務ではない時代。専門スキルを活かして活躍する選択肢も増えています。
実例5|知的障害 × 清掃スタッフ(20代・男性)
実習を経てマッチング。「ありがとう」が自信になる仕事
20代のEさんは、軽度の知的障害があり、就労移行支援事業所のサポートを受けながら職場実習を経験。その後、オフィスビルの清掃スタッフとして正式採用されました。
現在はオフィス共用部の掃き掃除・拭き掃除・ゴミ回収などを毎日こなしています。
毎日の声かけと、作業手順の“見える化”がカギ
知的障害のある方にとっては、「覚えることの多さ」や「作業の順番」が壁になることもあります。そこで、職場では以下のような取り組みがなされています。
- 清掃の手順を図解化(イラスト付きマニュアル)
- 作業内容を写真付きチェックリストで提示
- 毎朝の声かけ、進捗確認
- 難しい箇所は先輩とペアで対応
こうした視覚的・対話的なサポートにより、Eさんは日々安定した業務をこなしています。
本人の声:「同じ作業でも“ありがとう”と言われるのがやりがい」
「掃除の仕事は同じことの繰り返しだけど、“助かります”“ありがとう”って言われるのが嬉しいです。できることが毎日あって、役に立っている実感があります。」
知的障害のある方にとって、シンプルで明確な作業の仕事は大きな安心感をもたらします。
また、日常的に声をかけられることで、自己肯定感も高まります。
障害者雇用で働くために必要な準備とは?

障害者雇用で安定して働くためには、「事前の準備」が非常に重要です。ただ応募して面接を受けるだけでなく、自分の障害特性を理解し、必要なサポートを整理することが、職場との良好な関係構築につながります。
1. 自己理解を深めることが第一歩
まずは、自分の障害特性を正しく把握しましょう。
- どんな作業が得意か?
- どんな環境や作業で不安・ストレスを感じるか?
- どんな配慮があれば能力を発揮しやすいか?
これらを整理することで、「自分に合った職場環境」を選びやすくなります。配慮してほしいポイントを“見える化”するために、支援機関で配慮事項シートを作成しておくと便利です。
2. 支援機関と連携して準備を進める
以下のような就労支援機関との連携は、非常に有効です。
- 就労移行支援事業所:自己理解やビジネスマナー、職業訓練を提供。実習や企業見学も。
- ジョブコーチ(職場適応援助者):就職後の職場定着支援を行い、企業との橋渡し役に。
- 障害者就業・生活支援センター:地域密着型の相談窓口として、就労前から長期的にサポート。
これらの機関を活用することで、単なる求人探しにとどまらず、長く安心して働くための土台づくりができます。
3. 障害者手帳の活用と合理的配慮の理解
障害者手帳(身体・知的・精神)の所持は、障害者雇用枠での応募や各種支援制度の活用に必要です。さらに、「合理的配慮」の提供を企業に求める根拠にもなります。
合理的配慮とは、以下のような“働きやすさを実現するための措置”のことです。
- 勤務時間の調整(通院や体調に合わせたスケジュール)
- 業務内容の調整や指示方法の工夫
- コミュニケーション手段の変更(チャットや筆談など)
自分から正しく伝えることで、企業側も配慮しやすくなり、ミスマッチを減らせるのです。
自分に合った仕事を探すには?
働きやすい職場に出会うためには、「探し方の工夫」が必要です。支援機関に任せきりにするのではなく、自分からも積極的に情報を集める姿勢が求められます。
支援機関+民間サービスを併用しよう
支援機関(就労移行支援、ハローワークなど)を活用するのは基本ですが、以下のような民間の障害者専門求人サービスも活用することで、選択肢が広がります。
- 障害者向け求人サイト
- 障害者雇用に特化した転職エージェント
- 企業が主催する障害者向け合同説明会・イベント
これらのサービスでは、職種・障害種別・配慮内容から求人検索ができる機能があり、自分の希望に合った仕事を効率的に見つけられます。
求人選びのポイントとは?
求人票を見るときは、以下のポイントに注目しましょう。
- 業務内容が自分の特性に合っているか?
- 必要な配慮に関する記載があるか?
- 障害者雇用への理解がある企業か?(支援実績、ジョブコーチの有無など)
企業のホームページや口コミ、支援機関の担当者からの情報も参考にすると、見えにくい“社内の雰囲気”や“障害への理解度”を把握しやすくなります。
おわりに|実例から「自分にもできるかも」が生まれる

障害者雇用で実際に働いている人の声を聞くと、「自分にもできることがあるかもしれない」と感じられる方も多いはずです。
- 支援機関を通じて就職し、自信を取り戻した人
- 得意を活かしてスキル職に就いた人
- 丁寧な配慮で安定した就労を実現した人
今回ご紹介した5つの実例からも分かるように、障害者雇用には多くの選択肢と可能性が広がっています。
何より大切なのは、「自分に合った働き方」を見つけようとする姿勢です。
知識と支援を味方につけて、一歩を踏み出そう
- 自己理解を深める
- 支援機関を頼る
- 障害者専門の求人サイトを活用する
これらのステップを積み重ねていけば、あなたにとって働きやすい環境はきっと見つかります。「できない理由」ではなく、「できる方法」に目を向けて。
自分らしい働き方を、今日から探してみませんか?
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









