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欲しい人材に響く「求人票」の書き方|ミスマッチを防ぎ、応募を倍増させる3つのポイント

この記事の内容
はじめに:なぜ貴社の求人票には「応募」が来ないのか?

「ハローワークに求人を出して数ヶ月経つが、問い合わせすら来ない」「ようやく来たと思ったら、自社の業務に全く合わない方だった」。多くの企業が抱えるこの悩み、実は求人票の「情報不足」が原因であるケースがほとんどです。
「条件の羅列」だけでは、候補者の不安を払拭できない
障害のある方にとって、新しい職場へ一歩踏み出すのは、私たちが想像する以上に勇気が必要なことです。
- 「自分の特性を理解してもらえるだろうか」
- 「パニックになった時、逃げ場はあるだろうか」
- 「過去の失敗をまた繰り返さないだろうか」
こうした切実な不安に対し、従来の求人票によくある「給与・勤務地・時間」といった最低限の条件だけでは、彼らの背中を押し、「ここなら大丈夫だ」と確信させるには不十分なのです。
2024年改正後の採用市場は「選ばれる立場」への転換
2024年からの法定雇用率引き上げにより、求職者一人あたりの求人数は増加しています。つまり、候補者は多くの選択肢の中から「自分を最も活かしてくれる、配慮の整った会社」を厳選できる「超・売り手市場」にあります。
これからの障害者雇用において、企業は「選ぶ側」ではなく、候補者から「選ばれる側」であるという認識を持たなければなりません。選ばれるためには、他社にはない「自社ならではの安心感」を言語化する必要があります。
本記事の結論:求人票は「業務の定義」と「安心感の提示」で決まる
採用に成功している企業は、求人票を単なる事務手続きではなく、「自社と候補者を結ぶ最初のコミュニケーション」と捉えています。
- 業務の定義: 曖昧さを排除し、働くイメージを具体化する
- 安心感の提示: どのような配慮があり、どんな人が働いているかを見せる
この2軸を徹底的に磨き上げることで、応募数を増やしながら、入社後のミスマッチ(早期離職)を劇的に減らすことが可能です。
1.ポイント1:業務内容は「具体的」かつ「限定的」に記載する
求職者が求人票で真っ先に確認するのは「自分にできる仕事か」という点です。ここが曖昧だと、候補者は「無理かもしれない」と応募を諦めてしまいます。
障害者が最も恐れる「何でも屋」という言葉
一般枠の求人でよく見かける「事務全般」「その他付随する業務」という表現は、障害者採用においては「応募を阻害するキーワード」になりかねません。
- マルチタスクへの不安: 多くの障害(特に発達障害など)を持つ方は、「その時々で優先順位が変わる仕事」や「範囲が決まっていない仕事」に強い不安を感じます。
- 限定することの価値: 「名刺の入力」「シュレッダー作業」「会議室のセッティング」というように、業務をあえて限定して記載することで、「これなら自分にもできる」という確信を持ってもらうことができます。
1日のタイムスケジュールを公開し、働くイメージを具体化する
文字情報だけでは伝わりにくい「働き方のリズム」を可視化しましょう。求人票の備考欄や、自社採用サイトに「1日の流れ」を記載するだけで、安心感は飛躍的に高まります。
- 例:
- 09:00 出社・メールチェック
- 10:00 伝票の入力作業(午前中のメイン業務)
- 12:00 休憩(社内休憩スペース利用可)
- 13:00 書類のスキャニング・ファイリング
- 15:00 (15分休憩)
- 15:15 備品の在庫チェック・補充
- 16:00 退社(残業なし)
このように、「いつ、何を、どのくらいの時間やるのか」を示すことが、働くイメージの解像度を上げます。
「できないこと」ではなく「これならできる」を想起させる書き方
求人票に記載するスキル要件も、伝え方ひとつで印象が変わります。
- NG例: 「PCスキル必須(Excel・Word)」
- OK例: 「Excelへの数字入力ができればOK(関数などの複雑な操作は不要です)」
- NG例: 「コミュニケーション能力のある方」
- OK例: 「報告・連絡・相談が、チャットやメモを使って正確にできる方」
「高いハードル」を課すのではなく、「最低限必要な動作」を噛み砕いて表現することで、埋もれていた優秀な層(=特定の作業に特化した能力を持つ方)にリーチできるようになります。
2.ポイント2:設備と体制を可視化し「安心感」を最大化する

求職者にとって、求人票は単なる労働条件の確認書ではなく「自分を歓迎してくれる場所かどうか」を測るバロメーターです。特に障害のある方は、周囲の理解や環境整備の状況を非常に細かくチェックしています。
合理的配慮の「具体例」を記載する(スロープ、静養室、指示方法)
「合理的配慮あり」と一言書くだけでは不十分です。会社として具体的にどのような対応が可能かを明文化することで、候補者は「自分の特性とマッチするか」を判断できます。
- ハード面の配慮: 「車椅子対応トイレ完備」「エレベーターあり」「静養室(休憩室)あり」など。
- ソフト面の配慮: 「指示は口頭だけでなくメモやチャットで行う」「パニック時に一時退室できる環境」「定期的な通院のための通院休暇制度」など。
これらを具体的に記載することで、候補者は「この会社は自分たちの困りごとを具体的に想定してくれている」という安心感を得られます。
「支援体制」の有無が応募の決め手になる
入社後に誰に相談すればいいのか、どのようなサポート体制があるのかを明確にします。
- 専任担当者の明記: 「障害者職業生活相談員が在籍」「ジョブコーチとの連携実績あり」といった記載は、非常に強力な安心材料になります。
- 相談しやすい仕組み: 「月に1回の定期面談実施」や「相談専用窓口の設置」など、問題を一人で抱え込ませない体制があることをアピールしましょう。
既存の障害者雇用の実績や、周囲の理解度をポジティブに伝える
「自分が初めての障害者雇用だったらどうしよう」という不安は、応募を躊躇させる大きな要因です。
- 実績の公開: 「現在〇名の障害のある社員が活躍中です(勤続5年以上の社員もいます)」といった具体的な数字は、定着率の高さを物語ります。
- 職場の雰囲気: 「全社員向けに障害理解研修を実施済みです」「困ったときは周囲が自然にサポートする文化があります」など、受け入れ側のマインドについても触れることが重要です。
3.ポイント3:求める人物像を「特性」レベルで言語化する
求人票によくある「定型文」は、時にターゲットとなる優秀な人材を遠ざけてしまうことがあります。障害者採用においては、一般的な「社会人スキル」ではなく、業務に必要な「特性」を具体的に言語化することが成功への近道です。
「明るく元気な方」という表現が引き起こすミスマッチ
多くの求人で見かける「明るく元気な方」「コミュニケーション能力が高い方」という表現。一見ポジティブですが、障害のある方(特に精神障害や自閉スペクトラム症など)の中には、この言葉を見て「自分には無理だ」と心を閉ざしてしまう人が少なくありません。
- 誤解を解く: 業務に本当に必要なのは「元気な挨拶」でしょうか? それとも「マニュアル通りに正確に作業すること」でしょうか?
- 具体化の例: 「接客はありませんので、ひとつの作業にじっくり集中できる方が活躍できる職場です」と書き換えるだけで、コミュニケーションに不安がある一方で集中力の高い層へ、的確にアプローチできるようになります。
必要なのは「高いスキル」よりも「特性と業務の相性」
「Excelが使える」というスキルだけを見るのではなく、その業務がどのような「脳の癖」に向いているかを提示しましょう。
- マルチタスク vs シングルタスク: 「複数のことを同時にこなすのは苦手だが、決められた手順を一つずつ確実に進めるのが得意な方」
- 変化 vs ルーチン: 「毎日違うことが起きる刺激よりも、決まったルールの中でコツコツと積み上げることが好きな方」
このように「特性」レベルで記載することで、候補者は「これは自分のことだ!」という自己理解に基づいた応募ができるようになります。
応募者に「自分へのメッセージだ」と思わせる「呼びかけ」の技術
求人票の最後には、会社としての姿勢を象徴する「呼びかけ」を添えましょう。
- NG例: 「障害者の方の応募もお待ちしております」
- OK例: 「私たちは、あなたの『できないこと』をカバーし合い、『得意なこと』を仕事に活かしてほしいと考えています。体調に合わせた働き方も一緒に相談しながら決めていきましょう」
このように、「あなたの可能性を信じている」というメッセージを伝えることで、候補者の意欲は一気に高まります。
4.ミスマッチを防ぐための「情報の透明性」

良いことばかりを書いた求人票は、一時的に応募を増やすかもしれませんが、入社後の「こんなはずじゃなかった」という早期離職を招きます。本当の意味で採用を成功させるには、情報の「透明性」が不可欠です。
あえて「大変なこと」も伝える勇気が、離職率を下げる
職場のリアルな状況をあらかじめ伝えておくことは、候補者にとっても「自分に対処できるか」を判断する材料になります。これを「RJP(実感的職務プレビュー)」と呼びます。
- 具体例: 「立ち仕事がメインのため、足腰への負担があります」「繁忙期の12月は、普段より作業スピードが求められる場面があります」
- 効果: ネガティブな情報をあえて開示することで、会社に対する信頼感が高まり、「納得して応募した」という強い意志を持つ人材が残ります。
面接前に「職場見学」や「実習」をセットで提案する
言葉や写真だけで全てを伝えるには限界があります。特に環境の変化に敏感な方にとって、実際の現場を確認することは何よりの安心材料です。
- 職場見学: オフィスの音、照明の明るさ、通路の広さ、社員同士の会話のトーンなど、五感で感じる情報を確認してもらいます。
- 体験実習(数日間): 実際の業務を体験してもらうことで、企業側も「このタスクなら任せられる」という確信を持て、本人も「この手順なら覚えられる」と自信を持った状態で入社を迎えられます。
入社後の「ステップアップ」の可能性を示し、意欲を高める
「障害者だから、ずっと同じ単純作業だけ」という固定観念を払拭しましょう。
- 成長のロードマップ: 「最初はシュレッダーから始め、慣れてきたらPC入力、将来的にはリーダー補助へ」といったステップを示します。
- 意欲の向上: 自分の将来像(キャリアパス)が見えることで、仕事に対する責任感と定着意欲が格段に向上します。
5.【事例】求人票を書き換えて応募が3倍になった中小企業の工夫
ここでは、実際に求人票の「見せ方」を変えただけで、応募数と採用質が劇的に向上したある中小企業の事例を紹介します。特別な制度を作らなくても、伝え方ひとつで結果が変わる好例です。
専門用語を排除し、誰にでも伝わる「優しい日本語」へ
ある製造業の企業では、当初「NC旋盤の補助業務およびバリ取り作業」と求人票に記載していました。しかし、これでは未経験の障害者には内容が全く伝わらず、応募はゼロ。そこで、以下のように「優しい日本語」へ書き換えました。
- 改善前: NC旋盤の補助業務、バリ取り
- 改善後:
- 機械に部品をセットしてボタンを押す作業(操作はかんたんです)
- 出来上がった製品の「トゲ」をヤスリで削って滑らかにする作業
- 結果: 「自分にもできそうだ」と感じた近隣の福祉施設や特別支援学校の生徒からの問い合わせが急増。言葉のハードルを下げることで、潜在的な候補者層を掘り起こすことに成功しました。
写真1枚が「1,000文字のテキスト」より安心感を与える理由
ハローワークの求人票(文章のみ)だけでなく、自社サイトや採用パンフレットに「実際の作業風景」の写真を掲載したことも大きな要因でした。
- 情報の具体化: 「アットホームな職場」と書く代わりに、「社員が笑顔で教え合っている写真」を掲載。「清潔な休憩室」と書く代わりに、「実際に横になれるソファがある部屋の写真」を掲載しました。
- 視覚情報の威力: 障害特性によっては、文字から情景を想像するのが苦手な方もいます。写真があることで「作業机の高さはこれくらいか」「隣の人との距離はこのくらいか」という環境のバリア(障害)の有無を一瞬で判断でき、それが安心感=応募へと繋がりました。
6.まとめ|求人票は、貴社と候補者を結ぶ最初の「合理的配慮」
求人票を「ただの募集要項」と捉えるか、それとも「候補者への最初の配慮」と捉えるか。この視点の差が、採用の成否を決定づけます。
総括:選考は求人票から始まっている
障害者雇用における合理的配慮は、入社してから始まるものではありません。 分かりやすい業務説明、写真による環境の可視化、相談窓口の明記。これら求人票に盛り込む工夫の一つひとつが、すでに「情報のバリアフリー」という名の合理的配慮なのです。
- 選考の質を高める: 丁寧な求人票は、ミスマッチな応募を減らし、貴社の社風や業務内容にフィットする人材を「自動的に」引き寄せるフィルターとなります。
- 企業のブランド向上: 「ここまで丁寧に説明してくれる会社なら、入社後も大切にしてくれるはずだ」という信頼感は、障害者採用の枠を超えて、貴社の採用ブランド全体にポジティブな影響を与えます。
最後に:応募を勝ち取る「求人票添削&採用戦略コンサルティング」のご案内
「自社の魅力がどこにあるのか、客観的に分析してほしい」 「ハローワークの限られたスペースで、どう表現すればいいか分からない」
私たちは、これまで数多くの企業の障害者雇用を支援してきたノウハウを活かし、「勝てる求人票」へのブラッシュアップをサポートしています。
ターゲット設定から、業務の言語化、写真撮影のアドバイスまで、貴社の採用力を最大化するためのパートナーとして伴走いたします。2024年改正後の厳しい採用市場で、選ばれる一社になるための第一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。







