2025/09/05
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障害者の年金と働き方の両立|受給条件・就労制限・制度活用を徹底解説

はじめに

障害を抱えながら生活している方にとって、障害年金は生活を支える大切な収入の柱です。医療費や生活費をまかなう上で欠かせない存在ですが、その一方で「働きたいけれど年金が止まってしまうのでは?」という不安を抱く人も少なくありません。

実際に、インターネットで「障害年金 就労」や「障害年金 働いたらどうなる」と検索すると、多くの人が同じ悩みを抱えていることがわかります。特に、障害年金を受給中の方や、これから申請を検討している方にとっては、**「働いていいのか」「働くと支給額はどうなるのか」**という点が大きな関心事です。

本記事では、障害年金の種類や受給条件といった基本知識から、就労と年金がどのように両立できるのか、注意すべきポイント、さらに併用できる支援制度までを徹底解説します。誤解されがちな「働いたら打ち切られる」という不安を整理し、正しい理解を持って安心して働き方を選べるようにまとめました。

👉 これから就職を考えている方や、その家族・支援者の方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。


障害年金とは?基礎知識を整理

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金は大きく分けて以下の2種類があります。

  • 障害基礎年金
    国民年金に加入していた人が対象。重い障害(1級・2級)で支給されます。
  • 障害厚生年金
    厚生年金加入中に初診日がある場合に受給可能。3級まで支給対象が広がり、基礎年金と併給されるケースもあります。

等級(1級・2級・3級)ごとの支給条件

  • 1級:日常生活にほぼ全面的な介助が必要
  • 2級:労働や日常生活に著しい制限がある
  • 3級:一定の労働は可能だが制約がある(厚生年金のみ対象)

対象となる病気や障害

  • 精神障害(統合失調症、うつ病、発達障害など)
  • 身体障害(視覚障害、聴覚障害、手足の機能障害など)
  • 内部障害(心臓、腎臓、呼吸器の機能障害など)

障害年金を受け取る条件

障害年金を受けるためには、いくつかの条件があります。単に「病気やケガで障害がある」だけでは支給されず、いつ発症したのか・保険料をきちんと払っていたか・障害の程度がどの時点で認められるのかが重要な判断基準になります。順番に見ていきましょう。

初診日の要件

障害年金では「初診日」がとても重要です。
これは、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師の診察を受けた日を指します。

たとえば、うつ病で障害年金を申請する場合は、「最初に心療内科や精神科を受診した日」が初診日となります。この初診日が国民年金や厚生年金に加入している期間中でなければ、原則として障害年金は受けられません。つまり、どの年金制度に加入していたときに発症したかが、支給の可否や金額に直結するのです。

保険料納付要件

障害年金は、保険料を納めている人のための制度です。そのため、初診日の時点で「一定期間きちんと保険料を払っていたか(または免除されていたか)」が問われます。

具体的には、初診日の前々月までの加入期間において、

  • 3分の2以上の期間で保険料を納めていること
  • または 直近1年間に未納がないこと

のどちらかを満たしている必要があります。
このルールによって「まったく保険料を納めていないのに障害年金を請求する」といった不公平を防いでいます。

障害認定日の要件

障害年金は、病気やケガをした直後にすぐ支給されるわけではありません。原則として、初診日から1年6か月経過した日、または症状が固定した日を「障害認定日」と呼び、その時点での障害の程度を基準に支給の可否が決まります。

たとえば、事故で大けがをしても、リハビリによって改善する可能性があります。そのため、ある程度時間をおいて症状の固定を確認し、長期的に生活や労働に制約があるかどうかを判断してから支給する仕組みになっています。


働いていても障害年金はもらえるのか?

就労と障害年金は両立可能

結論から言えば、働きながらでも障害年金は受け取れます。
多くの方が誤解しがちですが、障害年金は「収入の多さ」で判断される制度ではありません。支給の可否や等級は、あくまでも障害の状態や日常生活の困難度、労働の制約度によって決まります。

つまり、「アルバイトを始めたから即停止」といった単純な仕組みではなく、どのような働き方をしているか・どの程度の支援を必要としているかが重要視されます。


働き方によっては等級変更の可能性あり

ただし注意が必要なのは、安定してフルタイム勤務を継続できる場合です。
更新審査(数年ごとの診断書提出)の際に、「日常生活に大きな支障はない」と判断されると、等級が下がったり支給が停止されたりするケースがあります。

例として、

  • 2級 → 3級に変更(年金額が減額される)
  • 3級 → 支給停止(厚生年金の場合は打ち切り)

といった形です。
そのため、働くこと自体は可能でも、“働き方の内容や負担の程度”が障害認定の評価に影響することを理解しておくことが大切です。


働きながら受給している人の実例

実際には、多くの方が障害年金を受け取りながら働いています。

  • 精神障害(2級)を受給しながら週3日・短時間勤務を継続している例
    → 生活リズムを整えつつ、無理のない範囲で働いているため受給が継続。
  • 身体障害(3級)で受給しながらフルタイム事務職に従事している例
    → 仕事内容がデスクワーク中心で配慮を受けているため、障害の程度に応じて受給が認められている。
  • 内部障害(腎臓病で透析治療)を持ちながら、週4日の勤務をしている例
    → 通院と両立できる範囲での勤務が認められ、障害年金と併用。

このように、「働くこと=年金が止まる」ではなく、「障害の状態に合った働き方かどうか」が問われるのです。


就労と年金の両立で気をつけたいこと

定期的な更新審査(診断書提出)

障害年金は一度認定されれば一生もらえるとは限りません。多くの場合、1〜5年ごとに更新審査があり、医師の診断書を提出する必要があります。
この診断書には、現在の症状や日常生活の制限に加え、就労状況も記載されます。

たとえば「週5日フルタイム勤務、特別な配慮なしで業務可能」と記載されると、障害の程度が軽いと判断され、等級変更や支給停止につながるリスクがあります。逆に「週3日・短時間勤務で上司や同僚の配慮が必要」と具体的に反映されていれば、障害の状態が正しく伝わります。

👉 診断書には“実際の生活の困難さ”を正しく伝えることが重要です。医師に就労状況を詳しく説明し、誤解のない形で記入してもらうことが必要です。


働き方と障害の程度のバランス

「働くこと」は良いことですが、無理をすると逆に年金受給や体調面に悪影響が出ることもあります。

  • 週に何日働けるのか
  • 1日何時間なら続けられるのか
  • どの程度サポートを受けながら働いているのか

こうした点が、年金の更新審査での評価にも関わります。
例えば「無理にフルタイムで働いた結果、症状が悪化して休職→年金も減額される」という悪循環もあり得ます。

👉 重要なのは、体調に合った働き方を選ぶこと。就労支援機関や主治医と相談しながら「続けられるペース」を守ることが、両立のコツです。


企業への伝え方

障害年金を受け取りながら働く場合、職場にどう伝えるかも大切なポイントです。
無理に「全部隠す」必要はありませんが、必要な配慮だけを具体的に伝える方がスムーズです。

例えば:

  • 「週に数回、通院のために早退が必要です」
  • 「集中力が途切れやすいので、休憩を細かく取りたいです」
  • 「重い荷物の運搬は難しいので、分担を工夫していただきたいです」

こうした要望は、法律で定められた合理的配慮として認められるケースが多く、企業も対応する義務があります。

また、障害者雇用枠で働く場合はあらかじめ配慮が想定されていますが、一般枠で働く場合でも「ジョブコーチ」や「ハローワークの障害者担当窓口」に相談すれば、企業との橋渡しをしてもらえます。


障害者が使える支援制度

障害者雇用枠での就労

法定雇用率に基づき、障害者雇用枠での就職が可能。安定した働き方を実現できます。

就労移行支援やジョブコーチ制度

働き始めをサポートする就労移行支援、職場に定着するためのジョブコーチ制度も活用可能です。

医療費助成や手帳による福祉サービス

身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳により、医療費助成・交通機関割引・税制優遇などの支援を受けられます。


よくある誤解とQ&A

「働いたら障害年金は打ち切られる?」

誤解です。 就労していても受給は可能。大事なのは「実際の生活上の困難度」です。

「副業・アルバイトはしても大丈夫?」

→ 可能ですが、就労状況は必ず申告を。無申告は後のトラブルにつながります。

「障害年金と生活保護は併用できる?」

→ 障害年金は収入扱いとなるため、生活保護はその分減額されるか停止されます。


まとめ

障害年金は「働いているかどうか」ではなく、障害の状態や生活への支障度を基準に支給の可否や等級が判断されます。つまり、働きながらでも障害年金を受給することは十分可能です。

ただし、

  • 無理をしてフルタイムで働き続けると「障害が軽い」とみなされ、等級が下がる可能性がある
  • 更新審査では「実際の生活の困難さ」が診断書に反映されることが重要
  • 働き方と障害の程度のバランスを取り、必要な配慮を職場に伝えることが両立のカギ

といった注意点があります。

また、障害者雇用枠・就労移行支援・ジョブコーチ制度・医療費助成など、活用できる制度やサービスも数多く存在します。「就労=年金が止まる」という誤解にとらわれず、制度を正しく理解して安心して働くことが大切です。👉 読者の皆さんへ
「働きたいけれど、年金が心配…」と感じている方は多いですが、正しい知識とサポートを得れば、両立は十分に可能です。焦らず、自分の体調や生活に合った働き方を選びながら、年金と仕事をバランスよく活用していきましょう。

投稿者プロフィール

八木 洋美
自身も障害を持ちながら働いてきた経験から、「もっと早く知っていればよかった」情報を多くの人に届けたいと考えています。制度や法律だけでなく、日々の仕事の工夫や心の持ち方など、リアルな視点で役立つ記事を執筆しています。
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