2025/08/12
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てんかんがあっても働ける!向いている仕事・職場の選び方・制度活用法

はじめに

「てんかんがあると仕事はできないのでは?」——そう思われがちですが、これは誤解です。てんかんは脳の神経活動が一時的に異常を起こすことで発作が起きる病気ですが、適切な治療や生活管理によって多くの方が安定した日常を送っています。実際、事務職・接客業・専門職など、幅広い職種で働いている方が数多くいます。

ただし、発作の種類や頻度、発症のタイミングには個人差があるため、職種や勤務形態の選び方、職場での配慮が非常に重要です。社会的な理解はまだ十分とは言えませんが、障害者雇用制度や合理的配慮の導入によって、安心して働ける環境を整えることは可能です。

本記事では、てんかんを持つ方が就職・転職・職場定着を実現するためのポイントを、「服薬と発作予防」「職場選びのコツ」「制度活用方法」という視点から解説します。


服薬と発作予防の重要性

てんかんを持つ方が安心して働き続けるための最も基本的な対策は、「服薬の継続」と「生活習慣の管理」です。特に、仕事中の発作を防ぐためには、この2つの徹底が欠かせません。

発作の多くは服薬中断で起こる事実

てんかんの発作は、服薬を正しく続けている場合、かなりの確率で抑えられます。逆に、薬を飲み忘れたり、自己判断で中止してしまった場合、再発や重度の発作を引き起こすリスクが高まります。

服薬中断のよくある理由

  • 忙しくて飲み忘れる
  • 副作用が気になり自己判断で中止
  • 症状が落ち着いたため「もう治った」と思う
  • 旅行や外出時に薬を持ち忘れる

これらは一見、誰にでも起こり得る些細なことですが、てんかんにとっては大きなリスク要因です。

医師との連携で継続する方法

  • スマホのアラームや服薬アプリで時間を管理
  • 副作用がつらい場合は、必ず医師に相談して薬の種類や量を調整
  • 定期診察を欠かさず、仕事の状況や生活リズムの変化を共有
  • 薬の予備を職場やカバンに常備

これらの工夫によって、服薬忘れや中断を防ぎ、仕事中の発作リスクを最小限に抑えることができます。


生活習慣と発作コントロール

服薬と同じくらい重要なのが、生活習慣の安定です。特に「睡眠不足」「過度なストレス」「不規則な食事」は発作を誘発する大きな要因とされています。

睡眠・食事・ストレス管理

  • 睡眠:6〜8時間を目安に規則正しく眠る。夜勤や徹夜は極力避ける
  • 食事:血糖値の急変動を防ぐため、3食をできるだけ決まった時間にとる
  • ストレス管理:深呼吸や軽い運動、趣味などで緊張を緩和する

発作誘発要因を避ける生活例

  • 長時間のパソコン作業時は休憩をこまめに取り、画面の明るさを調整
  • 強い光や音が苦手な場合、職場環境を改善してもらう(席の配置や遮光カーテン)
  • 過労を避けるため、残業や休日出勤を減らす勤務形態を検討
  • アルコールや過剰なカフェイン摂取は控える

こうした日々の積み重ねが、長期的に安定して働くための土台となります。

向いている仕事と職場環境

てんかんを持つ方にとって、安全性・安定性・職場の配慮は仕事選びの大きなポイントです。発作のリスクを最小限にし、安心して長く働くためには、自分の症状や生活リズムに合った職場を選びましょう。

安全・安定・配慮がある職場

明確な業務フローがある職場の利点

業務の流れや手順が明確に決まっている職場では、突発的な作業や急な対応が少なく、安心して働けます。チェックリストやマニュアルが整備されている環境は、業務の予測がしやすく、集中力を保ちやすいのがメリットです。
さらに、発作が起きた場合でも対応マニュアルがあれば、同僚や上司が適切にサポートできます。


事例紹介(在宅事務、デザイン業務など)

てんかんを持つ方の中には、自分に合った職種を選び、長期的に安定して働いている方が多くいます。

事例1:在宅Webライターとして働くAさん

Aさんは発作が年に数回あり、外出時に不安を感じることが多かったため、在宅でできるWebライターの仕事を選びました。自宅環境であれば発作時もすぐに休むことができ、納期に余裕のある案件を中心に受注。スケジュールを自分でコントロールできるため、体調に合わせた働き方が可能になりました。

事例2:公共図書館での業務に従事するBさん

Bさんは軽度の発作が時々ありますが、落ち着いた環境での勤務を希望。公共図書館では資料整理や貸出業務を担当し、明確な業務フローのもと安定して働いています。勤務先では、発作時の対応手順を同僚に共有しており、安心して業務を続けられています。


避けたほうがよい職種

てんかんを持つ方の就労において、危険作業や不規則勤務は避けたほうが無難です。特に発作の可能性がある場合、本人や周囲の安全に直結します。

危険作業・夜勤・長時間労働

製造業夜勤での安全リスク事例

ある製造現場では、夜勤中に発作が起きた作業員が機械操作を誤り、軽傷を負った事例があります。夜勤による睡眠不足は発作を誘発しやすく、特に重機や高速回転機械を扱う業務では大きな事故につながる危険性があります。

高所作業や重機操作の危険性

建設業や運送業など、高所での作業やフォークリフト・クレーンなどの重機操作は、発作時に重大な事故を引き起こすリスクがあります。これらの職種は原則として避けることが望ましいです。


発作時の自己申告と職場教育

てんかんを持つ方が安心して働くためには、発作の兆候や対応方法を職場に共有することが欠かせません。

発作の兆候を職場に伝える方法

兆候を記録・共有するシート例

  • 発作前に感じる前兆(例:視界がぼやける、めまい、意識が遠のく)を記入
  • 発作後の対応(横になる、救急要請の要否)を明記
  • 緊急連絡先や主治医の情報を添える

こうした情報を紙や社内チャットツールで共有しておくことで、職場の人が冷静に対応できます。

職場の理解を得るための工夫

発作時の対応マニュアルの導入事例

ある企業では、社員にてんかんの基本知識と発作時の対応をまとめたマニュアルを配布しています。

  • 意識がない場合は周囲の安全を確保
  • 頭部を保護し、無理に押さえつけない
  • 発作が長引く場合は救急車を手配

こうした職場教育は、本人だけでなく同僚や上司にとっても安心材料となります。結果として、職場全体が協力的な雰囲気になり、長期的な就労継続が可能になります。

就職・転職活動の進め方

てんかんを持つ方が就職や転職を成功させるためには、応募先の選び方自分の状況の伝え方が重要です。特に「障害者雇用枠」と「一般枠」のどちらで応募するかによって、採用の過程や働き方が変わります。

障害者雇用枠と一般枠の比較

それぞれのメリット・デメリット

障害者雇用枠

  • メリット:配慮事項を事前に伝えやすく、勤務時間や業務内容の調整がしやすい
  • デメリット:求人数が限られ、職種が限定される場合がある

一般枠

  • メリット:職種や勤務地の選択肢が広い
  • デメリット:採用時に配慮が得られない可能性があり、発作や通院に関する理解を得にくい場合も

自分の症状の安定度や希望する働き方に合わせて、どちらの枠で応募するかを検討しましょう。


面接での伝え方

配慮事項の具体的な提示例

面接では、「できないこと」だけでなく、「どのような配慮があれば十分働けるか」を具体的に伝えることが大切です。

  • 例1:夜勤や長時間労働は避けたいが、日勤フルタイムは可能
  • 例2:発作時には5〜10分休憩すれば復帰できる
  • 例3:定期通院のため、月1回午前休が必要

こうした具体例を挙げることで、企業も受け入れ態勢を整えやすくなります。


支援制度の活用

働く上での不安を軽減するためには、医療・福祉の支援制度を積極的に利用することが重要です。

医療・福祉の制度一覧

自立支援医療制度

通院や薬の費用を軽減できる制度。自己負担が原則1割になるため、長期的な服薬が必要なてんかんの治療費を大きく抑えられます。

障害者手帳による就労支援

精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳を取得すると、障害者雇用枠での応募や税金・交通費の減免、就労に必要な設備の導入支援などを受けられます。

ジョブコーチ制度

職場に専門スタッフ(ジョブコーチ)が入り、本人と企業の双方をサポートします。業務の進め方や職場環境の調整、同僚への説明などを行い、長期的な定着を目指します。


まとめ

てんかんがあっても、服薬の継続と生活環境の調整によって多くの業務に対応することは可能です。安全性の高い職場環境を選び、配慮事項を適切に伝えることで、安定して働き続けることができます。

また、社会や企業の理解が広がれば、てんかんを持つ方の就労機会はさらに増えるでしょう。自分の症状や希望する働き方を明確にし、支援制度を上手に活用することが、長く安心して働くための第一歩です。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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