2025/08/28
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特例子会社の成功事例10選|障害者が活躍できる仕組みと企業の工夫

はじめに

「特例子会社」とは、障害者雇用を推進するために大手企業が設立する特別な子会社です。
同じ制度のもとで設立されていても、運営方法や成果は企業ごとに大きく異なるのが実情です。

特に成功している企業は、単に雇用率を達成するだけでなく、「社員一人ひとりが活躍できる仕組み」を整えています。
その結果、障害者が安心して長く働けるだけでなく、企業の生産性やブランド価値向上にもつながっています。

本記事では、特例子会社の成功事例を10社取り上げ、それぞれの工夫や仕組みをわかりやすく解説します。
求職者にとっては就職先を選ぶ参考に、企業にとっては運営改善のヒントになる内容です。


特例子会社の成功事例10選

製造業の成功事例

1. トヨタループス(トヨタ自動車)

トヨタ自動車の特例子会社であるトヨタループスでは、清掃やPC作業、印刷・製本・社内便処理など、多岐にわたる業務を受託しています。最近ではAI学習に必要な画像のアノテーションや書類の電子化など高度な業務にも挑戦しており、業務内容を細分化・多様化しながら、社員の特性に応じた配置を行い、安心して働き続けられる体制を整えています。

2. ホンダ太陽(本田技研工業)

「ホンダ太陽」は、車両部品の製造工程を担う特例子会社です。
地域の障害者支援機関と連携し、採用から定着までを一体的にサポートしている点が特徴。
これにより就労定着率が高く、社員の生活の安定と企業の生産活動の両立に成功しています。


IT・通信業界の成功事例

3. NTTクラルティ(NTTグループ)

通信大手のNTTグループが設立した「NTTクラルティ」は、ITサポートやシステム監視業務を中心に展開。
特に在宅勤務制度を積極的に導入しており、身体障害や精神障害のある社員が自宅で働ける体制を整えています。
これにより、通勤負担を軽減しつつ、高度なスキルを持つ社員が活躍できる環境を実現しました。

4. ソニー希望・光(ソニーグループ)

ソニーグループの特例子会社「ソニー希望・光」では、文書のデジタル化や社内システムの運用補助を担当。
AIやRPAを導入し、障害者社員がオペレーションを担えるよう仕組みを整えています。
最新技術を積極的に取り入れることで、社員は単調な作業にとどまらず、スキルを活かせる業務に挑戦できています。


流通・小売業界の成功事例

5. イオンチャーム(イオングループ)

全国に店舗を展開するイオングループでは、「イオンチャーム」という特例子会社を設立。
清掃やバックオフィス業務を担当する一方で、「地域密着型雇用」を重視し、社員が自宅近くの職場で働けるよう配慮しています。
これにより通勤負担を軽減し、長期的な雇用の安定を実現しました。

6. セブン-イレブン・チャレンジ(セブン&アイグループ)

セブン&アイグループの「セブン-イレブン・チャレンジ」では、物流センターでの商品仕分けやバックオフィス業務を担当。
単調な作業にとどまらず、社員の特性に応じて新しい業務を取り入れることで、多様な人材が力を発揮できる環境を作り上げています。
結果として、社員のやりがいが高まり、職場定着率の向上にもつながっています。


金融・サービス業界の成功事例

7. みずほビジネスチャレンジ(みずほフィナンシャルグループ)

みずほグループの「みずほビジネスチャレンジ」では、データ入力・印刷・郵便仕分けなどのバックオフィス業務を担当。
業務に必要なPCスキルを学べる研修制度を整え、社員のキャリア形成を支援しています。
単なる雇用の場にとどまらず、社員の成長を重視する仕組みが導入されている点が成功要因です。

8. 三菱UFJフィナンシャル・パートナーズ(MUFGグループ)

三菱UFJフィナンシャル・グループの特例子会社では、障害者社員が持つ正確性を活かした金融データのチェックを担当。
システムと人のダブルチェック体制を導入し、ヒューマンエラーを防ぐ工夫を行っています。
障害者の強みを最大限に活かすことで、業務品質の向上と社員の自己肯定感アップにつながっています。


食品・生活関連業界の成功事例

9. キユーピーあい(キユーピーグループ)

食品メーカーのキユーピーは、「キユーピーあい」という特例子会社を設立。
食品検査や包装業務を中心に行い、作業工程を細分化して知的障害や発達障害のある社員も取り組みやすい体制を整えています。
「誰もが安心して作業できる環境」を実現したことが成功のポイントです。

10. 資生堂ソーシャルエンタープライズ(資生堂グループ)

化粧品大手の資生堂が設立した特例子会社では、化粧品の包装・検品・販売サポートを担当。
さらに、障害のある社員の意見を積極的に取り入れ、作業設備や制度を改善している点が特徴です。
「社員の声を反映する仕組み」があることで、職場満足度が高く、長期就労につながっています。

成功事例から見える共通点

10社の成功事例を振り返ると、特例子会社をうまく運営している企業にはいくつかの共通点があります。

  • 業務のマニュアル化・見える化
    作業手順を細分化し、写真や図を使ったマニュアルを整備。誰でも迷わず作業できる環境を整えています。
  • ジョブコーチや支援員によるサポート体制
    障害特性に応じた指導や相談窓口を設け、安心して働けるよう支援。困りごとをその場で解決できる仕組みが定着率向上につながっています。
  • 親会社と連携した安定的な業務供給
    特例子会社単体ではなく、親会社から業務を切り出すことで、安定的に仕事を提供。将来的な不安を軽減しています。
  • 社員の特性に応じた柔軟な働き方(時短・在宅)
    通院や体調に合わせてシフトを調整したり、在宅勤務を導入するなど、無理なく長く働ける環境が整えられています。
  • キャリア形成を支援する研修制度
    PCスキル研修や資格取得支援を通じ、社員のスキルアップを後押し。成長実感がやりがいにつながっています。

特例子会社を成功させるための企業の工夫

成功する特例子会社には、単なる制度活用にとどまらない「企業側の工夫」があります。
形だけの設立では成果につながらず、「社員が力を発揮できる環境を整える」という発想が重要です。

「雇用率達成のため」だけに設立しない

法定雇用率を満たすことは確かに大切ですが、それが唯一の目的になってしまうと、社員が「数字合わせの存在」と感じてしまいます。
長期的に機能する特例子会社は、「雇用」ではなく「活躍」をゴールにしている点が特徴です。
社員一人ひとりの特性を理解し、業務設計や配置を工夫することで、企業の生産性に直結する成果を出せます。

CSRやSDGsだけでなく、「実際に戦力化する」仕組みを設計

障害者雇用はCSRやSDGsの観点からも注目されますが、本当に成功する特例子会社は、社会貢献にとどまらず「経営資源」として機能しています。
例えば、印刷・清掃といった従来型の業務に加え、親会社の事務処理や情報管理を特例子会社が担うことで、グループ全体の業務効率を高めています。
つまり、「社会貢献」と「事業利益」の両方に貢献できる仕組みづくりがポイントです。

DXやバックオフィス効率化の一環として活用

最近では、特例子会社にデジタル分野の業務を切り出す動きも広がっています。

  • データ入力・チェックやシステムのログ監視
  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型業務の自動化補助
  • ECサイトの更新や顧客データ管理

これらは正確性や継続性が求められる業務であり、障害者の強みと親和性が高い分野です。
企業にとってもバックオフィスの効率化につながり、「障害者雇用=コスト」ではなく「投資価値のある戦力」という見方が広がりつつあります。

社員の声を反映し、モチベーションを維持する仕組み

働きやすさや業務改善のアイデアは、現場で働く社員の声から生まれることが少なくありません。
アンケートや定期面談を通じて社員の意見を吸い上げ、業務フローや設備に反映する仕組みを整えることで、モチベーションが維持されます。
「自分の意見が職場を良くしている」と実感できる環境は、定着率の高さやチーム力の向上にもつながります。


まとめ|特例子会社は社会と企業をつなぐ架け橋

特例子会社は、単なる「障害者雇用の受け皿」ではなく、企業の成長と社会的責任を両立させる戦略的な仕組みへと進化しています。

今回紹介した成功事例10社に共通していたのは、

  • 仕組み:業務のマニュアル化・見える化で誰もが安心して働けるようにしている
  • サポート:ジョブコーチや支援員の配置、柔軟な働き方制度で定着を支えている
  • 意識改革:CSRやSDGsの枠を超え、企業の戦力として本業に直結させている

という3つのポイントです。

さらに今後は、DXやデジタル分野での活躍が広がり、AI学習データのアノテーションやシステム監視、ECサポートなど、障害者が専門スキルを発揮できるフィールドが拡大していくでしょう。
これにより、特例子会社は「単純作業の場」から「高度なスキルを活かす場」へと進化し、企業の競争力強化に直結する存在となることが期待されます。

👉 読者へのメッセージ:
成功している企業に学べるのは、「数字を満たすために作る」のではなく、「人が活躍できる仕組みを作る」ことこそが特例子会社の本当の価値だという点です。
これから特例子会社の設立を考える企業は、事例を参考にしながら、自社の強みや業務に合わせたモデルを構築することが重要です。
そして求職者にとっては、特例子会社は安定して働きながらスキルを伸ばせる有力な選択肢であり、自分のキャリアの第一歩として検討する価値があります。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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