2025/08/29
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心臓機能障害と仕事の両立|無理せず働くためのポイントと支援制度

はじめに

心臓機能障害を抱えながら働くことは、多くの方にとって大きな不安の種です。
「体力的に仕事を続けられるのか」「急な体調不良で迷惑をかけてしまわないか」「職場で理解してもらえるのか」といった悩みは、当事者だけでなく家族や企業にとっても重要な課題となります。

しかし、正しい知識と支援制度を理解し、職場で適切な配慮を受けることで、心臓機能障害があっても安心して働き続けることは十分に可能です。

本記事では、心臓機能障害が仕事に与える影響や、働く際に直面しやすい課題とその解決策、さらには無理せず働くために活用できる働き方や制度についてわかりやすく解説します。


心臓機能障害とは?仕事にどう影響するのか

心臓機能障害の主な原因疾患

心臓機能障害と一口にいっても、その背景にある疾患はさまざまです。代表的なものとして以下が挙げられます。

  • 心筋梗塞:冠動脈が詰まり、心筋が壊死する病気。発作後は再発リスクがあり、体力や勤務時間に制限が必要になることもあります。
  • 狭心症:冠動脈が狭くなることで胸の痛みや圧迫感を感じる病気。過度な労働やストレスが症状を誘発することがあります。
  • 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、息切れや疲労感が強く出る病気。長時間勤務や肉体労働は大きな負担になります。
  • 先天性心疾患:生まれつき心臓に構造的な異常があるケース。手術や治療後も一定の生活・労働上の配慮が必要です。

これらの疾患は「無理をしすぎることで悪化する」という共通点があり、職場での理解と調整が不可欠です。

障害者手帳(身体障害者手帳)との関係

心臓機能障害は、症状の程度によって身体障害者手帳の交付対象となる場合があります。
例えば以下のようなケースが該当します。

  • ペースメーカーや植込み型除細動器を使用している場合
  • 日常生活や就労に制限があるレベルの心機能低下がある場合

等級の目安としては、人工心臓を使用している場合は1級、ペースメーカー装着で3級~4級程度といった基準があります。手帳を取得すれば、障害者雇用枠での応募や各種支援制度の利用が可能になります。

仕事への影響

心臓機能障害があると、以下のような影響が出やすいです。

  • 疲れやすい:通常の勤務でも体力消耗が激しいことがある。
  • 無理な残業ができない:突発的な長時間労働は体調を崩す原因になる。
  • ストレスで症状が悪化:精神的な負担が直接心臓に影響を及ぼす。

そのため「自分に合った働き方を選ぶこと」「職場に適切な配慮を求めること」がとても重要です。


仕事で起こりやすい課題と両立のポイント

長時間労働や残業が体に負担になる

心臓機能障害を持つ方にとって、長時間労働は大きなリスクです。残業が続くと心臓に負担がかかり、再発や悪化につながる可能性があります。
スケジュール管理と休息の取り方を工夫し、無理のない範囲で働くことが必要です。

  • 1日の中で定期的に休憩を挟む
  • 睡眠時間を確保するため、夜遅くまでの勤務を避ける
  • 勤務後に病院へ通えるよう、シフトやスケジュールを調整する

肉体労働や重労働はリスクが高い

荷物の運搬や長時間の立ち仕事など、身体への負荷が大きい業務は心臓への負担を増やします。
配置転換や軽作業への調整を企業と相談することで、安全に働ける環境を整えることができます。

例:製造現場から事務部門へ異動、立ち仕事から座り仕事への変更など。

精神的ストレスが心臓に直結する

心臓は精神的なストレスに敏感です。過度なプレッシャーや人間関係の悩みが症状を悪化させるケースも少なくありません。
ストレスマネジメントの工夫として、上司や同僚に症状や配慮してほしい点を共有しておくことが有効です。

  • 「残業が続くと体調に影響が出やすい」
  • 「定期的に通院が必要」

といった情報をオープンに伝えることで、周囲も協力しやすくなります。


心臓機能障害に向いている働き方・職場環境

在宅勤務やリモートワーク(体調に合わせやすい)

自宅で働ける環境は、通勤による体力消耗を防ぎ、急な体調不良にも対応しやすい点がメリットです。

時短勤務・柔軟なシフト制度

フルタイム勤務が難しい場合は、時短勤務やシフト制勤務を利用することで、体調を考慮しながら働けます。

身体負担の少ない業務(事務職、受付、サポート業務など)

体への負担が比較的少ない業務に就くことで、安定して長く働きやすくなります。

医療機関に通いやすい勤務地・勤務時間

心臓機能障害を持つ方にとって、通院しやすい環境は大きな安心材料です。勤務先が病院に近い、あるいは勤務時間に柔軟性があると、治療と両立しやすくなります。

企業に求められる配慮

定期的な通院への理解(有給・通院休暇の導入例)

心臓機能障害を持つ方にとって、定期的な通院や検査は欠かせません。企業側が「通院は業務に支障をきたすものではなく、仕事を長く続けるために必要なもの」と捉えることが大切です。
実際には、有給休暇を通院に充てやすくする仕組みや、通院休暇の制度化を行う企業も増えています。社員が安心して医療を受けられる体制が、結果として長期的な就労につながります。

残業を前提としない働き方の仕組みづくり

「必要になれば残業」という働き方は、心臓への大きな負担になります。企業は残業を前提としない業務設計を行い、繁忙期にはシフト調整や人員補強で対応できる仕組みを作ることが求められます。

業務分担の工夫(突発休みに備えたチーム体制)

体調が急に悪化し、やむを得ず休むケースもあります。その際に業務が滞らないよう、チームで仕事を共有する体制を整えておくことが重要です。業務マニュアルや進捗共有の仕組みを取り入れることで、安心して働ける環境が生まれます。

産業医や保健師との連携による健康管理

職場に産業医や保健師がいる場合は、定期的に面談を行い、勤務状況や健康状態を確認する仕組みを活用しましょう。企業と医療の橋渡し役として、社員の健康維持と就労継続をサポートしてくれます。


両立を支える制度とサポート

障害者雇用枠の活用(一般枠との違い)

心臓機能障害の程度によっては、障害者雇用枠で働くことが可能です。一般枠よりも配慮が得やすく、勤務時間や仕事内容に調整を受けやすいという特徴があります。「長く安心して働く」ための選択肢として検討するとよいでしょう。

障害者手帳を持つことで利用できる支援

身体障害者手帳を取得すると、以下のような支援が受けられます。

  • 税控除(所得税・住民税の軽減)
  • 通勤時の割引(バス・電車など公共交通機関の割引)
  • 各種福祉サービスの利用(ヘルパー派遣や住宅改修助成など)

経済的・生活的な負担を軽減できるため、就労の継続にも大きな助けとなります。

自立支援医療制度(薬代の負担軽減)

心臓疾患では薬の服用が長期にわたることも多く、経済的な負担が大きくなりがちです。自立支援医療制度を利用すれば、薬代や診察代の自己負担が原則1割まで軽減されます。

障害年金(働きながらでも受給可能なケースあり)

心臓機能障害が一定の基準を満たす場合、障害年金を受給できる可能性があります。就労していても受給できるケースがあるため、生活の安定に役立ちます。

ハローワークや就労支援機関の利用

ハローワークの障害者専門窓口や地域の就労支援センターを利用すれば、職場探しから条件交渉まで幅広くサポートが受けられます。専門相談員に相談することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。


就職・転職活動の進め方

面接で伝えるべきこと(体調・配慮事項の伝え方)

面接では「どのような配慮があれば安心して働けるか」を具体的に伝えることが重要です。
例:「残業が続くと体調に影響があるため、定時退社を基本にしたい」「月に2回、通院のために午後休が必要」など。

転職エージェントを通じて条件交渉するメリット

直接伝えにくい条件は、転職エージェントを通すことでスムーズに交渉できます。企業との橋渡し役を担ってもらうことで、安心して面接に臨めます。

求人選びで見るべきチェックポイント

求人を選ぶ際は以下を確認しましょう。

  • 勤務地が通院しやすいか
  • 残業の有無や働き方の柔軟性
  • 健康面への配慮が期待できる職場か

実際の事例紹介

心筋梗塞後に事務職で復職したケース

心筋梗塞を経験したAさんは、体力的に以前の営業職が難しくなったため、事務職に配置転換。勤務時間も短縮しながら無理なく復職を果たしました。

狭心症を抱えながら在宅勤務を続けるケース

狭心症のBさんは、発作の不安から通勤が困難に。リモートワーク制度を利用することで、自宅で体調を管理しながら働き続けています。

心不全で就労継続支援を利用しているケース

心不全を抱えるCさんは、一般就労が難しいため、就労継続支援A型事業所で働いています。支援スタッフのフォローを受けながら、安定した就労と生活リズムを確保しています。


まとめ

心臓機能障害があっても、自分の体を大切にしながら働き続ける道は必ずあります。
「もう働けないかもしれない」と不安を抱く方も多いですが、実際には多くの方が制度を活用し、職場と協力しながら自分に合った働き方を見つけています。

大切なのは、

  • 無理をせず、長く続けることを優先する姿勢
  • 必要な配慮を遠慮なく伝える勇気
  • 支援制度や専門機関を積極的に利用する行動力

この3つを意識することです。

配慮を求めることは「甘え」ではなく、両立のために欠かせない条件です。むしろ、健康を守りながら働くことこそが企業や社会にとっても大きなプラスになります。

心臓機能障害と向き合いながら働く道は、一人で切り開く必要はありません。企業の理解、医療や支援機関のサポート、そして家族の支えがあれば、安心して仕事を続けられます。👉 読者へのメッセージ
「心臓機能障害があっても、自分に合った働き方を選び、支援制度を賢く活用すれば、キャリアも生活もあきらめる必要はありません。大切なのは“無理をしないこと”。あなたらしい働き方を続けていけるよう、一歩ずつ進んでいきましょう。」

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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