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うつ病からの復職ガイド|仕事に戻るまでの流れと注意点

この記事の内容
はじめに:復職はゴールではなくスタート

うつ病で休職し、症状が落ち着いてくると「そろそろ職場に戻れるかもしれない」と考える方も多いでしょう。しかし、復職は「完治」の証ではなく、新しいスタートラインに立つことです。
再び安定して働くためには、焦らず慎重に準備を進めることが重要です。特にうつ病は再発率が高く、復職後の環境や働き方によっては症状が再び悪化するケースも少なくありません。
本記事では、復職を検討している休職者や、その支援に関わる人事・産業医の方に向けて、復職の適切なタイミングや準備ステップ、注意点を詳しく解説します。
この記事を読むことで、職場復帰の不安を減らし、無理なく働き続けるためのヒントが得られるはずです。
復職のタイミングを見極める
復職を成功させる第一歩は、「戻る時期」を間違えないことです。焦って職場復帰すると、短期間で再び休職に至るケースが多く、長期的に見ても回復の妨げになります。
医師と相談するポイント
主治医の判断は、復職可否の大きな指標です。面談では以下のポイントを確認しましょう。
- 症状の安定度:気分の波が小さくなり、日常生活に支障がない状態が続いているか
- 集中力・持続力:数時間以上の作業や対話に集中できるか
- ストレス耐性:多少のトラブルや予定変更にも対応できるか
- 通勤・勤務時間:定時に出勤し、就業時間を過ごす体力があるか
特に、「調子がいい日」と「悪い日」の差が縮まっていることは重要な目安です。
また、復職の可否は「診断書」にも反映されるため、正直な現状を医師に伝えることが欠かせません。
自己判断の落とし穴
本人が「もう大丈夫」と感じても、実際の職場環境では予想以上にストレスがかかる場合があります。
例えば、在宅療養中は自分のペースで動けても、通勤や職場での人間関係、業務量は負担が大きくなりやすいです。
自己判断で復職を急ぐと、
- 数週間で疲弊し再休職
- 自信を失い、症状が悪化
という悪循環に陥ることがあります。
そのため、主治医だけでなく、産業医・家族・支援者と複数の視点から意見を聞き、総合的に判断することが安全です。
復職準備のステップ

復職は「診断書が出たらすぐ戻る」ものではありません。段階的に準備を進め、心身の負荷を少しずつ増やすことが再発予防につながります。
生活リズムの安定化
うつ病で休職していると、就寝・起床時間や食事のタイミングが乱れやすくなります。
復職前には、出勤日と同じ時間に起き、3食を規則的に取る生活を1〜2か月続けるのが理想です。
- 起床・就寝時間を一定にする(例:起床7時、就寝23時)
- 朝日を浴びて体内時計を整える
- 昼寝は30分以内に制限
- 軽い運動を毎日取り入れる(散歩・ストレッチなど)
これにより、通勤や長時間勤務に耐えられる体力が戻りやすくなります。
リワークプログラムの活用
リワークプログラムは、復職前に働く感覚を取り戻すためのリハビリ型プログラムです。
内容は施設によって異なりますが、主に以下のような活動が行われます。
- 模擬業務(PC作業・事務処理・グループディスカッション)
- ストレス対処法や自己理解を深める心理教育
- 通勤訓練(決まった時間に通所)
- 産業医やカウンセラーとの定期面談
リワークに参加することで、勤務時間に耐える体力・集中力・コミュニケーション力が少しずつ戻ります。
また、客観的な記録(出席率・作業効率)をもとに、主治医や産業医が復職可否を判断できるメリットもあります。
復職後の働き方

復職初期は “無理をしない・記録をつける・こまめに相談する” の3点が基本。短期的な成果よりも、安定して働き続けられるリズムを作ることを最優先にしましょう。
時短勤務・業務量調整
復職直後は、段階的な就業時間の延長と業務のスモールスタートが有効です。
- 勤務時間の段階例
- 1〜2週目:1日4〜6時間・残業なし
- 3〜4週目:1日6〜7時間・残業なし
- 5週目以降:体調に応じて通常勤務へ(必要なら時短継続)
- 1〜2週目:1日4〜6時間・残業なし
- 業務の切り出し方
- まずは定型・単発タスク(データ入力、定例資料の更新など)から
- 期日・手順・期待成果を文書化
- 定期的に**進捗レビュー(例:毎日終業前10分)**を設定
- まずは定型・単発タスク(データ入力、定例資料の更新など)から
- 通院・休息の確保
- 通院日は半休・時間単位休を活用
- 午後の15分休憩など、短い休息をあらかじめ予定に組み込む
- 通院日は半休・時間単位休を活用
目安:「7割の力で安定」をしばらく維持してから、少しずつ負荷を上げる。波が大きい時は一段階戻す勇気も大切です。
職場での配慮事項
復職をスムーズにする具体的な配慮例です。事前に“必須/あると助かる”で仕分けして、産業医・人事・上長と共有しましょう。
- 働き方:残業・突発業務の抑制、夜勤・出張の回避、在宅/時差勤務の併用
- 業務設計:タスクの分割・優先順位の明確化、複数同時進行を避ける
- 指示方法:口頭+要点を短く文章化、変更点はメール/チャットで通知
- 会議:長時間会議を避ける、アジェンダ事前共有、必要部分のみ参加
- 環境:静かな席の確保、集中時間(ノーMTGタイム)の設定
- 相談動線:週1の1on1、産業保健スタッフへの定期フォロー
配慮依頼の例文(そのまま使えます)
「復職初月は、定型タスク中心で残業なし・在宅週1日を希望します。指示は要点を文書でも共有いただけると助かります。毎週○曜に10分の振り返りミーティングをお願いできますか。」
再発防止のためのセルフケア
“働きながら回復を続ける”視点が重要です。体調の波をゼロにするのではなく、波を小さく安定させるための習慣づくりを。
ストレス管理
- トリガーの見える化
- 1日1回、負荷が高かった場面と対処をメモ(所要1分)
- 例:「期限が重なる|上長に優先順位を確認」「長時間会議|途中で休憩を提案」
- 1日1回、負荷が高かった場面と対処をメモ(所要1分)
- 早期サイン(“黄色信号”)チェック
- 寝つきが悪い・食欲の変化・ミス増加・人と話したくない・反芻思考が続く
- 2つ以上当てはまったら業務負荷を一段下げる/相談を合図に
- 寝つきが悪い・食欲の変化・ミス増加・人と話したくない・反芻思考が続く
- その場で使える対処法
- 60秒呼吸(4秒吸う→4秒止める→6秒吐くを数回)
- 3分リセット(席を離れて伸び・給水・深呼吸)
- タスク分割(5分でできる最小単位に切る)
- 60秒呼吸(4秒吸う→4秒止める→6秒吐くを数回)
規則正しい生活
- 睡眠:同じ時刻に寝起き/就寝前1時間はノースクリーン/昼寝は20分以内
- 運動:週150分の軽い運動(通勤+昼休みの10分歩行でもOK)
- 食事:朝食を抜かない/カフェインは午後控えめ/アルコールで寝ない
- 通院・服薬:自己判断での中断は避ける/薬手帳アプリで飲み忘れ防止
- オフの設計:週末に「完全オフ時間」をブロック(仕事連絡を遮断)
週1回、体調・仕事量・睡眠時間を振り返るだけでも、再発予防に大きく効きます。
転職という選択肢
十分に調整しても過剰な長時間労働・恒常的な突発対応・配慮が得られない等の要因が続く場合、転職は現実的な選択です。目的は逃避ではなく、安定して力を発揮できる環境への移動。
配慮ある職場探し
- 必須条件/歓迎条件の棚卸し
- 例:残業上限・在宅可否・会議文化・評価指標・産業保健体制
- 例:残業上限・在宅可否・会議文化・評価指標・産業保健体制
- 情報収集のポイント
- 求人票だけでなく、面接で配慮可否を具体的に確認
- 「指示は文書化できますか」「繁忙期の残業は月○時間以内ですか」等、数値で聞く
- 求人票だけでなく、面接で配慮可否を具体的に確認
- 就業形態の工夫
- いきなりフル常勤でなく、時短・契約・在宅比率高めからのスタートも選択肢
- いきなりフル常勤でなく、時短・契約・在宅比率高めからのスタートも選択肢
- 支援の活用
- 産業医・主治医と就労可否・留意点を整理
- 必要に応じて障害者雇用枠(オープン就労)も検討し、安定就労を最優先に
- 産業医・主治医と就労可否・留意点を整理
転職は“ゴール”ではなく環境調整の延長線。今の自分に合う条件から始め、段階的に広げればOKです。
おわりに:焦らず段階的に社会復帰
うつ病からの復職は、速度より“持続可能性”が成否を分けます。
- 医師・産業医・上長と段階的な勤務計画を作る
- 配慮事項を言語化して事前共有する
- セルフケアの仕組み化で波を小さくする
- 合わない環境なら転職も選択肢に
ひとりで抱え込まず、周囲の支援と制度を使いながら、“今日も無理なく働けた”を積み重ねる。その連続が、確かな社会復帰につながります。焦らず、一歩ずついきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









