2025/08/31
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緑内障と仕事の両立|視野障害があっても働ける職場環境と配慮

はじめに

緑内障は、日本で失明原因の第1位とされる病気です。しかし「緑内障=すぐに失明」ではありません。実際には、早期発見と適切な治療を続けることで進行を抑え、生活や仕事を長く維持できる方も多くいます。

視野障害を抱えながらも、オフィスワークや製造業、接客業など、さまざまな職場で活躍している方がたくさんいます。一方で、通勤の不安や職場環境での不便さなど、外からは見えにくい課題に直面しているのも事実です。

企業側にとっても、緑内障を正しく理解し、職場環境の工夫や配慮を行うことは、従業員が安心して働き続けるための大きな力になります。配慮は決して特別なことではなく、誰もが働きやすい環境を整えることにもつながります。

本記事では、緑内障と仕事の両立方法に焦点を当て、視野障害による影響や職場で直面しやすい困りごと、そして企業や周囲ができる配慮について解説します。緑内障を抱えながら働く本人はもちろん、人事担当者や同僚にとっても役立つ情報をまとめました。


緑内障と視野障害の基礎知識

緑内障とは?

緑内障は、視神経に障害が起きることで視野(見える範囲)が欠けていく病気です。進行はゆっくりですが、一度失った視野は回復しないのが特徴です。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないまま進行してしまうことも多いため、「40歳を過ぎたら定期的な眼科検診」が強く推奨されています。

どんな症状が仕事に影響するのか?

緑内障による視野障害は、日常生活や仕事にさまざまな影響を及ぼします。特に以下の点が課題となりやすいです。

  • 周辺視野の欠損
     横や足元のものに気づきにくくなります。そのため、通路に置かれた物にぶつかってしまったり、急に横から人が現れると驚いてしまうことがあります。
     ➡ 職場では「導線を確保する」「急に声をかけない」などの配慮が重要です。
  • 暗い場所での見えにくさ
     照明が暗いと視界がさらに狭く感じられ、移動時の不安が増します。照明環境の改善は必須です。
  • 疲れやすさ・集中力の低下
     限られた視野を補うため、健常者以上に目を酷使しやすく、作業に集中できる時間が短くなる傾向があります。

仕事で直面しやすい困りごと

通勤の不安(人混み・階段・駅での乗り換え)

通勤ラッシュ時の人混みや駅の階段、複雑な乗り換えは、視野障害がある人にとって大きなストレスになります。人や障害物にぶつかるリスクがあるため、始業・終業時間をずらす「時差通勤」の制度があると安心です。

オフィスワークでの課題(書類やPC画面の見づらさ)

緑内障が進むと、小さな文字や画面の一部が見えにくくなることがあります。書類のレイアウト変更や拡大ソフトの利用、ディスプレイの明るさ調整などで改善可能です。

製造・接客業での安全面(周囲への気づきの遅れ)

工場での機械作業や接客業では、周囲への注意が遅れることで安全リスクや接客対応に影響が出やすいです。職場の動線を整理する、安全表示を分かりやすくするなどの工夫が求められます。

車の運転業務(免許更新・視野検査の影響)

業務で運転が必要な職種では、視野検査で基準を満たせず運転免許が更新できないケースもあります。運転以外の業務へ配置転換を検討することが、本人のキャリア継続につながります。

両立のために工夫できること

日常生活での工夫

緑内障のある方が仕事を続けるためには、日常生活の中で小さな工夫を積み重ねることが大切です。

  • 視覚補助具の活用
     メガネや拡大読書器、拡大鏡を使えば、書類や画面の読み取りがスムーズになります。特に細かい文字を扱う職場では大きな助けになります。
  • こまめな休憩
     長時間の作業は目の疲労を増幅させます。休憩を挟みながら作業を進めることで、集中力を保ちやすくなります。

こうした取り組みは、緑内障に限らず多くの従業員のパフォーマンス向上につながるため、職場全体の健康管理の観点からも有効です。

ICTツールの活用

テクノロジーの進化により、視覚障害があっても情報アクセスが容易になっています。

  • 画面拡大ソフト・音声読み上げソフト
     小さな文字が見づらい場合でも、ソフトを導入することで読み取りが可能になります。
  • 高コントラスト設定やフォント調整
     黒背景に白文字といったコントラスト調整や、大きめで読みやすいフォントを使うだけでも、作業効率が大きく改善します。

医療面での継続治療

最も基本的かつ重要なのが、点眼治療と定期検診を継続することです。症状の進行を最小限に抑えることで、仕事と生活の両立が可能になります。医師の指導を守り、治療を怠らないことが長期的な就労に直結します。


働きやすい職場環境の条件

バリアフリーなオフィス・安全な動線

視野障害があると、足元や横方向の障害物に気づきにくく、ぶつかってしまう危険があります。通路に物を置かない・急に横から人が出てこないようにするなど、「安全な導線の確保」が不可欠です。

明るさや照明への配慮(眩しさ・ブルーライト対策)

暗すぎる環境はもちろん、逆に眩しすぎる照明も視覚の負担になります。適切な明るさの照明や遮光フィルターの活用で、目の負担を軽減できます。

さらに、PCやスマートフォンから発せられるブルーライトも注意が必要です。ブルーライトは目の奥に届きやすく、視覚疲労や眠りの質の低下につながることがあります。

  • ブルーライトカット眼鏡の利用
  • ディスプレイのブルーライト軽減モードの活用
  • 作業時間を区切り、休憩を入れる

こうした取り組みは緑内障のある方だけでなく、すべての従業員にとって快適な作業環境づくりに役立ちます。

業務内容の調整(役割分担)

周辺視野に制限がある場合は、危険を伴う作業や広範囲に注意が必要な業務を避け、視野を補える配置や役割分担をすることで安全に働けます。

在宅勤務・リモートワークの選択肢

通勤の負担を減らすために、在宅勤務の選択肢を用意するのも効果的です。オンライン環境であればICTツールも活用しやすく、本人のパフォーマンスを発揮しやすい環境づくりが可能です。


企業に求められる配慮(事例つき)

合理的配慮の基本

日本では「障害者雇用促進法」に基づき、企業は合理的配慮を行うことが義務づけられています。これは、特別扱いではなく「誰もが等しく働けるようにするための工夫」です。

具体的な配慮事例

実際に職場で取り入れられる工夫は数多くあります。

  • 書類や資料を大きな文字で印刷する
  • PC画面に拡大ソフトを導入する
  • 移動経路に障害物を置かない
  • 危険のある作業を分担し、安全性を高める

こうした配慮は低コストで実現できるものも多く、すぐに実行可能です。

周囲の理解を深める研修の必要性

配慮を制度化するだけでは十分ではありません。同僚や上司が障害特性を理解しているかどうかが、働きやすさを大きく左右します。

そのため企業は、緑内障に限らず 障害全般を対象とした研修や情報共有 を行うことが大切です。例えば、

  • 「視野障害があると、横から急に人が来ると驚きやすい」
  • 「聴覚障害の方には、正面から口元が見えるように話す」
  • 「精神障害や発達障害の方には、業務を小分けに伝えると理解しやすい」

こうした事例を学ぶことで、職場全体に「なぜ配慮が必要なのか」が浸透し、自然にサポートし合える雰囲気が生まれます。

緑内障と向き合いながら働ける職種の例

向いている職種

緑内障があっても、工夫や環境の配慮があれば安心して取り組める仕事はたくさんあります。

  • 事務補助・データ入力
     フォントサイズを大きくする、画面拡大ソフトを導入するなどで対応可能です。
  • コールセンター業務
     通話内容を音声で自動入力するシステムを活用すれば、文字を細かく確認する負担が軽減されます。音声と画面の両方でやり取りができる環境は特に有効です。
  • 在宅ワーク系の仕事
     テレワークなら通勤負担がなく、自分のペースで働けるのが魅力です。ライティング、データ整理、カスタマーサポートなど幅広い分野があります。

工夫次第で続けられる職種

教育や相談業務、軽作業なども、環境調整があれば継続可能です。例えば、明るさの確保や安全な動線を整えれば、教室や相談室での活動も安心して行えます。

避けた方がよい職種

一方で、車の運転が必須となる仕事や、危険を伴う現場作業はリスクが高く、視野障害がある場合は避けた方が望ましいでしょう。無理に選ぶより、自分の特性に合った職種を探すことが重要です。


支援制度の活用

身体障害者手帳(視覚障害で等級対象)

緑内障による視野障害が一定基準を満たす場合、身体障害者手帳の交付対象になります。等級に応じて、福祉サービスや税制優遇を受けられる点は大きなメリットです。

障害者雇用枠での就職支援

手帳を取得すれば、障害者雇用枠での応募が可能になります。企業の理解や配慮を前提とした採用となるため、安心して長期的に働ける環境が整いやすいです。

就労移行支援・ジョブコーチ制度

  • 就労移行支援では、PCスキルやコミュニケーションスキルを訓練しながら、就職活動を支援してもらえます。
  • ジョブコーチ制度では、専門スタッフが一定期間職場に入り、本人と企業の双方をサポート。初めての採用でも安心して働き始められます。

補助具・ソフト導入への助成制度

拡大読書器や音声ソフトなどの補助具は、自治体や助成金制度を活用して導入費用を軽減できる場合があります。負担を減らしながら環境を整えることが可能です。


就職・転職活動での伝え方

面接で伝えるべきこと

「どの部分が見えにくいのか」と同時に「それをどのように補っているのか」を具体的に伝えることが大切です。例えば「画面拡大ソフトを利用して作業を効率化している」と説明すると、企業も安心できます。

企業への伝え方の工夫

「できません」と伝えるより、「こうすればできます」と前向きに表現しましょう。

  • ×「小さい文字は見えません」
  • ○「文字を大きく表示すれば問題なく作業できます」

この伝え方が、採用担当者に「工夫すれば十分働ける」という安心感を与えます。

転職エージェントを活用したマッチング

障害者雇用に特化した転職エージェントを活用すれば、自分の状況を理解した上で求人を紹介してもらえます。面接調整や条件交渉のサポートもあり、マッチング精度が高まります。


まとめ

緑内障があっても、多くの人が職場で活躍し続けています
大切なのは次の3点です。

  1. 治療を継続すること(点眼や定期検診を怠らず、進行を抑える)
  2. 職場での配慮を得ること(合理的配慮・安全な環境づくり)
  3. 自分自身の工夫(ICTツールや補助具の活用、働き方の工夫)

視野障害があるからといって「働けない」と決めつける必要はありません。
少しの配慮と工夫で、安心して働ける環境は必ず整えられます。

さらに、緑内障への理解や取り組みは、すべての従業員にとって働きやすい職場づくりにも直結します。導線の確保や照明環境の改善、ICTツールの導入は、障害の有無に関わらず社員全員の安全性や生産性を高めます。つまり「障害者雇用の配慮」は、企業の成長にもつながる投資なのです。

読者の皆さんへメッセージ:
無理をせず、自分に合った働き方を見つけてください。 緑内障と向き合いながらも、社会の一員としてキャリアを積み、仲間と共に働き続けることは十分可能です。自分に合った環境を整え、安心して一歩を踏み出しましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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