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解離性障害を悪化させないための日常生活の工夫・セルフケア・支援活用法

この記事の内容
はじめに
解離性障害は、記憶や意識、感覚が一時的に分断されることで、日常生活や仕事に支障をきたす精神疾患です。
治療の中心は医師による診断と心理療法ですが、日々の生活習慣やセルフケアを工夫することも症状の安定に大きく影響します。
「通院や治療に任せるだけでなく、自分でできることを積み重ねる」ことが、再発予防や生活の質向上につながります。
本記事では、解離性障害を悪化させないために役立つ日常生活の工夫、発作時の対処法、セルフケアの具体例を紹介します。
日常生活でできる工夫

生活リズムの安定
解離性障害は、睡眠不足や生活リズムの乱れによって悪化しやすい傾向があります。
- 就寝・起床時間を一定に保つ
- 食事の時間をできるだけ規則的にする
- 軽い運動を取り入れる(散歩やストレッチ)
例:毎朝7時に起床し、同じ時間に朝食をとる習慣を持つと、身体のリズムが整いやすくなり、症状の安定につながります。
予定・タスク管理
日常生活で「何をするか忘れてしまう」「タスクが途中で抜けてしまう」といった困りごとはよくあります。
メモ・アラーム活用
- スマホのカレンダーに予定を登録し、アラームで通知
- 手帳や付箋にタスクを書き、終わったらチェックを入れる
- 家の中のよく見える場所に「今日の予定」を貼り出す
例:仕事の納期を忘れないために、締切日の3日前と前日にスマホ通知を設定しておくと安心です。
安全な生活環境づくり
解離発作や離人感が出たときに事故を防ぐための工夫も大切です。
- ガスコンロは自動消火機能付きにする
- 外出時はICカード・スマホを必ず携帯し、迷子になっても帰宅できるようにする
- 信頼できる人と「緊急連絡ルール」を作っておく
例:料理中に突然ぼんやりしてしまう場合、IHクッキングヒーターに変えることで火事リスクを減らせます。
発作時の対処法(職場での対応も含む)

グラウンディング
グラウンディングは「今ここ」に意識を取り戻すための方法です。特に離人感や現実感の喪失を感じたときに効果的です。
五感を使った現実感の回復法
- 見えるものを5つ数える
- 触れるものを4つ確認する
- 聞こえる音を3つ意識する
- 匂いを2つ探す
- 味わえるものを1つ感じる
例:オフィスで現実感が薄れたとき、「窓から見える景色」「机の質感」「PCのファンの音」「飲み物の香り」を順に意識するだけでも症状が軽減することがあります。
職場での工夫
同僚がサポートする場合は、「一緒に声をかけて五感に注意を向ける」ことが効果的です。例えば「いま何が見えますか?」「机の上に触れてみましょう」といった具体的な誘導をすると、本人が安心して現実感を取り戻しやすくなります。
深呼吸・身体の感覚を意識する
発作時には過呼吸や強い緊張が伴うことが多いため、呼吸を整えることで落ち着きを取り戻しやすくなります。
- 腹式呼吸(4秒で吸って、6秒で吐く)
- 足の裏を床にしっかりつけて「地面に支えられている感覚」を意識する
例:突然のめまい感が出たとき、深呼吸を数回繰り返すと、意識がはっきりして気分が安定しやすいです。
職場での工夫
同僚は「一緒に呼吸のリズムを取る」ことでサポートできます。本人に「大丈夫、ゆっくり息を吸って、吐いて」と声をかけると、安心感が増し呼吸も整いやすくなります。
安心できる人に連絡する
一人で発作に対処するのは不安が大きいため、信頼できる人と「発作時に連絡してもよい」という約束をしておくと安心です。
- 家族や友人に「短い電話やメッセージでいいから話す」習慣を作る
- 職場では上司や同僚に「体調が悪化したら早退する可能性がある」と事前に伝えておく
例:強い離人感に襲われたとき、あらかじめ決めていた友人にLINEで連絡すると、短いやり取りだけでも落ち着きを取り戻せることがあります。
職場での工夫
- あらかじめ「体調が悪化したときの対応フロー」を職場で共有しておく(例:席を離れる → 上司に伝える → 必要なら帰宅・病院へ)
- 同僚は「体調が悪そう」と気づいたら、静かな場所へ誘導するだけでも有効
- 無理に問い詰めたりせず、「休んでも大丈夫です」と短い言葉で安心を与える
企業・同僚が知っておくべきポイント

- 発作時は「声かけ」「安全確保」「休息場所への誘導」が基本
声かけは短く、安心を与える言葉が効果的です。例:「大丈夫ですよ」「少し休みましょう」。
無理に励ましたり、責める言葉は逆効果になるため避けましょう。 - 判断力が低下している場合があるため、複雑な指示は避け、シンプルに伝える
例:「こちらの椅子に座りましょう」「一緒に深呼吸しましょう」。
職場で複数人が同時に指示を出すと混乱するため、サポート役は一人に絞るのが望ましいです。 - 発作後に「何があったか」を追及する必要はなく、落ち着いた後に本人が必要に応じて共有すれば十分
無理に詳細を聞き出すと本人が萎縮してしまい、再発リスクを高める可能性があります。
代わりに「体調が落ち着いたら、必要なことを教えてください」と伝えると、本人が安心して業務復帰しやすくなります。
さらに企業側としては、「発作時の対応フロー」を簡易マニュアルにまとめ、上司や同僚が共有しておくと効果的です。例:
- 発作に気づいたら声かけ
- 安全な場所へ誘導
- 本人が落ち着くまで待機
- 必要なら家族や医療機関へ連絡
ストレス管理
トリガーの把握と回避
解離性障害の症状は、特定の「トリガー(引き金)」によって強まることがあります。
- 例:過去のトラウマを想起させる場所や人物
- 例:強いプレッシャーを感じる場面(会議や試験)
- 例:極端な疲労や睡眠不足
自分にとってのトリガーを知り、避ける工夫をすることが大切です
- 苦手な場面では信頼できる人に同席してもらう
例:大人数の会議では同僚に隣に座ってもらうことで安心感が増す。 - あらかじめ予定を減らし、余裕を持つ
例:重要なプレゼンがある日は、それ以外の仕事を前日に済ませておく。 - トリガーを完全に避けられない場合は「グラウンディング」や「深呼吸」で乗り切る準備をする
例:会議開始前に机の下で深呼吸をする、安心できる物(ハンカチやアロマオイル)を持ち歩く。
企業側としては、本人が「どの場面で症状が強く出やすいか」を共有してくれている場合、その時間帯にサポートを厚くする、発言を求めすぎない、休憩を挟むなどの工夫を取り入れると効果的です。
趣味やリラクゼーション
趣味やリラクゼーションの時間を持つことは、ストレスを軽減し、心の安定を保つために役立ちます。
- 音楽を聴く、絵を描く、読書をする
- 温かいお風呂に浸かる、アロマを焚く
- 自然の中で散歩をする
例:夜に軽い音楽を聴きながら日記を書くことで、気持ちが整理されて入眠しやすくなる、といった効果が期待できます。
運動・睡眠・食事のバランス
心と体は密接につながっているため、生活習慣のバランスを整えることも再発予防に欠かせません。
- 運動:週に数回の軽いジョギングやヨガでストレス解消
- 睡眠:就寝・起床時間をできるだけ一定に保つ
- 食事:栄養バランスを意識し、糖分やカフェインの摂りすぎに注意
例:朝の10分ウォーキングを習慣にするだけで、気分の落ち込みが軽くなるケースもあります。
医療・支援の活用
心理療法
解離性障害の治療においては、心理療法が重要な役割を果たします。
- トラウマ焦点療法:過去の体験を整理し、安全に向き合う
- EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法):トラウマ記憶に伴う苦痛を和らげる
医師や臨床心理士と相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
カウンセリング
日常生活の悩みやストレスを話すだけでも、気持ちが軽くなります。
- 定期的に心の状態を確認できる
- 問題を整理し、解決方法を一緒に考えられる
- 信頼できる相談先を持つことで「一人で抱え込まない」習慣ができる
ピアサポートグループ
同じ体験を持つ人と交流できるピアサポートは、孤独感を軽減し、安心感を得る場になります。
- オンラインコミュニティや地域の自助グループ
- 経験者の体験談からセルフケアのヒントを学べる
- 相互に支え合い、自分の体験を共有することで「誰かの役に立てる」という実感も得られる
例:月1回のピアサポート会に参加し、仕事の工夫を共有することで孤立感が減り、前向きに生活を続けられる方もいます。
まとめ
解離性障害を悪化させないためには、日常生活の小さな工夫の積み重ねが大切です。
生活リズムを整え、発作時のセルフケアを準備し、ストレスを減らす工夫をする。さらに、心理療法や支援制度を活用することで、安定した生活を送ることが可能になります。
もし今、不安や孤独を感じている方がいたら、伝えたいことがあります。
「あなたは一人ではありません」。
症状は辛くても、適切なサポートや工夫によって、生活は少しずつ落ち着いていきます。助けを求めることは弱さではなく、回復への大切な一歩です。
安心できる環境と支えを得ながら、自分のペースで歩んでいきましょう。あなたの経験や存在には確かな価値があり、未来には必ず安定と希望があります。
投稿者プロフィール
- 自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。









