2025/08/13
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脅迫障害のある人に向いている仕事・避けたい仕事・働き続けるための工夫

はじめに

脅迫障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)は、「頭では分かっていてもやめられない確認や行動」「繰り返し浮かぶ不安な考え」などが特徴の精神疾患です。
症状は人によって異なりますが、日常生活や仕事の場面で支障を感じることがあります。
一方で、適切な治療や職場環境の工夫を行えば、安定して働き続けている方も少なくありません。

本記事では、脅迫障害のある方が働きやすい職場環境や向いている仕事の特徴、避けたい職種、長期就労のための工夫について詳しく解説します。企業の人事担当者や同僚の方にも役立つ内容となっています。


仕事で起こりやすい困りごと

確認行為で作業時間が延びる

脅迫障害の代表的な症状のひとつが「確認行為」です。
例えば、

  • メール送信前に何度も文章や宛先を見直す
  • ドアの施錠や機器の電源オフを何度も確認する
  • 書類の記入内容を繰り返し見返す

こうした行為は一時的に安心感を与えますが、仕事の進行が遅くなり、納期やスケジュールに影響を与えることがあります。特に時間制約の厳しい業務や即時対応が求められる仕事では、ストレスが大きくなりがちです。

不安やこだわりによる集中力低下

脅迫観念が強くなると、目の前の作業に集中できないことがあります。
「このままだとミスをしてしまうかも」「衛生面が気になる」などの考えが頭から離れず、本来の業務効率が下がります。
特に細かい作業や複数タスクの同時進行が必要な場面では、負担が増す傾向にあります。

周囲とのコミュニケーション摩擦

OCDの症状は外から見えにくく、同僚や上司から「なぜそんなに時間がかかるのか」と誤解されることもあります。
また、こだわりの強さや確認の多さが「神経質」「融通がきかない」と受け取られ、関係性に影響するケースもあります。
これは本人の努力不足ではなく、症状による特性であるため、理解と配慮が重要です。


向いている職場環境

落ち着いた環境

脅迫障害のある方は、騒音・人の出入りが多い場所や急な業務変更が頻発する環境よりも、落ち着いて作業できる空間で能力を発揮しやすい傾向があります。
静かなオフィスや個別ブース、図書館のように人の出入りが限定的な場所では、不安やストレスが軽減され、集中力が高まりやすくなります。

業務内容が明確

業務の手順やルールが明確で、曖昧さが少ない職場は安心感につながります。
マニュアル化されている業務や、毎日ほぼ同じ作業フローで進められる仕事は、確認行為を減らす効果も期待できます。
例としては、事務職、製造ライン、品質検査などが挙げられます。

反復作業が多い職場

繰り返しの作業は脅迫障害のある方にとって予測可能で安心できる業務形態です。
以下は向いている仕事の例です。

  • データ入力:ルールが明確で、ミスを防ぐための確認手順も決まっている
  • 軽作業:シール貼り、梱包、仕分けなど、同じ手順の繰り返し
  • 図書整理:分類・配架作業など、静かな環境での反復業務

こうした仕事は集中しやすく、達成感を得やすい特徴があります。

避けたほうがよい職種

突発対応が多い仕事

脅迫障害のある方は、予定外の変化や急な対応が続く環境で不安が高まりやすくなります。
例えば、コールセンターや救急対応の現場では、次に何が起こるかわからず、手順や確認のペースを保てないことが多くなります。
予測不可能な業務は、確認行為の頻度を増やし、結果として業務効率やメンタル面に負担をかけやすくなります。

時間制限の厳しい業務

納期や締切が非常にタイトな業務、または数分単位で成果を求められる作業は、脅迫障害の特性と相性がよくありません。
確認行為やこだわりが出やすい特性上、**「急いでやらなければ」**というプレッシャーは強いストレスとなり、パフォーマンス低下を招きます。
例としては、緊急報道現場、飲食店のピークタイム調理、輸送業の時間厳守配送などが挙げられます。

高ストレスな接客業

接客業の中でも、クレーム対応や長時間立ちっぱなしなど心身の負担が大きい業務は避けた方が無難です。
また、多くの人と関わる中で自分の作業ペースを保つことが難しく、「他人の評価」に過剰に意識が向きやすい傾向もあります。
もちろん全ての接客業が不向きとは限りませんが、ストレス耐性と環境次第で慎重に検討することが大切です。


働き続けるための工夫

業務手順書やチェックリストの活用

作業の流れを文章や図で明確化しておくことで、確認行為の回数を減らしやすくなります。

  • 日々使うチェックリストを作成し、「終わったらチェック」する習慣をつける
  • 作業手順を写真付きでまとめ、迷ったときに見返せるようにする

こうした「見える化」は、自分だけでなく職場の他の人にも理解を促す効果があります。

作業を分割して進める

一度に多くの作業を抱えると、不安やこだわりが強くなりやすいため、小さな単位に区切って進める方法が有効です。
例えば、1時間ごとに区切って進捗を確認する、タスクを「準備→実行→確認」の3段階に分けて進めるなど、心の負担を軽減できます。

症状が強い時の対処法

短時間休憩の取り方

不安やこだわりが強くなったら、数分間の休憩を挟みリセットするのが効果的です。席を立って軽くストレッチをする、窓際で深呼吸するなど、環境を変えるだけでも緊張が和らぎます。

呼吸法やマインドフルネス

呼吸法(4秒吸って、7秒止めて、8秒吐く)や、感覚に集中するマインドフルネスは、脳の過活動を鎮め、不安を軽減する手助けになります。
スマホアプリや動画ガイドを活用するのもおすすめです。


支援制度とサービス

障害者雇用枠

障害者雇用枠で働く場合、合理的配慮を受けながら勤務できる可能性が高まります。
脅迫障害は精神障害者保健福祉手帳の対象となることがあり、取得すると雇用枠の活用や税制優遇、通院配慮などのメリットがあります。

ジョブコーチ制度

ジョブコーチ(職場適応援助者)が職場に訪問し、業務習得や人間関係の調整を支援してくれる制度です。
特に新しい職場に慣れる時期や、業務の効率化を図りたい時に効果的です。

職業リハビリテーション

ハローワークや地域障害者職業センターなどで行われる職業リハビリテーションでは、就労訓練や職業評価を通じて、自分に合った仕事や働き方を見つけるサポートを受けられます。


まとめ

脅迫障害があっても、適職選びと職場環境の調整によって長期的な安定就労は十分可能です。

  • 静かで予測可能な環境
  • 明確な業務手順
  • 繰り返しの多い仕事

これらを意識することで、不安や確認行為の影響を最小限に抑えられます。
また、支援制度やセルフケアを上手に組み合わせ、自分に合った働き方を築くことが、安心して働き続けるための鍵となります。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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