- 健康と生活の両立
線維筋痛症とは?原因・症状・診断・治療法をわかりやすく解説【2025年最新版】

この記事の内容
はじめに
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、「原因不明の全身の痛み」を特徴とする慢性疾患です。日本国内でも数十万人規模の患者がいると推定されていますが、その実態はまだ十分に知られていません。
大きな特徴は、見た目や一般的な検査からは異常が見つからないにもかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みや疲労感が長期間続くことです。そのため、周囲から「怠けているのでは?」「気のせいでは?」と誤解されやすく、社会的な理解が不足している病気でもあります。
「なぜ原因不明なのか?」「どんな症状が出るのか?」「治療法はあるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、線維筋痛症の原因・症状・診断・治療法、そして生活や仕事との両立方法までを、できるだけわかりやすく解説します。正しい知識を持つことで、患者本人も家族も、不安や孤独感を減らすことができます。
線維筋痛症とは?

線維筋痛症の定義
線維筋痛症は、全身に慢性的な痛みが広がる疾患で、関節や筋肉、皮膚にまで痛みが出ることがあります。世界保健機関(WHO)や米国リウマチ学会でも疾患として定義されており、国際的にも認知されています。
特徴は「器質的異常が見つからないのに強い痛みが続く」という点です。レントゲンや血液検査では異常が確認できないことが多いため、診断や周囲の理解が難しい病気とされています。
患者数と発症年齢
国内の患者数は数十万人から200万人と幅広く報告されています。これは診断が難しいことや未診断の患者が多いためで、実際の患者数はさらに多い可能性も指摘されています。
発症年齢は30〜60代が中心で、特に女性に多くみられます。ホルモンの影響や生活習慣の変化が関与していると考えられています。
線維筋痛症が「見えにくい障害」と言われる理由
線維筋痛症は「見えない障害」と呼ばれることがあります。血液検査や画像検査で異常が出ないため、医師や周囲の人から「病気ではないのでは?」と疑われてしまうこともあります。
このため、患者は「痛みを訴えても信じてもらえない」という二重の苦しみを抱えることがあり、社会生活に大きな影響を与えます。
線維筋痛症の原因
明確な原因は解明されていない
線維筋痛症の明確な原因は、現時点では解明されていません。ただし、さまざまな研究により「痛みを感じる仕組みの異常」が関与していることが分かってきています。
考えられている要因
- 神経伝達物質の異常:脳や脊髄で痛みを伝える物質に異常が生じ、通常より痛みを強く感じやすくなる
- 自律神経やホルモンバランスの乱れ:体の調整機能がうまく働かず、慢性的な不調を招く
- ストレスや外傷・手術・感染症:強いストレスや体の負担をきっかけに発症する例も報告されている
リスク要因
発症リスクを高める要因としては以下が挙げられます。
- 女性ホルモンの影響:女性に多く発症することから、ホルモンの関与が考えられている
- 睡眠障害との関連性:慢性的な不眠や熟睡感の欠如がリスクを高める
- 遺伝的な素因:家族内での発症がみられることもあり、遺伝的要因の関与も示唆されている
線維筋痛症の主な症状

全身の慢性的な痛み
線維筋痛症の中心的な症状は「広範囲にわたる痛み」です。肩・首・背中・腰・手足など、体のあらゆる部分に痛みが出るのが特徴です。
さらに、天候の変化やストレスによって痛みが悪化するケースも多く、生活の質に大きく影響します。
倦怠感・疲労感
十分に休養をとっても疲労が取れない「慢性的な疲れ」も多くの患者が抱えています。朝起きても体が重く、仕事や家事に大きな支障をきたすことがあります。
睡眠障害
入眠困難、中途覚醒、熟睡感が得られないなどの睡眠障害が高い頻度で見られます。結果として疲労感がさらに悪化し、悪循環に陥ります。
その他の随伴症状
線維筋痛症は痛みだけでなく、以下のような多彩な症状を伴うことがあります。
- 頭痛
- 過敏性腸症候群(腹痛や下痢・便秘)
- うつ症状や不安障害
- 集中力の低下(いわゆる「ブレインフォグ」)
診断の流れと基準
診断が難しい理由
線維筋痛症の診断は容易ではありません。血液検査や画像検査で明確な異常が出にくいため、他の病気と区別するのが難しいのです。その結果、診断がつくまでに時間がかかったり、複数の医療機関を受診するケースも珍しくありません。
診断の基準(米国リウマチ学会 ACRの基準)
国際的には、米国リウマチ学会(ACR)による診断基準が用いられます。主な内容は以下の通りです。
- 体の複数の部位に3か月以上持続する痛みがある
- 症状のスコアを算出(痛みの広がり・疲労・睡眠障害などを評価)
このスコアと臨床所見を総合的に判断することで、線維筋痛症の診断が行われます。
除外診断の重要性
線維筋痛症と似た症状を示す病気として、関節リウマチや膠原病、甲状腺疾患などがあります。そのため、除外診断が非常に重要です。まずは他の疾患を除外し、そのうえで基準に当てはまる場合に診断されます。
線維筋痛症の治療法
薬物療法
線維筋痛症の治療に用いられる薬には次のようなものがあります。
- 抗うつ薬:痛みや気分の落ち込みを改善する
- 抗てんかん薬:神経の興奮を抑えて痛みを和らげる
- 鎮痛薬:痛みのコントロールに使用される
日本では「プレガバリン」などが承認されており、実際の治療現場でも広く使用されています。
非薬物療法
薬だけでなく、非薬物療法も有効です。
- 運動療法:軽いストレッチやウォーキングは筋肉の硬直を緩和し、症状改善に役立つ
- 認知行動療法:痛みの捉え方やストレス対処法を見直すことで生活の質を高める
- 鍼灸・マッサージ:補完療法として利用する人も多く、痛みの緩和に一定の効果が期待されます
生活習慣の改善
日常生活の工夫も重要です。
- 睡眠リズムを整える
- 規則正しい食事と軽い運動を心がける
- ストレスをためない生活習慣を持つ
こうした小さな積み重ねが、治療効果を高めることにつながります。
線維筋痛症と日常生活・仕事への影響

仕事で起きやすい困難
線維筋痛症の患者は、次のような困難に直面することがあります。
- 長時間のデスクワークや肉体労働が難しい
- 症状の波によって欠勤や遅刻が増える可能性がある
このため、無理を続けると症状が悪化しやすい点に注意が必要です。
職場で必要な配慮
働き続けるためには、職場の理解と配慮が欠かせません。
- フレックスタイムや時短勤務制度
- 在宅勤務の導入
- 定期的な休憩時間の確保
こうした仕組みがあれば、安心して働き続けやすくなります。
実際に就労している人の例
実際には、在宅ワークや事務補助、軽作業といった職種で活躍している人も多くいます。自分の症状に合った働き方を選ぶことで、就労と生活の両立が可能になります。
線維筋痛症と支援制度
障害者手帳の取得可能性
症状が重い場合は、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳が交付されることがあります。これにより、医療費助成や就労支援、税制上の優遇を受けられる可能性があります。
医療費助成制度
医療費の負担を軽減する制度として、自立支援医療制度があります。また、線維筋痛症が「指定難病」の助成対象になるかどうかは地域や時期によって異なるため、必ず最新情報を確認することが大切です。
就労支援サービス
就労移行支援事業所、ジョブコーチ制度、在宅ワーク支援など、働きたい人をサポートする制度も整っています。これらを活用すれば、自分に合った職場や働き方を見つけやすくなります。
まとめ
線維筋痛症は、「見えにくい障害」であるがゆえに、誤解や孤立を招きやすい病気です。痛みや疲労、睡眠障害といった多彩な症状は、生活の質を大きく下げる一方で、検査結果に現れにくく理解されにくいという二重の困難を伴います。
しかし、ここまで見てきたように、原因や症状を正しく理解し、適切な診断と治療を受けることで、生活の安定や社会参加は十分に可能です。 薬物療法だけでなく、運動や認知行動療法、生活習慣の改善などを組み合わせることで、症状をコントロールしながら暮らしている人も数多くいます。
また、就労支援サービスや障害者手帳、医療費助成制度など、患者を支える仕組みも整いつつあります。こうした制度や職場での合理的配慮を活用すれば、「働く」「暮らす」を両立できる道は必ず見つかります。大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。医療機関や支援機関、家族や職場と協力しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。線維筋痛症と向き合うことは決して簡単ではありませんが、正しい知識と支援を味方につければ、自分らしい生活を築いていくことができます。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









