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事務経験が浅いASDでも働ける?転職エージェントが紹介できる求人と他の進路

この記事の内容
はじめに

ASD(自閉スペクトラム症)のある方の中には、「体力的に無理のない事務職で働きたい」と考える人が少なくありません。しかし、実際の就職・転職活動では「事務経験が浅い」「パソコンスキルに自信がない」といった理由から応募をためらってしまうケースもあります。
そんなときに有効な手段が、障害者雇用に特化した転職エージェントの活用です。エージェントは、未経験や経験が浅い方でも応募可能な求人を紹介してくれるだけでなく、面接対策やスキル不足を補うアドバイスも行ってくれます。
本記事では、事務経験が浅いASD当事者の方に向けて、
- 事務職が選ばれる理由
- 求められるスキルとASD特性との相性
- 転職エージェントを活用した選択肢
について解説します。
ASDと事務職の関係性
事務職を希望する理由
ASDのある方が事務職を目指す背景には、いくつかの共通した理由があります。
- 体力的な負担が少ない:立ち仕事や長時間の移動が少なく、体調を安定させやすい
- 勤務形態が安定している:残業が少ない求人も多く、生活リズムを整えやすい
- 在宅勤務の可能性がある:近年はリモートワークの普及により、通勤が難しい方でも働ける環境が広がっている
このように、身体的・心理的に無理のない環境で働ける点が大きな魅力となっています。
事務職で求められる基本スキル
事務職に応募する際には、以下のような基本スキルが求められることが多いです。
- Word・ExcelなどのPC操作(文書作成・データ入力・表計算)
- 電話・メール対応(ビジネスマナーや基本的な受け答え)
- 正確性と注意力(数字やデータを扱うため、誤りがないよう確認する力)
これらのスキルは、求人票で「未経験可」とされている場合でも、最低限必要とされることが多いため、事前に基礎を学んでおくと安心です。
ASDの特性と事務職の相性
ASD特性は、事務職の業務と相性が良い面と難しい面の両方があります。
得意とされる傾向
- 数字やデータ処理など、正確性を重視する作業
- マニュアルに沿ったルーチンワーク
- 一人で集中して取り組む作業
苦手とされる傾向
- 電話応対や急な依頼などの臨機応変な対応
- 同時に複数のタスクをこなすマルチタスク
- 曖昧な指示や抽象的な説明
つまり、得意な部分を活かせる職場を見つけることが何よりも大切です。特に、転職エージェントや支援機関を通じて、自分の特性に合った事務職を探すことは有効な方法となります。
事務経験が浅いASDが就職で直面する課題

スキル不足(Excelの関数・資料作成・ビジネスマナー)
事務職は「未経験歓迎」と書かれている求人もありますが、実際にはExcelでの関数処理や資料作成、電話・メール対応のマナーなど、一定のスキルが求められることが少なくありません。ASDのある方の場合、「最初から完璧にできないといけない」とプレッシャーを感じてしまい、応募に踏み出せないケースもあります。
転職回数の多さやブランクの影響
ASDの方の中には、体調や職場環境との相性から短期間で転職を繰り返してしまう人もいます。その結果、履歴書に転職回数の多さやブランクが目立ち、「採用担当者にどう思われるか不安」と感じることがあります。これは就職活動の大きな壁になりやすい課題です。
「事務=人気職種」で競争率が高い現実
事務職は「体力的に無理がない」「安定した働き方ができる」といった理由から、多くの人が希望する人気職種です。そのため、応募者が多く、経験が浅い人は書類選考で落ちやすいという現実があります。だからこそ、転職エージェントのサポートを受けながら、自分に合った求人を見つけることが重要になります。
転職エージェントが紹介できる求人の特徴
障害者雇用枠の事務補助(データ入力・書類整理など)
エージェントを通じて応募できる障害者雇用枠の事務職には、一般事務よりも負担の少ない「事務補助」の求人があります。主な業務はデータ入力や書類整理など、マニュアルに沿って進められる内容が中心です。
電話対応なしのバックオフィス求人
ASDの方が苦手としやすいのが「電話対応」。エージェントの求人の中には、電話対応なしで、入力やチェック作業に専念できる職場もあります。こうした求人は自分の特性を活かして働きやすい選択肢です。
PCスキル不問のシンプル事務作業
「Excelの関数ができない」「Wordを使いこなせない」と不安に感じる方でも、基本操作だけで対応できるシンプルな事務求人が紹介されることもあります。たとえば、郵便物の仕分けや簡単な入力などからスタートできる場合があります。
成功事例:経験浅いが「書類整理+簡単な入力」からスタートしたケース
あるASD当事者の方は、事務経験がほとんどない状態で転職エージェントを利用。まずは書類整理や簡単な入力業務から始め、少しずつスキルを身につけていった結果、半年後には一般事務へとキャリアアップできました。最初から完璧を目指す必要はなく、ステップを踏むことで安定就労につながる実例です。
事務以外に広げられる進路

軽作業や検品など、特性を活かせる仕事
事務にこだわらず、集中力や正確性を活かせる軽作業・検品の仕事も選択肢になります。製造ラインでの検査や、物流倉庫での仕分けなどは「ミスなく繰り返し作業をこなせる」というASD特性が強みになるケースがあります。
データ入力やスキャン業務など「事務に近い作業」
「電話対応は苦手だけど、パソコン作業は好き」という方には、データ入力やスキャン業務など、事務に近いバックオフィス作業がおすすめです。事務スキルの土台を作りながら、将来的に一般事務へステップアップしやすくなります。
職業訓練校でスキルを習得し、事務補助から事務職へステップアップ
ハローワーク経由で受講できる職業訓練校では、Word・Excelなどの基礎スキルやビジネスマナーを学べます。経験が浅い方でも、訓練でスキルを補い、まずは事務補助からスタートして一般事務へ移行する道が開けます。
実例:職業訓練でExcelを学び、半年後に事務職へ就職
ある方は事務未経験で職業訓練に通い、Excelの関数や表作成を習得。修了後、障害者雇用枠の事務補助に就職し、半年後には一般事務へ昇格しました。学びの積み重ねが、安定したキャリアにつながった好例です。
ASDが安定して働くために必要な工夫
配慮事項を伝える(業務指示は書面で/静かな環境)
ASDの方が安定して働くためには、自分に必要な配慮を明確に伝えることが重要です。たとえば「口頭指示だと混乱するので、できれば書面やメールで指示してほしい」「電話の多い部署ではなく、静かな環境で集中したい」など、具体的に伝えるだけで業務のやりやすさが格段に変わります。企業側も合理的配慮の一環として、無理のない範囲で対応してくれるケースが増えています。
自己理解(できること/難しいことの整理)
「自分は何が得意で、どんな場面でつまずきやすいか」を整理することは、安定就労の第一歩です。得意なことを活かす仕事を選び、難しい部分は配慮や工夫で補うという視点が大切です。自己理解を深めるためには、ノートに書き出す・支援員に相談する・模擬面接で試すといった方法が役立ちます。
支援機関・ジョブコーチを併用して定着率を高める
就職活動や就労後の定着には、支援機関やジョブコーチの存在が大きな助けになります。ジョブコーチは職場に訪問して業務を一緒に整理してくれたり、上司や同僚に配慮事項を伝える橋渡し役になったりします。特にASDの方は、環境調整が職場定着のカギになるため、外部の支援を併用することは非常に有効です。
まとめ|事務職にこだわらず選択肢を広げよう
事務経験が浅いASDの方でも、働ける事務求人は確かに存在します。ただし、応募できる範囲は限られるため、転職活動を進める上では「事務補助」や「電話対応なしの業務」といった現実的な選択肢に目を向ける必要があります。
その際に、転職エージェントのサポートを活用すれば、自分のスキルや特性に合った求人に出会いやすくなります。また、職業訓練でExcelやビジネスマナーを学び直せば、「経験が浅い」という不安を補い、採用の可能性を大きく高めることも可能です。
さらに、事務以外にも軽作業やデータ入力など、ASDの特性を活かせる仕事は数多く存在します。事務職にこだわりすぎず、選択肢を広げることで、就職のチャンスは格段に広がります。
最後に、読者の方へお伝えしたいのは、
👉 「スキル不足を恐れる必要はなく、学びながら自分に合った環境を見つければ、長く安心して働き続けられる」
ということです。焦らず、自分に合ったペースで選択肢を探し、支援を上手に活用していきましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







