- お役立ち情報
- 仕事探し・キャリア準備
【選考フローの裏側】障害者雇用で面接が「2回」必要な理由と内定・入社日の戦略

この記事の内容
はじめに:障害者雇用の選考フローはなぜ複雑なのか?企業の慎重な戦略

就職活動において、企業が設ける選考フローは、内定までの時間や心理的な負担に直結します。障害者雇用の場合、特に大企業では面接が2回以上にわたることが一般的です。
記事の導入:面接が2回以上となるケースが多い現状と、求職者の「なぜ時間がかかるのか」という疑問に共感する
「なぜ一般採用よりプロセスが複雑なのか?」「書類選考から内定まで時間がかかりすぎる」「何度も面接をするのは、企業が採用に消極的だからではないか?」—求職者の皆さんが抱える、こうした選考の複雑さや長期化への疑問は当然です。このプロセスを理解せずに進めると、不安が焦りに変わり、選考途中で力を出し切れなくなるリスクがあります。
記事の結論:選考フローの複雑さは、ミスマッチを防ぎ、合理的配慮を確実にするための企業の慎重な戦略である
障害者雇用の選考フローが複雑であるのは、企業があなたを不安にさせたいからではありません。むしろ、長期的な定着を最優先に考えた、「合理的配慮の確実な実行」と「ミスマッチの徹底的な防止」という企業の慎重な戦略です。
- 1回目で「安定性」と「配慮の要否」を確認し、2回目で「業務適性」と「現場の受入体制」をすり合わせることで、入社後のリスクを最小限に抑えています。
この記事で得られること
この記事は、選考プロセスの裏側にある企業の意図を明らかにし、あなたが戦略的に内定を掴むための具体的な知識を提供します。
- 面接が2回ある理由:一次面接(人事)と二次面接(現場上長)の明確な役割。
- 各面接の焦点:適性検査や自己理解の確認が選考にどう関わるか。
- 入社日が「1日付け」となる背景:大企業の労務管理の仕組みと、選考スピードを上げる戦略。
選考フローの意図を理解し、不安を自信に変える戦略を身につけましょう。
1. 選考フローの基本と時間軸:書類選考から入社まで
障害者雇用の選考は、ミスマッチを防ぐための確認ステップが多く、そのプロセスを理解しておくことが、求職活動の不安を軽減する上で重要です。
標準的な選考フロー
障害者雇用の選考は、応募者の能力、適性、必要な配慮を多角的にチェックするため、段階を踏んで進められます。
- 標準的な選考フロー:
- 書類選考: 履歴書、職務経歴書、そして障害者手帳の写しや配慮事項が記載された書類(エントリーシート)を提出。企業はここで、応募者の基本情報、職務経験、必要な配慮を把握します。
- 適性検査: 面接の前や一次面接の前後で実施。基礎能力(論理、計算)や性格特性、作業特性を客観的に測ります。
- 一次面接(人事): 人事・採用担当者が担当。企業のルール、配慮の可否、体調の安定性といった、「企業と働く上での前提条件」に関するすり合わせを行います。
- 二次面接(部署上長): 配属先の部署長や現場の責任者が担当。具体的な業務遂行能力、チームへの適合性、上司との相性を確認します。
- 職場実習(トライアル): 企業によっては、入社前に数日〜数週間実施。実際の業務と職場の雰囲気を確認し、最終的なミスマッチを防ぎます。
- 内定 → 入社: 最終的な労働条件と合理的配慮の内容を書面で確認し、入社となります。
選考にかかる期間の目安
選考期間は、企業の規模や職種、トライアルの有無によって異なりますが、一般的に時間を要します。
- 応募から内定まで約1ヶ月〜1.5ヶ月が目安となることを解説:
- 期間: 書類選考から最終面接を経て内定が出るまで、通常1ヶ月から1ヶ月半が目安となります。
- 長期化の理由: 企業側が配属先の現場責任者や産業医と、合理的配慮の内容について慎重に調整する時間が必要となるため、選考期間が長くなる傾向があります。
- 求職者への示唆: 就職活動を始める際は、この期間を考慮し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
2. なぜ面接は「2回」必要なのか?ミスマッチを防ぐ企業の戦略

障害者雇用で面接が複数回にわたる主な理由は、企業が入社後のミスマッチを徹底的に防ぎ、合理的配慮を確実に実行するために、多角的な視点から応募者を評価する必要があるからです。これは、「採用の慎重さ」であり、「採用への本気度」の裏返しでもあります。
役割の違い
一次面接と二次面接では、それぞれ評価する視点と確認すべき事項が明確に分かれています。
- 一次面接は「人事・採用担当」が配慮と安定性を、二次面接は「部署上長」が業務遂行能力とチームへの適応性を測る:
- 一次面接(人事)の役割:
- コンプライアンスと配慮の確認: 必要な合理的配慮が法的に可能か、企業のルールに則って実行可能かを確認します。
- 体調の安定性: これまでの病歴、服薬状況、通院状況などから、長期的に安定して勤務できるかを測ります。
- 自己理解度: 自身の障害特性と必要なサポートを、応募者自身がどれだけ論理的に理解しているかを評価します。
- 二次面接(部署上長)の役割:
- 業務遂行能力: 応募者のスキルや経験が、配属先の具体的な業務で活かせるか、育成の必要があるかを判断します。
- チームへの適応性: 部署の文化や上司・同僚との相性、報連相のスタイルがチームに適合するかを確認します。
- 現場での配慮確認: 人事が確認した配慮事項が、現場の業務にどう影響するか、具体的な調整が可能かを最終確認します。
- 一次面接(人事)の役割:
リスクヘッジ
障害者雇用では、労働条件だけでなく、働く環境自体を調整する必要があるため、企業はより慎重なリスク管理を行います。
- 合理的配慮や体調の波といったデリケートな情報を、多角的に確認し、ミスマッチを最小限に抑えるための戦略:
- 情報のデリケートさ: 障害特性や体調の波に関する情報は非常にデリケートであり、複数の関係者(人事、産業医、現場上長)が共有し、意見を擦り合わせる必要があります。
- 入社後のリスク回避: 採用後に「聞いていた配慮が現場では不可能だった」「体調の波が業務に致命的な影響を及ぼした」といったミスマッチが発生すると、企業と社員の双方にとって大きな負担となります。
- 結論: 面接を2回行うことは、企業が「あなたを絶対に失敗させたくない」という強い意志を持っていることの表れなのです。
3. 一次面接の肝:適性検査と「自己理解度」の確認
選考フローの初期段階に位置する一次面接と適性検査は、「あなたという人物の基礎データ」を把握し、入社後の配慮の土台を築くために実施されます。ここでは、人事担当者が「企業の門」として重要な判断を下します。
適性検査が実施されるタイミングと目的
適性検査は、面接の前に受験を求められるか、一次面接の前後で実施されることが多いです。
- 面接前または一次面接時に適性検査を実施し、基礎能力や作業特性を客観的に測る:
- 目的: 応募書類や面接だけでは判断しにくい「基礎能力(論理的思考力)」や「作業の正確性」、そして「パーソナリティ(性格特性)」を客観的なデータとして把握するためです。
- 人事の視点: 人事担当者は、このデータをもとに、「この応募者は業務レベルに達しているか」だけでなく、「性格的に弊社の組織文化に馴染みそうか」**という、組織への適合性を初期段階で判断します。
- 一次面接での活用: 面接時には、検査でスコアが低かった項目や特性が強く出た項目について、「その点について、ご自身でどう対策していますか?」**といった具体的な質問が行われることもあります。
企業が測る「能力」と「配慮」の相性
適性検査の結果は、二次面接に進むかどうかの判断だけでなく、二次面接以降の合理的配慮の議論に活かされます。
- 検査結果を参考に、職務内容(ジョブデザイン)を決定するための材料とすること:
- ジョブデザインへの活用: 例えば、クレペリン検査で「集中力にムラがある」と判明した場合、企業は「長時間の定型業務は避け、短い時間でタスクを切り替える業務を任せよう」と、最適な職務設計(ジョブデザイン)を行うための参考にします。
- 配慮の根拠: 一次面接で「必要な配慮」について深く議論されるのは、その配慮が「客観的な検査結果や医師の診断」に基づいているかを確認するためです。応募者の主張と検査結果が整合していることで、「自己理解度が高い」と評価されます。
- 結論: 一次面接の肝は、適性検査の結果とあなたの口頭での説明(自己理解度)が一致していることを示し、企業に「安心して二次面接(現場)に引き継げる」という確信を与えることです。
4. 二次面接の焦点:「現場での貢献」と「チームへの適合」
一次面接で「採用の前提条件(安定性・配慮の可否)」がクリアされると、選考は二次面接(部署上長・現場責任者)へと進みます。ここでは、「現場でどう働くか」という、より実践的かつ具体的な視点が焦点となります。
部署上長が重視すること
部署上長は、人事とは異なり、チームの生産性と効率を担っています。そのため、採用者が「すぐに戦力となるか、あるいは育成コストに見合う将来性があるか」という視点で評価します。
- 配属先の業務に必要な具体的なスキルと、チームの文化への適応性、上司との相性を測る:
- スキルの確認: 職務経歴書や面接での回答から、「PCスキル(ExcelのVLOOKUPなど)」「コミュニケーションの正確性」「業務への興味」など、具体的な業務遂行に必要なスキルレベルを確認します。
- チームへの適合性: 部署のメンバーの性格や働き方(例:静かな環境か、頻繁に会話が発生するか)に、応募者が適応できるかを測ります。上長は、「採用後にチームの雰囲気が悪くならないか」を最も気にします。
- 上司との相性: 上司自身があなたの特性や配慮の要望を理解し、ストレスなくマネジメントできるかという、個人的な相性も重要な判断材料となります。
求職者が伝えるべきこと
二次面接では、単なる「要望」ではなく、「配慮を活用した貢献」という前向きなコミットメントを示すことが重要です。
- 配慮の要望ではなく、「この配慮があれば、〇〇という業務で安定して貢献できます」という前向きなコミットメント:
- 戦略: 一次面接で配慮の要否は伝えているため、二次面接では「配慮は、貢献のための手段である」というスタンスで臨みます。
- 具体的な伝え方:
- NG例(要望): 「騒音が苦手なので、静かな別室を用意してください。」
- OK例(貢献): 「聴覚過敏の特性があるため、別室で集中できる環境をいただければ、データ監査業務で、誰にも負けない高い正確性を継続的に提供できます。」
- 効果: 企業は、配慮を「コスト」ではなく「あなたの能力を引き出すための投資」と捉えることができ、「現場で活躍するイメージ」を具体的に持つことができます。
二次面接は、入社後の働き方の具体的なイメージを上長と共有し、信頼関係を築く場なのです。
5. 入社日はなぜ「1日付け」が多いのか?企業の事情
障害者雇用で内定を得た後、入社日が「毎月1日付け」に設定されるケースが非常に多いです。これは、入社を待たされるのではなく、企業側の労務管理や経理処理の効率に関わる合理的な理由があります。
労務管理・給与計算の効率化
企業にとって、社員の入社日を月の初日とすることは、事務処理上の大きなメリットとなります。
- 社会保険の手続きや給与計算が月単位で行われるため、初日を月の1日にすることで、人事・経理部門の業務を効率化していること:
- 社会保険: 健康保険や厚生年金といった社会保険の加入手続きは、通常月の途中から行うと日割り計算が必要となり、手続きが煩雑になります。入社日を1日とすることで、月単位での手続きが標準化され、人事部門の負担が大幅に軽減されます。
- 給与計算: 多くの企業では、給与も月単位で計算されます。月の途中での入社は、給与の日割り計算が必要になりミスを誘発しやすくなります。1日付け入社であれば、満額支給のルールが明確で、経理部門の処理が効率化します。
研修・オリエンテーションの効率
入社日を統一することで、新入社員の受け入れ体制を最適化できます。
- 新入社員をまとめて受け入れることで、研修やシステムアカウント発行を効率的に行うためのルール:
- オンボーディング: 新入社員向けの初期研修(コンプライアンス、情報セキュリティなど)や、社内のシステムアカウント、IDカードの発行といった業務は、まとめて行った方が効率的です。
- 現場の負担軽減: 個別に新入社員を受け入れる場合、現場の上司や教育担当者はその都度時間を割く必要があります。1日付けに集中させることで、現場の教育リソースをまとめて投入し、短期間でスムーズに業務を開始させることができます。
入社日の戦略的注意点
面接から入社日まで時間があく場合があるため、求職者側は以下の点に注意が必要です。
- 選考時期と入社時期のズレ: 例えば、1月に選考を受け内定が出たとしても、入社日が2月1日ではなく4月1日になるケースもあります。これは、企業の新年度の区切り(4月)や、あなたの入社前準備期間(引っ越し、治療の調整など)を考慮した結果です。
- 迅速な対応で翌月入社も可能に: 一方、中小企業や急募の職種、または面接が1回で迅速に内定が出た場合(特に月の初めに選考が行われた場合)、企業側の調整が間に合い、翌月の1日付け入社が可能になるケースもあります。
入社日のスケジュールは、内定後の大切な交渉事項です。あなたの体調や準備期間を考慮しつつ、企業側の事情も理解して調整に臨みましょう。
6. 選考スピードを上げるための戦略と注意点

障害者雇用の選考は慎重に進むため時間がかかりがちですが、企業と求職者双方の努力によって、選考スピードを上げることは可能です。特に、「1回面接・翌月入社」という最短ルートを目指すための戦略と、求職者がすべき準備を解説します。
「1回面接・翌月入社」を実現する可能性
選考フローの簡略化と迅速な入社は、企業の事情や職種の特性によって可能になります。
- 企業の事情や職種によっては、1回の面接で内定が出、月の初めに面接があれば翌月1日の入社も可能になるケースを提示:
- 中小・ベンチャー企業: 大企業のような複雑な決裁プロセスがないため、人事権を持つ社長や役員が面接を担当する場合、1回の面接で即座に内定が出るケースがあります。
- 急募の職種: 欠員補充など、緊急性の高い職種(例:データ入力、事務サポート)は、選考が迅速に進みやすいです。
- 翌月入社の条件: 月の初め(1日〜5日頃)に最終面接が完了し、企業が労務手続きを迅速に行える体制(給与計算の締めが遅いなど)であれば、翌月の1日付けで入社が実現する可能性は高くなります。
求職者ができること:「準備」でミスマッチを防ぐ
選考回数を減らし、スピードを上げる最大の鍵は、「企業に採用後の安心感を与える」ことです。
- 応募書類で配慮事項を明確に伝え、面接回数を減らすための「準備」を万全にすること:
- 書類での詳細な情報開示: 応募書類の段階で、必要な合理的配慮(例:残業免除、静かな席)と、業務で活かせるスキルを具体的に記載しましょう。これにより、企業は「一次面接で配慮の可否を確認する手間」を省き、最初から現場上長との面接に進めやすくなります。
- 自己理解度の高さ: 面接で「私の障害特性は〇〇ですが、この対策を取ることで、安定して貢献できます」と、配慮と貢献の論理を一貫して伝えることで、企業は「配慮の調整に手間がかからない」と判断し、選考を迅速に進める傾向があります。
- エージェントの活用: 障害者雇用専門の転職エージェントに「選考のスピードアップを希望する」旨を伝え、企業の選考状況を迅速に確認してもらいましょう。
入念な事前準備こそが、選考の長期化という最大の不安を解消し、内定への最短ルートを切り開きます。
7. まとめ:選考プロセスは「信頼」を築くためのステップ
本記事を通じて、障害者雇用で面接が複数回にわたる背景には、企業の「長期定着」と「合理的配慮の確実な実行」という、極めて慎重な戦略があることを解説しました。選考の複雑さや時間の長さは、「採用への本気度」の裏返しなのです。
記事の要約:信頼構築とミスマッチ防止が目的
障害者雇用の選考が複数回あるのは、ミスマッチを防ぎ、信頼を築くための企業の戦略であることを再確認します。
- 選考の役割: 一次面接(人事)で配慮の可否と安定性を、二次面接(現場上長)で業務への適応性とチームへの適合性を多角的にチェックしています。
- 入社日の背景: 大企業で入社日が「1日付け」が多いのは、労務管理や研修の効率化という合理的な理由によるものです。
- 最短ルートの鍵: 選考スピードを上げるためには、応募書類で配慮事項を明確に伝え、企業に「採用後のリスクがない」という安心感を抱かせることが不可欠です。
読者へのメッセージ:各ステップの意図を理解し、準備を万全にすることで、不安を解消し、内定を掴むよう促す
選考プロセスは、あなたが企業を、企業があなたを、深く知るための大切なステップです。各ステップの意図を理解し、準備を万全にすることで、不安を解消し、内定を掴むよう促します。
不安を自信に変え、企業の質問に論理的な回答を返すことこそが、長期的な信頼を築くための最初のステップとなります。
次のステップ:行動を始める
- 「配慮リスト」の確認: 面接で伝える配慮事項(例:フレックス、業務の文書化)について、「その配慮があれば、どれだけ貢献できるか」という貢献コミットメントをセットで準備しましょう。
- 二次面接の対策: 応募企業の配属予定部署の業務内容を徹底的に調べ、「私ならこのスキルでこの業務を安定して遂行できる」という具体的なイメージを語れるように練習しましょう。
エージェントの活用: 障害者雇用専門の転職エージェントに、選考の意図や面接官の性格について事前に確認し、戦略的に臨みましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







