2025/08/11
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うつ病からの復職ガイド|仕事に戻るまでの流れと注意点

はじめに:復職はゴールではなくスタート

うつ病で休職し、症状が落ち着いてくると「そろそろ職場に戻れるかもしれない」と考える方も多いでしょう。しかし、復職は「完治」の証ではなく、新しいスタートラインに立つことです。
再び安定して働くためには、焦らず慎重に準備を進めることが重要です。特にうつ病は再発率が高く、復職後の環境や働き方によっては症状が再び悪化するケースも少なくありません。

本記事では、復職を検討している休職者や、その支援に関わる人事・産業医の方に向けて、復職の適切なタイミングや準備ステップ、注意点を詳しく解説します。
この記事を読むことで、職場復帰の不安を減らし、無理なく働き続けるためのヒントが得られるはずです。


復職のタイミングを見極める

復職を成功させる第一歩は、「戻る時期」を間違えないことです。焦って職場復帰すると、短期間で再び休職に至るケースが多く、長期的に見ても回復の妨げになります。

医師と相談するポイント

主治医の判断は、復職可否の大きな指標です。面談では以下のポイントを確認しましょう。

  • 症状の安定度:気分の波が小さくなり、日常生活に支障がない状態が続いているか
  • 集中力・持続力:数時間以上の作業や対話に集中できるか
  • ストレス耐性:多少のトラブルや予定変更にも対応できるか
  • 通勤・勤務時間:定時に出勤し、就業時間を過ごす体力があるか

特に、「調子がいい日」と「悪い日」の差が縮まっていることは重要な目安です。
また、復職の可否は「診断書」にも反映されるため、正直な現状を医師に伝えることが欠かせません。

自己判断の落とし穴

本人が「もう大丈夫」と感じても、実際の職場環境では予想以上にストレスがかかる場合があります。
例えば、在宅療養中は自分のペースで動けても、通勤や職場での人間関係、業務量は負担が大きくなりやすいです。

自己判断で復職を急ぐと、

  • 数週間で疲弊し再休職
  • 自信を失い、症状が悪化
    という悪循環に陥ることがあります。

そのため、主治医だけでなく、産業医・家族・支援者と複数の視点から意見を聞き、総合的に判断することが安全です。


復職準備のステップ

復職は「診断書が出たらすぐ戻る」ものではありません。段階的に準備を進め、心身の負荷を少しずつ増やすことが再発予防につながります。

生活リズムの安定化

うつ病で休職していると、就寝・起床時間や食事のタイミングが乱れやすくなります。
復職前には、出勤日と同じ時間に起き、3食を規則的に取る生活を1〜2か月続けるのが理想です。

  • 起床・就寝時間を一定にする(例:起床7時、就寝23時)
  • 朝日を浴びて体内時計を整える
  • 昼寝は30分以内に制限
  • 軽い運動を毎日取り入れる(散歩・ストレッチなど)

これにより、通勤や長時間勤務に耐えられる体力が戻りやすくなります。

リワークプログラムの活用

リワークプログラムは、復職前に働く感覚を取り戻すためのリハビリ型プログラムです。
内容は施設によって異なりますが、主に以下のような活動が行われます。

  • 模擬業務(PC作業・事務処理・グループディスカッション)
  • ストレス対処法や自己理解を深める心理教育
  • 通勤訓練(決まった時間に通所)
  • 産業医やカウンセラーとの定期面談

リワークに参加することで、勤務時間に耐える体力・集中力・コミュニケーション力が少しずつ戻ります。
また、客観的な記録(出席率・作業効率)をもとに、主治医や産業医が復職可否を判断できるメリットもあります。

復職後の働き方

復職初期は “無理をしない・記録をつける・こまめに相談する” の3点が基本。短期的な成果よりも、安定して働き続けられるリズムを作ることを最優先にしましょう。

時短勤務・業務量調整

復職直後は、段階的な就業時間の延長業務のスモールスタートが有効です。

  • 勤務時間の段階例
    • 1〜2週目:1日4〜6時間・残業なし
    • 3〜4週目:1日6〜7時間・残業なし
    • 5週目以降:体調に応じて通常勤務へ(必要なら時短継続)
  • 業務の切り出し方
    • まずは定型・単発タスク(データ入力、定例資料の更新など)から
    • 期日・手順・期待成果を文書化
    • 定期的に**進捗レビュー(例:毎日終業前10分)**を設定
  • 通院・休息の確保
    • 通院日は半休・時間単位休を活用
    • 午後の15分休憩など、短い休息をあらかじめ予定に組み込む

目安:「7割の力で安定」をしばらく維持してから、少しずつ負荷を上げる。波が大きい時は一段階戻す勇気も大切です。

職場での配慮事項

復職をスムーズにする具体的な配慮例です。事前に“必須/あると助かる”で仕分けして、産業医・人事・上長と共有しましょう。

  • 働き方:残業・突発業務の抑制、夜勤・出張の回避、在宅/時差勤務の併用
  • 業務設計:タスクの分割・優先順位の明確化、複数同時進行を避ける
  • 指示方法:口頭+要点を短く文章化、変更点はメール/チャットで通知
  • 会議:長時間会議を避ける、アジェンダ事前共有、必要部分のみ参加
  • 環境:静かな席の確保、集中時間(ノーMTGタイム)の設定
  • 相談動線週1の1on1、産業保健スタッフへの定期フォロー

配慮依頼の例文(そのまま使えます)

「復職初月は、定型タスク中心で残業なし・在宅週1日を希望します。指示は要点を文書でも共有いただけると助かります。毎週○曜に10分の振り返りミーティングをお願いできますか。」


再発防止のためのセルフケア

“働きながら回復を続ける”視点が重要です。体調の波をゼロにするのではなく、波を小さく安定させるための習慣づくりを。

ストレス管理

  • トリガーの見える化
    • 1日1回、負荷が高かった場面対処をメモ(所要1分)
    • 例:「期限が重なる|上長に優先順位を確認」「長時間会議|途中で休憩を提案」
  • 早期サイン(“黄色信号”)チェック
    • 寝つきが悪い・食欲の変化・ミス増加・人と話したくない・反芻思考が続く
    • 2つ以上当てはまったら業務負荷を一段下げる/相談を合図に
  • その場で使える対処法
    • 60秒呼吸(4秒吸う→4秒止める→6秒吐くを数回)
    • 3分リセット(席を離れて伸び・給水・深呼吸)
    • タスク分割(5分でできる最小単位に切る)

規則正しい生活

  • 睡眠:同じ時刻に寝起き/就寝前1時間はノースクリーン/昼寝は20分以内
  • 運動週150分の軽い運動(通勤+昼休みの10分歩行でもOK)
  • 食事:朝食を抜かない/カフェインは午後控えめ/アルコールで寝ない
  • 通院・服薬:自己判断での中断は避ける/薬手帳アプリで飲み忘れ防止
  • オフの設計:週末に「完全オフ時間」をブロック(仕事連絡を遮断)

週1回、体調・仕事量・睡眠時間を振り返るだけでも、再発予防に大きく効きます。


転職という選択肢

十分に調整しても過剰な長時間労働・恒常的な突発対応・配慮が得られない等の要因が続く場合、転職は現実的な選択です。目的は逃避ではなく、安定して力を発揮できる環境への移動

配慮ある職場探し

  • 必須条件/歓迎条件の棚卸し
    • 例:残業上限・在宅可否・会議文化・評価指標・産業保健体制
  • 情報収集のポイント
    • 求人票だけでなく、面接で配慮可否を具体的に確認
    • 「指示は文書化できますか」「繁忙期の残業は月○時間以内ですか」等、数値で聞く
  • 就業形態の工夫
    • いきなりフル常勤でなく、時短・契約・在宅比率高めからのスタートも選択肢
  • 支援の活用
    • 産業医・主治医と就労可否・留意点を整理
    • 必要に応じて障害者雇用枠(オープン就労)も検討し、安定就労を最優先に

転職は“ゴール”ではなく環境調整の延長線。今の自分に合う条件から始め、段階的に広げればOKです。


おわりに:焦らず段階的に社会復帰

うつ病からの復職は、速度より“持続可能性”が成否を分けます。

  • 医師・産業医・上長と段階的な勤務計画を作る
  • 配慮事項を言語化して事前共有する
  • セルフケアの仕組み化で波を小さくする
  • 合わない環境なら転職も選択肢

ひとりで抱え込まず、周囲の支援と制度を使いながら、“今日も無理なく働けた”を積み重ねる。その連続が、確かな社会復帰につながります。焦らず、一歩ずついきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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