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企業が語る知的障害者雇用|人事担当者が明かす「求める人物像」と「配慮のリアル」

この記事の内容
はじめに|企業が語る知的障害者雇用の「ホンネ」

「企業にどう思われるか不安…」「自分の能力が通用するだろうか…」。
知的障害を持つ方が就職活動で抱えるこれらの悩みは、企業が求める人物像や、入社後の働き方について情報が少ないことが原因です。
しかし、企業側も、採用活動や入社後のサポートについて、様々な工夫と熱意を持って取り組んでいます。
この記事では、知的障害者雇用を積極的に推進している人事担当者の視点から、企業が本当に求めている人物像、採用で重視するポイント、そして入社後の具体的なサポート事例までを徹底解説します。
この記事を読めば、あなたの不安が解消され、自信を持って就職活動に臨めるヒントが見つかるはずです。
知的障害者雇用が企業にもたらす具体的なメリット
- 業務の効率化と生産性向上:
- 知的障害を持つ方は、マニュアル化された反復作業を高い集中力と正確さでこなすことができます。
- これまで健常者の社員が担っていた定型業務を任せることで、健常者の社員は、より専門性が高く、創造的な業務に集中できるようになります。
- 結果として、チーム全体の生産性が向上し、企業の利益に貢献します。
- 社員の意識改革と企業文化の醸成:
- 知的障害を持つ社員と働くことで、社員は「指示をより分かりやすく伝えるにはどうすればいいか」を考えるようになります。
- この経験は、社員一人ひとりのコミュニケーション能力を高め、チームワークを強化します。
- 互いを尊重し、助け合う社風が育まれることで、企業全体のダイバーシティ&インクルージョンへの意識が高まります。
- 新しいサービスやイノベーションの創出:
- 知的障害を持つ方のユニークな視点や発想が、新しい商品やサービスのヒントになることがあります。
- 例えば、誰もが使いやすいサービスの開発や、マニュアルの見直しにつながるなど、これまでの常識にとらわれない新しいアイデアが生まれる可能性があります。
理解度を上げるための伝え方

知的障害を持つ方の理解度は、伝え方を工夫することで大きく上がります。
- 具体的に伝える:
- 悪い例: 「この書類を適切に処理しておいてください」
- 良い例: 「この赤いファイルに入っている書類を、この青い箱に入れてください」
- 解説: 抽象的な言葉(適切に、処理)を避け、具体的な物(赤いファイル、青い箱)や動作(入れる)で伝えることで、理解度が高まります。
- 一度に一つのことだけ伝える:
- 悪い例: 「この書類を処理して、その後、コピーを取って、最後にこの棚にしまってください」
- 良い例: 「まず、この書類を処理してください。それが終わったら、教えてください」
- 解説: 複数の指示を一度に伝えると混乱してしまうことがあります。一つずつ確認しながら進めることで、抜け漏れを防ぎます。
- 視覚的に伝える:
- 悪い例: 「この書類は、この手順で処理してください」
- 良い例: 「この書類は、この写真のように処理してください」
- 解説: 写真や図、動画などを使って、視覚的に手順を伝えることで、理解度が大幅に上がります。マニュアルに写真やイラストを多用することも有効です。
- 繰り返しと確認:
- 悪い例: 「わかりましたか?」
- 良い例: 「もう一度、一緒にやってみましょうか?」
- 解説: 相手が理解したかどうか、「やってみる」という行動を通して確認することが大切です。「わかった」と答えても、実際にやってみるとうまくできない、というケースもあるためです。
これらの工夫は、知的障害を持つ方だけでなく、誰に対しても有効なコミュニケーション方法です。
人事担当者が明かす|採用で重視する3つのポイント
多くの企業は、知的障害を持つ方を採用する際に、スキルや経歴よりも「人物像」を非常に重視しています。ここでは、人事担当者が共通して求める3つのポイントを解説します。
ポイント1:仕事への意欲と素直さ
知的障害を持つ方が仕事で活躍するためには、「言われたことを素直に聞き、着実に実行する力」が非常に重要です。人事担当者は、面接で「なぜこの仕事を選んだのですか?」「入社後、どんな仕事をしたいですか?」といった質問を通して、仕事への意欲や、指示されたことを真面目に取り組む姿勢があるかどうかを見ています。
ポイント2:協調性とコミュニケーション能力
チームの一員として働く上で、周囲と円滑なコミュニケーションをとれるかどうかも重要なポイントです。人事担当者は、面接での挨拶や受け答えを通して、「報連相(報告・連絡・相談)」を適切に行えるか、困ったときに一人で抱え込まず、助けを求められるかといった点を見ています。
ポイント3:長期就労への意欲
企業は、採用や育成にコストをかけています。そのため、短期で退職してしまうのではなく、長く安定して働いてくれることを強く期待しています。 面接では、「この会社で、どのような仕事を続けていきたいですか?」といった質問を通して、長期就労への意欲を測ることがあります。
知的障害を持つ社員の主な仕事内容
知的障害を持つ方が多く就いている仕事は、業務内容が明確で、マニュアル化された作業が多いのが特徴です。
製造・軽作業
- 内容: 部品の組み立て、検品、梱包など、マニュアル化された反復作業。
- 活かせる強み: 集中力や手先の器用さ。
- 企業からの期待: 決まった作業を正確に、安定してやり遂げる力。
清掃・施設管理
- 内容: 店舗やオフィスの清掃、設備の点検など。
- 活かせる強み: 責任感や几帳面さ。
- 企業からの期待: 業務内容を正確に理解し、責任感を持って業務を遂行する力。
事務補助
- 内容: 書類のスキャンやPDF化、簡単なデータ入力など。
- 活かせる強み: マニュアルに沿った正確な作業。
- 企業からの期待: 集中力と正確さを活かし、ミスなく業務をこなす力。
入社後のサポート体制|「安心して働ける」を支える合理的配慮
配属先の決定
人事担当者は、障害特性やスキル、本人の希望を考慮し、最適な部署や業務内容を決定します。この際、「無理のない範囲で」働くことが、長期就労につながるという考え方が浸透しています。
例として、軽作業が得意な方には、部品の組み立てや検品といった業務を、事務作業が得意な方には、書類のスキャンやデータ入力といった業務を任せるなど、一人ひとりの特性を活かせるように配慮します。
入社後のサポート
- 専門の相談員: 専門の相談員(ジョブコーチなど)が、入社後の困りごとや悩みについて相談に乗れる体制を整えています。定期的な面談を通じて、業務の進捗や体調について確認し、必要に応じてサポート内容を見直します。
- マニュアルとOJT: 写真や図を多用した分かりやすいマニュアルと、先輩社員によるOJTで、未経験者でも安心して業務を覚えられる環境です。マニュアルは、一つの作業につき、一つの手順を明確に記載することで、誰でも迷わずに作業できるように工夫されています。
まとめ|知的障害者雇用は、企業と個人の成長戦略

知的障害者雇用は、企業にとっても成長の機会であることを再確認しました。
求職者の皆様へ
企業が最も重視するのは、「仕事への意欲」や「素直さ」「協調性」です。
あなたの「地道にコツコツと取り組む力」や「マニュアルに沿って正確に作業をこなす集中力」は、仕事で大きな強みとなります。
就職はゴールではなく、新しいスタートです。あなたの挑戦を心から応援しています。
人事担当者の皆様へ
知的障害を持つ社員を雇用することは、企業の成長戦略です。知的障害を持つ社員の可能性を信じ、共に未来を築いていく一歩を踏み出してみませんか。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







