2025/08/30
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網膜色素変性症とは?症状・生活の工夫・仕事での配慮と向いている職種を解説【2025年最新版】

はじめに

網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)は、視野が徐々に狭くなり、進行すると失明に至る可能性がある進行性の視覚障害です。日本国内にも数万人の患者さんがいるとされ、希少疾患のひとつに数えられます。

特徴的なのは「見えにくさ」に個人差が大きい点です。ある人は暗い場所で見えづらく、別の人は視野が狭まるなど、症状は千差万別。これが日常生活や就労に直結し、本人や周囲の理解・工夫が不可欠となります。

本記事では、網膜色素変性症の基礎知識から、生活の工夫、仕事で必要な配慮、向いている職種、さらに利用できる支援制度までを【2025年最新版】として整理して解説します。


網膜色素変性症とは?

病気の概要と発症率

網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)は、遺伝的な要因が関係する網膜疾患の総称です。網膜には、光を感じ取る「視細胞」と呼ばれる細胞がありますが、この病気ではそれらが徐々に働かなくなっていきます。結果として、光の感じ方や視野の広さが失われ、進行すると失明に至ることもあります。

発症率は10万人に数十人程度とされ、日本国内でも数万人が患者として診断を受けています。男女差はほとんどなく、発症年齢も10代から中高年まで幅広いのが特徴です。ただし、同じ病名であっても症状の出方や進行スピードは人によって大きく異なります。

一般的な進行パターンは以下のとおりです。

  • 夜盲(やもう):暗い場所や夜間にものが見えにくくなる。映画館や夜道での移動に不安を感じやすい。
  • 視野狭窄(しやきょうさく):視界がトンネルのように狭くなり、周囲の人や物に気づきにくい。歩行中に肩がぶつかる、段差に気づかないなどのリスクがある。
  • 視力低下:細かい文字が読みにくくなったり、遠くの景色がぼやけたりする。眼鏡をかけても改善しないことが多い。

進行はゆっくりで、数年から数十年かけて進むケースが一般的です。しかし、長期的には視覚機能が低下するため、早期の診断と生活環境の工夫、必要に応じた支援制度の活用が欠かせません。

症状の特徴

網膜色素変性症の主な症状には次のようなものがあります。

  • 暗い場所での視覚が極端に落ちる(夜盲)
  • 視野が狭く、周囲が見えにくい
  • 視力の低下
  • 光に過敏になる(まぶしさを強く感じる)

このような症状により、歩行や読書、スマートフォンの操作、通勤など、日常生活の多くの場面で支障が出る可能性があります。

診断と治療

診断は眼科で行う眼底検査・視野検査・遺伝子検査が一般的です。残念ながら現時点で根本治療は確立されていません。

しかし、近年は遺伝子治療iPS細胞を用いた再生医療の研究が進んでおり、治療法の実用化が期待されています。サプリメントや生活習慣の工夫で進行を遅らせる可能性も指摘されています。


日常生活での困りごとと工夫

生活の中で困るシーン

網膜色素変性症の方が直面しやすい日常の課題には、次のようなものがあります。

  • 夜間や暗い場所での移動が困難(夜盲のため)
  • 人混みや段差でぶつかりやすい
  • パソコンやスマートフォンの文字が見づらい
  • まぶしさのため屋外活動が負担になる

生活を助ける工夫

見えにくさを補うためには、次のような工夫やツールが役立ちます。

  • 白杖の活用
    白杖(はくじょう)は、視覚障害のある方が歩行時に使う杖で、段差や障害物を確認する役割があります。また、周囲に「視覚に困難がある」ということを伝えるシンボルにもなり、安心して外出しやすくなります。
  • 音声読み上げソフト
    パソコンやスマートフォンの文字情報を自動で音声に変換してくれるソフトです。ニュース記事やメール、SNSなども耳で確認できるため、目の負担を減らしながら情報を得られます。
  • 拡大読書器・ルーペ
    書類や本を拡大して表示する機器です。デジタル画面に映し出して大きくできるタイプや、持ち運べるルーペ型などがあり、細かい文字も見やすくなります。
  • 照明環境の改善
    部屋や机の明るさを調整することで、安全に歩行したり、作業をしやすくしたりできます。特に、光の向きや色合いを工夫するだけで見え方が大きく変わることがあります。
  • スマホのアクセシビリティ機能
    iPhoneやAndroidには、文字を大きく表示したり、読み上げたりする機能が標準で搭載されています。追加機器がなくても設定で活用できるため、日常生活の強い味方になります。

これらの工夫やツールを取り入れることで、見えにくさによる不安を和らげ、安心して生活を続けやすくなります。


仕事で必要な配慮

職場での困難例

網膜色素変性症の方が仕事をするうえで困りやすいシーンには、次のようなものがあります。

  • 細かい文字や資料を扱う事務作業
  • 暗い倉庫や夜勤など照明が十分でない環境
  • 通勤ラッシュでの混雑移動

配慮してもらえると働きやすいこと

職場で次のような配慮があると、安心して働き続けられます。

  • 画面拡大ソフトや音声読み上げソフトの導入
  • 十分な照明や机の配置の工夫
  • 時差出勤で通勤ラッシュを回避
  • 外回りや出張を減らし、在宅勤務や内勤中心に

こうした配慮は、障害者雇用だけでなく一般社員にとっても働きやすい環境づくりにつながります。

網膜色素変性症の人が活躍できる仕事

向いている職種の例

網膜色素変性症の方でも、工夫と支援を活用すれば多くの職種で活躍できます。特に次のような仕事は、視覚以外の力を活かしやすく適しています。

  • パソコンを使う在宅事務
    読み上げソフトや画面拡大ツールを利用すれば、入力やデータ管理などの事務作業も可能です。通勤の負担がない在宅ワークは特に安心です。
  • コールセンター業務
    顧客対応や問い合わせ対応などは、聴覚やコミュニケーション力が中心となるため、視覚障害があっても働きやすい環境です。
  • ライティング・翻訳・音声入力を活用する仕事
    音声入力ソフトや読み上げ機能を組み合わせれば、文章作成や翻訳なども十分対応可能です。フリーランスとして活躍している方も増えています。
  • 一部の製造・軽作業
    繰り返しの作業や視覚に依存しすぎない業務であれば、工夫次第で従事できます。安全管理のサポートを受けながら働くケースもあります。

避けたほうがよい職種の例

一方で、視覚に強く依存する仕事は困難を伴います。

  • 夜勤や暗い環境での業務(夜盲の症状により危険)
  • 車の運転を必要とする業務(安全面から不可)
  • 細かい検品や設計業務など、長時間視覚を酷使する仕事

これらは本人の安全や周囲へのリスクから避けるべき職種といえます。

実際の事例紹介(イメージ)

  • 在宅ライターとして記事作成に携わり、音声入力や読み上げソフトを活用して成果を上げている例
  • 企業のテレワーク事務職として採用され、データ入力や書類整理を在宅で継続している例
  • 視覚障害者雇用枠で入社し、PC+音声ソフトを使って事務補助を行う例

実際には、ICT機器や職場の理解を組み合わせることで多様な仕事に取り組むことが可能です。


利用できる制度と支援

障害者手帳と等級

網膜色素変性症は、視覚障害として身体障害者手帳の交付対象になる場合があります。
手帳の等級に応じて、次のような支援を受けられます。

  • 就労支援サービスの利用
  • 税制優遇や交通機関の割引
  • 公的制度を通じた生活支援

等級は視力や視野の程度に基づき判定されるため、症状に応じて早めに相談することが大切です。

就労支援サービス

  • ハローワークの障害者専門窓口
    障害者雇用に理解のある求人を紹介してもらえるほか、応募書類や面接のサポートも受けられます。
  • 就労移行支援事業所
    パソコンスキルやビジネスマナーを訓練できる施設。音声ソフトや拡大機器を使った実践的な練習も可能です。

 ● ジョブコーチによる職場定着支援

   職場に専門スタッフ(ジョブコーチ)が入り、本人と企業の両方をサポートしてくれる制度です。ジョブコーチは、業務のやり方や環境の整備を一緒に考え、職場にスムーズに馴染めるように調整してくれます。

この仕組みは本人だけでなく、企業側にとっても大きなメリットがあります。

   「どう接したらいいか分からない」という不安を軽減できる

・障害特性に合った働き方を学べるため、業務が停滞しにくい

・定着率が高まり、採用コストや教育コストの削減につながる

・障害者雇用に前向きな企業姿勢として社会的評価も高まる

つまり、ジョブコーチの活用は「短期的な支援」ではなく、企業全体の組織力を高める投資ともいえます。

新しく障害者を採用する企業や、すでに雇用しているが対応に悩んでいる企業は、積極的に活用することをおすすめします。


まとめ

網膜色素変性症は進行性の視覚障害であり、今のところ根本的な治療法はありません。しかし、生活の工夫・職場での配慮・公的な支援制度を組み合わせることで、多くの方が自分らしく働き続けています。

大切なのは、病気の特性を正しく理解し、無理をせず「できる工夫」を一つひとつ積み重ねていくことです。また、企業にとっても配慮は「特別扱い」ではなく、働きやすい環境を整えるための改善策であり、結果的に全社員の働きやすさや定着率の向上につながります。

支援制度を活用すれば、就職・転職時の不安を減らし、安心して新しい一歩を踏み出すことができます。たとえばジョブコーチ制度は、本人と企業の双方に寄り添いながら職場定着を支える仕組みであり、積極的に利用すべき支援の一つです。

読者へのメッセージ:
「病気があっても、自分に合った働き方と理解ある職場は必ず見つかります。大切なのは、無理をせず、自分のペースで前に進むこと。あなたの強みを活かせる場所で、安心して長く働き続けてください。」

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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