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睡眠障害とは?原因・種類・治療法・仕事との付き合い方まで徹底解説

この記事の内容
はじめに
私たちが健康で充実した生活を送るためには、質の高い睡眠が欠かせません。ところが近年、日本では睡眠障害に悩む人が急増しており、厚生労働省の調査によれば、成人の約2〜3割が何らかの睡眠の問題を抱えていると報告されています。
睡眠障害は単なる「寝つきの悪さ」や「日中の眠気」だけでなく、仕事のパフォーマンス低下や交通事故リスクの増加、心身の健康悪化など、社会的にも大きな影響を及ぼします。
本記事では、睡眠障害の種類や原因、治療法、そして仕事や日常生活における向き合い方までを徹底解説します。正しい知識を持ち、自分や周囲の人が健やかな睡眠を取り戻せるよう、具体的な対処法もあわせて紹介します。
睡眠障害とは

定義と分類
睡眠障害とは、睡眠の質や量に問題が生じ、日中の生活に支障をきたす状態の総称です。国際的な診断基準(ICSD-3)では、以下のような代表的な分類があります。
不眠症
- 「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」などの症状が続く状態。
- 慢性化すると集中力低下、イライラ、抑うつ傾向などが現れ、仕事や人間関係に悪影響を及ぼします。
過眠症
- 夜に十分な睡眠を取っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じる症状。
- 代表的なものにナルコレプシーや特発性過眠症があり、運転や作業中の事故リスクが高まります。
概日リズム睡眠障害
- 体内時計が乱れることで、社会生活のリズムと睡眠のタイミングがずれる障害。
- 例:睡眠相後退症候群(深夜遅くにしか眠れず、朝起きられない)、交代勤務睡眠障害(夜勤によるリズム乱れ)。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 睡眠中に呼吸が繰り返し止まる状態で、無呼吸や低呼吸によって酸素不足が生じます。
- 高血圧や心疾患のリスクを高め、重症例では命に関わることもあります。
有病率と近年の増加傾向

日本では不眠症状を訴える人は人口の約20%とされ、特に働き盛り世代や高齢者で多くみられます。
また、スマートフォンやパソコンの長時間使用によるブルーライトの影響、在宅勤務の普及による生活リズムの乱れなど、現代特有の要因も重なり、若年層での睡眠障害が増加しています。
この傾向は世界的にも共通しており、WHOも睡眠不足を「21世紀の公衆衛生課題」の一つとして警鐘を鳴らしています。
原因
生活習慣
夜型生活・カフェイン摂取
- 深夜までのスマホ・PC使用や、夜遅くの飲食は体内時計を乱します。
- コーヒーやエナジードリンクなどのカフェイン摂取は覚醒作用があり、就寝4〜6時間前の摂取でも眠りを妨げる可能性があります。
精神的要因
ストレス・うつ病・不安障害
- 職場の人間関係や過重労働、家庭内の問題など、慢性的なストレスは不眠の大きな原因です。
- うつ病や不安障害では、入眠困難や早朝覚醒といった睡眠の質低下がよく見られます。
身体的要因
慢性痛・呼吸器疾患
- 腰痛や関節痛などの慢性痛は、眠っている間に痛みで目が覚める原因となります。
- 喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患は、夜間の咳や息苦しさを引き起こし、睡眠の中断を招きます。
主な症状
日中の眠気
睡眠障害の多くで共通するのが、日中の強い眠気です。
会議中や作業中にうとうとしてしまう、運転中に眠気が襲うといった状態は、単なる疲れではなく深刻な事故やミスの原因となります。特に睡眠時無呼吸症候群や過眠症では、この日中の眠気が顕著で、仕事のパフォーマンスや安全性に大きな影響を与えます。
集中力・記憶力の低下
睡眠は脳の情報整理・記憶定着に重要な役割を果たしています。不十分な睡眠が続くと、集中力の低下や記憶力の衰えが顕著になります。
例えば、会議の内容をすぐ忘れる、資料作成でケアレスミスが増えるなど、仕事や学業に直接的な支障が出ます。
気分の落ち込み・イライラ
質の悪い睡眠は感情のコントロールにも影響します。睡眠不足や中途覚醒が続くと、抑うつ気分や不安感の悪化、イライラが起こりやすくなります。これはうつ病や不安障害のリスクを高める要因ともなり、悪循環に陥ることがあります。
診断と検査
問診・睡眠日誌
医療機関では、まず患者への問診によって睡眠の質・量・生活習慣・症状の経過などを確認します。
加えて、1〜2週間分の睡眠日誌を記録することで、就寝時間、起床時間、夜間覚醒の有無、日中の眠気の程度などが客観的に把握できます。
終夜睡眠ポリグラフ検査
専門的な診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が行われます。これは睡眠中の脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心拍数、酸素飽和度などを記録する検査で、睡眠時無呼吸症候群やレム睡眠行動障害などの診断に有効です。
治療法

薬物療法
睡眠導入剤・抗うつ薬
- 睡眠導入剤(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系)は、入眠困難の改善に用いられます。
- 精神的要因が関与する場合、抗うつ薬や抗不安薬が併用されることもあります。
ただし、薬物療法は依存や副作用のリスクがあるため、医師の指導のもと短期間の使用が基本です。
認知行動療法
睡眠制限法・刺激制御法
- 睡眠制限法:ベッドで過ごす時間をあえて制限し、睡眠の効率を高める方法。
- 刺激制御法:寝室では「眠る」以外の行動(スマホ使用やテレビ視聴)を避け、寝床と睡眠を結びつける習慣をつくる方法。
これらは薬物療法に比べ副作用がなく、再発予防にも有効とされています。
生活習慣改善
就寝前ルーティン
- 就寝1時間前からは強い光を避け、読書や軽いストレッチなどリラックスできる行動を行う。
- 就寝時間と起床時間を毎日ほぼ同じに保ち、体内時計を安定させる。
- 寝る直前のカフェインやアルコール摂取を控える。
こうした習慣の積み重ねが、睡眠障害の改善・予防につながります。
仕事への影響と対応
パフォーマンス低下のリスク
睡眠障害は、本人の健康だけでなく、業務効率や安全性にも大きな影響を及ぼします。
- 集中力・判断力の低下によるケアレスミスや作業スピードの低下
- 強い日中の眠気による居眠りや作業中断
- 気分の落ち込みや易怒性による職場の人間関係悪化
特に製造業や運輸業など、安全性が重要な業務では、睡眠障害が重大事故につながるリスクもあります。
職場でできる工夫
短時間仮眠制度の導入事例
近年、午後の眠気対策として15〜30分程度の短時間仮眠制度を導入する企業が増えています。
NASAの研究でも、26分間の仮眠により作業効率が34%、注意力が54%向上したと報告されており、睡眠障害を抱える人の業務パフォーマンス改善にも有効です。
スケジュール調整
症状に合わせて、始業時間を遅らせる、集中力が高い時間帯に重要業務を配置するなどのスケジュール調整も効果的です。
シフト勤務者の場合、夜勤や早朝勤務を減らすことで、概日リズム睡眠障害や過眠症の悪化防止にもつながります。
支援制度
障害者雇用枠
症状が重く、通常の勤務形態で働くことが難しい場合は、障害者雇用枠の利用を検討できます。
この枠では、勤務時間や業務内容に配慮がなされ、職場定着支援も受けやすくなります。精神障害者保健福祉手帳や身体障害者手帳が必要になることが多く、医師との相談と申請準備が重要です。
自立支援医療制度
長期的な通院や薬物療法が必要な場合、自立支援医療制度を利用することで、医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。
睡眠障害単独でも対象となるケースがあり、特に睡眠時無呼吸症候群や精神疾患を伴う不眠症では、経済的負担軽減の大きな助けになります。
まとめ
睡眠障害は、放置すると仕事の質の低下・事故リスクの増加・心身の不調へとつながる可能性があります。
しかし、早期に発見し、生活習慣の改善や医療的サポートを受けることで、多くの人が安定した生活と就労を続けられます。
「単なる寝不足」と軽視せず、正しい知識と早めの対応で、健やかな睡眠と働きやすい毎日を取り戻しましょう。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









