2025/08/29
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ペースメーカーとは?原因・手術・服薬・障害者年金まで徹底解説【2025年最新版】

はじめに

心臓は私たちの体を動かすためのエンジンですが、そのリズムが乱れると日常生活や仕事に大きな影響が出てしまいます。
「息切れがする」「めまいがする」「失神してしまう」といった症状に悩む方は少なくなく、その治療の一つとして用いられているのが「ペースメーカー」です。

近年は医療の進歩により、ペースメーカーの性能も向上し、多くの方が安全に生活を続けられるようになりました。
一方で、

  • 「なぜペースメーカーが必要になるのか?」
  • 「手術は大変なのか?」
  • 「日常生活や仕事に制限はあるのか?」
    といった不安を持つ方も多いのが現実です。

そこで本記事では、ペースメーカーを使用する原因から手術の流れ、服薬、障害者手帳や障害年金との関係、そして日常生活・仕事での注意点までを、わかりやすく解説していきます。


ペースメーカーを使用する原因と理由

脈が遅くなる(徐脈性不整脈)

心臓が正常に拍動せず脈が極端に遅くなると、全身に十分な血液が送れなくなり、めまいや失神の原因になります。ペースメーカーは、電気信号を送って脈を一定のリズムで保ち、症状を防ぎます。

心臓のリズムが乱れる(房室ブロックなど)

心臓の刺激伝導系に異常があると、心房から心室への電気信号が伝わりにくくなります(房室ブロック)。この状態では拍動が安定せず、失神や重度の不整脈につながるため、ペースメーカーで補正することが必要です。

失神や動悸を防ぐための治療としての役割

繰り返す失神や強い動悸は、生活や仕事に大きな支障を与えます。ペースメーカーはこれらの症状を防ぎ、日常生活の安全性と安心感を支える役割を担っています。

心不全に伴う心臓の効率低下(CRT:心臓再同期療法)

心臓の左右の拍動がずれることで効率が悪くなり、息切れや疲労感が強く出るタイプの心不全があります。こうした場合には、特殊なタイプのペースメーカー(CRT:心臓再同期療法用ペースメーカー)が使われ、心臓の拍動を整えて負担を減らす治療が行われます。

一時的な徐脈を繰り返すケース

薬の副作用や他の治療(心臓カテーテル治療など)の影響で、一時的に脈が極端に遅くなる方もいます。症状が続く場合や再発が予測される場合、ペースメーカーの植え込みが選択されることがあります。

高齢化に伴う心臓の機能低下

高齢になると心臓の刺激伝導系そのものが弱まり、脈が安定しにくくなることがあります。この場合も、安全に生活を送るためにペースメーカーの使用が検討されます。


手術の流れと入院期間

手術は1〜2時間程度で終わるケースが多い

ペースメーカーの植え込み手術は、局所麻酔で行われることが多く、全身麻酔は基本的に不要です。
鎖骨の下を数センチ切開し、心臓へリード線(電極)を通した後、ペースメーカー本体を皮下に埋め込みます。
手術自体はおおよそ1〜2時間程度で完了します。

入院前後の流れ

  1. 手術前日:入院して心電図・血液検査・レントゲンなどを実施し、体調をチェック。必要に応じて服薬調整も行われます。
  2. 手術当日:局所麻酔で施術。終了後は数時間ベッドで安静にし、心電図モニターで作動状況を確認します。
  3. 翌日以降:レントゲンや心電図でリードの固定・本体の動作確認を行い、徐々に日常生活の動作を再開します。
  4. 退院:およそ1週間前後で退院可能。状態が安定していれば短縮されることもあります。

ペースメーカーを入れた後の生活と仕事

ペースメーカー植え込み後は、定期通院が生活の一部となります。
一般的には退院後1か月で再診し、その後はおおよそ3か月に1度の通院でペースメーカーの作動確認や電池の残量チェック、薬の調整などを行います。
この通院頻度を前提に勤務日程を調整することが、安心して働き続けるためのポイントです。

なお、ペースメーカーは一度入れたら終わりではなく、7〜10年程度で電池交換が必要になります。

定期通院で電池残量を確認し、寿命が近づいたら再度入院・手術を行います。

電池交換はリード線を残したまま本体のみを交換するケースが多く、手術時間も初回より短く済みます。

術後に気をつけること(運動制限・感染予防など)

  • 腕の動き制限:手術側の腕を大きく上げる・強く動かすとリードがずれる恐れがあるため、1〜2か月間は控える必要があります。
  • 感染予防:傷口は毎日清潔に保ち、赤みや腫れ、熱感が出た場合はすぐに医師に連絡。
  • 定期検査:退院後も定期的に外来を受診し、ペースメーカーの作動確認・バッテリー状態のチェックを行います。

服薬との関係

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)

心疾患のある方は、血栓を防ぐために血液をサラサラにする薬を処方されることが多いです。これにより脳梗塞や再発のリスクを下げられます。

服薬管理の重要性(飲み忘れ・副作用への注意)

服薬を怠ると、血栓や再発のリスクが高まります。副作用(出血しやすいなど)にも注意が必要で、自己判断で中断せず必ず医師の指示に従いましょう。

医師と相談しながら継続する必要性

薬の種類や量は体調に合わせて変わることがあります。定期的な診察と血液検査を受け、医師と相談しながら適切に継続することが大切です。


ペースメーカーと障害者手帳・障害年金

身体障害者手帳の対象(心臓機能障害の4級・3級など)

ペースメーカーを植え込んだ場合、身体障害者手帳(心臓機能障害)の交付対象になることがあります。
一般的には3級または4級に該当し、以下のような支援が受けられます。

  • 公共交通機関(電車・バス)の運賃割引
  • 所得税や住民税の控除
  • NHK受信料の減免
  • 自動車税や自動車取得税の減免(自治体による)
  • 福祉サービス(ホームヘルパーや住宅改修助成など)の利用

自治体ごとに適用範囲が異なるため、必ず市区町村役場の福祉課で確認することが大切です。

障害年金の対象となるケース(就労しながら受給可能な場合も)

心臓機能障害の程度によっては、障害年金を受給できる場合もあります。
ポイントは「働いているかどうか」ではなく、心臓の機能がどの程度制限されているかという医学的な基準です。

例えば、

  • ペースメーカーを装着し、日常生活や労働に制限がある → 3級
  • 心不全の症状が強く、日常生活にも大きな制限がある → 2級
  • ベッド上での生活が中心になるほどの重度 → 1級

というように区分されます。就労中でも症状により受給できるケースがあり、生活の安定に役立ちます。

等級の目安と申請の流れ

  • 人工心臓や重度の心機能低下 → 1級・2級
  • ペースメーカー植え込み → 3級相当

申請の際には、以下の書類が必要です。

  • 医師の診断書(循環器科での詳細な検査データを含む)
  • 年金請求書
  • 住民票や年金加入記録

特に診断書は「どの程度生活や労働に制限があるか」を具体的に記載してもらうことが重要です。
手続きには時間がかかるため、できるだけ早めに医師や年金事務所に相談して準備を始めましょう。


ペースメーカーを入れた後の生活と仕事

日常生活で気をつけること(磁気製品・電子機器の影響など)

ペースメーカーは精密な電子機器のため、強い磁気や電波を発する製品には注意が必要です。

  • 家庭内の電化製品:IH調理器、大型スピーカー、電磁調理器などは30cm以上離して使用するのが安心です。
  • 携帯電話・スマートフォン:胸ポケットに入れるのは避け、反対側のポケットやバッグに入れると安全です。
  • 医療機器・検査:MRIは対応機種でないと影響があるため、検査時には必ず「ペースメーカー使用者」であることを申告する必要があります。
  • 空港や施設のセキュリティゲート:金属探知機や手荷物検査の磁気に反応することがあるため、ペースメーカー手帳を提示して係員に対応をお願いできます。

また、激しい運動やスポーツは術後しばらく制限がありますが、医師の許可があれば軽いウォーキングやストレッチなど健康維持に適した運動は可能です。

仕事での注意点(重労働・夜勤・ストレス)

働き方においても、ペースメーカー使用者は体調を第一に考えることが重要です。

  • 重労働の回避:重量物を持ち上げる作業や長時間の立ち仕事は心臓に負担をかけるため、配置転換や補助器具の利用など工夫が必要です。
  • 夜勤・シフト勤務:不規則な生活リズムは体調悪化の要因となるため、できるだけ昼間中心の勤務に調整できると安心です。
  • 精神的ストレスの軽減:強いプレッシャーや人間関係のストレスは症状を悪化させることがあります。上司や同僚に「無理な残業は控えたい」「定期的な通院がある」といった事情を共有しておくことで、職場全体でサポートしやすくなります。
  • 仕事復帰の目安:デスクワークなら術後数週間で復帰できるケースもありますが、体を使う仕事では1〜2か月以上かかることも。医師と相談しながら段階的に復帰するのが安心です。

利用できる支援制度や相談窓口

障害者雇用枠での就労

ペースメーカーを使用している場合、身体障害者手帳を取得すれば障害者雇用枠での就職が可能になります。
障害者雇用枠では、

  • 勤務時間の柔軟化(残業なし・時短勤務など)
  • 通院配慮(定期的な休暇の取りやすさ)
  • 配置転換(体への負担が少ない部署への配属)
    といった配慮が得やすく、無理なく働ける環境を整えやすいのが特徴です。

ハローワークの障害者専門窓口

各地域のハローワークには「障害者専門窓口」が設置されています。ここでは、

  • 障害者雇用枠の求人紹介
  • 応募書類や面接での配慮事項のアドバイス
  • 企業との条件交渉のサポート
  • 職場定着支援(就職後の相談・トラブル対応)
    などを受けられます。初めて就職・転職を考える方にとっては大きな支えになります。

地域の就労支援センター

自治体やNPOが運営する就労支援センターでは、

  • 自分に合った仕事を見つけるためのキャリア相談
  • 職場体験や実習の機会
  • 働き続けるための生活面サポート(健康・金銭・人間関係の相談)
    など、就職前後の幅広い支援を受けることができます。

また、必要に応じて職場適応援助者(ジョブコーチ)が企業と本人の間に入り、仕事の仕方やコミュニケーションをサポートしてくれる制度もあります。


まとめ

ペースメーカーは、心臓のリズムを安定させ、生活の質を守るための大切な治療法です。手術や服薬管理、日常生活での注意点はありますが、それらを正しく理解して取り組めば、多くの方が安心して日常生活や仕事を続けることができます。

また、身体障害者手帳や障害年金といった制度を活用すれば、経済的・生活的な不安を軽減でき、より安定した暮らしが実現します。これらの支援は「甘え」ではなく、安心して長く働き続けるための正当な権利です。

大切なのは、

  • 無理をせず自分の体を第一に考えること
  • 職場や家族、医師に状況を共有して協力を得ること
  • 利用できる制度やサポートを積極的に活用すること

この3つを意識することです。

👉 読者へのメッセージ
「ペースメーカーを入れても、人生を諦める必要はありません。むしろ正しく理解し、工夫とサポートを取り入れることで、以前より安心して暮らせる環境をつくることができます。制度を賢く使い、あなたらしい生活と仕事のスタイルを築いていきましょう。」

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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