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統合失調症と仕事|働き方・職場での配慮・就労支援の活用法

この記事の内容
はじめに:統合失調症でも働ける?

統合失調症は、幻覚や妄想、思考の混乱、意欲低下などの症状が現れる精神疾患です。かつては「長期的に働くことは難しい」と考えられることもありましたが、現在では適切な治療と職場での配慮を受けることで、多くの方が安定して仕事を続けています。
特に近年は、障害者雇用制度や就労支援サービスが充実しており、就労継続やキャリア形成を実現する事例も増えています。
「統合失調症になったら働けないのでは?」という不安を抱えている方も多いでしょう。しかし、症状や体調に合った働き方を選び、無理のない環境で働くことが可能です。
この記事では、統合失調症のある方が仕事で直面しやすい課題や、その解決方法、職場での配慮、就労支援の活用法について詳しく解説します。
仕事で生じやすい困難
統合失調症の症状は人によって異なりますが、働くうえで共通して起こりやすい困難がいくつかあります。これらを理解し、事前に対策を講じることが就労継続の鍵です。
集中力低下・疲れやすさ
統合失調症では、注意力や集中力が持続しにくい傾向があります。これは「認知機能障害」と呼ばれ、病気そのものや服薬の影響によって生じることがあります。
たとえば、事務作業や接客業務で細かいミスが増える、作業スピードが落ちるなどが典型的です。また、精神的な負荷が高まると疲れやすく、体力的にも消耗しやすい状態になります。
改善・対応策
- 作業を小分けにして、こまめに休憩を取る
- タスクの優先順位を明確にし、集中力が高い時間帯に重要な作業を行う
- 机上に必要な物だけを置き、視覚的な刺激を減らす
人間関係のストレス
統合失調症の方は、対人コミュニケーションに苦手意識を持つことがあります。相手の表情や言葉の意図を読み取りにくい、誤解しやすいなどの傾向から、職場の人間関係でストレスを感じやすいのです。
また、症状の影響で「疑われているのではないか」という被害的な考えが浮かぶことがあり、結果的に孤立してしまうケースもあります。
改善・対応策
- 指示や依頼は口頭だけでなく、メモやメールでも残してもらう
- 困ったときに相談できる「信頼できる人」を職場内に作る
- 雑談や社交的な会話を無理に増やすよりも、業務上必要なやり取りを円滑にすることを優先
向いている仕事の特徴

統合失調症のある方が安定して働くためには、症状や体調に合った仕事内容・職場環境を選ぶことが重要です。ここでは、比較的取り組みやすい仕事の傾向を紹介します。
ルーチンワーク中心
統合失調症のある方は、決まった手順や一定の作業を繰り返す業務の方が負担を感じにくい傾向があります。ルーチンワークは作業の予測が立ちやすく、不安や混乱を軽減できます。
具体例
- データ入力や文書整理などの事務作業
┗データ入力(顧客情報や受発注データの入力)
書類整理・ファイリング
郵便物の仕分け・発送準備
会議資料の印刷・配布
- 工場や倉庫での検品・梱包
┗製品の検品(傷や不良品のチェック)
梱包作業(マニュアルに沿った箱詰め)
仕分け(出荷先ごとのラベル貼付・分類)
- 清掃や設備点検などの決まったルート作業
┗オフィスや施設内の清掃(床・机・トイレなど)
ごみの回収・分別
備品補充(トイレットペーパー、石けんなど)
● IT・クリエイティブ(スキルがある場合)
┗画像加工・簡単な動画編集
Webサイトの更新(CMSを使ったテキスト差し替え)
SNSの定期投稿
これらの業務は作業工程が明確で、突発的な変更が少ないため、集中力を保ちやすく、安定就労に向いています。
静かな環境
大きな音や雑音、人の出入りが頻繁な環境は、集中力を妨げたり疲れを増やしたりする原因となります。
そのため、落ち着いた雰囲気で作業に集中できる職場は、統合失調症の方にとって働きやすい条件です。
具体例
- 個別ブースやパーテーションがあるオフィス
- 図書館・資料室での業務
- 在宅勤務(テレワーク)
静かな環境は症状の安定にもつながり、長期的な就労をサポートします。
避けた方がよい仕事の特徴
ストレスが多く臨機応変を求められる業務
急な対応や多様な業務をこなす必要がある仕事は、精神的な負担が大きく、症状の悪化や再発リスクを高める可能性があります。
避けた方がよい例
- クレーム対応の多いコールセンター
- 繁忙期の変動が激しい接客業・販売業
- 緊急対応が求められる現場作業や医療現場
もちろん、本人の得意分野やサポート体制によっては可能な場合もありますが、過度なプレッシャーや変化の多さはリスク要因となります。
職場での配慮の例
職場での適切な配慮は、統合失調症のある方が安心して働き続けるための大きな助けとなります。ここでは代表的な配慮例を紹介します。
勤務時間・業務量の調整
体調や集中力の波に合わせ、勤務時間を短くしたり、残業を避けるといった柔軟な対応が有効です。業務量も一度に抱え込みすぎないよう調整し、無理なくこなせる範囲で設定します。
具体例
- 週4日勤務や時短勤務からスタート
- 繁忙期は業務量を分担して負担を軽減
- 午後のみ勤務や午前のみ勤務などの選択肢
指示は明確に
あいまいな指示や口頭のみの依頼は、誤解やミスの原因になります。
明確で具体的な指示を行い、必要に応じて文章やチェックリストにまとめることで、安心して作業に取り組めます。
工夫例
- メールやチャットで業務内容を文章化
- 作業手順書を活用し、順序を明確化
- 指示を小分けにして段階的に伝える
就労支援制度の活用
統合失調症のある方が安定して働き続けるためには、公的制度や支援サービスを活用することが大きな助けになります。特に、雇用形態や職場環境に関する制度をうまく使うことで、無理なく長期就労を実現できます。
障害者雇用枠
障害者雇用枠とは、障害者雇用促進法に基づき、企業が一定割合以上の障害者を雇用するために設けられた枠組みです。
この制度を利用すると、面接時から必要な配慮を伝えやすく、勤務条件や業務内容について相談しやすくなります。
メリット
- 面接や採用時に症状や配慮事項を共有できる
- 勤務時間や業務量などの柔軟な調整が可能
- 職場定着支援や定期面談などのフォローを受けやすい
就労移行支援・ジョブコーチ
就労移行支援は、一般企業での就職を目指す障害者に対して、就職準備や職業訓練、就職活動のサポートを行うサービスです。利用期間は原則2年間で、職場実習や応募書類の作成、面接練習なども受けられます。
ジョブコーチは、職場に訪問して業務の進め方や人間関係の構築を直接支援する専門員で、就職直後や職場環境に慣れるまでの期間に心強い存在です。
活用のポイント
- 就労移行支援で働くための基礎力・生活リズムを整える
- ジョブコーチを通じて上司・同僚との橋渡し役を担ってもらう
- 定期的な振り返りで働き方の改善点を見つける
職場定着のための自己管理
就労支援制度や職場での配慮があっても、日常の自己管理が不十分だと長期的な就労は難しくなります。特に、体調を安定させるための習慣づくりが重要です。
服薬・休養・通院
- 服薬:医師の指示通りに服薬を継続し、自己判断で中止しない
- 休養:疲れを感じたら早めに休み、過労を避ける
- 通院:症状や生活の変化があれば、定期通院時に医師へ相談する
この3つは統合失調症の安定した日常生活を支える基礎です。特に服薬の継続は再発防止に直結します。
おわりに:無理のない働き方を選ぶ重要性

統合失調症と共に働くためには、自分に合った仕事内容・職場環境を選び、適切な支援を受けることが不可欠です。
「もっと頑張らなければ」と無理を重ねるよりも、長く安定して働ける環境を整えることが、結果的にキャリアの継続につながります。
支援制度や職場での配慮を活用しながら、自分らしい働き方を見つけましょう。小さな一歩でも、その積み重ねが将来の安心と安定を築きます。
最後に、再度お伝えします。
- 医療的な視点:適切な治療で症状が安定していれば十分勤務可能なケースが多い
- 障害者雇用事例:短時間勤務や業務内容の調整で、長期的に就労している例が多数
- 働ける条件の整理:
- 定期的な服薬・通院が行えている
- 睡眠や生活リズムが安定している
- 業務の指示を理解できる(マニュアルやメモを併用)
- 職場の理解と配慮がある(業務量の調整・静かな作業環境など)
統合失調症は、症状の程度や生活リズムによって働き方が変わりますが、適切な治療と職場での配慮があれば、多くの方が安定して勤務を続けています。実際、障害者雇用で5年以上勤務している方や、フルタイムで働く方も珍しくありません。企業側としては、採用前の面談で必要な配慮や働き方の希望を確認することで、定着率の向上が期待できます。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









