2025/10/04
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【現場向け】成果と共感を両立|見えない障害(精神・内部)を持つ仲間を支える3つのマナー

はじめに|「見えない疲労」がチームを壊す

営業や企画部門は、コミュニケーションと外回りが多く、常に高いエネルギーが求められる現場です。この環境で働く精神障害や内部障害を持つ社員の「見えない疲労」は、深刻な問題となりがちです。

必要なのは「過剰な配慮」ではなく、「プロとしての距離感と、気づきのマナー」です。

この記事では、「見えない疲労」のサイン、同僚が取るべき具体的な「声かけのマナー」を解説し、あなたの気づきがチームの離職率低下と信頼関係の構築につながることをお伝えします。


「見えない疲労」の正体と、現場で現れるサイン

精神障害・内部障害がもたらす「疲労の波」

精神障害(うつ、適応障害など)や内部障害(難病など)を持つ社員は、外見では元気に見えても、内側では絶えず大きな「疲労の波」と闘っています。

  • 内容: 精神障害は、集中力や体力に波を生むメカニズムを持っています。また、内部障害による強い倦怠感や慢性的な痛みは、外見からは判断できません。この見えない疲労がある中で、納期前のプレッシャーや、外回りの体力消耗が加わると、症状の再発・悪化リスクを劇的に高めることになります。同僚は、この「見えない頑張り」の存在を理解することが第一歩です。

同僚が気づくべきSOSのサイン

忙しい現場だからこそ、同僚が日々の小さな変化を見逃さないことが、チームを守るリスクマネジメントとなります。

  • サイン1:行動の変化: 業務遂行能力のわずかな低下は、SOSの明確なサインです。
    • 具体的な例: 普段はしないミス(誤字脱字、計算間違いなど)が増える、報連相が滞る、出勤時間がギリギリになる(遅刻が増える前の兆候)デスク周りが乱雑になるなど、業務に対する集中力や注意力が低下している兆候です。
  • サイン2:コミュニケーションの変化: 会議で発言が少なくなる、雑談が減る、目線が合わないなど、非言語的な変化に気づくことが重要です。
    • 具体的な例: 休憩時間に一人で過ごすことが増える、笑顔が減る質問に対して即答できず間が増えるといった変化は、精神的なエネルギーが枯渇し始めているサインかもしれません。この段階で「何か手伝うことはある?」と声をかけることが、問題の深刻化を防ぎます。

現場で実践すべき「共感と配慮」のコミュニケーション術

術1:「ねぎらい」を込めたワンクッションの声かけ

支援を伝える際は、感情的な詮索を避け、仕事上の協力というプロのマナーでアプローチしましょう。

  • NG: 「顔色が悪いけど大丈夫?」(本人の不安を煽り、プライベートに踏み込む)
  • OK: 「お疲れ様。今日のタスク、何か手伝えることはある?」(仕事の協力を申し出る)
  • ポイント: 相手の体調に言及せず、「仕事」という共通の目的に焦点を当てて声をかけましょう。本人が「大丈夫」と言っても、「もし困ったら、いつでも声をかけてね」と伝えることで、心理的安全性が保たれます。これは、相手に「このチームは自分を責めない」という安心感を与える効果があります。

術2:情報を「共有ボード」で可視化する

体調の波を「個人の問題」とせず、「チームでカバーする情報」に昇華させることが、心理的安全性を高める上で非常に重要です。

  • 内容: 業務の進捗や、その日の体調を、同僚全員が確認できる「共有ツール(ホワイトボード、チャットなど)」を使う仕組みを導入しましょう。
  • メリット:
    • 心理的安全性: 体調の波を「個人の問題」とせず、「チームでカバーする情報」に昇華させることで、「隠す必要がない」という安心感が生まれます。
    • リスク管理: 誰もが業務の進捗をリアルタイムで把握できるため、突発的な欠勤時にも業務が滞るリスクを最小限に抑えることができます。

術3:無意識の詮索を避けるマナー

同僚は、社員の「治療者」や「カウンセラー」ではありません。プロの同僚としての線引きが不可欠です。

  • 内容: 「病状は?」「いつ治るの?」といった、プライベートや医学的見解を尋ねる詮索は、本人の境界線を侵す行為であり、絶対に避けましょう。
  • 正しい対応: 必要な情報は人事・管理職に任せ、同僚は「一人のプロの同僚」として接することに徹し、仕事以外の「雑談」で人間的な信頼関係を築くことに集中しましょう。趣味や日常の話題を通じて、相手を「障害者」としてではなく「一人の人間」として認識することが、真のチームワークにつながります。

チームの信頼関係がもたらすビジネスメリット

離職率低下と採用コストの削減

同僚の温かいサポートは、社員の企業へのロイヤリティ(忠誠心)を根本から高め、ビジネスに直結する大きな利益を生み出します。

  • 定着率の向上: 困ったときに親身になってくれる同僚の存在は、「このチームなら無理なく働ける」という強い安心感につながります。社員が精神的・体力的な負担を感じる前にサポートが入るため、症状の悪化を防ぎ、結果的に離職率の低下に直結します。
  • コスト削減: 離職率が低下することで、新たな人材の採用・教育にかかる膨大なコスト(採用費、OJT時間など)を削減できます。これは、企業の利益に直接貢献する、非常に重要なメリットです。

心理的安全性の向上と生産性の安定

「腫れ物扱い」のないフラットなコミュニケーションは、チーム全体の生産性を飛躍的に安定させます。

  • 心理的安全性の向上: 困りごとを隠さずに「実は体調が悪い」「このタスクは難しい」と正直に相談できる環境が生まれます。
  • 問題の早期発見: この心理的安全性が、問題が深刻化する前に、「小さな遅れ」の段階で早期発見・解決につながります。結果として、予期せぬ欠勤やプロジェクトの遅延といった重大なリスクを防ぎ、チーム全体の生産性を高いレベルで安定させることができます。

まとめ|「気づき」がチームの強さに変わる

「見えない疲労」にどう接すればいいかという心理的な壁は、「無知」から生まれる善意の裏返しです。しかし、この壁は、あなたの勇気と、適切なコミュニケーション術で壊すことができます。

現場の同僚の皆様へ

  • 意識の進化こそが最強のツール: 障害を持つ仲間を「腫れ物」として恐れるのではなく、一人の仲間、一人の「戦力」として尊重し合いましょう。
  • 行動の第一歩は「ねぎらい」: 忙しい現場だからこそ、感情的な詮索を避け、「今日のタスク、何か手伝えることはある?」というプロの視点で声をかけてください。
  • 小さなルールがチームを安定させる: 雑談で信頼を深め、「指示はチャットで」といったチームルールを共有することで、情報伝達の正確性を高め、チーム全体の生産性向上につながります。

あなたの「気づき」と「温かい声かけ」が、社員のロイヤリティを高め、離職率を低下させます。誰もが安心して、自分の能力を最大限に発揮できる職場を共に創っていきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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