2025/08/10
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仕事がつらい…それ、適応障害かも?職場での症状・原因・対処法

はじめに:休職や退職の前に知っておきたいこと

「朝起きると体が重い」「会社に行こうとすると動悸や吐き気がする」「仕事のミスが増えて上司に怒られてばかり」——こうした状態が続くと、多くの人は「自分はもう仕事に向いていないのでは」と思い詰めてしまいます。
しかし、その不調は“やる気”や“根性”の問題ではなく、職場環境や業務負担によって心身が限界に達しているサインかもしれません。

特に、環境の変化や人間関係のストレスが引き金となって、日常生活や仕事に支障をきたす精神的な状態を「適応障害」と呼びます。
厚生労働省の調査でも、職場におけるメンタル不調の原因の上位には「仕事の量・質の負担」「対人関係のストレス」が挙げられており、現代のビジネスパーソンにとって決して珍しいものではありません。

適応障害は、うつ病や不安障害などに移行することもあり、早期発見と適切な対応が非常に重要です。
この記事では、職場で起きやすい適応障害のサインや原因、そして対処法について、ビジネス層向けにわかりやすく解説します。
「最近、仕事がつらい」「部下や同僚の様子がいつもと違う」と感じている方は、ぜひ最後まで読んでください。


職場で起きやすい適応障害のサイン

適応障害は、ストレスの原因(ストレッサー)にさらされてから3か月以内に発症し、日常生活や仕事に明らかな影響が出るのが特徴です。
ここでは、特に職場で現れやすい3つのサインを紹介します。


出社がつらくなる

適応障害の初期によく見られるのが、「朝起きられない」「会社に行く直前になると体調が悪くなる」といった出社困難の状態です。
症状としては以下のようなものがあります。

  • 出社前になると腹痛や頭痛が起きる
  • 通勤電車に乗ると動悸・めまいがする
  • 「今日は休みたい」と思う日が増える

これは単なる“さぼり”ではなく、脳と体がストレス源から逃げようとする防衛反応です。
特に真面目で責任感が強い人ほど「頑張らなければ」と自分を追い込みやすく、結果的に症状が悪化する傾向があります。


ミス・遅刻が増える

適応障害は集中力や判断力の低下を引き起こし、これまで難なくこなせていた仕事でもミスが増えたり、納期に遅れることがあります。
また、朝起きられない、出社準備に時間がかかるなどで遅刻や欠勤が増えるのも典型的なサインです。

  • 以前はなかったケアレスミスが頻発する
  • 業務の優先順位がつけられない
  • 納期や会議の時間を忘れることが増える

こうした行動の変化は、本人が気づきにくい場合も多く、周囲のサポートが重要です。
特に管理職や同僚は、叱責ではなく状況を聞き取り、必要に応じて業務量を調整することが求められます。


同僚との距離感が変わる

適応障害では、精神的な余裕のなさから人間関係の距離感が変化することもあります。
以前は気軽に会話できていた同僚を避けるようになったり、逆に些細なことで感情的になることもあります。

  • 昼休みに一人で過ごすようになる
  • チーム内での雑談やミーティングを避ける
  • ちょっとした指摘で過剰に落ち込む・怒る

これは「対人ストレスを減らすための回避行動」である場合が多く、決して本人の性格が急に変わったわけではありません。
こうした変化が見られたら、早めに声をかけ、相談のきっかけをつくることが大切です。

原因になりやすい職場環境

適応障害は、明確なストレス原因(ストレッサー)が存在する点が特徴です。特に職場では、以下のような環境が引き金になるケースが多く見られます。


上司との不和・ハラスメント

適応障害の原因の中でも多く報告されているのが、上司との人間関係の悪化です。
過度な叱責、成果を認めない態度、理不尽な要求などは、部下の心身に大きな負担を与えます。
パワーハラスメント(パワハラ)やモラルハラスメント(モラハラ)が長期化すれば、適応障害だけでなく、うつ病などの深刻な精神疾患に移行するリスクも高まります。

  • 上司が常に否定的なフィードバックしかしない
  • 成果を上司の手柄にされる
  • ミスを全体の前で晒される

こうした状況では、本人が「自分が悪い」と思い込んでしまい、助けを求めにくくなることが少なくありません。


過重労働・急な配置転換

長時間労働や休日出勤が常態化している職場は、心身の回復時間を奪い、適応障害のリスクを高めます。
さらに、急な部署異動や業務内容の変更は、環境変化への適応を迫られ、大きなストレスとなります。

  • 新しい仕事の進め方や人間関係に慣れる時間がない
  • 異動後すぐに高い成果を求められる
  • 残業が続き、睡眠不足や疲労が蓄積する

過重労働や急な配置転換は、「逃げ場のないストレス状態」を作り出すため、注意が必要です。


テレワーク環境の孤立感

近年増えているテレワークは、柔軟な働き方を可能にする一方で、孤立感や疎外感を招くこともあります。
オフィス勤務なら自然に得られる雑談や相談の機会が減り、困りごとを抱え込みやすくなるのです。

  • チャットやメールでは感情が伝わりにくい
  • 業務の進捗や成果が見えにくく、評価への不安が増す
  • 同僚との交流が減り、孤独感が強まる

特に内向的な性格の人や、新しい職場に着任したばかりの人は、サポート不足から適応障害を発症しやすくなります。


仕事を続ける場合の工夫

適応障害と診断されても、環境調整やサポートを受けながら仕事を続けられるケースは少なくありません。ここでは、負担を減らすための具体的な工夫を紹介します。


業務量の調整

業務の優先順位を明確にし、抱えているタスクを減らすことが第一歩です。
可能であれば、上司や人事と相談して以下のような調整を行いましょう。

  • 納期の延長やタスクの分担
  • 一時的な残業削減
  • 高ストレス業務から低負荷業務への一時的な移行

「全部自分でやらなければならない」という思い込みを捨てることが大切です。業務量が減ることで、体調や集中力が回復しやすくなります。


相談窓口の活用(産業医・人事)

社内に産業医やカウンセラー、人事部の相談窓口がある場合は、ためらわず活用しましょう。
適応障害は、周囲の理解と制度的サポートがあれば改善が早まります。

  • 定期的な面談で体調や業務の負担を共有
  • 必要に応じて医師から職場への配慮依頼書を提出
  • 勤務形態(時短勤務・在宅勤務)の変更相談

また、外部の公的支援機関(地域産業保健センター、労働局の相談窓口など)も利用できます。社内だけで解決が難しい場合は、外部の専門家に介入してもらうことで状況が改善することもあります。

休職する場合の流れと注意点

適応障害は、休養によって改善が見込める疾患です。症状が重く、業務に大きく支障をきたしている場合は、無理に働き続けるよりも、一時的に休職して心身を整えるほうが早期回復につながります。ここでは、休職の一般的な流れと注意点を解説します。


診断書の取得

休職には、医師による診断書が必要です。まずは精神科または心療内科を受診し、症状や業務への影響を正確に伝えましょう。診断書には以下のような内容が記載されます。

  • 診断名(適応障害など)
  • 就労の可否(休職が必要な期間)
  • 必要な配慮事項

診断書は会社への公式な証明書となるため、「休養が必要である」ことを明確に記載してもらうことが重要です。


傷病手当金の申請

休職中は収入が減るため、経済的な不安が症状を悪化させる場合があります。会社員であれば、健康保険組合から傷病手当金を受け取れる可能性があります。

  • 支給額:標準報酬日額の3分の2
  • 支給期間:最長1年6か月
  • 条件:連続3日間の欠勤後、4日目以降の欠勤に対して支給

申請には医師の意見書や会社の証明が必要です。早めに会社の総務や人事に相談し、必要書類をそろえることが大切です。


復職プログラムの流れ

休職からの復職は、段階的に行うのが基本です。会社によっては「リワークプログラム」や「職場復帰支援制度」が用意されています。

  1. 主治医の許可を得る
  2. 産業医・人事部との面談
  3. 勤務時間や業務内容を徐々に増やす試験出社
  4. 本格復職

焦って元の業務負荷に戻すと再発のリスクが高まるため、「少し物足りない」くらいの負荷から始めるのが理想です。


再発防止のための職場づくり

適応障害は、原因となった環境が変わらないままでは再発の可能性が高い病気です。職場全体での理解と仕組みづくりが、長期的な予防につながります。


上司・同僚の理解を促す方法

再発防止には、上司や同僚が適応障害の特性や配慮点を理解することが不可欠です。

  • 適応障害は「甘え」ではなく、環境要因で発症することを共有
  • 状況を改善するための具体的な配慮例(業務量調整、静かな作業環境など)を説明
  • 社内研修や勉強会を通じて理解を深める

特に管理職向けのメンタルヘルス研修は、職場全体の意識を変える有効な手段です。


働き方の柔軟化

再発防止には、働き方の選択肢を増やすことも重要です。

  • 時短勤務やフレックスタイム制の導入
  • 週数日の在宅勤務
  • 一部業務の外部委託による負担軽減

こうした柔軟な制度は、本人の負担を減らすだけでなく、離職防止や生産性向上にもつながります。


おわりに:仕事の「続け方」は1つじゃない

適応障害になったからといって、「もう働けない」と考える必要はありません。
休職して環境を整えてから復帰する道もあれば、部署異動や在宅勤務などで負担を減らしながら働き続ける方法もあります。

大切なのは、「無理をしないで続けられる形」を見つけることです。
そして、職場や家族、医療機関と連携しながら、自分の心と体を守る働き方を選びましょう。適応障害は、早期の気づきと環境改善で回復できる病気です。
あなたに合ったペースと方法で、再び前向きに働ける日常を取り戻してください。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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